初期研修医勉強会 担当:H先生
「鎮静薬いろいろ」
・鎮静は眠らせることではない。
・RASS Scale
・Richmond Agitation-Sedation Scale
・+4~-5までのScale
・浅い鎮静
・刺激によって覚醒し認知機能が回復する状態
・RASS -1, -2, -3
・深い鎮静
・刺激にて開眼しない、全身麻酔に準じた状態
・RASS -4, -5
・最も優れた鎮静薬とは
・退薬症状、幻覚、せん妄がない
・深い鎮静が容易
・呼吸抑制作用が少ない
・気道確保が不要
・循環抑制作用が少ない
・鎮痛作用を併せ持つ
・効果の発現・消失が速い
・急性耐性がない
・水溶性で投与が容易
・要薬液量が少量
・鎮静薬いろいろ
・ミダゾラム(ドルミカム)
・中枢神経のGABA受容体に作用する。
・作用発現は速やか(0.5-5min)で、作用時間は短い。
・0.03-0.06mg/kgのbolus投与。
・48-72時間の持続投与
→蓄積した代謝産物により覚醒が遷延する可能性。
・薬価:138.00円 (10mg 2mL)
・依存性:幻覚、せん妄、痙攣などの離断症状
・深い鎮静が容易
・呼吸抑制作用がある
・気道確保が必要
・循環抑制作用は少ない
・鎮痛作用がない
・効果の発現が速い
・急性耐性あり
・水溶性で投与が容易、必要薬液量が少量
・プロポフォール
・中枢神経のGABA受容体に作用する。
・静注すると1-2分で効果が発現し、10-15分持続する。
・0.5mg/kg/hより投与を開始
→維持量は0.5-3mg/kg/hrで調節する。
・脂肪製剤なので細菌感染のリスクがある。
・Propofol infusion syndrome
・薬価:1344円(50mg 50mL)
・投与中止後のせん妄頻度は少ない
・深い鎮静が容易
・呼吸抑制作用を有する
・気道確保は必須
・循環:血管拡張作用による血圧低下
・鎮痛作用はない
・効果の発現・消失が速い
・急性耐性あり
・脂溶性、血管痛あり
・1%製剤では大量投与が必要
・デキサメデトミジン(プレセデックス)
・選択的α2受容体作動薬。
・青斑核の中枢性α2A受容体を介してNA放出を抑制
→上位中枢の覚醒レベルを抑える。
・適応:集中治療における人工呼吸及び離脱後の鎮静
・初期負荷投与 6μg/kg/hで10分間持続静注
・維持投与 0.2-0.7μg/kg/h
・薬価:5,077円 (200μg 2mL)
・脊髄α2A受容体刺激による鎮痛作用
・交感神経の抑制により心拍数減少、血管拡張作用
・血管収縮による血圧上昇
・認知障害なし。せん妄の頻度は少ない。
・深い鎮静は困難。
・呼吸抑制作用はない。
・気道確保が不要
・循環:心拍数低下、血管拡張による血圧低下
・鎮痛作用を併せ持つ
・効果の発現・消失が速い
・急性耐性はほとんどない
・水溶性で投与が容易、必要薬液量が少量
・デキサメデトミジンについて論文読みました。
・Can dexmedetomidine be a safe and efficacious
sedative agent in post-cardiac surgery patients?
YY Lin et al. Critical Care 2012;16:R169
・心臓外科手術後の鎮静におけるDEX使用の安全性を評価
・meta analysis
・DEX群は人工呼吸期間を有意に減少した。
・DEX群は徐脈を発現する割合が高かった
→低血圧には差は認めなかった。
→心臓外科術後の鎮静において、DEXは安全かつ有効である可能性。
・もうひとつ論文読みました。
・Dexmedetomidine vs Midazolam or Propofol
for Sadation During Prolonged Mechanical Ventilation
MJ Stephan et al. JAMA 2012;307:1151-60
・人工呼吸時の鎮静
・DexmedetomidineとMidazolam or Propofolを比較
・初の大規模第III相前向きランダム化試験
・MIDEX: 欧州9カ国44施設
・PRODEX: 欧州6カ国31施設とロシアの2施設
・Method、Outcome:省略
・結果
・長期人工呼吸管理の鎮静薬として
DEXはMDZやPROに比べて非劣勢であった。
人工呼吸期間やICU滞在期間において有意差はなかった。
DEX使用にて抜管期間が短かった。
→意思疎通疎通良好であることに起因するかもしれない。
鎮静効果不十分の症例がDEXで多い。
→投与量が少ない可能性。
・Adverse effect
低血圧と徐脈の発現
→MIDEXにおいてDEX群で有意に多かった。
不穏、不安、せん妄の発現
→PRODEXにおいてDEX群の頻度が低かった。
投与中止後48時間の時点でのせん妄発症の割合
→両群において有意差はなかった。
・レミマゾラム
・短時間作用型ベンゾジアゼピン系鎮静剤
・半減期が非常に短い
→調節性に優れる
・拮抗薬が存在する
→緊急時の対応が容易
・GABA-A受容体に高い親和性を有する
・組織エステラーゼにより速やかに代謝されて不活性化
→BZOのアルチバ!
・ONO-2745
・本邦、全身麻酔を施行する手術患者を対象とした第II相試験
→麻酔導入、麻酔維持において全85名に有効性あり。
循環抑制作用が少なく、安全である可能性。
現在は人工呼吸管理での鎮静において第II相試験が進行中。
・まとめ
・DEXは呼吸抑制をきたさず鎮静において優れた薬剤である。
・DEXはMDZやPROに比べて鎮静作用は非劣勢である。
しかし、現用量では効果不十分になる可能性がある。
・他の鎮静薬に比べ徐脈の発現頻度が高いが比較的安全。
・レミマゾラムは新規の鎮静薬である。
2012年12月21日金曜日
Airway Management 2012
麻酔科勉強会 担当:Y先生
「Airway Management 2012」
・JSAガイドラインは、Successful Ventilation
・ASAガイドライン
→気道確保困難時(DAM)のアルゴリズム、
→successful intubation に力点がおかれている。
・第1段階(グリーンゾーン):マスク換気
・第2段階(イエローゾーン):声門上器具(SGA)
・第3段階(レッドゾーン):輪状甲状間膜穿刺(CTM)
・誤嚥のリスクも評価
・意識下挿管の適応
・重大な気道の病変あり。
・かつ操作中に完全閉塞のリスクの高い場合
→喉頭腫瘍、咽頭膿瘍、甲状腺腫瘍、縦隔腫瘍・・・
・重症例は 、気管切開・対外循環(PCPS)の準備をしておく。
・マスク換気困難が強く予想され、患者の協力が得られる場合
・挿管困難の予測に次の点が重なる場合
・LMA挿入困難が予想される時
→開口制限、頸椎可動制限、扁桃肥大、声門付近の病変
・フルストマック (誤嚥のリスク)
・短時間の無呼吸で低酸素血症になる患者
→病的肥満、もともとの呼吸不全
・第一段階
・マスク換気可能
→挿管トライ(予定の気道確保)2回まで。
→3回目以降は、別なデバイス、別な術者。
・換気不十分・不能
→エアウエイ・二人法によるマスク換気
→換気可能になれば、挿管トライ
・十分なマスク換気が得られない
→SpO2が下がる前に、応援を呼んで、第2段階に移る。
→第1段階では、一度は挿管を試みてもよい。
→以降は、覚醒・自発呼吸再開を考慮する。
・第二段階
・マスク換気の不十分・不可能が続くなら…
→SpO2が低下する前に速やかにSGAによる換気に移行。
→Air-Q、LMAは、麻酔カートに常備、扱い慣れておく。
・SGAによる換気可能
→SGAのまま手術する
→SGAガイド下で気管挿管(状況により判断)
→換気不十分ならば別なSGA挿入しなおす
・SGAによる換気不能
→CTM同定して、第3段階へ
・第三段階
・キットによるCTM(輪状甲状膜)穿刺
・救急カートには、CTM切開カテーテルキットを常備する。
・術前評価の時点で、輪状甲状膜の評価もしておく。
・CTM穿刺の手技には麻酔科医は習熟しておく。
・CTMが同定できなければ、ためらわず頚部切開する。
・皮膚切開:縦に2-3cm 間膜切開:横に1.5cm
・静脈留置針、ジェットベンチレーションは、推奨されない。
・CTM穿刺が困難であれば、耳鼻科に気管切開の準備を依頼。
・マスク換気困難の研究
・Langeron, Prediction of difficult mask ventilation:
Anesthesiology 2000; 92: 1229-236
・マスク換気困難の定義
① マスクからエアリークが多すぎる
② 15L/分以上の流量が必要
③ 胸郭が全く上がらない
④ SpO2<92%
⑤ 二人法による換気が必要
⑥ 術者の交代
・多変量解析でのマスク換気困難の独立因子
① ひげ
② 歯がない
③ 肥満(BMI>26)
④ いびきの既往
⑤ 加齢(55歳以上)
・Kheterpal, Incidence and Predictors of
Difficult and Impossible Mask ventilation,
Anesthesiology 105: 885-91, 2006
・マスク換気困難の予測因子
・歯がない
・ひげ
・BMI≧25
・MpⅢ以上
・いびき
・OSAS
・太い首
・TMD<6cm
・開口<6cm
・下顎前突制限
・頸椎症
・55歳以上
・Kheterpal, Prediction and outcomes of
impossible Mask ventilation,
Anesthesiology 110: 891-7, 2009
・マスク換気不能のリスク因子(単変量解析)
① ひげ
② 頸部RAの既往
③ 睡眠時無呼吸
④ Mallampati Ⅲ以上
⑤ 男性
・当院でのデータのまとめ
「Airway Management 2012」
・JSAガイドラインは、Successful Ventilation
・ASAガイドライン
→気道確保困難時(DAM)のアルゴリズム、
→successful intubation に力点がおかれている。
・第1段階(グリーンゾーン):マスク換気
・第2段階(イエローゾーン):声門上器具(SGA)
・第3段階(レッドゾーン):輪状甲状間膜穿刺(CTM)
・誤嚥のリスクも評価
・意識下挿管の適応
・重大な気道の病変あり。
・かつ操作中に完全閉塞のリスクの高い場合
→喉頭腫瘍、咽頭膿瘍、甲状腺腫瘍、縦隔腫瘍・・・
・重症例は 、気管切開・対外循環(PCPS)の準備をしておく。
・マスク換気困難が強く予想され、患者の協力が得られる場合
・挿管困難の予測に次の点が重なる場合
・LMA挿入困難が予想される時
→開口制限、頸椎可動制限、扁桃肥大、声門付近の病変
・フルストマック (誤嚥のリスク)
・短時間の無呼吸で低酸素血症になる患者
→病的肥満、もともとの呼吸不全
・第一段階
・マスク換気可能
→挿管トライ(予定の気道確保)2回まで。
→3回目以降は、別なデバイス、別な術者。
・換気不十分・不能
→エアウエイ・二人法によるマスク換気
→換気可能になれば、挿管トライ
・十分なマスク換気が得られない
→SpO2が下がる前に、応援を呼んで、第2段階に移る。
→第1段階では、一度は挿管を試みてもよい。
→以降は、覚醒・自発呼吸再開を考慮する。
・第二段階
・マスク換気の不十分・不可能が続くなら…
→SpO2が低下する前に速やかにSGAによる換気に移行。
→Air-Q、LMAは、麻酔カートに常備、扱い慣れておく。
・SGAによる換気可能
→SGAのまま手術する
→SGAガイド下で気管挿管(状況により判断)
→換気不十分ならば別なSGA挿入しなおす
・SGAによる換気不能
→CTM同定して、第3段階へ
・第三段階
・キットによるCTM(輪状甲状膜)穿刺
・救急カートには、CTM切開カテーテルキットを常備する。
・術前評価の時点で、輪状甲状膜の評価もしておく。
・CTM穿刺の手技には麻酔科医は習熟しておく。
・CTMが同定できなければ、ためらわず頚部切開する。
・皮膚切開:縦に2-3cm 間膜切開:横に1.5cm
・静脈留置針、ジェットベンチレーションは、推奨されない。
・CTM穿刺が困難であれば、耳鼻科に気管切開の準備を依頼。
・マスク換気困難の研究
・Langeron, Prediction of difficult mask ventilation:
Anesthesiology 2000; 92: 1229-236
・マスク換気困難の定義
① マスクからエアリークが多すぎる
② 15L/分以上の流量が必要
③ 胸郭が全く上がらない
④ SpO2<92%
⑤ 二人法による換気が必要
⑥ 術者の交代
・多変量解析でのマスク換気困難の独立因子
① ひげ
② 歯がない
③ 肥満(BMI>26)
④ いびきの既往
⑤ 加齢(55歳以上)
・Kheterpal, Incidence and Predictors of
Difficult and Impossible Mask ventilation,
Anesthesiology 105: 885-91, 2006
・マスク換気困難の予測因子
・歯がない
・ひげ
・BMI≧25
・MpⅢ以上
・いびき
・OSAS
・太い首
・TMD<6cm
・開口<6cm
・下顎前突制限
・頸椎症
・55歳以上
・Kheterpal, Prediction and outcomes of
impossible Mask ventilation,
Anesthesiology 110: 891-7, 2009
・マスク換気不能のリスク因子(単変量解析)
① ひげ
② 頸部RAの既往
③ 睡眠時無呼吸
④ Mallampati Ⅲ以上
⑤ 男性
・当院でのデータのまとめ
2012年12月19日水曜日
周術期心筋虚血とβblocker
初期研修医勉強会 担当:Y先生
「周術期心筋虚血とβblocker」
・周術期心筋虚血
・発生頻度
・非心臓手術:major cardiac eventの発生率:3.9%
周術期心筋梗塞:3.1%
・予後について
・非心臓手術の死亡:周術期心筋梗塞が原因の10~40%を占める
・発症後の院内死亡率は15~25%
・予防の考え方の違い
・非手術患者の心筋梗塞予防では…
・冠動脈内血栓の構成要素
(血小板、フィブリン、トロンビン)への治療
→アスピリン、ヘパリン
・HT,HL,DMの管理
・周術期心筋梗塞発症予防では…
・手術、麻酔による交感神経活性制御
・酸素需要供給バランスの適正化
・周術期心筋梗塞予防には酸素需要バランスの評価が必要
・Rate pressure product(RPP) =BP×HR
→心筋酸素需要と相関するが煩雑
・心拍数(HR)
・心拍数単独で虚血予防のパラメーターとして使用される
→HR60~80
・周術期βblockerの歴史
・1990年代Manganoらの報告が最初
Mangano et al.:effect of atenolol
on mortality and cardiovascular morbidity
after noncardiac surgery.NEJM335:1713-1720,1996
・対象:200人の非心臓手術患者
・β blocker(アテノロール)静脈内投与群とプラセボ投与群
・outcome:長期予後
・結果:
・2年後の全死亡率:10% vs 21%
・心臓合併症発症率:17% vs 32%
・術前、術中、術後の心拍数コントロールの重要性を指摘
・その後反論多数。。。
・Lindenauerら
・βblocker投与群と患者の心血管リスクの相関を調査
Lindenauer et al:perioperative beta blocker therapy
and mortality after major noncardiac surgery.
NEJM 2005;53:349-61)
・2007 AHA/ACC周術期ガイドライン
・β blocker 使用推奨クラスⅠ:
・冠動脈疾患、心筋虚血が明らかな患者
・既にβblocker使用していた患者
・高心血管リスクを有する中等度リスク手術や血管手術
・この後POISE trialが発表される
・POISE trial
・POISE study et al;Lancet 2008;371:1839-47
・対象:8351人、心血管合併症のリスクファクターあり
・介入:メトプロロール100㎎とプラセボ
手術の2-4時間前に開始、術後1か月間
・結果
・心筋梗塞発症率:4.2% vs 5.7%
・死亡率:3.1% vs 2.3%
・脳梗塞発症率:1.0% vs 0.5%
・2009 AHA/ACC周術期ガイドライン
・クラスⅠは手術前からの継続投与のみへ
・除外:術前に明らかな心筋虚血がある患者
高心血管リスクを有する患者
・クラスⅡ以下
→心拍数と血圧管理の目的でβblockerの容量調節すべき
・どのβblockerがよい?
・エスモロールの有効性
→短時間作用型、β1選択性
・The Safety of Perioperative Esmolol:
A Systematic Review and Meta-Analysis of
Randomized Controlled Trials
Anesthesia & Analgesia vol. 112 no. 2 267-281
・エスモロールは容量依存性に心拍数と血圧を減少させる
・予期しない低血圧の発生頻度を優位に増加させる
・持続静注であれば予期しない低血圧は減少
・目標とする血行動態に対してて滴定して用いると…
→心筋虚血発症率を優位に減少させる
・βblocker投与の注意点
・ACC/AHAガイドライン2009に準じた投与患者の選定
・目標心拍数に到達するように容量調整が必要
・術前から投与されている人には継続を
・新規投与であれば急速大量投与にならないように注意
・どのβ blockerを使用するのかは未確定
「周術期心筋虚血とβblocker」
・周術期心筋虚血
・発生頻度
・非心臓手術:major cardiac eventの発生率:3.9%
周術期心筋梗塞:3.1%
・予後について
・非心臓手術の死亡:周術期心筋梗塞が原因の10~40%を占める
・発症後の院内死亡率は15~25%
・予防の考え方の違い
・非手術患者の心筋梗塞予防では…
・冠動脈内血栓の構成要素
(血小板、フィブリン、トロンビン)への治療
→アスピリン、ヘパリン
・HT,HL,DMの管理
・周術期心筋梗塞発症予防では…
・手術、麻酔による交感神経活性制御
・酸素需要供給バランスの適正化
・周術期心筋梗塞予防には酸素需要バランスの評価が必要
・Rate pressure product(RPP) =BP×HR
→心筋酸素需要と相関するが煩雑
・心拍数(HR)
・心拍数単独で虚血予防のパラメーターとして使用される
→HR60~80
・周術期βblockerの歴史
・1990年代Manganoらの報告が最初
Mangano et al.:effect of atenolol
on mortality and cardiovascular morbidity
after noncardiac surgery.NEJM335:1713-1720,1996
・対象:200人の非心臓手術患者
・β blocker(アテノロール)静脈内投与群とプラセボ投与群
・outcome:長期予後
・結果:
・2年後の全死亡率:10% vs 21%
・心臓合併症発症率:17% vs 32%
・術前、術中、術後の心拍数コントロールの重要性を指摘
・その後反論多数。。。
・Lindenauerら
・βblocker投与群と患者の心血管リスクの相関を調査
Lindenauer et al:perioperative beta blocker therapy
and mortality after major noncardiac surgery.
NEJM 2005;53:349-61)
・2007 AHA/ACC周術期ガイドライン
・β blocker 使用推奨クラスⅠ:
・冠動脈疾患、心筋虚血が明らかな患者
・既にβblocker使用していた患者
・高心血管リスクを有する中等度リスク手術や血管手術
・この後POISE trialが発表される
・POISE trial
・POISE study et al;Lancet 2008;371:1839-47
・対象:8351人、心血管合併症のリスクファクターあり
・介入:メトプロロール100㎎とプラセボ
手術の2-4時間前に開始、術後1か月間
・結果
・心筋梗塞発症率:4.2% vs 5.7%
・死亡率:3.1% vs 2.3%
・脳梗塞発症率:1.0% vs 0.5%
・2009 AHA/ACC周術期ガイドライン
・クラスⅠは手術前からの継続投与のみへ
・除外:術前に明らかな心筋虚血がある患者
高心血管リスクを有する患者
・クラスⅡ以下
→心拍数と血圧管理の目的でβblockerの容量調節すべき
・どのβblockerがよい?
・エスモロールの有効性
→短時間作用型、β1選択性
・The Safety of Perioperative Esmolol:
A Systematic Review and Meta-Analysis of
Randomized Controlled Trials
Anesthesia & Analgesia vol. 112 no. 2 267-281
・エスモロールは容量依存性に心拍数と血圧を減少させる
・予期しない低血圧の発生頻度を優位に増加させる
・持続静注であれば予期しない低血圧は減少
・目標とする血行動態に対してて滴定して用いると…
→心筋虚血発症率を優位に減少させる
・βblocker投与の注意点
・ACC/AHAガイドライン2009に準じた投与患者の選定
・目標心拍数に到達するように容量調整が必要
・術前から投与されている人には継続を
・新規投与であれば急速大量投与にならないように注意
・どのβ blockerを使用するのかは未確定
2012年12月18日火曜日
成人麻酔での覚醒時興奮について
麻酔科勉強会 担当:H先生
「成人麻酔での覚醒時興奮について」
・覚醒時興奮はよくある。
→傷害や疼痛増強、出血、自己抜管、カテ自己抜去リスク。
→そのため身体的または薬剤による制御が必要となる。、
・成人における覚醒時興奮の病因や予後
→ほとんど研究されていない。
・Emergence agitation in adults:
risk factors in 2000 patients.
・Methods
・2007-2008年、1施設
・16-70歳
・ASA-PS 1-2
・診療科いろいろ。除外基準など。
・麻酔方法
・ミダゾラムとアトロピンの前投薬。
・導入は普通に。
・尿道カテーテルは全員に留置。
・維持は1-2%イソフルラン群
vs 3-4μg/mLプロポフォールTCI群とに分けた。
・レミフェンタニル0.05-2γで鎮痛、
・フェンタニル1-2μg/kgをレミフェンタニル終了時に投与。
・術後鎮痛は各麻酔科医の裁量。
・評価
・抜管基準を定め、それに達していないものはPACUで抜管。
・痛みは10段階で評価(NRS)
・4以上なら痛みありとみなしてフェンタ10μg投与。
・Agitation:攻撃、のたうち回る、過活動
・mild:吸引など強い刺激により生じる
・moderate:刺激なしでも生じるが介入を必要としない
・severe:介入が必要
・結果
・2000人のうち426人(21.3%)がagitationあり
・mild:49.8%
・moderate:41.8%
・severe:8.4%
・severe agitationの発生率は1.8%だった
→他の文献でも3%、2.4%である。
・痛みはagitationの強力なトリガー。
→術後興奮を予防するため鎮痛は重要。
・男性の方が多い
→男性の方が痛みに弱いことが原因であろう。
・口腔外科・頭頸部外科に多い
→患者は覚醒時に「窒息」感を覚えるらしい。
・吸入麻酔群に多い
→TIVAの方が薬が速く代謝・消失するから。
・覚醒時興奮の治療はまず原因の除去である。
・術後鎮痛をしっかり。
・挿管チューブ、尿道カテーテルはできるだけ早く抜く。
・それでもダメなら
→プロポフォール、ミダゾラムなど短時間作用型薬剤投与。
手術部にもクリスマスツリー。
「成人麻酔での覚醒時興奮について」
・覚醒時興奮はよくある。
→傷害や疼痛増強、出血、自己抜管、カテ自己抜去リスク。
→そのため身体的または薬剤による制御が必要となる。、
・成人における覚醒時興奮の病因や予後
→ほとんど研究されていない。
・Emergence agitation in adults:
risk factors in 2000 patients.
・Methods
・2007-2008年、1施設
・16-70歳
・ASA-PS 1-2
・診療科いろいろ。除外基準など。
・麻酔方法
・ミダゾラムとアトロピンの前投薬。
・導入は普通に。
・尿道カテーテルは全員に留置。
・維持は1-2%イソフルラン群
vs 3-4μg/mLプロポフォールTCI群とに分けた。
・レミフェンタニル0.05-2γで鎮痛、
・フェンタニル1-2μg/kgをレミフェンタニル終了時に投与。
・術後鎮痛は各麻酔科医の裁量。
・評価
・抜管基準を定め、それに達していないものはPACUで抜管。
・痛みは10段階で評価(NRS)
・4以上なら痛みありとみなしてフェンタ10μg投与。
・Agitation:攻撃、のたうち回る、過活動
・mild:吸引など強い刺激により生じる
・moderate:刺激なしでも生じるが介入を必要としない
・severe:介入が必要
・結果
・2000人のうち426人(21.3%)がagitationあり
・mild:49.8%
・moderate:41.8%
・severe:8.4%
・severe agitationの発生率は1.8%だった
→他の文献でも3%、2.4%である。
・痛みはagitationの強力なトリガー。
→術後興奮を予防するため鎮痛は重要。
・男性の方が多い
→男性の方が痛みに弱いことが原因であろう。
・口腔外科・頭頸部外科に多い
→患者は覚醒時に「窒息」感を覚えるらしい。
・吸入麻酔群に多い
→TIVAの方が薬が速く代謝・消失するから。
・覚醒時興奮の治療はまず原因の除去である。
・術後鎮痛をしっかり。
・挿管チューブ、尿道カテーテルはできるだけ早く抜く。
・それでもダメなら
→プロポフォール、ミダゾラムなど短時間作用型薬剤投与。
手術部にもクリスマスツリー。
2012 ASA annual meatingとUPMC見学記
麻酔科勉強会 担当:N先生
「2012 ASA annual meatingとUPMC見学記」
・2012年はWashington DCで開催
・ちなみに2013年はSan Francisco
・10/13-17の5日間
・プログラムは日本とそう変わらないが規模が大きい。
・Oral、Poster discussion、ePoster presentation
→native並の英語力が必要。
・Poster presentation
・scientific abstract
・medical challenging case
→英語が苦手でもなんとかなるかも。
・企業展示
・日本の倍ぐらいの広さのブース
・見た事のない企業も多くあった
→中国系企業が増えているらしい
・名札のバーコードを読み取られる。
→後日連絡をとれるようなシステム
・面白かったデバイス
・RUSCHのEZ-BLOCKER
・気管支ブロッカーの一種
・ブラインドで抵抗があるところまで挿入
・ブロックしたい方のカフを膨らませる
・CLARUS新製品
・良い点
・LEVITANにモニターがついた新製品
・モニターの横にダイアルがある。
→スタイレットの動きに合わせて角度を変えられる
・悪い点
・吸引ポートが無い
・高そう
・Truflex
・可動性のあるスタイレット
・GlidescopeやMc grathとの併用がオススメ
・ARROWの持続PNB用カテーテル
・固定がめんどくさそう。
・会場風景
・LMAの巨大模型
・ASA Bistro
・Washington DC
・きれいな街並み
・政府機関と博物館だらけ
・公園にはリスと浮浪者が多い
・ピッツバーグへ。
・University of Pittsburgh Medical Center(UPMC)
・UPMC presbyterian/montefiore
・主に成人の胸部・移植・脳・外傷・デイ手術
・手術室は41室 (presbyは29室)
・スタッフ55人、麻酔看護師111人
・2010年には麻酔件数35,757件
・521件の移植手術(そのうち126件が肺移植)を施行。
・肺移植においては全米トップの件数を誇る。
・手術見学(心臓・肺移植)
・Cardiac anesthesia部門
・フェローは年間4人
・研修期間は1年
・主にTEEを学ぶ → PTEexam取得を目標
・心臓血管麻酔・肺移植の麻酔を担当
・①redo MVR+TAPを見学してきました。
・導入前にA-line (上腕からシース)
・導入はプロポフォール・フェンタニル・エスラックス
・ネオシネジンにて血圧コントロールしながら挿管
→なぜか挿管前にメパッチを貼布
・SGカテは麻酔器の上で開封(清潔?)
・シースはルーメン2つ付きの三叉シース使用
・TEEのお作法
・ルーチンワークは似たような感じ
・ZOOMを多用し、弁の性状などじっくり見ていた
・外科医にまとめて所見を述べていた
・Weaning
・Ao declamp前から、カテコラミン投与開始
・麻酔科側からMg・lidocaine・Ca投与
・プロタミン投与前にDDAVPを静脈内投与
・TEGで凝固系のチェック
・Redo症例にも関わらず30分くらいで帰室していた模様
・DDAVP使ってた。
・②肺移植見学してきました。
・Nitric Oxide使ってた。
・呼吸回路に組み込んで投与
・肺高血圧に対して使用
・使用後PA圧かなり下がってた。
・ECMOとpulmonoplegia
・再灌流
・気管→PA→PVと吻合
・Reperfusion前にソルメドロールを投与
・肺にはpulmonoplegiaを灌流しておく(CPB回路使用)
・ちなみに肺移植は
・single-lung transplant
・en bloc double-lung transplant
・sequential double-lung transplant
・heart-lung transplant
の4種類がある。
当院でも心臓外科手術ではTEG
「2012 ASA annual meatingとUPMC見学記」
・2012年はWashington DCで開催
・ちなみに2013年はSan Francisco
・10/13-17の5日間
・プログラムは日本とそう変わらないが規模が大きい。
・Oral、Poster discussion、ePoster presentation
→native並の英語力が必要。
・Poster presentation
・scientific abstract
・medical challenging case
→英語が苦手でもなんとかなるかも。
・企業展示
・日本の倍ぐらいの広さのブース
・見た事のない企業も多くあった
→中国系企業が増えているらしい
・名札のバーコードを読み取られる。
→後日連絡をとれるようなシステム
・面白かったデバイス
・RUSCHのEZ-BLOCKER
・気管支ブロッカーの一種
・ブラインドで抵抗があるところまで挿入
・ブロックしたい方のカフを膨らませる
・CLARUS新製品
・良い点
・LEVITANにモニターがついた新製品
・モニターの横にダイアルがある。
→スタイレットの動きに合わせて角度を変えられる
・悪い点
・吸引ポートが無い
・高そう
・Truflex
・可動性のあるスタイレット
・GlidescopeやMc grathとの併用がオススメ
・ARROWの持続PNB用カテーテル
・固定がめんどくさそう。
・会場風景
・LMAの巨大模型
・ASA Bistro
・Washington DC
・きれいな街並み
・政府機関と博物館だらけ
・公園にはリスと浮浪者が多い
・ピッツバーグへ。
・University of Pittsburgh Medical Center(UPMC)
・UPMC presbyterian/montefiore
・主に成人の胸部・移植・脳・外傷・デイ手術
・手術室は41室 (presbyは29室)
・スタッフ55人、麻酔看護師111人
・2010年には麻酔件数35,757件
・521件の移植手術(そのうち126件が肺移植)を施行。
・肺移植においては全米トップの件数を誇る。
・手術見学(心臓・肺移植)
・Cardiac anesthesia部門
・フェローは年間4人
・研修期間は1年
・主にTEEを学ぶ → PTEexam取得を目標
・心臓血管麻酔・肺移植の麻酔を担当
・①redo MVR+TAPを見学してきました。
・導入前にA-line (上腕からシース)
・導入はプロポフォール・フェンタニル・エスラックス
・ネオシネジンにて血圧コントロールしながら挿管
→なぜか挿管前にメパッチを貼布
・SGカテは麻酔器の上で開封(清潔?)
・シースはルーメン2つ付きの三叉シース使用
・TEEのお作法
・ルーチンワークは似たような感じ
・ZOOMを多用し、弁の性状などじっくり見ていた
・外科医にまとめて所見を述べていた
・Weaning
・Ao declamp前から、カテコラミン投与開始
・麻酔科側からMg・lidocaine・Ca投与
・プロタミン投与前にDDAVPを静脈内投与
・TEGで凝固系のチェック
・Redo症例にも関わらず30分くらいで帰室していた模様
・DDAVP使ってた。
・②肺移植見学してきました。
・Nitric Oxide使ってた。
・呼吸回路に組み込んで投与
・肺高血圧に対して使用
・使用後PA圧かなり下がってた。
・ECMOとpulmonoplegia
・再灌流
・気管→PA→PVと吻合
・Reperfusion前にソルメドロールを投与
・肺にはpulmonoplegiaを灌流しておく(CPB回路使用)
・ちなみに肺移植は
・single-lung transplant
・en bloc double-lung transplant
・sequential double-lung transplant
・heart-lung transplant
の4種類がある。
当院でも心臓外科手術ではTEG
2012年12月8日土曜日
膠質液いろいろ
麻酔科勉強会 担当:S先生
「膠質液いろいろ」
・輸液製剤
・晶質液:リンゲル液、生理食塩水
・膠質液:
・アルブミン製剤:
・4-5%:hypooncotic
・20-25%:hyperoncotic
・合成膠質液
・HES
・ゼラチン
・デキストラン
・HES:① HES (②/③) 』
・① : concentration (%)
・② : molecular weight (kDa)
・③ : degree of substitution
(DS ; 2nd generation HES = 0.5)
・例:HespanderTM = 6% HES (70/0.5)
・Boldt scandal
・ドイツの麻酔科医Joachim Boldt。
→colloidの世界的権威。
・102本中89の研究が倫理委員会の認可なしに行われた。
・少なくとも10本の論文はfalse dataであった。
・膠質液 vs 晶質液
・Perel P,et al. Cochrane Database Syst Rev 2012;6
・(Boldtを含む)66 RCTのメタ解析。
・outcome:mortality
・アルブミン vs 晶質液:Risk ratio 1.01
・HES vs 晶質液:Risk ratio 1.10
・アルブミン vs HES
・Bunn F, et al Cocherane Database Syst Rev 2012;7
・(Boldtを含む)86 RCT(n=5,484)のメタ解析。
・surgical ICU入院患者
・outcome:mortality
・Risk Radio 1.06
・hypooncotic vs hyperoncotic
・Schortgen F, et al. Intensive Care Med 2008;34:2157-68.
・MC-cohort study
・shockの患者(n=1,013)。
・outcome:①腎合併症、②ICU death。
・晶質液でのodds ratio 1.00
・人工高張膠質液:①1.16(0.52-2.57) ②1.76(1.00-3.11)
・高張アルブミン:①5.99(2.75-13.08)②2.79(1.42-5.47)
・アルブミン vs 晶質液
・Finfer S, et al. NEJM 2004;350:2247-56
・SAFE study。
・4%アルブミン vs 生食
・ICU入室患者(n=6,997)
・probability of survival:p=0.96
・Severe sepsis患者:Relative Risk 0.87(0.74-1.02)
・HES vs 晶質液
・Myburgh JA, et al. NEJM 2012;367:1901-11
・CHEST trial。
・ICU入室患者(n=6,742)
・6% HES(130/0.4) vs 生食
・90日死亡:p=0.26
・RRT使用:HES群で高い。
・心臓手術における膠質液
・Novickis RJ, et al. Thorac Cadiovasc Surg 2012;144:223-30
・(Boldtを含まない)18 RCT(n=970)のメタ解析。
・人工心肺を使用した心臓手術患者。
・水分バランス、ICU滞在期間、死亡率に有意差なし。
・頭部外傷におけるアルブミン
・Myburgh J, et al. NEJM 2007;357:874-84
・ICU入室の頭部外傷患者(n=460)
・4%アルブミン vs 生食
・probabillity of survival:生食群が有意に高い。
・GOSe(Extended Glasgow Outcome Scale)
→生食群で有意に高い。
・sepsisにおけるアルブミン使用
・Delaney AP, et al. Crit Care Med 2011;39:386-91
・sepsis患者
・アルブミン vs その他の製剤
・死亡率:アルブミン群のほうが低い。
・sepsisにおけるHESその1
・Schortgen F, et al. Lancet 2001;357:911-6
・severe sepsisまたはseptic shockの患者(n=129)
・6% HES(200/0.6) vs 3% fluid-modified gelatin
・HES群でARFリスクが高い。
・sepsisにおけるHESその2
・Bayer O, et al. Crit Care Med 2011;39:1335-42
・surgical ICUのsevere sepsisまたはseptic shock患者(n=346)。
・HES群、ゼラチン群でRRT実施が多くなる。
・sepsisにおけるHESその3
・Guidet B, et al. Crit Care 2012;16:R94
・multi center RCT
・CRYSTMAS study。
・severe sepsis患者(n=196)
・6% HES(130/0.4) vs 生食
・輸液使用量は生食群が多い。
・sepsisにおけるHESその4
・Perner A, et al. NEJM 2012;367:124-34
・multi center RCT
・6S trial
・severe sepsisまたはseptic shock患者(n=798)
・6% HES(130/0.42)+必要なら晶質液 vs リンゲル。
・HES群でprobabillity of survivalは低い。
・ショック群ではリンゲルの方がいい。
・6% HESは本当に安全か。
・Suzuki T, et al. j Anesth 2010;24:418-25
・SC-retrospective cohort study
・5,000ml以上出血した手術患者。
・6% HES(70/0.55)(n=31)
・術後AKI vs 術後non-AKI
・差はなし。
・ATS consensus statement for colloid in ICU
・Am J Respir Crit Care Med 2004;170:1247-59
・頭部外傷には膠質液は控えるべき。
・全ての膠質液は凝固系に影響を与える。
・HESはsepsis患者ではAKIリスクを高める。
・透析関連の低血圧には膠質液が晶質液より優れる。
・高張アルブミンは腹水大量吸引後には投与するべき。
・血行動態的に安定期のARDSには輸液制限が適す。
・ESICM consensus statement for colloid in ICU
・Reinhart K, et al. Intensive Care Med 2012;38:368-83
・推奨(recommend)
・severe sepsis、AKIハイリスク
→HES(>200/>0.4)使わない。
・頭部外傷には膠質液を使わない。
・臓器移植ドナーにはHESを使わない。
・提案(suggest)
・severe sepsisにはアルブミンを使ってもいい。
・AKIハイリスクにはHES(130/0.4)を使わない。
・輸液蘇生に高張膠質液を使わない。
「膠質液いろいろ」
・輸液製剤
・晶質液:リンゲル液、生理食塩水
・膠質液:
・アルブミン製剤:
・4-5%:hypooncotic
・20-25%:hyperoncotic
・合成膠質液
・HES
・ゼラチン
・デキストラン
・HES:① HES (②/③) 』
・① : concentration (%)
・② : molecular weight (kDa)
・③ : degree of substitution
(DS ; 2nd generation HES = 0.5)
・例:HespanderTM = 6% HES (70/0.5)
・Boldt scandal
・ドイツの麻酔科医Joachim Boldt。
→colloidの世界的権威。
・102本中89の研究が倫理委員会の認可なしに行われた。
・少なくとも10本の論文はfalse dataであった。
・膠質液 vs 晶質液
・Perel P,et al. Cochrane Database Syst Rev 2012;6
・(Boldtを含む)66 RCTのメタ解析。
・outcome:mortality
・アルブミン vs 晶質液:Risk ratio 1.01
・HES vs 晶質液:Risk ratio 1.10
・アルブミン vs HES
・Bunn F, et al Cocherane Database Syst Rev 2012;7
・(Boldtを含む)86 RCT(n=5,484)のメタ解析。
・surgical ICU入院患者
・outcome:mortality
・Risk Radio 1.06
・hypooncotic vs hyperoncotic
・Schortgen F, et al. Intensive Care Med 2008;34:2157-68.
・MC-cohort study
・shockの患者(n=1,013)。
・outcome:①腎合併症、②ICU death。
・晶質液でのodds ratio 1.00
・人工高張膠質液:①1.16(0.52-2.57) ②1.76(1.00-3.11)
・高張アルブミン:①5.99(2.75-13.08)②2.79(1.42-5.47)
・アルブミン vs 晶質液
・Finfer S, et al. NEJM 2004;350:2247-56
・SAFE study。
・4%アルブミン vs 生食
・ICU入室患者(n=6,997)
・probability of survival:p=0.96
・Severe sepsis患者:Relative Risk 0.87(0.74-1.02)
・HES vs 晶質液
・Myburgh JA, et al. NEJM 2012;367:1901-11
・CHEST trial。
・ICU入室患者(n=6,742)
・6% HES(130/0.4) vs 生食
・90日死亡:p=0.26
・RRT使用:HES群で高い。
・心臓手術における膠質液
・Novickis RJ, et al. Thorac Cadiovasc Surg 2012;144:223-30
・(Boldtを含まない)18 RCT(n=970)のメタ解析。
・人工心肺を使用した心臓手術患者。
・水分バランス、ICU滞在期間、死亡率に有意差なし。
・頭部外傷におけるアルブミン
・Myburgh J, et al. NEJM 2007;357:874-84
・ICU入室の頭部外傷患者(n=460)
・4%アルブミン vs 生食
・probabillity of survival:生食群が有意に高い。
・GOSe(Extended Glasgow Outcome Scale)
→生食群で有意に高い。
・sepsisにおけるアルブミン使用
・Delaney AP, et al. Crit Care Med 2011;39:386-91
・sepsis患者
・アルブミン vs その他の製剤
・死亡率:アルブミン群のほうが低い。
・sepsisにおけるHESその1
・Schortgen F, et al. Lancet 2001;357:911-6
・severe sepsisまたはseptic shockの患者(n=129)
・6% HES(200/0.6) vs 3% fluid-modified gelatin
・HES群でARFリスクが高い。
・sepsisにおけるHESその2
・Bayer O, et al. Crit Care Med 2011;39:1335-42
・surgical ICUのsevere sepsisまたはseptic shock患者(n=346)。
・HES群、ゼラチン群でRRT実施が多くなる。
・sepsisにおけるHESその3
・Guidet B, et al. Crit Care 2012;16:R94
・multi center RCT
・CRYSTMAS study。
・severe sepsis患者(n=196)
・6% HES(130/0.4) vs 生食
・輸液使用量は生食群が多い。
・sepsisにおけるHESその4
・Perner A, et al. NEJM 2012;367:124-34
・multi center RCT
・6S trial
・severe sepsisまたはseptic shock患者(n=798)
・6% HES(130/0.42)+必要なら晶質液 vs リンゲル。
・HES群でprobabillity of survivalは低い。
・ショック群ではリンゲルの方がいい。
・6% HESは本当に安全か。
・Suzuki T, et al. j Anesth 2010;24:418-25
・SC-retrospective cohort study
・5,000ml以上出血した手術患者。
・6% HES(70/0.55)(n=31)
・術後AKI vs 術後non-AKI
・差はなし。
・ATS consensus statement for colloid in ICU
・Am J Respir Crit Care Med 2004;170:1247-59
・頭部外傷には膠質液は控えるべき。
・全ての膠質液は凝固系に影響を与える。
・HESはsepsis患者ではAKIリスクを高める。
・透析関連の低血圧には膠質液が晶質液より優れる。
・高張アルブミンは腹水大量吸引後には投与するべき。
・血行動態的に安定期のARDSには輸液制限が適す。
・ESICM consensus statement for colloid in ICU
・Reinhart K, et al. Intensive Care Med 2012;38:368-83
・推奨(recommend)
・severe sepsis、AKIハイリスク
→HES(>200/>0.4)使わない。
・頭部外傷には膠質液を使わない。
・臓器移植ドナーにはHESを使わない。
・提案(suggest)
・severe sepsisにはアルブミンを使ってもいい。
・AKIハイリスクにはHES(130/0.4)を使わない。
・輸液蘇生に高張膠質液を使わない。
2012年11月29日木曜日
アルブミン製剤
ICU勉強会 担当:S先生
「アルブミン製剤について」
・SSCGについて
・1990年代、敗血症とは???
・2001年:NISEが設立
・2003年:敗血症の定義
・SSCG 2004
・SSCG 2008
・SSCG 2012
・特に血漿分画製剤(アルブミン/IVIG)
→推奨度と投与基準に変更が予想される。
・アルブミンの生理作用
・体液保持
・抗酸化
・抗炎症、アポトーシス予防
・抗凝固作用
・酸塩基平衡
・種々の物質との結合
・侵襲による血管透過性亢進で浸出したアルブミン
・抗炎症、抗酸化作用により組織障害の増悪抑制
・体液保持による間質浮腫の増悪
・血清アルブミン値が1 g/dl低下
→死亡リスク↑、合併症↑、ICU滞在期間↑
・アルブミン製剤投与について
・Cochrane Injuries Group(1998年)
・Wilkes(2001年)
・Liberati(2006年)
→いずれも死亡リスクはアルブミン投与群で高い。
・SOAP study
・ICU stay、Hospital stay、死亡率はAlb投与群で高い。
・観察研究
・肝硬変、担癌患者が多かった。
・SAFE study
・脳損傷に対するalbumin投与群で 死亡率が高かった
・Severe Sepsisでは有意差なし。
・アルブミン製剤の副作用
・循環血漿量増加
・心機能抑制
・肺水腫
・末梢循環不全
・多臓器不全
・腎不全
・出血傾向亢進
・アナフィラキシー
薬剤師さんに見送られて出張麻酔
「アルブミン製剤について」
・SSCGについて
・1990年代、敗血症とは???
・2001年:NISEが設立
・2003年:敗血症の定義
・SSCG 2004
・SSCG 2008
・SSCG 2012
・特に血漿分画製剤(アルブミン/IVIG)
→推奨度と投与基準に変更が予想される。
・アルブミンの生理作用
・体液保持
・抗酸化
・抗炎症、アポトーシス予防
・抗凝固作用
・酸塩基平衡
・種々の物質との結合
・侵襲による血管透過性亢進で浸出したアルブミン
・抗炎症、抗酸化作用により組織障害の増悪抑制
・体液保持による間質浮腫の増悪
・血清アルブミン値が1 g/dl低下
→死亡リスク↑、合併症↑、ICU滞在期間↑
・アルブミン製剤投与について
・Cochrane Injuries Group(1998年)
・Wilkes(2001年)
・Liberati(2006年)
→いずれも死亡リスクはアルブミン投与群で高い。
・SOAP study
・ICU stay、Hospital stay、死亡率はAlb投与群で高い。
・観察研究
・肝硬変、担癌患者が多かった。
・SAFE study
・脳損傷に対するalbumin投与群で 死亡率が高かった
・Severe Sepsisでは有意差なし。
・アルブミン製剤の副作用
・循環血漿量増加
・心機能抑制
・肺水腫
・末梢循環不全
・多臓器不全
・腎不全
・出血傾向亢進
・アナフィラキシー
薬剤師さんに見送られて出張麻酔
顎関節疾患について
初期研修医勉強会 担当:F先生
「顎関節疾患について」
・顎関節の構造と機能、まずは解剖の話から
・顎関節を構成する骨構造
・下顎骨:下顎頭
・側頭骨:下顎窩、関節結節
・咀嚼筋
・閉口筋
・咬筋、側頭筋、内側翼突筋
・開口筋
・外側翼突筋
・靭帯
・外側靭帯
・下顎頭の外側への逸脱を防止。
・下顎頭の前進・後退を制限。
・副靭帯
・蝶下顎靭帯:開口・側方運動の規制。
・茎突下顎靭帯:下顎の前方運動の規制。
・関節包
・顎関節を取り巻く結合組織の線維膜。
・下顎窩の周囲~関節突起の周囲に付着。
・関節包の内面は繊毛様のヒダを持つ
・滑膜によって覆われる。
・関節の円滑な運動のための滑液を分泌している。
・血管と神経
・栄養血管
・浅側頭動脈
・顎動脈
・神経
・三叉神経第3枝下顎神経
・顔面神経は顎関節周囲を走行。
・関節円板と滑液について
・正常な顎運動(動画で見てみよう)
・顎関節疾患あるある2つ
1.顎関節脱臼
・定義
・下顎頭が下顎窩から外にでて顎関節運動範囲外にあり、
もとの状態に戻らない状態。
・分類
・前方/後方
・完全/不完全(亜脱臼)
・新鮮/陳旧性
・単純性/習慣性
・外傷性/非外傷性
・原因、リスク
・浅い下顎窩
・平坦な下顎頭
・関節結節前方部の急峻な傾斜
・下顎角が開大したlong face
・関節包や顎関節に関連する靱帯の弛緩伸展
・ある報告
・男性54名, 女性83名, 男女比1: 1.5と女性にやや多い.
・平均年齢47.2歳(3~99 歳)
・脱臼整復法(早期)
①Hippocrates法
・患者の前方に立つ。
・整復後に咬まれないように拇指にガーゼを巻いておく。
・両手の拇指を下顎大臼歯咬合面上に置き,
残りの四指を下顎下縁に添えて,
両手で下顎体部を挟むように掴む。
・両手の拇指で下顎大臼歯部を下方に強く押し下げつつ
オトガイ部を持ち上げるようにする。
・そのまま下顎を下後方に押しつけるようにする。
②Borchers法
・患者の後方に立つ。
・患者の後頭部から抱えるように固定する。
・下顎を上前方に回転させつつ手前に引く。
・脱臼整復法(陳旧例)
・まずは徒手整復
・不可能な場合は局麻下、または全身麻酔。筋弛緩薬使用など。
・手術も。
・習慣性顎関節脱臼の予防
・非観血的療法
・包帯やチンキャップによる一定期間の開口制限
・観血的療法
①運動抑制法(顎関節前方障害術)
②運動平滑化法
関節結節削除術(eminectomy)
2.顎関節症(TMD)
・顎関節症とは?
→顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害、
または顎運動を主要症候とする慢性疾患の総括的診断名
・咀嚼筋障害、関節包・靭帯障害、
関節円板障害、変形性関節症などが含まれる。
・TMDの分類
・顎関節症Ⅰ型(筋性)
・筋、筋膜疼痛機能障害症候群(MPD)と同意。
・咀嚼筋の異常により生じる筋・筋膜の代謝異常が原因
・筋の緊張・スパズムを生じる。
・圧痛点は限局的。
・トリガーポイントの存在。
・関連痛は高頻度。
・咀嚼筋の顎運動時痛→開口障害
・顎関節症Ⅱ型(靭帯障害)
・円板後部組織、関節包、靭帯の慢性外傷性病変。
・顎運動時に顎関節痛を訴える。
・触診で顎関節の圧痛を同定できる。
・Ⅲ型やⅣ型の前段階の可逆性の状態。
・過度の開口、硬固物の咀嚼、ブラキシズム、打撲
→滑膜組織・靭帯・関節包・円板後部組織の炎症、変性
・顎関節症Ⅲ型(関節円板障害)
・円板の方向
→92%が前方転位、8%が側方転位。
・転位した円板
→非生理的な負荷を受けて転位を増悪
→円板の変形を生じ、徐々に退行性変化をきたす。
・種類
①相反性ロック
②クローズドロック
③オープンロック
→対処法など
・顎がよく外れるけど自分で戻せる人
→オープンロックが疑われる。
→自ら下顎を左右に動かすことでロック解除
・顎関節症Ⅳ型(変形性関節症)
・退行性病変
・関節円板や滑膜などの軟組織や、下顎頭や下顎窩など
・画像診断により下顎頭や下顎窩の骨変形が確認。
・Ⅱ型⇒Ⅲ型⇒Ⅳ型と進行する。
・臨床症状
・顎関節痛
・開口障害
・関節雑音(ジャリジャリ)
・AAOP(米国口腔顔面痛学会)のガイドライン
・顎関節症とは?
・Self‐Limitingな疾患である
→際限なく悪化する病気ではない。
→放置しておいてもいずれ症状は軽減する
・不正咬合と顎関節症に因果関係はない
・顎関節症の主たる症状は?
①痛み
②顎関節音
③顎関節周囲の筋肉の痛み
④開口障害
⑤頭痛
・顎関節痛の主たる原因は?
①先天的なもの(解剖学的問題)
②全身疾患(リウマチなど)に関連
③関節円板の転位
④姿勢の悪さ
⑤特定の動作の連続性による筋肉の疲労
⑥持続的な強い力が関節に加わる
⑦ストレスなどの心因的因子
・顎関節症の治療方法
・対処療法で90%の患者は痛み・違和感が消失する
①温熱療法、理学療法、消炎鎮痛剤
②スプリント療法
③外科的療法(極めて稀:2-3%)
→通常②まででほとんどの患者は治癒する
・論文読みました。
・Using temporomandibular joint mobility
to predict difficult tracheal intubationSevtap
→J Anesth. 2011 Jun;25(3):457-61. Epub 2011 Mar 31
「顎関節疾患について」
・顎関節の構造と機能、まずは解剖の話から
・顎関節を構成する骨構造
・下顎骨:下顎頭
・側頭骨:下顎窩、関節結節
・咀嚼筋
・閉口筋
・咬筋、側頭筋、内側翼突筋
・開口筋
・外側翼突筋
・靭帯
・外側靭帯
・下顎頭の外側への逸脱を防止。
・下顎頭の前進・後退を制限。
・副靭帯
・蝶下顎靭帯:開口・側方運動の規制。
・茎突下顎靭帯:下顎の前方運動の規制。
・関節包
・顎関節を取り巻く結合組織の線維膜。
・下顎窩の周囲~関節突起の周囲に付着。
・関節包の内面は繊毛様のヒダを持つ
・滑膜によって覆われる。
・関節の円滑な運動のための滑液を分泌している。
・血管と神経
・栄養血管
・浅側頭動脈
・顎動脈
・神経
・三叉神経第3枝下顎神経
・顔面神経は顎関節周囲を走行。
・関節円板と滑液について
・正常な顎運動(動画で見てみよう)
・顎関節疾患あるある2つ
1.顎関節脱臼
・定義
・下顎頭が下顎窩から外にでて顎関節運動範囲外にあり、
もとの状態に戻らない状態。
・分類
・前方/後方
・完全/不完全(亜脱臼)
・新鮮/陳旧性
・単純性/習慣性
・外傷性/非外傷性
・原因、リスク
・浅い下顎窩
・平坦な下顎頭
・関節結節前方部の急峻な傾斜
・下顎角が開大したlong face
・関節包や顎関節に関連する靱帯の弛緩伸展
・ある報告
・男性54名, 女性83名, 男女比1: 1.5と女性にやや多い.
・平均年齢47.2歳(3~99 歳)
・脱臼整復法(早期)
①Hippocrates法
・患者の前方に立つ。
・整復後に咬まれないように拇指にガーゼを巻いておく。
・両手の拇指を下顎大臼歯咬合面上に置き,
残りの四指を下顎下縁に添えて,
両手で下顎体部を挟むように掴む。
・両手の拇指で下顎大臼歯部を下方に強く押し下げつつ
オトガイ部を持ち上げるようにする。
・そのまま下顎を下後方に押しつけるようにする。
②Borchers法
・患者の後方に立つ。
・患者の後頭部から抱えるように固定する。
・下顎を上前方に回転させつつ手前に引く。
・脱臼整復法(陳旧例)
・まずは徒手整復
・不可能な場合は局麻下、または全身麻酔。筋弛緩薬使用など。
・手術も。
・習慣性顎関節脱臼の予防
・非観血的療法
・包帯やチンキャップによる一定期間の開口制限
・観血的療法
①運動抑制法(顎関節前方障害術)
②運動平滑化法
関節結節削除術(eminectomy)
2.顎関節症(TMD)
・顎関節症とは?
→顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害、
または顎運動を主要症候とする慢性疾患の総括的診断名
・咀嚼筋障害、関節包・靭帯障害、
関節円板障害、変形性関節症などが含まれる。
・TMDの分類
・顎関節症Ⅰ型(筋性)
・筋、筋膜疼痛機能障害症候群(MPD)と同意。
・咀嚼筋の異常により生じる筋・筋膜の代謝異常が原因
・筋の緊張・スパズムを生じる。
・圧痛点は限局的。
・トリガーポイントの存在。
・関連痛は高頻度。
・咀嚼筋の顎運動時痛→開口障害
・顎関節症Ⅱ型(靭帯障害)
・円板後部組織、関節包、靭帯の慢性外傷性病変。
・顎運動時に顎関節痛を訴える。
・触診で顎関節の圧痛を同定できる。
・Ⅲ型やⅣ型の前段階の可逆性の状態。
・過度の開口、硬固物の咀嚼、ブラキシズム、打撲
→滑膜組織・靭帯・関節包・円板後部組織の炎症、変性
・顎関節症Ⅲ型(関節円板障害)
・円板の方向
→92%が前方転位、8%が側方転位。
・転位した円板
→非生理的な負荷を受けて転位を増悪
→円板の変形を生じ、徐々に退行性変化をきたす。
・種類
①相反性ロック
②クローズドロック
③オープンロック
→対処法など
・顎がよく外れるけど自分で戻せる人
→オープンロックが疑われる。
→自ら下顎を左右に動かすことでロック解除
・顎関節症Ⅳ型(変形性関節症)
・退行性病変
・関節円板や滑膜などの軟組織や、下顎頭や下顎窩など
・画像診断により下顎頭や下顎窩の骨変形が確認。
・Ⅱ型⇒Ⅲ型⇒Ⅳ型と進行する。
・臨床症状
・顎関節痛
・開口障害
・関節雑音(ジャリジャリ)
・AAOP(米国口腔顔面痛学会)のガイドライン
・顎関節症とは?
・Self‐Limitingな疾患である
→際限なく悪化する病気ではない。
→放置しておいてもいずれ症状は軽減する
・不正咬合と顎関節症に因果関係はない
・顎関節症の主たる症状は?
①痛み
②顎関節音
③顎関節周囲の筋肉の痛み
④開口障害
⑤頭痛
・顎関節痛の主たる原因は?
①先天的なもの(解剖学的問題)
②全身疾患(リウマチなど)に関連
③関節円板の転位
④姿勢の悪さ
⑤特定の動作の連続性による筋肉の疲労
⑥持続的な強い力が関節に加わる
⑦ストレスなどの心因的因子
・顎関節症の治療方法
・対処療法で90%の患者は痛み・違和感が消失する
①温熱療法、理学療法、消炎鎮痛剤
②スプリント療法
③外科的療法(極めて稀:2-3%)
→通常②まででほとんどの患者は治癒する
・論文読みました。
・Using temporomandibular joint mobility
to predict difficult tracheal intubationSevtap
→J Anesth. 2011 Jun;25(3):457-61. Epub 2011 Mar 31
産科麻酔について
初期研修医勉強会 担当:H先生
「産科麻酔について」
・帝王切開術の割合増加中
・昭和62年8%→平成20年19%
・生殖医療の普及、多胎の増加など
・周産期医療センターでの麻酔科の不足
→産婦人科医による自家麻酔が多い
・麻酔科医が担当する割合
→病院で59%、診療所で15%、全体で42%
・本邦では脊髄くも膜下硬膜外麻酔併用の比率が高い
→421施設中131施設 31%
・硬膜外麻酔を併用する長所
・術後鎮痛にも用いることが出来る。
・短所
・硬膜外血腫、感染のリスク
・脊髄麻酔、硬膜外麻酔の禁忌を知る。
・適応
・血小板数 >50,000–100,000/μL
・PT-INR <1.2–1.5
・APTT <120-150%
・PDPH(postdurapuncture headache)について
・若年女性はリスクが高い
・術後早期から離床する妊婦では特に問題となる。
・ペンシルポイント針はリスクが低い
・ブピバカインの用量
・高比重ブピバカインのED95は11.2mg
・添加オピオイドについて
・フェンタニル
・鎮痛効果時間が延長。
・IONVの頻度が減少。
・10-25μgの投与が一般的。
・モルヒネ
・局麻に追加1回投与で12-24時間程度の術後鎮痛効果。
・0.1-0.2mg程度の投与が一般的。
・副作用:遅延性の呼吸抑制
・低血圧の予防
・子宮の左方転位
→手術台を左下に傾ける(15°程度が妥当)
・母体に腰枕をあてがう
・用手的に子宮を圧迫
・急速輸液
・preloadかcoloadか
・coloadの方が昇圧薬が少なくて済む。
→Anaesth Intensive Care. 2004 Jun;32(3):351-7.
・膠質液の有用性
・HESのpreload, coloadともCO増加させる報告あり。
→Anesth analg 109:1916-1921, 2009
・昇圧薬
・エフェドリン
・α、β作用(α<β)
・血圧上昇、心拍数増加。Bolus 5-10mg。
・最大効果発現時間は1分超。作用持続は10-15分。
・ネオシネジン
・血圧上昇、心拍数減少。Bolus 50-100μg
・最大効果発現時間は30秒程度。作用持続は5分。
・論文読みました。
・脊麻CSにおけるPhenylephrineの影響
→Habib et al. Anesth Analg 114:377-390, 2012
・Pheはephに比べIONVの発現率が低い
・臍帯血のpHが低くならない。
→pHの違いは臨床的に問題にならない程度。
・Pheの持続divはbolus投与よりも低血圧予防に効果がある。
・一方でpheは徐脈、心拍出量を下げる。
・臨床的な影響については今後の研究課題。
MEさんによる人工心肺勉強会
「産科麻酔について」
・帝王切開術の割合増加中
・昭和62年8%→平成20年19%
・生殖医療の普及、多胎の増加など
・周産期医療センターでの麻酔科の不足
→産婦人科医による自家麻酔が多い
・麻酔科医が担当する割合
→病院で59%、診療所で15%、全体で42%
・本邦では脊髄くも膜下硬膜外麻酔併用の比率が高い
→421施設中131施設 31%
・硬膜外麻酔を併用する長所
・術後鎮痛にも用いることが出来る。
・短所
・硬膜外血腫、感染のリスク
・脊髄麻酔、硬膜外麻酔の禁忌を知る。
・適応
・血小板数 >50,000–100,000/μL
・PT-INR <1.2–1.5
・APTT <120-150%
・PDPH(postdurapuncture headache)について
・若年女性はリスクが高い
・術後早期から離床する妊婦では特に問題となる。
・ペンシルポイント針はリスクが低い
・ブピバカインの用量
・高比重ブピバカインのED95は11.2mg
・添加オピオイドについて
・フェンタニル
・鎮痛効果時間が延長。
・IONVの頻度が減少。
・10-25μgの投与が一般的。
・モルヒネ
・局麻に追加1回投与で12-24時間程度の術後鎮痛効果。
・0.1-0.2mg程度の投与が一般的。
・副作用:遅延性の呼吸抑制
・低血圧の予防
・子宮の左方転位
→手術台を左下に傾ける(15°程度が妥当)
・母体に腰枕をあてがう
・用手的に子宮を圧迫
・急速輸液
・preloadかcoloadか
・coloadの方が昇圧薬が少なくて済む。
→Anaesth Intensive Care. 2004 Jun;32(3):351-7.
・膠質液の有用性
・HESのpreload, coloadともCO増加させる報告あり。
→Anesth analg 109:1916-1921, 2009
・昇圧薬
・エフェドリン
・α、β作用(α<β)
・血圧上昇、心拍数増加。Bolus 5-10mg。
・最大効果発現時間は1分超。作用持続は10-15分。
・ネオシネジン
・血圧上昇、心拍数減少。Bolus 50-100μg
・最大効果発現時間は30秒程度。作用持続は5分。
・論文読みました。
・脊麻CSにおけるPhenylephrineの影響
→Habib et al. Anesth Analg 114:377-390, 2012
・Pheはephに比べIONVの発現率が低い
・臍帯血のpHが低くならない。
→pHの違いは臨床的に問題にならない程度。
・Pheの持続divはbolus投与よりも低血圧予防に効果がある。
・一方でpheは徐脈、心拍出量を下げる。
・臨床的な影響については今後の研究課題。
MEさんによる人工心肺勉強会
Airway Management
麻酔の問題集 担当:T先生
「Airway Management」
問題1:LMAと陽圧換気に関する問題
・LMAの欠点と合併症
・LMAの位置異常
・粘膜損傷と咽頭痛:10%程度
・胃の膨張、但しバックバルブマスクよりは優れている
・胃内容物の逆流と誤嚥:0.02%程度
・カフの膨らませすぎ N2Oによりカフ圧が上がる
・神経障害 高いカフ圧や位置以上が原因
・縦隔炎と咽後膿瘍の症例報告あり
・LMAの利点
・DAM症例のアルゴリズムで用いられる
・気管挿管と比べて
→挿入時の局所障害が少なく血行動態の変動が少ない
→眼圧上昇がない。
→咽頭痛・嗄声の頻度が少ない。
・慣れてなくても使用可能
・気道過敏性のある患者に使える。
・マスクより密着性がよく手が疲れずより信頼出来る
・バックマスク換気と比べて胃の膨張が少ない
問題2、3:喉頭痙攣に関する問題
・誘発因子
異物(経口経鼻エアウェーイ),saliva(唾液),血液,
嘔吐物,内臓痛,浅麻酔
・対処法
・陽圧でO2投与
・短時間作動性筋弛緩薬
・刺激物の除去
・成人における手術後の致死的呼吸イベントの23%
・輪状披裂筋、甲状披裂筋の収縮で起こる
・陰圧性肺水腫になる可能性がある
問題4:挿管困難の予測因子に関する問題
・TMDが短い
→喉頭が下降する割合が低くなる。
→挿管困難となることがある
・TMD:60mm以下で陽性
・Mallampati分類と甲状切痕頤間距離の組み合わせ
→挿管困難の予測率は改善する。
・喉頭が長すぎる
→舌の大部分が下咽頭に
→挿管困難の原因となる
・小顎
→舌を圧排するスペースがない
→挿管困難の要素となりうる
問題5:直達喉頭鏡をかける場合についての問題
・JSA Airway Management Algorithmの紹介
「Airway Management」
問題1:LMAと陽圧換気に関する問題
・LMAの欠点と合併症
・LMAの位置異常
・粘膜損傷と咽頭痛:10%程度
・胃の膨張、但しバックバルブマスクよりは優れている
・胃内容物の逆流と誤嚥:0.02%程度
・カフの膨らませすぎ N2Oによりカフ圧が上がる
・神経障害 高いカフ圧や位置以上が原因
・縦隔炎と咽後膿瘍の症例報告あり
・LMAの利点
・DAM症例のアルゴリズムで用いられる
・気管挿管と比べて
→挿入時の局所障害が少なく血行動態の変動が少ない
→眼圧上昇がない。
→咽頭痛・嗄声の頻度が少ない。
・慣れてなくても使用可能
・気道過敏性のある患者に使える。
・マスクより密着性がよく手が疲れずより信頼出来る
・バックマスク換気と比べて胃の膨張が少ない
問題2、3:喉頭痙攣に関する問題
・誘発因子
異物(経口経鼻エアウェーイ),saliva(唾液),血液,
嘔吐物,内臓痛,浅麻酔
・対処法
・陽圧でO2投与
・短時間作動性筋弛緩薬
・刺激物の除去
・成人における手術後の致死的呼吸イベントの23%
・輪状披裂筋、甲状披裂筋の収縮で起こる
・陰圧性肺水腫になる可能性がある
問題4:挿管困難の予測因子に関する問題
・TMDが短い
→喉頭が下降する割合が低くなる。
→挿管困難となることがある
・TMD:60mm以下で陽性
・Mallampati分類と甲状切痕頤間距離の組み合わせ
→挿管困難の予測率は改善する。
・喉頭が長すぎる
→舌の大部分が下咽頭に
→挿管困難の原因となる
・小顎
→舌を圧排するスペースがない
→挿管困難の要素となりうる
問題5:直達喉頭鏡をかける場合についての問題
・JSA Airway Management Algorithmの紹介
短腸症候群
ICU勉強会 担当:T先生
「短腸症候群」
・Short bowel syndrome(SBS)
・小腸の広範囲切除による吸収不良症候群。
・原因疾患
・クローン病、悪性腫瘍、放射線治療後、血流不全など
・経口摂取を開始できるかどうか
→残存小腸長が重要な要素
・中心静脈栄養について
・残存小腸が
・180cm以下ならSBSになるかかも
・60cm以下ならPNが必須に
・残存小腸の変化
・空腸は大部分の栄養素の主な消化吸収部位
→空腸切除によって栄養吸収が有意に低下
→回腸の絨毛の長さが伸びる。
→吸収機能が亢進し、適応していく。
→結果として栄養吸収が徐々に改善する。
・回腸
・B12,胆汁酸の吸収
・60cm以上切断すると低下する
・回腸の切除が100cm以下
→汁酸の喪失は肝臓が代償する
→吸収されなかった胆汁が結腸で過剰となり下痢に。
・100cm以上の切断
→胆汁酸濃度が下がる。
→十二指腸での脂肪と脂溶性ビタミンの吸収が低下
→ビタミンB12および胆汁酸は回腸で吸収される。
・回腸を100cm以上切除した場合
→重度の下痢および吸収不良が起こる。
→残存空腸の代償性適応は認められない。
→脂肪,脂溶性ビタミン,ビタミンB12の吸収不良
・回盲弁の消失
→小腸通過時間が短くなる
→栄養吸収障害が起こる
・結腸の細菌が回腸末端にトランスロケーション
→ビタミンB12や胆汁酸の吸収が落ちる
→下痢になる
・結腸内の非吸収胆汁酸
→分泌性下痢の原因となる。
・切除部位では?
・結腸温存
→水分および電解質喪失が有意に減少する。
・回腸末端および回盲弁の切除
→腸内細菌異常増殖の素因となることがある。
・管理(早期)
・水分、電解質のモニタリング。
・初めのゴール
→PNで電解質異常と水分異常を防ぐこと
・H2blocker投与で胃酸の過分泌を防ぐ
→pHの変化による脂質の吸収が低下する
→安定したら経腸栄養を再開する
・ソマトスタチンが消化液の分泌を減らす。
・状態が安定し排便量が2L/dayになったら
→Naおよびブドウ糖の経口等浸透圧液を徐々に開始。
→後半切除患者は生涯TPN
・食後に下痢をする患者は食事1時間前に止瀉薬。
・コレスチラミン2-4gを毎食時に。
・ビタミンB12欠乏患者は1日1回筋注。
・Ca、Mgも補充
・H2RA、PPI
・栄養は?
・持続的腸管栄養か少量頻回投与
・PNのテーパリング
・クスリ
・H2blockerなどは胃液膵液の過剰分泌を防ぐ。
・ロペラミド
・クスリの吸収
・薬剤はほとんどが胃や近位小腸で吸収される
→効果が保たれることが多い
・腸液コーティングはやめとくべし
・手術療法
・小腸移植
「短腸症候群」
・Short bowel syndrome(SBS)
・小腸の広範囲切除による吸収不良症候群。
・原因疾患
・クローン病、悪性腫瘍、放射線治療後、血流不全など
・経口摂取を開始できるかどうか
→残存小腸長が重要な要素
・中心静脈栄養について
・残存小腸が
・180cm以下ならSBSになるかかも
・60cm以下ならPNが必須に
・残存小腸の変化
・空腸は大部分の栄養素の主な消化吸収部位
→空腸切除によって栄養吸収が有意に低下
→回腸の絨毛の長さが伸びる。
→吸収機能が亢進し、適応していく。
→結果として栄養吸収が徐々に改善する。
・回腸
・B12,胆汁酸の吸収
・60cm以上切断すると低下する
・回腸の切除が100cm以下
→汁酸の喪失は肝臓が代償する
→吸収されなかった胆汁が結腸で過剰となり下痢に。
・100cm以上の切断
→胆汁酸濃度が下がる。
→十二指腸での脂肪と脂溶性ビタミンの吸収が低下
→ビタミンB12および胆汁酸は回腸で吸収される。
・回腸を100cm以上切除した場合
→重度の下痢および吸収不良が起こる。
→残存空腸の代償性適応は認められない。
→脂肪,脂溶性ビタミン,ビタミンB12の吸収不良
・回盲弁の消失
→小腸通過時間が短くなる
→栄養吸収障害が起こる
・結腸の細菌が回腸末端にトランスロケーション
→ビタミンB12や胆汁酸の吸収が落ちる
→下痢になる
・結腸内の非吸収胆汁酸
→分泌性下痢の原因となる。
・切除部位では?
・結腸温存
→水分および電解質喪失が有意に減少する。
・回腸末端および回盲弁の切除
→腸内細菌異常増殖の素因となることがある。
・管理(早期)
・水分、電解質のモニタリング。
・初めのゴール
→PNで電解質異常と水分異常を防ぐこと
・H2blocker投与で胃酸の過分泌を防ぐ
→pHの変化による脂質の吸収が低下する
→安定したら経腸栄養を再開する
・ソマトスタチンが消化液の分泌を減らす。
・状態が安定し排便量が2L/dayになったら
→Naおよびブドウ糖の経口等浸透圧液を徐々に開始。
→後半切除患者は生涯TPN
・食後に下痢をする患者は食事1時間前に止瀉薬。
・コレスチラミン2-4gを毎食時に。
・ビタミンB12欠乏患者は1日1回筋注。
・Ca、Mgも補充
・H2RA、PPI
・栄養は?
・持続的腸管栄養か少量頻回投与
・PNのテーパリング
・クスリ
・H2blockerなどは胃液膵液の過剰分泌を防ぐ。
・ロペラミド
・クスリの吸収
・薬剤はほとんどが胃や近位小腸で吸収される
→効果が保たれることが多い
・腸液コーティングはやめとくべし
・手術療法
・小腸移植
2012年11月16日金曜日
周術期輸液について
初期研修医勉強会 担当:Y先生
「周術期輸液について」
・体重の約60%が水分(体液)
・細胞内液40%、細胞外液20%
→細胞間質15%+血漿量5%
・総体液量は全体重における筋肉量の比率で変化する
・水分は筋内にあり、脂肪にはない
→年齢や肥満度で体液量は変化する
・女性は男性に比べて脂肪の割合が多いため水分量は少ない
・周術期の輸液、輸血の目的
→血管内volumeとstroke volumeを最適化するため
→体液の恒常性を保つため
・体液の恒常性
→体内外の水の出入りは複雑
・IN:食事、飲水から電解質、栄養を取り入れる
・OUT:尿、便、肺、皮膚、不感蒸泄、発汗
・体内での水分移動
・消化管:消化液の分泌、再吸収
・腎臓:糸球体で原尿を生成、尿細管で再吸収
・腎
・腎から排泄される溶質:1日10mOsm/kg
・体重60㎏だと600mOsmを排泄
・腎の最大濃縮力は1200mOsm/L
→600÷1200=0.5L=500mlは尿量必要
・便中水分:100~200ml
→下痢や嘔吐があると、その分水も電解質も出ていく
・胆汁や大腸液は高電解質。
・ドレナージ量が多ければ補正は必要。
・呼吸器、皮膚
・不感蒸泄:皮膚、呼気からの喪失量の和
・体温が1℃上昇するごとに15%増量
・呼気から30%喪失
→全身麻酔では人工呼吸管理・・・
→100%加湿や人工鼻を付けていれば不感蒸泄量は
無視できる。
・ただしhyperventilationは避ける
・代謝水
・栄養素(炭水化物、蛋白質、脂質)の代謝で生じる
・400kcalの食事で50ml、1日2400kcalで300ml程度
・アンギオテンシンは血管収縮作用、ANPは血管拡張作用
→互いに密接な関係あり
・ANPはレニン分泌を抑制
→アンギオテンシンを介するアルドステロン分泌も抑制。
→アルドステロン作用も抑制する
・組織間の水の移動
・細胞内液、細胞外液(組織間液、血漿)
・各コンパートメント間で水、電解質は分布が一定となる。
・半透膜
・浸透圧
・Na-K ATPase
・周術期には恒常性が乱れる.
・術前:絶飲食、嘔吐、胃液吸引、下痢、下剤投与など
・術中:麻酔の影響、手術自体の影響など
・全身麻酔導入時の循環血液量の相対的減少
→体血管抵抗減少、心機能抑制
・手術による出血の影響
・サードスペースの影響
・術後:ドレーンチューブによるドレナージ
→炎症や感染症の影響
・サードスペース
・非機能的細胞外液
・細胞外液との交通はあるが平衡関係にない
・術野周囲の浮腫、液貯留によるもの
・腹腔臓器手術後に多い
・サードスペースの存在を疑う状況とは?
・手術部位や周囲の腫脹
・輸液をしても血圧、尿量の低下がある
・refillingの際には?
・サードスペースの水が戻ってくる。
・輸液量過剰や心疾患があれば心不全をきたす可能性。
→術後の輸液量は必要最小限に
・輸液の種類
・生理食塩水
・浸透圧はやや高い
・血漿よりもNa濃度は高い。
・塩素濃度はかなり高い。
→大量に入れると高Cl性アシドーシスになりうる
・乳酸リンゲル液
・血漿中の濃度に近いK、Caを含む
・Naはやや低い
・乳酸の存在のため、塩素濃度も削減
・高度肝機能障害、ショック、外傷の場合。
→乳酸Na代謝が滞る。
→高乳酸血症のリスクあるかも。
・アルブミン溶液
・ヒト血清アルブミンを生理食塩水に溶解したもの。
・5%と25%のものがある。。
・5%は血漿と同量のAlbと浸透圧
→70%は血管内
・25%は血漿よりはるかに高い浸透圧
→間質から水を移動させまくる
・HES
・ヒドロキシエチルデンプン(HES)
・デンプンの重合体、生食にHESを含む製剤
・膠質浸透圧は5%Albより高いため血漿量の増加も多い
・デンプン→小さな断片に分解→腎臓から排泄
・副作用
・凝固因子のⅦ因子、vWFの抑制、血小板粘着能の障害
→出血傾向を起こす
→血小板減少患者には原則禁忌
・腎障害や脱水状態の患者は腎不全を起こす可能性あり
・輸液量について
・色々なstrategyが研究されている
・Liberal fluid Therapy
→尿量やthird spaceへのlossを考慮に入れた輸液。
・腹部のopeなら10-15ml/㎏/hの晶質液を入れる
→多すぎて、術後の 体重が3-6㎏増加!
→腸管浮腫、縫合不全や肺水腫の原因に
→予後や入院期間に影響が出る
・Restrictive fluid therapy
・サードスペースへの補充を除外
・手術で喪失する分だけ補う。
・術後合併症(腹膜炎、縫合不全など)は?
・liberal protocol群で多い。
・入院期間もrestrictive protocol群の方が短い。
・術後の腎機能(Crea値)は両群で差なし
→術中尿量の減少は術後の腎機能に大きく関係せず。
・尿量低下はある程度の時間許容できる
・goal directed therapy
・適切なstroke volumeを維持して組織還流量を適正に保つ
・循環「動態」パラメーターを指標
・実際には?
・導入時負荷
・術前脱水に依存。晶質液をボーラスで投与。
・制限的晶質液投与量:1.5~2ml/kg /h
・膠質液:goal未達成で輸液反応性がある場合。
→200~250mlの膠質液によるfluid challenge
・HES製剤を使う
・欧米では分子量13万のHES製剤使用されている。
→日本では7万のHES製剤を使用。
・Goalは、1回拍出量と静脈血酸素飽和度
→酸素供給量、酸素需要量を表す
・Goalの指標
・ScvO2:中心静脈血酸素飽和度
→75%以上をgoalとした報告あり
・PVI:脈派変動指数
→13%未満をgoalとした報告あり
PICC挿入
「周術期輸液について」
・体重の約60%が水分(体液)
・細胞内液40%、細胞外液20%
→細胞間質15%+血漿量5%
・総体液量は全体重における筋肉量の比率で変化する
・水分は筋内にあり、脂肪にはない
→年齢や肥満度で体液量は変化する
・女性は男性に比べて脂肪の割合が多いため水分量は少ない
・周術期の輸液、輸血の目的
→血管内volumeとstroke volumeを最適化するため
→体液の恒常性を保つため
・体液の恒常性
→体内外の水の出入りは複雑
・IN:食事、飲水から電解質、栄養を取り入れる
・OUT:尿、便、肺、皮膚、不感蒸泄、発汗
・体内での水分移動
・消化管:消化液の分泌、再吸収
・腎臓:糸球体で原尿を生成、尿細管で再吸収
・腎
・腎から排泄される溶質:1日10mOsm/kg
・体重60㎏だと600mOsmを排泄
・腎の最大濃縮力は1200mOsm/L
→600÷1200=0.5L=500mlは尿量必要
・便中水分:100~200ml
→下痢や嘔吐があると、その分水も電解質も出ていく
・胆汁や大腸液は高電解質。
・ドレナージ量が多ければ補正は必要。
・呼吸器、皮膚
・不感蒸泄:皮膚、呼気からの喪失量の和
・体温が1℃上昇するごとに15%増量
・呼気から30%喪失
→全身麻酔では人工呼吸管理・・・
→100%加湿や人工鼻を付けていれば不感蒸泄量は
無視できる。
・ただしhyperventilationは避ける
・代謝水
・栄養素(炭水化物、蛋白質、脂質)の代謝で生じる
・400kcalの食事で50ml、1日2400kcalで300ml程度
・アンギオテンシンは血管収縮作用、ANPは血管拡張作用
→互いに密接な関係あり
・ANPはレニン分泌を抑制
→アンギオテンシンを介するアルドステロン分泌も抑制。
→アルドステロン作用も抑制する
・組織間の水の移動
・細胞内液、細胞外液(組織間液、血漿)
・各コンパートメント間で水、電解質は分布が一定となる。
・半透膜
・浸透圧
・Na-K ATPase
・周術期には恒常性が乱れる.
・術前:絶飲食、嘔吐、胃液吸引、下痢、下剤投与など
・術中:麻酔の影響、手術自体の影響など
・全身麻酔導入時の循環血液量の相対的減少
→体血管抵抗減少、心機能抑制
・手術による出血の影響
・サードスペースの影響
・術後:ドレーンチューブによるドレナージ
→炎症や感染症の影響
・サードスペース
・非機能的細胞外液
・細胞外液との交通はあるが平衡関係にない
・術野周囲の浮腫、液貯留によるもの
・腹腔臓器手術後に多い
・サードスペースの存在を疑う状況とは?
・手術部位や周囲の腫脹
・輸液をしても血圧、尿量の低下がある
・refillingの際には?
・サードスペースの水が戻ってくる。
・輸液量過剰や心疾患があれば心不全をきたす可能性。
→術後の輸液量は必要最小限に
・輸液の種類
・生理食塩水
・浸透圧はやや高い
・血漿よりもNa濃度は高い。
・塩素濃度はかなり高い。
→大量に入れると高Cl性アシドーシスになりうる
・乳酸リンゲル液
・血漿中の濃度に近いK、Caを含む
・Naはやや低い
・乳酸の存在のため、塩素濃度も削減
・高度肝機能障害、ショック、外傷の場合。
→乳酸Na代謝が滞る。
→高乳酸血症のリスクあるかも。
・アルブミン溶液
・ヒト血清アルブミンを生理食塩水に溶解したもの。
・5%と25%のものがある。。
・5%は血漿と同量のAlbと浸透圧
→70%は血管内
・25%は血漿よりはるかに高い浸透圧
→間質から水を移動させまくる
・HES
・ヒドロキシエチルデンプン(HES)
・デンプンの重合体、生食にHESを含む製剤
・膠質浸透圧は5%Albより高いため血漿量の増加も多い
・デンプン→小さな断片に分解→腎臓から排泄
・副作用
・凝固因子のⅦ因子、vWFの抑制、血小板粘着能の障害
→出血傾向を起こす
→血小板減少患者には原則禁忌
・腎障害や脱水状態の患者は腎不全を起こす可能性あり
・輸液量について
・色々なstrategyが研究されている
・Liberal fluid Therapy
→尿量やthird spaceへのlossを考慮に入れた輸液。
・腹部のopeなら10-15ml/㎏/hの晶質液を入れる
→多すぎて、術後の 体重が3-6㎏増加!
→腸管浮腫、縫合不全や肺水腫の原因に
→予後や入院期間に影響が出る
・Restrictive fluid therapy
・サードスペースへの補充を除外
・手術で喪失する分だけ補う。
・術後合併症(腹膜炎、縫合不全など)は?
・liberal protocol群で多い。
・入院期間もrestrictive protocol群の方が短い。
・術後の腎機能(Crea値)は両群で差なし
→術中尿量の減少は術後の腎機能に大きく関係せず。
・尿量低下はある程度の時間許容できる
・goal directed therapy
・適切なstroke volumeを維持して組織還流量を適正に保つ
・循環「動態」パラメーターを指標
・実際には?
・導入時負荷
・術前脱水に依存。晶質液をボーラスで投与。
・制限的晶質液投与量:1.5~2ml/kg /h
・膠質液:goal未達成で輸液反応性がある場合。
→200~250mlの膠質液によるfluid challenge
・HES製剤を使う
・欧米では分子量13万のHES製剤使用されている。
→日本では7万のHES製剤を使用。
・Goalは、1回拍出量と静脈血酸素飽和度
→酸素供給量、酸素需要量を表す
・Goalの指標
・ScvO2:中心静脈血酸素飽和度
→75%以上をgoalとした報告あり
・PVI:脈派変動指数
→13%未満をgoalとした報告あり
PICC挿入
2012年11月14日水曜日
MICSと麻酔科医
ICU勉強会 担当:I先生
「MICSと麻酔科医」
・OPCABGとMIDCABGとMICSとTECABGの違い、知ってますか?
・MID CAB (minimally invasive direct CAB)
・左小開胸によるOPCABG
・1994 Benetti@Argentina
・1996 - @Japan
・創小さい
→疼痛少ない、治癒早い
→ICU退室、退院、社会復帰が早い
・ちなみに胸骨正中切開
→数ヶ月は重い物を持てない、車の運転も控える、・・・
・縦隔炎リスクなし
・美容面に優れる
・CPBの影響なし
・バイパスできる血管は限定(LITA-LAD)
・OPCAB→ムズイ
・MICS (minimally invasive cardiac surgery)
・低侵襲心臓手術
・1995 Cleveland Clinic @Ohio
・CPB用いない
・全胸骨切開をしない
・その両方
→MID CABも含まれる?!
・胸骨部分切開 (hemisternotomy)
・右(or左)肋間アプローチ(→胸骨温存)
→port-access MICS(minithoracotomy)
・MVP,MVR,ASD,myxoma~AVR,基部置換も
・利点
・創は5-10cmと小さい
→ICU退室、退院、社会復帰が早い
・美容面に優れる
・胸骨感染、縦隔炎少ない
・reオペ時のリスク軽減、癒着少ない
・欠点
・術野展開が困難
・緊急時の対応が困難(出血、VF)
・手術時間(CPB時間)が伸びる傾向
・手術手技としては大変だが、患者のQOL↑↑
・麻酔科医(with TEE)の役割かなり重要!!
・分離換気±
・A弁手術
→第3肋間開胸
→心室リード留置難
→最初に麻酔科医がぺーシング機能付きPAC挿入
・CPB…Ao or FA送血⇒、⇒FV(+IJV)脱血
・CSカテーテル、PAベントカテーテル、Ao閉塞カテーテル
→いずれもTEE checkが必要
・心内遺残空気検出
・TECABG
・totally endoscopic coronary artery bypass
・ダ・ヴィンチを使う。
「MICSと麻酔科医」
・OPCABGとMIDCABGとMICSとTECABGの違い、知ってますか?
・MID CAB (minimally invasive direct CAB)
・左小開胸によるOPCABG
・1994 Benetti@Argentina
・1996 - @Japan
・創小さい
→疼痛少ない、治癒早い
→ICU退室、退院、社会復帰が早い
・ちなみに胸骨正中切開
→数ヶ月は重い物を持てない、車の運転も控える、・・・
・縦隔炎リスクなし
・美容面に優れる
・CPBの影響なし
・バイパスできる血管は限定(LITA-LAD)
・OPCAB→ムズイ
・MICS (minimally invasive cardiac surgery)
・低侵襲心臓手術
・1995 Cleveland Clinic @Ohio
・CPB用いない
・全胸骨切開をしない
・その両方
→MID CABも含まれる?!
・胸骨部分切開 (hemisternotomy)
・右(or左)肋間アプローチ(→胸骨温存)
→port-access MICS(minithoracotomy)
・MVP,MVR,ASD,myxoma~AVR,基部置換も
・利点
・創は5-10cmと小さい
→ICU退室、退院、社会復帰が早い
・美容面に優れる
・胸骨感染、縦隔炎少ない
・reオペ時のリスク軽減、癒着少ない
・欠点
・術野展開が困難
・緊急時の対応が困難(出血、VF)
・手術時間(CPB時間)が伸びる傾向
・手術手技としては大変だが、患者のQOL↑↑
・麻酔科医(with TEE)の役割かなり重要!!
・分離換気±
・A弁手術
→第3肋間開胸
→心室リード留置難
→最初に麻酔科医がぺーシング機能付きPAC挿入
・CPB…Ao or FA送血⇒、⇒FV(+IJV)脱血
・CSカテーテル、PAベントカテーテル、Ao閉塞カテーテル
→いずれもTEE checkが必要
・心内遺残空気検出
・TECABG
・totally endoscopic coronary artery bypass
・ダ・ヴィンチを使う。
挿管困難と顔貌
初期研修医勉強会 担当:F先生
「挿管困難と顔貌」
・開口度
・下顎骨ー側頭骨関節機能
・口が開かなくては始まらない
・最大開口時の上下前歯間距離
・通常2.5~3横指幅
・2横指幅以下⇒喉頭鏡のブレード挿入、操作が困難
・上顎前歯の突出
・喉頭鏡操作および視線の妨げになる。
→挿管困難の可能性が高くなる
・ブレードによる歯の損傷の可能性も高くなる
・マランパチー分類
・ClassⅠ、Ⅱでは喉頭展開しやすい
・ClassⅢ、Ⅳでは挿管困難が多い
・下顎のスペース
・挿管困難が予測される場合は・・・
・下顎ー舌骨間距離 2横指以下
・下顎甲状軟骨隆起間距離が6.5cm以上
・頸部伸展度
・喉頭展開
→口腔・咽頭・喉頭の軸を一致させたい
→頭部をさらに伸展させる必要がある。
・環椎ー後頭骨関節機能障害(慢性関節リウマチ)など
→頭を後屈するのが困難
→挿管困難の可能性が高くなる。
・その他頭部、頸部、顔面の評価
・頭が短い
・頭部・顔面・頚部の外傷
・高度肥満
・挿管困難対策
・ファイバースコープ下挿管
・気管支ファイバースコープを使用する主な目的
①分離肺換気デバイスの操作
②挿管困難
③喀痰吸引や無気肺の解除など
・喉頭の観察
→経鼻的に行う方が経口的に行うよりも容易。
・気管内チューブの挿入
→角度的に経鼻の方が進みやすい.
・経口の場合は舌をうまくよけておく必要
・バーマンエアウェイTを使用する。
・Airway Scope
・2006年7月登場。
・日本のペンタックス社(現HOYA株式会社)。
・一般名称はビデオ硬性挿管用喉頭鏡
・ディスポーザブルの喉頭鏡
→イントロック(ITL).
・AWSの利点
①通常の喉頭鏡よりも視野が良好
②優れた気管チューブ誘導機能がある
③頭頸部の位置を動かす必要がない。
→自然位で挿管可能(頸椎病変患者に有用)
④イントロックに吸引カテーテルを挿入できる。
→挿管操作中の吸引操作が容易
⑤液晶モニター。
→より多くの人に挿管状況の観察が可能
・欠点
①高価。本体850,000円、ITL=1箱5本入り12,500円
②開口制限時は使用困難(開口量18mm以下では使用不能)
③歯の脆弱がある場合、挿入・操作が困難
④曇り止めが必要
⑤分泌物や出血が多いと視野閉塞の可能性あり
⑥歯の脆弱がある場合、挿入・操作が困難
・Bullard型喉頭鏡
・気道の解剖に. 基づきJ字型にデザイン
・内視鏡を有する喉頭鏡
・気管内チュ-ブが通過できる程度の開口が可能
→かなり高確率で挿管が可能
・盲目的経鼻挿管
・適度の鎮静を効かせる。
・経鼻で気管内チューブを通す。
・呼吸音を頼りに患者の吸気に合わせてチューブを進める。
・挿管する.
・トラキライト
・ラリンジアルマスク
・利点
・挿入は気管挿管よりも容易、盲目的に挿入可能。
・効果はバッグマスク法よりも確実。
・酸素化、陽圧喚起能力は気管挿管とほぼ同等。
・声門を通らないため、侵襲は気管挿管よりも小さい
・欠点
・気管と食道が完全に分離されない
・マスクから漏れが大きいときは陽圧換気が不十分
・声門下の気道閉塞(腫瘍・浮腫)には無効
・逆行性挿管
・E-line
→Esthetic-line
・1954年 Rickettsが提唱
・美しい口もとの基準とされる線
・軟組織顔貌上の鼻の先端-オトガイ部最突出点を結ぶ直線
・東洋人の骨格
→E-lineに上下の口唇が接するか
やや後退している状態が美しいとされている。
・Profileの分類
・美しい顔の条件
・アリストテレス
→美は「秩序とシンメトリーの明確さ」にある.
・プロティノス
→「美しいものは本質的にシンメトリーをなす.」
・新古典派やルネサンス期の基準
・「耳の長さと鼻の長さが同一である」
・「眼間距離が鼻の幅と同一である」
・「口裂の幅が鼻の幅の1.5 倍である」
・正面観
①対称性
→ヒトの顔は非対称.
・右半分が大きい。
・中顔面より下顔面に下がるにつれて左方偏位を示す.
→正中に対してオトガイが4mmずれると・・・
顔が非対称であることに人は気付く.
①顔面高
・上中下顔面の比率が均等な顔の下顔面高
→総顔面の高の±13~15%変化させると・・・
→長い(or短い)顔と認識される。
・不正咬合
・遺伝的要因
・環境的要因
・口腔習癖
・齲蝕、歯周疾患
・顎関節障害
・鼻咽腔疾患
・歯ぎしり
・外傷
・ハプスブルグ家における骨格性下顎前突の家系集積
「挿管困難と顔貌」
・開口度
・下顎骨ー側頭骨関節機能
・口が開かなくては始まらない
・最大開口時の上下前歯間距離
・通常2.5~3横指幅
・2横指幅以下⇒喉頭鏡のブレード挿入、操作が困難
・上顎前歯の突出
・喉頭鏡操作および視線の妨げになる。
→挿管困難の可能性が高くなる
・ブレードによる歯の損傷の可能性も高くなる
・マランパチー分類
・ClassⅠ、Ⅱでは喉頭展開しやすい
・ClassⅢ、Ⅳでは挿管困難が多い
・下顎のスペース
・挿管困難が予測される場合は・・・
・下顎ー舌骨間距離 2横指以下
・下顎甲状軟骨隆起間距離が6.5cm以上
・頸部伸展度
・喉頭展開
→口腔・咽頭・喉頭の軸を一致させたい
→頭部をさらに伸展させる必要がある。
・環椎ー後頭骨関節機能障害(慢性関節リウマチ)など
→頭を後屈するのが困難
→挿管困難の可能性が高くなる。
・その他頭部、頸部、顔面の評価
・頭が短い
・頭部・顔面・頚部の外傷
・高度肥満
・挿管困難対策
・ファイバースコープ下挿管
・気管支ファイバースコープを使用する主な目的
①分離肺換気デバイスの操作
②挿管困難
③喀痰吸引や無気肺の解除など
・喉頭の観察
→経鼻的に行う方が経口的に行うよりも容易。
・気管内チューブの挿入
→角度的に経鼻の方が進みやすい.
・経口の場合は舌をうまくよけておく必要
・バーマンエアウェイTを使用する。
・Airway Scope
・2006年7月登場。
・日本のペンタックス社(現HOYA株式会社)。
・一般名称はビデオ硬性挿管用喉頭鏡
・ディスポーザブルの喉頭鏡
→イントロック(ITL).
・AWSの利点
①通常の喉頭鏡よりも視野が良好
②優れた気管チューブ誘導機能がある
③頭頸部の位置を動かす必要がない。
→自然位で挿管可能(頸椎病変患者に有用)
④イントロックに吸引カテーテルを挿入できる。
→挿管操作中の吸引操作が容易
⑤液晶モニター。
→より多くの人に挿管状況の観察が可能
・欠点
①高価。本体850,000円、ITL=1箱5本入り12,500円
②開口制限時は使用困難(開口量18mm以下では使用不能)
③歯の脆弱がある場合、挿入・操作が困難
④曇り止めが必要
⑤分泌物や出血が多いと視野閉塞の可能性あり
⑥歯の脆弱がある場合、挿入・操作が困難
・Bullard型喉頭鏡
・気道の解剖に. 基づきJ字型にデザイン
・内視鏡を有する喉頭鏡
・気管内チュ-ブが通過できる程度の開口が可能
→かなり高確率で挿管が可能
・盲目的経鼻挿管
・適度の鎮静を効かせる。
・経鼻で気管内チューブを通す。
・呼吸音を頼りに患者の吸気に合わせてチューブを進める。
・挿管する.
・トラキライト
・ラリンジアルマスク
・利点
・挿入は気管挿管よりも容易、盲目的に挿入可能。
・効果はバッグマスク法よりも確実。
・酸素化、陽圧喚起能力は気管挿管とほぼ同等。
・声門を通らないため、侵襲は気管挿管よりも小さい
・欠点
・気管と食道が完全に分離されない
・マスクから漏れが大きいときは陽圧換気が不十分
・声門下の気道閉塞(腫瘍・浮腫)には無効
・逆行性挿管
・E-line
→Esthetic-line
・1954年 Rickettsが提唱
・美しい口もとの基準とされる線
・軟組織顔貌上の鼻の先端-オトガイ部最突出点を結ぶ直線
・東洋人の骨格
→E-lineに上下の口唇が接するか
やや後退している状態が美しいとされている。
・Profileの分類
・美しい顔の条件
・アリストテレス
→美は「秩序とシンメトリーの明確さ」にある.
・プロティノス
→「美しいものは本質的にシンメトリーをなす.」
・新古典派やルネサンス期の基準
・「耳の長さと鼻の長さが同一である」
・「眼間距離が鼻の幅と同一である」
・「口裂の幅が鼻の幅の1.5 倍である」
・正面観
①対称性
→ヒトの顔は非対称.
・右半分が大きい。
・中顔面より下顔面に下がるにつれて左方偏位を示す.
→正中に対してオトガイが4mmずれると・・・
顔が非対称であることに人は気付く.
①顔面高
・上中下顔面の比率が均等な顔の下顔面高
→総顔面の高の±13~15%変化させると・・・
→長い(or短い)顔と認識される。
・不正咬合
・遺伝的要因
・環境的要因
・口腔習癖
・齲蝕、歯周疾患
・顎関節障害
・鼻咽腔疾患
・歯ぎしり
・外傷
・ハプスブルグ家における骨格性下顎前突の家系集積
2012年11月8日木曜日
成人先天性心疾患患者の非心臓手術麻酔
麻酔科勉強会 担当:Y先生
「成人先天性心疾患患者の非心臓手術麻酔」
・日本には現在約50万人の先天性心疾患患者。
・年間12,000程度が生まれ、10,000人が成人する。
・1997年に、成人患者と小児患者はほぼ同数となった。
・2020年には成人患者のほうが多くなる。
・複雑心奇形術後患者の成人も増加している。
・Functinal Classification(古典的、臨床的)
・L-R shunt→肺高血圧
・R-L shunt→チアノーゼ
・両心室循環と単心室循環
・両心室循環:経過観察 or OPE
・単心室循環:姑息手術、Fontan手術、Fontan循環
・体血流増加のためには
・肺血管抵抗増加
・低酸素
・低換気(CO2 ↑)
・ヘマトクリット上昇
・PEEP
・低体温
・代謝性アシドーシス
・α受容体刺激
・体血管抵抗減少
・血管拡張薬
・脊椎麻酔
・硬膜外麻酔
・深麻酔
・高体温
・肺血流増加のためには
・肺血管抵抗減少
・過換気 (CO2 ↓)
・血管拡張薬(NO)
・体血管抵抗増加
・交感神経刺激
・血管収縮薬
・低体温
・点滴に絶対にairを入れない!
→液面はチャンバーの2/3程度にすべきらしい。
・Severe Cyanosis患者では凝固異常、出血傾向が共存しうる。
・周術期の絶食により脱水傾向となる。
→血栓塞栓症のリスク。
→輸液により循環血液量をeuvolemicに保つ。
・周術期の瀉血
→Hct > 65%を超えた場合は考慮。
・鉄欠乏は術前に補正されるべきである。
・Hct上昇・血漿量低下の状態では通常のPT、APTTは信頼できない。
→Hctを考慮した補正式での補正が必要。
・左心不全はガイドライン通り治療。右心不全は個別に対応。
・不整脈、呼吸不全、肝機能異常など他にも併存合併症は多い。
・麻酔計画
・中等度-高度complex症例は地域の中心施設に集める。
・各分野の専門スタッフを集合させて周術期計画を練る。
・周術期リスクを理解
・患者因子:心機能、PHの存在、シャントの状態など
・手術因子:片肺換気、腹臥位、Trendelenburg体位など
・前投薬
・低換気→低酸素→肺血管抵抗上昇のリスク
・不安が強い患者(trisomy 21など)では考慮。
・IE予防
・極めてIEリスク高い患者のみ考慮。
・ルーチンでのIE予防のための抗生剤投与は必要ない。
・スタンダードモニタリング。
・Pulse oximetry、ECG、ABP、Capnography、体温計など。
・Pulse oximetryは特にACHD患者で有用。
→SpO2低下は肺血流低下を示唆する。
→すなわちR-Lシャントの増大を示唆する。
・しかしPulse oximetryはL-Rシャントの増大を感知できない。
→体血流が著明に減少してもSaO2が維持されるため。
・CapnogramはR-Lシャント増大時にPaCO2との解離が増大する。
・CVライン
・Glenn、Fontan術後の患者はSVCのCVで血栓リスク高い。
・いずれにしろ輸液ラインから絶対にairを抜く。
・経食道心エコー(TEE)
・圧データ(CVP、LAP)のみでは循環影響因子の把握は困難。
→TEEが有用
・心機能、volume status逆流の有無、血管圧迫の有無など)。
→ただし、CHDのTEEに慣れている術者が行うべき。
・肺高血圧患者の麻酔
・特にEisenmenger syndrome患者
→非心臓手術が絶対に必要な場合にのみ手術を行う。
・予後不良の予測因子
→失神の既往、ES発症年齢、早い症状進行、
上室性頻脈の合併、右房圧上昇、SpO2 < 85%、腎不全、
重症右心不全、trisomy 21、
・肺血管抵抗を下げて、体血管抵抗も保つことが管理目標。
・肺血管抵抗を下げる
・肺血管抵抗増悪因子を防ぐ
・FiO2 up (通常1.0)
・Hyperventilation
・交感神経刺激の抑制
・通常体温維持
・胸腔内圧を低く保つ
・アシドーシスの補正
・クスリを使う
・PGE1(プロスタグランジンE1)
・PGI2(ベラプロストナトリウム)
・ニトログリセリン
・ニトロプルシド
・エンドセリン受容体拮抗薬
・PDE5阻害薬
・NO
・局所麻酔
→体表の手術なら可能。
・脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔
→体血管抵抗の減少
→R-L Shuntが急激に増大するリスクあり。
・全身麻酔
→High Risk患者では全身麻酔が好ましい。
→呼吸管理(肺血管抵抗のcontrol)ができるため。
・Fontan循環患者の麻酔
・Fontan手術の歴史
・1990年代から成績向上:急性期死亡率1-2%
→2012年現在、20歳前後となっている。
・Fontan循環の特徴
・右心室をバイパスしている。
・SVC、IVC血流は直接、受動的に、非拍動流としてPAへ。
・Fontan循環患者の麻酔目標
・肺血管抵抗を減らし、肺血流を保つ。
・SaO2 90-95%を目安として維持する。
→CSからの非酸素化血があるため100%にはならない。
→preloadを保つ
・充分な輸液
・ただし拡張障害がベースにあるので注意。
→肺血管抵抗を低く保つ
・可能なら自発管理
・呼吸回数を減らし、陽圧吸気時間を減らす。
・PEEPを避ける。
→洞調率および心収縮力の維持
→体血管抵抗を低く維持
・Milrinoneは有効である可能性。
・Fontan循環患者は術前合併症も多い。
→上室性頻脈、拘束性肺障害、血栓合併症、肝機能異常など。
・凝固亢進傾向、抗凝固傾向いずれも存在しうる。
・肝機能異常、蛋白喪失性胃腸症などの影響
・TEEは有用。
→逆流やvolume statusの評価、導管狭窄の診断などに有効。
・症例報告
・ラパロ・・・症例報告はそれなりに。
・分離肺換気・・・PubmedではCase report1件のみ。
・帝王切開・・・症例報告が散見
・ACHDと妊娠・出産
・ACHD 90妊娠についての報告によれば、
・術前合併症として母体肺水腫 16.7% 遷延性不整脈 2.8%
・心臓関連有害事象を予測する独立危険因子
→ PV下心室の駆出率低下、重度PR、喫煙歴あり。
・なおACHDに限らず心疾患合併妊娠については、
・NYHA Ⅲ-Ⅳ、母体cyanosis、不整脈既往、肺血管疾患、
心筋障害(EF<40%)、左心狭窄病変
→心臓関連事象の独立した危険因子。
・新生児の転帰
・早産 20.8%、脳室内出血 1.4%、
子宮内胎児死亡 2.8%、新生児死亡 1.4%
・新生児の有害事象を予測する危険因子
→動脈弁下心室の流出路圧較差>30mmHg
・Cyanosis性心疾患では母体SpO2<85%で児の予後不良。
・Eisenmenger症候群では母体死亡危険性30-50%。
→原則として妊娠出産は禁忌。
→どうしても希望する場合は硬膜外無痛分娩
→with NO吸入の報告も。
・いかなる麻酔方法を選択するか。
11月から麻酔科に来てくれた研修医Y先生
「成人先天性心疾患患者の非心臓手術麻酔」
・日本には現在約50万人の先天性心疾患患者。
・年間12,000程度が生まれ、10,000人が成人する。
・1997年に、成人患者と小児患者はほぼ同数となった。
・2020年には成人患者のほうが多くなる。
・複雑心奇形術後患者の成人も増加している。
・Functinal Classification(古典的、臨床的)
・L-R shunt→肺高血圧
・R-L shunt→チアノーゼ
・両心室循環と単心室循環
・両心室循環:経過観察 or OPE
・単心室循環:姑息手術、Fontan手術、Fontan循環
・体血流増加のためには
・肺血管抵抗増加
・低酸素
・低換気(CO2 ↑)
・ヘマトクリット上昇
・PEEP
・低体温
・代謝性アシドーシス
・α受容体刺激
・体血管抵抗減少
・血管拡張薬
・脊椎麻酔
・硬膜外麻酔
・深麻酔
・高体温
・肺血流増加のためには
・肺血管抵抗減少
・過換気 (CO2 ↓)
・血管拡張薬(NO)
・体血管抵抗増加
・交感神経刺激
・血管収縮薬
・低体温
・点滴に絶対にairを入れない!
→液面はチャンバーの2/3程度にすべきらしい。
・Severe Cyanosis患者では凝固異常、出血傾向が共存しうる。
・周術期の絶食により脱水傾向となる。
→血栓塞栓症のリスク。
→輸液により循環血液量をeuvolemicに保つ。
・周術期の瀉血
→Hct > 65%を超えた場合は考慮。
・鉄欠乏は術前に補正されるべきである。
・Hct上昇・血漿量低下の状態では通常のPT、APTTは信頼できない。
→Hctを考慮した補正式での補正が必要。
・左心不全はガイドライン通り治療。右心不全は個別に対応。
・不整脈、呼吸不全、肝機能異常など他にも併存合併症は多い。
・麻酔計画
・中等度-高度complex症例は地域の中心施設に集める。
・各分野の専門スタッフを集合させて周術期計画を練る。
・周術期リスクを理解
・患者因子:心機能、PHの存在、シャントの状態など
・手術因子:片肺換気、腹臥位、Trendelenburg体位など
・前投薬
・低換気→低酸素→肺血管抵抗上昇のリスク
・不安が強い患者(trisomy 21など)では考慮。
・IE予防
・極めてIEリスク高い患者のみ考慮。
・ルーチンでのIE予防のための抗生剤投与は必要ない。
・スタンダードモニタリング。
・Pulse oximetry、ECG、ABP、Capnography、体温計など。
・Pulse oximetryは特にACHD患者で有用。
→SpO2低下は肺血流低下を示唆する。
→すなわちR-Lシャントの増大を示唆する。
・しかしPulse oximetryはL-Rシャントの増大を感知できない。
→体血流が著明に減少してもSaO2が維持されるため。
・CapnogramはR-Lシャント増大時にPaCO2との解離が増大する。
・CVライン
・Glenn、Fontan術後の患者はSVCのCVで血栓リスク高い。
・いずれにしろ輸液ラインから絶対にairを抜く。
・経食道心エコー(TEE)
・圧データ(CVP、LAP)のみでは循環影響因子の把握は困難。
→TEEが有用
・心機能、volume status逆流の有無、血管圧迫の有無など)。
→ただし、CHDのTEEに慣れている術者が行うべき。
・肺高血圧患者の麻酔
・特にEisenmenger syndrome患者
→非心臓手術が絶対に必要な場合にのみ手術を行う。
・予後不良の予測因子
→失神の既往、ES発症年齢、早い症状進行、
上室性頻脈の合併、右房圧上昇、SpO2 < 85%、腎不全、
重症右心不全、trisomy 21、
・肺血管抵抗を下げて、体血管抵抗も保つことが管理目標。
・肺血管抵抗を下げる
・肺血管抵抗増悪因子を防ぐ
・FiO2 up (通常1.0)
・Hyperventilation
・交感神経刺激の抑制
・通常体温維持
・胸腔内圧を低く保つ
・アシドーシスの補正
・クスリを使う
・PGE1(プロスタグランジンE1)
・PGI2(ベラプロストナトリウム)
・ニトログリセリン
・ニトロプルシド
・エンドセリン受容体拮抗薬
・PDE5阻害薬
・NO
・局所麻酔
→体表の手術なら可能。
・脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔
→体血管抵抗の減少
→R-L Shuntが急激に増大するリスクあり。
・全身麻酔
→High Risk患者では全身麻酔が好ましい。
→呼吸管理(肺血管抵抗のcontrol)ができるため。
・Fontan循環患者の麻酔
・Fontan手術の歴史
・1990年代から成績向上:急性期死亡率1-2%
→2012年現在、20歳前後となっている。
・Fontan循環の特徴
・右心室をバイパスしている。
・SVC、IVC血流は直接、受動的に、非拍動流としてPAへ。
・Fontan循環患者の麻酔目標
・肺血管抵抗を減らし、肺血流を保つ。
・SaO2 90-95%を目安として維持する。
→CSからの非酸素化血があるため100%にはならない。
→preloadを保つ
・充分な輸液
・ただし拡張障害がベースにあるので注意。
→肺血管抵抗を低く保つ
・可能なら自発管理
・呼吸回数を減らし、陽圧吸気時間を減らす。
・PEEPを避ける。
→洞調率および心収縮力の維持
→体血管抵抗を低く維持
・Milrinoneは有効である可能性。
・Fontan循環患者は術前合併症も多い。
→上室性頻脈、拘束性肺障害、血栓合併症、肝機能異常など。
・凝固亢進傾向、抗凝固傾向いずれも存在しうる。
・肝機能異常、蛋白喪失性胃腸症などの影響
・TEEは有用。
→逆流やvolume statusの評価、導管狭窄の診断などに有効。
・症例報告
・ラパロ・・・症例報告はそれなりに。
・分離肺換気・・・PubmedではCase report1件のみ。
・帝王切開・・・症例報告が散見
・ACHDと妊娠・出産
・ACHD 90妊娠についての報告によれば、
・術前合併症として母体肺水腫 16.7% 遷延性不整脈 2.8%
・心臓関連有害事象を予測する独立危険因子
→ PV下心室の駆出率低下、重度PR、喫煙歴あり。
・なおACHDに限らず心疾患合併妊娠については、
・NYHA Ⅲ-Ⅳ、母体cyanosis、不整脈既往、肺血管疾患、
心筋障害(EF<40%)、左心狭窄病変
→心臓関連事象の独立した危険因子。
・新生児の転帰
・早産 20.8%、脳室内出血 1.4%、
子宮内胎児死亡 2.8%、新生児死亡 1.4%
・新生児の有害事象を予測する危険因子
→動脈弁下心室の流出路圧較差>30mmHg
・Cyanosis性心疾患では母体SpO2<85%で児の予後不良。
・Eisenmenger症候群では母体死亡危険性30-50%。
→原則として妊娠出産は禁忌。
→どうしても希望する場合は硬膜外無痛分娩
→with NO吸入の報告も。
・いかなる麻酔方法を選択するか。
11月から麻酔科に来てくれた研修医Y先生
周術期の内分泌機能
麻酔の問題集 担当:K先生
「ENDOCRINE FUNCTION」
問題1:コルチゾールの生理に関する問題
・糖質コルチコイド(糖質コルチコイド>電解質コルチコイド)
・15-25mg/day分泌されている。
・Corticosteroid binding globulin(CBG)と結合している。
・生理活性あるのは遊離のcortisolのみ。
・早朝に最高値、夜間に最低値となる日内変動
・糖質コルチコイドの作用
・代謝作用
・糖新生を促す。
→タンパクを片っ端から糖に。
→筋萎縮
・抗インスリン作用。
→末梢の糖利用を抑制。血糖値↑、グリコーゲン合成↑
・脂肪分解↑。血中遊離脂肪酸↑。
・水利尿作用
→糸球体濾過量増加作用。抗利尿ホルモンに拮抗。
・電解質作用
→電解質コルチコイド活性
→Na+を再吸収。H+とK+の分泌を促す。
・免疫に対する作用
→末梢血中の白血球数↑↑
→好中球遊走阻害→抗炎症作用
・末梢血中のリンパ球、好酸球、好塩基球数↓↓
→抗アレルギー、抗炎症作用
・アラキドン酸カスケード阻害
・リソソームの安定化
・肉芽形成阻害
・骨
→骨芽細胞抑制
・Ca吸収抑制作用
→骨粗鬆症
・神経系
・過剰:精神的な不安定。不眠。集中力低下
・欠乏:易疲労感。脱力感。
・感染症診療でステロイドの使用
・相対的副腎不全に対する低容量ステロイド
→内分泌疾患の既往、ステロイドの使用歴なければ、
ショックを呈していないsepsis患者にステロイドはダメ。
・小児髄膜炎(H.influenzae type B)
・成人髄膜炎(Streptococcus pneumoniae)
→細菌を破壊する事で生じる炎症カスケードをblock、難聴を防ぐ。
→抗菌薬が入る直前か同時に投与しないと意味がなくなる。
問題2:コルチゾールの生理に関する問題Part2
・PONVとステロイド
・8 mg dexamethasoneはgradeAで術後鎮痛と悪心•嘔吐対策に有効。
→高いエビデンスがある。
問題3:ステロイドカバーに関する問題
・ステロイド必要量
→視床下部−下垂体−副腎系により調節される。
・ステロイド服用
→視床下部−下垂体−副腎系の抑制が起こる可能性がある。
・ステロイドの投与量、中止期間が関与。
・視床下部−下垂体−副腎系が抑制されていると、
手術時に本来分泌されるべきコルチゾール分泌が不十分になり、
急性副腎不全となりショックを起こす事が懸念されてきた。
・ステロイドカバーの強いエビデンスは存在しない。
・個々の患者にあわせた適切な投与量、投与間隔を検討する必要。
問題4:レニン・アンジオテンシン系に関する問題
・レニン・アンジオテンシン系の全体像
・傍糸球体装置の役割
・腎臓低灌流によって起こる変化
→傍糸球体装置:交感神経末端(β)↑↑
→マクラデンサ:原尿中Cl-量↓↓
→腎臓輸入細動脈の弛緩
→レニン分泌
→アンギオテンシノーゲン(肝臓)
→アンギオテンシンⅠ
→アンギオテンシンⅡ
・交感神経系の緊張
→アルドステロン分泌↑↑(副腎皮質)
→Na+再吸収↑↑H+、K+排泄↑↑(集合管)
→尿細管にてNa+,Cl-の再吸収とK+の排泄
→動脈収縮
→下垂体後葉での抗利尿ホルモン分泌の促進
→腎灌流を改善する
・周術期のACEi、ARBについて
問題5:周術期の低血糖に関する問題
11月から麻酔科に来てくれた研修医Y先生
「ENDOCRINE FUNCTION」
問題1:コルチゾールの生理に関する問題
・糖質コルチコイド(糖質コルチコイド>電解質コルチコイド)
・15-25mg/day分泌されている。
・Corticosteroid binding globulin(CBG)と結合している。
・生理活性あるのは遊離のcortisolのみ。
・早朝に最高値、夜間に最低値となる日内変動
・糖質コルチコイドの作用
・代謝作用
・糖新生を促す。
→タンパクを片っ端から糖に。
→筋萎縮
・抗インスリン作用。
→末梢の糖利用を抑制。血糖値↑、グリコーゲン合成↑
・脂肪分解↑。血中遊離脂肪酸↑。
・水利尿作用
→糸球体濾過量増加作用。抗利尿ホルモンに拮抗。
・電解質作用
→電解質コルチコイド活性
→Na+を再吸収。H+とK+の分泌を促す。
・免疫に対する作用
→末梢血中の白血球数↑↑
→好中球遊走阻害→抗炎症作用
・末梢血中のリンパ球、好酸球、好塩基球数↓↓
→抗アレルギー、抗炎症作用
・アラキドン酸カスケード阻害
・リソソームの安定化
・肉芽形成阻害
・骨
→骨芽細胞抑制
・Ca吸収抑制作用
→骨粗鬆症
・神経系
・過剰:精神的な不安定。不眠。集中力低下
・欠乏:易疲労感。脱力感。
・感染症診療でステロイドの使用
・相対的副腎不全に対する低容量ステロイド
→内分泌疾患の既往、ステロイドの使用歴なければ、
ショックを呈していないsepsis患者にステロイドはダメ。
・小児髄膜炎(H.influenzae type B)
・成人髄膜炎(Streptococcus pneumoniae)
→細菌を破壊する事で生じる炎症カスケードをblock、難聴を防ぐ。
→抗菌薬が入る直前か同時に投与しないと意味がなくなる。
問題2:コルチゾールの生理に関する問題Part2
・PONVとステロイド
・8 mg dexamethasoneはgradeAで術後鎮痛と悪心•嘔吐対策に有効。
→高いエビデンスがある。
問題3:ステロイドカバーに関する問題
・ステロイド必要量
→視床下部−下垂体−副腎系により調節される。
・ステロイド服用
→視床下部−下垂体−副腎系の抑制が起こる可能性がある。
・ステロイドの投与量、中止期間が関与。
・視床下部−下垂体−副腎系が抑制されていると、
手術時に本来分泌されるべきコルチゾール分泌が不十分になり、
急性副腎不全となりショックを起こす事が懸念されてきた。
・ステロイドカバーの強いエビデンスは存在しない。
・個々の患者にあわせた適切な投与量、投与間隔を検討する必要。
問題4:レニン・アンジオテンシン系に関する問題
・レニン・アンジオテンシン系の全体像
・傍糸球体装置の役割
・腎臓低灌流によって起こる変化
→傍糸球体装置:交感神経末端(β)↑↑
→マクラデンサ:原尿中Cl-量↓↓
→腎臓輸入細動脈の弛緩
→レニン分泌
→アンギオテンシノーゲン(肝臓)
→アンギオテンシンⅠ
→アンギオテンシンⅡ
・交感神経系の緊張
→アルドステロン分泌↑↑(副腎皮質)
→Na+再吸収↑↑H+、K+排泄↑↑(集合管)
→尿細管にてNa+,Cl-の再吸収とK+の排泄
→動脈収縮
→下垂体後葉での抗利尿ホルモン分泌の促進
→腎灌流を改善する
・周術期のACEi、ARBについて
問題5:周術期の低血糖に関する問題
11月から麻酔科に来てくれた研修医Y先生
術後鎮痛ガイドラインpart2
麻酔科勉強会 担当:S先生
「術後鎮痛ガイドラインpart2」
・前回のまとめ
・周術期の疼痛管理に関して麻酔科医は・・・
・他の職種と協力する。
・病院職員に対する継続的な教育と訓練に取り組む。
・知識と技量を身につけさせるように努めなる。
・周術期疼痛管理に関する問い合わせに応ずる。
・麻酔科医とその他の医療従事者は・・・
・統一化された実効的な方法に従う。、
・疼痛強度、疼痛管理法の効果の程度および副作用を
定期的に評価し記録する。
・鎮痛法
・硬膜外腔
・クモ膜下腔オピオイド投与
・オピオイド静脈内投与によるPCA
・区域麻酔法
→危険性と便益を十分検討した上でいずれかを選択する。
・可能な限り多角的(multimodal)な疼痛管理を実施すべき。
・禁忌でなければNSAIDs、COX1阻害薬またはアセトアミノフェン
・局所麻酔薬による区域麻酔を考慮する。
・ASA以外のガイドラインは?
・ASAのガイドラインは総説的で具体性にいまいち欠ける・・・
・高いエビデンスを求めすぎると仕方ないのかも・・・
・もう少し具体的なガイドラインはないものか?
・Postoperative pain management
SIAARTI Recommendation 2010
・イタリアの麻酔科学会誌
・エビデンスによって推奨度をわけてある。
・もう少し具体的な指針を示している
・術後鎮痛とは?
・鎮痛は患者の基本的な権利である
・術後鎮痛により在院期間、費用、
合併症の発生を抑える効果がある(level A)
・麻酔科医は術後期間に対する責務と責任を
必ずしも持っているとはいえず、
これが術後鎮痛への専門アプローチを困難にしている
主要な原因である
・Acute Pain Service
・術後鎮痛にはAcute Pain Servece(APS)の設立が推奨される
(level A)
・APSの主導者は麻酔科医が適任(level D)
・APSにより嘔気嘔吐といった合併症も減少(level C)
・理想的なAPS
・24時間体制の麻酔科医コンサルトの受付
・プロトコルの共有・アップデートに努める
・継続的な鎮痛に関する医学教育の実施
・体系的な痛みの評価
・プロトコルの効果と安全面に関するデータ収集
・一年に一度のプロトコルの見直し
・アセトアミノフェン
・大きな副作用がなく、十分な効果が得られる(level A)
・肝不全患者にも肝機能をモニターすれば使用可能(level B)
・モルヒネの消費を抑える(level A)
・アセトアミノフェン+トラマドールの方が
アセトアミノフェン+コデインよりも効果がある(level B)
・NSAIDS
・中等度の痛みに適応があり、
麻薬との併用で麻薬消費量を減らす(level A)
・Coxib系薬剤
→虚血性心疾患・脳血管障害・慢性心不全患者への
使用は確立されていない(level B)
→Coxib系全般ではなく種類によるかも
・麻薬性鎮痛薬
・麻薬の有害事象は用量依存性
・嘔吐予防には・・・
・ドロペリドール
・デキサメタゾン
・オンダンセトロン
・プロポフォール
が推奨される(level C)
・トラマドールの呼吸抑制はモルヒネよりも強い(level B)
→モルヒネとの併用は推奨されない(level C)
・モルヒネは年齢を考慮して投与量を決定(level A)
・モルヒネのivPCAは持続投与は避ける(level A)
・モルヒネのivPCAは入院患者のみが適応(level A)
・モルヒネivPCAとNSAIDsの併用は40%麻薬必要量を減らす。
アセトアミノフェンの併用は20%減らす
・レミフェンタニルを0.1γで使用するものICUなら可(level B)
・オキシコドンはPCA後の鎮痛および小手術での
前投薬としても使用できる(level D)
・ケタミンは術後痛の強さを減らし(level A)、
PONVの発生を減少させ(level B)、
モルヒネの使用量を30-50%減らす
・周術期のガバペンチン・プレガバリンの使用も有効(level C)
・PCA
・ivPCAはVASで平均5/100と、通常の麻薬の静脈投与に比べて
患者の満足度の高い鎮痛が得られる。(level A)
・ivPCAでも通常の投与法と比べ麻薬使用量は減らないが、
副作用は軽減される。(level A)
・硬膜外麻酔
・術後鎮痛に関して・・・
・硬膜外麻酔の方が麻薬の全身投与よりも優れる(level A)
・低濃度の局所麻酔薬と脂溶性麻薬の併用が
有害事象の点から最も優れている(level A)
・持続神経ブロック
・硬膜外麻酔より血腫・膿瘍といった
重篤な有害事象が少ない(level A)
・上下肢の手術では硬膜外麻酔と同等の効果があり、
ivPCAより効果がある(level A)
・重症患者の麻薬使用量を減らす(level C)
・日帰り麻酔患者
・IVルートからNSAIDsかモルヒネを単回投与
・術後すぐに経口に切り替える
・筋注は避ける
・Mild pain→局麻+NSAIDs orアセトアミノフェン
・Moderate pain→上記+麻薬(なるべくoffに)
・Severe pain→上記+神経ブロック(持続も考慮)
・高齢者
・痛みの評価は単純に(4段階程度)
・麻薬量は1/2から1/3程度に減らす
・硬膜外麻酔の局所麻酔薬量・麻薬量も減量
・早期のリハビリ開始と元のADL復帰を目標に
・小児
・笑気と局所麻酔の併用(level A)
・アセトアミノフェンとNSAIDsともに麻薬使用量をへらす(level A)
・6ヶ月以下の患者の場合
→NSAIDsは術後出血のリスクを増やす(level A)
・日帰り患者の場合も仙骨ブロックや末梢神経ブロックが有効
(level B)
・OSAS患者
・麻薬を減らす
・鎮静レベルのモニタリング
・CPAPの使用
・麻薬の持続投与は避ける
・麻薬常習者
・術前に「麻薬常習者」であることを認識する
・日常の麻薬量は減らさない
・麻薬を前投薬してタイトレーションしておく
・局所麻酔の併用
・最大量のNSAIDsとアセトアミノフェンの使用
・TCIを用いて最大量の麻薬を使用する(通常の2-3倍)
・出来るだけ早期に経口投与に切り替える
・オピオイドローテーションに加えα2作動薬、低容量ケタミンも考慮
11月から来てくれた研修医H先生。
「術後鎮痛ガイドラインpart2」
・前回のまとめ
・周術期の疼痛管理に関して麻酔科医は・・・
・他の職種と協力する。
・病院職員に対する継続的な教育と訓練に取り組む。
・知識と技量を身につけさせるように努めなる。
・周術期疼痛管理に関する問い合わせに応ずる。
・麻酔科医とその他の医療従事者は・・・
・統一化された実効的な方法に従う。、
・疼痛強度、疼痛管理法の効果の程度および副作用を
定期的に評価し記録する。
・鎮痛法
・硬膜外腔
・クモ膜下腔オピオイド投与
・オピオイド静脈内投与によるPCA
・区域麻酔法
→危険性と便益を十分検討した上でいずれかを選択する。
・可能な限り多角的(multimodal)な疼痛管理を実施すべき。
・禁忌でなければNSAIDs、COX1阻害薬またはアセトアミノフェン
・局所麻酔薬による区域麻酔を考慮する。
・ASA以外のガイドラインは?
・ASAのガイドラインは総説的で具体性にいまいち欠ける・・・
・高いエビデンスを求めすぎると仕方ないのかも・・・
・もう少し具体的なガイドラインはないものか?
・Postoperative pain management
SIAARTI Recommendation 2010
・イタリアの麻酔科学会誌
・エビデンスによって推奨度をわけてある。
・もう少し具体的な指針を示している
・術後鎮痛とは?
・鎮痛は患者の基本的な権利である
・術後鎮痛により在院期間、費用、
合併症の発生を抑える効果がある(level A)
・麻酔科医は術後期間に対する責務と責任を
必ずしも持っているとはいえず、
これが術後鎮痛への専門アプローチを困難にしている
主要な原因である
・Acute Pain Service
・術後鎮痛にはAcute Pain Servece(APS)の設立が推奨される
(level A)
・APSの主導者は麻酔科医が適任(level D)
・APSにより嘔気嘔吐といった合併症も減少(level C)
・理想的なAPS
・24時間体制の麻酔科医コンサルトの受付
・プロトコルの共有・アップデートに努める
・継続的な鎮痛に関する医学教育の実施
・体系的な痛みの評価
・プロトコルの効果と安全面に関するデータ収集
・一年に一度のプロトコルの見直し
・アセトアミノフェン
・大きな副作用がなく、十分な効果が得られる(level A)
・肝不全患者にも肝機能をモニターすれば使用可能(level B)
・モルヒネの消費を抑える(level A)
・アセトアミノフェン+トラマドールの方が
アセトアミノフェン+コデインよりも効果がある(level B)
・NSAIDS
・中等度の痛みに適応があり、
麻薬との併用で麻薬消費量を減らす(level A)
・Coxib系薬剤
→虚血性心疾患・脳血管障害・慢性心不全患者への
使用は確立されていない(level B)
→Coxib系全般ではなく種類によるかも
・麻薬性鎮痛薬
・麻薬の有害事象は用量依存性
・嘔吐予防には・・・
・ドロペリドール
・デキサメタゾン
・オンダンセトロン
・プロポフォール
が推奨される(level C)
・トラマドールの呼吸抑制はモルヒネよりも強い(level B)
→モルヒネとの併用は推奨されない(level C)
・モルヒネは年齢を考慮して投与量を決定(level A)
・モルヒネのivPCAは持続投与は避ける(level A)
・モルヒネのivPCAは入院患者のみが適応(level A)
・モルヒネivPCAとNSAIDsの併用は40%麻薬必要量を減らす。
アセトアミノフェンの併用は20%減らす
・レミフェンタニルを0.1γで使用するものICUなら可(level B)
・オキシコドンはPCA後の鎮痛および小手術での
前投薬としても使用できる(level D)
・ケタミンは術後痛の強さを減らし(level A)、
PONVの発生を減少させ(level B)、
モルヒネの使用量を30-50%減らす
・周術期のガバペンチン・プレガバリンの使用も有効(level C)
・PCA
・ivPCAはVASで平均5/100と、通常の麻薬の静脈投与に比べて
患者の満足度の高い鎮痛が得られる。(level A)
・ivPCAでも通常の投与法と比べ麻薬使用量は減らないが、
副作用は軽減される。(level A)
・硬膜外麻酔
・術後鎮痛に関して・・・
・硬膜外麻酔の方が麻薬の全身投与よりも優れる(level A)
・低濃度の局所麻酔薬と脂溶性麻薬の併用が
有害事象の点から最も優れている(level A)
・持続神経ブロック
・硬膜外麻酔より血腫・膿瘍といった
重篤な有害事象が少ない(level A)
・上下肢の手術では硬膜外麻酔と同等の効果があり、
ivPCAより効果がある(level A)
・重症患者の麻薬使用量を減らす(level C)
・日帰り麻酔患者
・IVルートからNSAIDsかモルヒネを単回投与
・術後すぐに経口に切り替える
・筋注は避ける
・Mild pain→局麻+NSAIDs orアセトアミノフェン
・Moderate pain→上記+麻薬(なるべくoffに)
・Severe pain→上記+神経ブロック(持続も考慮)
・高齢者
・痛みの評価は単純に(4段階程度)
・麻薬量は1/2から1/3程度に減らす
・硬膜外麻酔の局所麻酔薬量・麻薬量も減量
・早期のリハビリ開始と元のADL復帰を目標に
・小児
・笑気と局所麻酔の併用(level A)
・アセトアミノフェンとNSAIDsともに麻薬使用量をへらす(level A)
・6ヶ月以下の患者の場合
→NSAIDsは術後出血のリスクを増やす(level A)
・日帰り患者の場合も仙骨ブロックや末梢神経ブロックが有効
(level B)
・OSAS患者
・麻薬を減らす
・鎮静レベルのモニタリング
・CPAPの使用
・麻薬の持続投与は避ける
・麻薬常習者
・術前に「麻薬常習者」であることを認識する
・日常の麻薬量は減らさない
・麻薬を前投薬してタイトレーションしておく
・局所麻酔の併用
・最大量のNSAIDsとアセトアミノフェンの使用
・TCIを用いて最大量の麻薬を使用する(通常の2-3倍)
・出来るだけ早期に経口投与に切り替える
・オピオイドローテーションに加えα2作動薬、低容量ケタミンも考慮
11月から来てくれた研修医H先生。
周術期の輸血
初期研修医勉強会 担当:K先生
「周術期の輸血」
・赤血球製剤
・保存:2~6℃で保存、21日間
・使用目的
・Hb補充
→予想上昇Hb値=投与Hb量÷循環血液量
・赤血球濃厚液1パックのHb≒56~60g
・循環血液量≒70mL/kg
・血小板製剤
・保存:室温、水平震盪
4日間(医療機関に搬送されてから1日未満)
・使用目的
・予想血小板増加数
・輸血血小板総数/循環血液量×1000×2/3
・通常1単位につき5000/μL
・感染のリスクが高い
・新鮮凍結血漿
・保存:‐20℃以下で保存、1年間
・使用目的
・凝固因子の補充
・凝固因子の血中レベルを20~30%あげるためには?
→FFPは400ml~600ml必要
・アルブミン製剤
・膠質浸透圧の改善→高張アルブミン製剤
・循環血漿量の是正→等張アルブミン製剤
・50%以上の大量出血、低アルブミン血症、腎機能障害など
・出血時の輸液、輸血の目安
・周術期には?
・赤血球輸血
・目安:Hb値7~8g/dl
・冠動脈疾患、肺機能障害、脳血管障害では10g/dl以上に。
・過剰な輸血は予後を悪化させる
・血小板輸血
・術前、術中は5~10万/μlが理想
・術後は?
>5万/μLでは適応なし
<1万/μLでは予防投与することも
・血小板が減っていてもHIT、TTPは禁忌
・血管損傷などの出血は外科的処置が優先
・新鮮血凍結血漿
・大量出血時の希釈性、消費性の凝固障害
・PT<30% PT-INR>2.0
・APTT>基準の上限の2倍、<25%
・フィブリノゲン<100mg/dl
+出血症状の確認を!
・予防投与は意味がない
・輸血の副作用
・肝炎:1/10万人以下
・HIV:ほぼなし
・GVHD:ほぼなし
・溶血反応:軽症1/1,000~重症1/10,000
・アレルギー:1/1,000
・TRALI:1/20万
・TACO:1/5,000
・細菌感染:1/200万
・副作用
・輸血開始直後、5分後、15分後は患者の観察
・TACOは輸血速度の問題。
→1単位を2~3時間かけて輸血することで予防できる
・緊急時の大量輸血
→低体温障害、低Ca、高K、アシドーシスに注意
・アナフィラキシーショック
・輸血中止
・アドレナリン
・0.3mg~0.5mg(0.01%溶液3~5ml) i.v.
・2~8μg/minで持続静注
・循環血液量の補充
・持続性の低血圧にたいして
・ドパミン(5~15μg/kg/min)
・ノルアドレナリン(2~8μg/min)
・TRALI
・輸血に伴う死亡原因の第一位
・輸血開始後数時間以内の呼吸困難、肺水腫
・ただちに輸血中止
・呼吸管理
・敗血症
・2000年以降で関連性が高いと報告されているのは6例
・Streptococcus pneumoniea(血小板製剤 死亡)
・Bacillus cereus(赤血球製剤 生存)
・Yersinia enterocolitica(赤血球製剤 1例死亡2例生存)
・Staphylococcus aureus(血小板製剤 死亡)
・使用前に血液バッグが黒く変色していないか確認を!
・不適合輸血
・わずか5mlの輸血でも症状出現
・突然の低血圧
・治療
①輸血中止
②輸液、ドパミン
+検査
→尿潜血、血漿の色、直接Coombs
「周術期の輸血」
・赤血球製剤
・保存:2~6℃で保存、21日間
・使用目的
・Hb補充
→予想上昇Hb値=投与Hb量÷循環血液量
・赤血球濃厚液1パックのHb≒56~60g
・循環血液量≒70mL/kg
・血小板製剤
・保存:室温、水平震盪
4日間(医療機関に搬送されてから1日未満)
・使用目的
・予想血小板増加数
・輸血血小板総数/循環血液量×1000×2/3
・通常1単位につき5000/μL
・感染のリスクが高い
・新鮮凍結血漿
・保存:‐20℃以下で保存、1年間
・使用目的
・凝固因子の補充
・凝固因子の血中レベルを20~30%あげるためには?
→FFPは400ml~600ml必要
・アルブミン製剤
・膠質浸透圧の改善→高張アルブミン製剤
・循環血漿量の是正→等張アルブミン製剤
・50%以上の大量出血、低アルブミン血症、腎機能障害など
・出血時の輸液、輸血の目安
・周術期には?
・赤血球輸血
・目安:Hb値7~8g/dl
・冠動脈疾患、肺機能障害、脳血管障害では10g/dl以上に。
・過剰な輸血は予後を悪化させる
・血小板輸血
・術前、術中は5~10万/μlが理想
・術後は?
>5万/μLでは適応なし
<1万/μLでは予防投与することも
・血小板が減っていてもHIT、TTPは禁忌
・血管損傷などの出血は外科的処置が優先
・新鮮血凍結血漿
・大量出血時の希釈性、消費性の凝固障害
・PT<30% PT-INR>2.0
・APTT>基準の上限の2倍、<25%
・フィブリノゲン<100mg/dl
+出血症状の確認を!
・予防投与は意味がない
・輸血の副作用
・肝炎:1/10万人以下
・HIV:ほぼなし
・GVHD:ほぼなし
・溶血反応:軽症1/1,000~重症1/10,000
・アレルギー:1/1,000
・TRALI:1/20万
・TACO:1/5,000
・細菌感染:1/200万
・副作用
・輸血開始直後、5分後、15分後は患者の観察
・TACOは輸血速度の問題。
→1単位を2~3時間かけて輸血することで予防できる
・緊急時の大量輸血
→低体温障害、低Ca、高K、アシドーシスに注意
・アナフィラキシーショック
・輸血中止
・アドレナリン
・0.3mg~0.5mg(0.01%溶液3~5ml) i.v.
・2~8μg/minで持続静注
・循環血液量の補充
・持続性の低血圧にたいして
・ドパミン(5~15μg/kg/min)
・ノルアドレナリン(2~8μg/min)
・TRALI
・輸血に伴う死亡原因の第一位
・輸血開始後数時間以内の呼吸困難、肺水腫
・ただちに輸血中止
・呼吸管理
・敗血症
・2000年以降で関連性が高いと報告されているのは6例
・Streptococcus pneumoniea(血小板製剤 死亡)
・Bacillus cereus(赤血球製剤 生存)
・Yersinia enterocolitica(赤血球製剤 1例死亡2例生存)
・Staphylococcus aureus(血小板製剤 死亡)
・使用前に血液バッグが黒く変色していないか確認を!
・不適合輸血
・わずか5mlの輸血でも症状出現
・突然の低血圧
・治療
①輸血中止
②輸液、ドパミン
+検査
→尿潜血、血漿の色、直接Coombs
Acute Pain Management in the Perioperative Setting
麻酔科勉強会 担当:K先生
「Acute Pain Management in the Perioperative Setting」
・このガイドラインで取り扱うのは?
・術後患者に生じる疼痛
・術後疼痛を軽減あるいは取り除くための、
術前、術中、術後における活動
・ガイドライン目的
1.周術期における急性疼痛管理の安全性と有効性を促進する。
2.有害転帰のリスクを減少する。
3.患者の機能的能力や、肉体的、精神的に健康な状態を維持する。
4.周術期に急性疼痛を持つ患者の、生活の質を向上させる。
Ⅰ:周術期疼痛管理における施設の方針と体制
1.医療従事者の教育と訓練
2.患者アウトカムの監視
3.監視内容の記録
4.施設水準のモニタリング
5.周術期疼痛管理を行う麻酔科医の24時間対応
6.acute pain serviceの利用
・教育プログラムは、疼痛レベルとPONVを減少させ、
患者満足度を上昇させるかもしれない。(Category B2)
・患者レベル、施設レベルでのアウトカムの監視や、
麻酔科医の24時間対応に関する十分なエビデンスはない。
(Category D)
・疼痛アウトカムに関する記録は、
十分に行われていないかもしれない。(Category B2)
・acute pain serviceは、周術期の疼痛を軽減するかもしれない。
(Category B2)
・Recommendations
・麻酔科医は他職種と協力し、
継続的な教育活動に努めること。
・標準的、効率的な方法で疼痛管理を行い、
その結果を監視、記録すること。
・麻酔科医は、周術期疼痛管理に関する問い合わせに
いつでも対応すること。
・麻酔科医はAcute Pain Serviceの枠組みにならって
周術期の鎮痛を行うこと。
Ⅱ:術前評価
・術前の疼痛に関する病歴聴取、理学所見、他科との協議に関する
十分なエビデンスはない。(Category D)
・Recommendation
術前評価において、疼痛に関する病歴、理学所見をとり、
疼痛コントロールの計画を立てること。
Ⅲ:患者の術前準備
1.離脱症候群を引き起こす可能性がある薬剤の調節または継続
2.既存の疼痛や不安の軽減
3.マルチモーダル鎮痛としての前投薬
4.行動療法を含む、患者と家族への教育
・離脱症候群を引き起こす可能性がある薬剤の調節または
継続に関する十分なエビデンスはない。(Category D)
・既存の疼痛軽減や、マルチモーダル鎮痛を目的とした
術前治療に関する十分なエビデンスはない。(Category D)
・疼痛、鎮痛薬の使用、不安、在院期間における、
患者と家族への教育効果ははっきりしない。(Category C2)
・Recommendations
・術前準備において、離脱症候群の予防、
既存の疼痛コントロール、術前からの
術後疼痛管理を考慮すること。
・麻酔科医は他職種と協力し、患者と家族に対して
術後疼痛管理に関する教育を行うこと。
Ⅳ:周術期の疼痛管理テクニック
1.Central regional opioid analgesia
2.PCA with systemic opioids
3.Peripheral regional techniques
・Recommendations
・麻酔科医は症例ごとにリスクとベネフィットを考慮し、
種々の疼痛管理テクニックを用いること。
・疼痛管理に関するテクニックは、麻酔科医の技量や
状況の安全域に応じて選択すること。
・特に持続投与法の際には、薬物の蓄積に注意すること。
Ⅴ:疼痛管理における マルチモーダルテクニック
・Recommendations
・可能な限り、マルチモーダルな疼痛管理を行うこと。
・有害事象のリスクは最小限にしつつ、
効果的な投与量を決めること。
・薬剤の選択、投与量、経路、期間は症例ごとに決めること。
Ⅵ:患者群ごとの問題点
1.小児
2.高齢者
3.重症患者、認知機能低下患者、その他の意思疎通が困難な患者
・高齢者は若年者と比べて、周術期に投与される
鎮痛薬が少ないかもしれない。(Category B2)
・意思疎通が困難な患者特有の、疼痛評価や疼痛管理に関する
十分なエビデンスはない。(Category D)
・Recommendations
・小児においても、発達に応じた疼痛管理を積極的に行う。
・高齢者には認知機能に応じた評価を行い、
基礎疾患や、常用薬との薬物相互作用に注意すること。
・意思疎通が困難な患者では付加的な介入を考慮し、
興奮状態が見られた場合には鎮痛薬の投与を検討すること。
「Acute Pain Management in the Perioperative Setting」
・このガイドラインで取り扱うのは?
・術後患者に生じる疼痛
・術後疼痛を軽減あるいは取り除くための、
術前、術中、術後における活動
・ガイドライン目的
1.周術期における急性疼痛管理の安全性と有効性を促進する。
2.有害転帰のリスクを減少する。
3.患者の機能的能力や、肉体的、精神的に健康な状態を維持する。
4.周術期に急性疼痛を持つ患者の、生活の質を向上させる。
Ⅰ:周術期疼痛管理における施設の方針と体制
1.医療従事者の教育と訓練
2.患者アウトカムの監視
3.監視内容の記録
4.施設水準のモニタリング
5.周術期疼痛管理を行う麻酔科医の24時間対応
6.acute pain serviceの利用
・教育プログラムは、疼痛レベルとPONVを減少させ、
患者満足度を上昇させるかもしれない。(Category B2)
・患者レベル、施設レベルでのアウトカムの監視や、
麻酔科医の24時間対応に関する十分なエビデンスはない。
(Category D)
・疼痛アウトカムに関する記録は、
十分に行われていないかもしれない。(Category B2)
・acute pain serviceは、周術期の疼痛を軽減するかもしれない。
(Category B2)
・Recommendations
・麻酔科医は他職種と協力し、
継続的な教育活動に努めること。
・標準的、効率的な方法で疼痛管理を行い、
その結果を監視、記録すること。
・麻酔科医は、周術期疼痛管理に関する問い合わせに
いつでも対応すること。
・麻酔科医はAcute Pain Serviceの枠組みにならって
周術期の鎮痛を行うこと。
Ⅱ:術前評価
・術前の疼痛に関する病歴聴取、理学所見、他科との協議に関する
十分なエビデンスはない。(Category D)
・Recommendation
術前評価において、疼痛に関する病歴、理学所見をとり、
疼痛コントロールの計画を立てること。
Ⅲ:患者の術前準備
1.離脱症候群を引き起こす可能性がある薬剤の調節または継続
2.既存の疼痛や不安の軽減
3.マルチモーダル鎮痛としての前投薬
4.行動療法を含む、患者と家族への教育
・離脱症候群を引き起こす可能性がある薬剤の調節または
継続に関する十分なエビデンスはない。(Category D)
・既存の疼痛軽減や、マルチモーダル鎮痛を目的とした
術前治療に関する十分なエビデンスはない。(Category D)
・疼痛、鎮痛薬の使用、不安、在院期間における、
患者と家族への教育効果ははっきりしない。(Category C2)
・Recommendations
・術前準備において、離脱症候群の予防、
既存の疼痛コントロール、術前からの
術後疼痛管理を考慮すること。
・麻酔科医は他職種と協力し、患者と家族に対して
術後疼痛管理に関する教育を行うこと。
Ⅳ:周術期の疼痛管理テクニック
1.Central regional opioid analgesia
2.PCA with systemic opioids
3.Peripheral regional techniques
・Recommendations
・麻酔科医は症例ごとにリスクとベネフィットを考慮し、
種々の疼痛管理テクニックを用いること。
・疼痛管理に関するテクニックは、麻酔科医の技量や
状況の安全域に応じて選択すること。
・特に持続投与法の際には、薬物の蓄積に注意すること。
Ⅴ:疼痛管理における マルチモーダルテクニック
・Recommendations
・可能な限り、マルチモーダルな疼痛管理を行うこと。
・有害事象のリスクは最小限にしつつ、
効果的な投与量を決めること。
・薬剤の選択、投与量、経路、期間は症例ごとに決めること。
Ⅵ:患者群ごとの問題点
1.小児
2.高齢者
3.重症患者、認知機能低下患者、その他の意思疎通が困難な患者
・高齢者は若年者と比べて、周術期に投与される
鎮痛薬が少ないかもしれない。(Category B2)
・意思疎通が困難な患者特有の、疼痛評価や疼痛管理に関する
十分なエビデンスはない。(Category D)
・Recommendations
・小児においても、発達に応じた疼痛管理を積極的に行う。
・高齢者には認知機能に応じた評価を行い、
基礎疾患や、常用薬との薬物相互作用に注意すること。
・意思疎通が困難な患者では付加的な介入を考慮し、
興奮状態が見られた場合には鎮痛薬の投与を検討すること。
2012年10月23日火曜日
ACE阻害薬とARBの注意点
ICU勉強会 担当:K先生
「ACE阻害薬とARBの注意点」
・ACEi、ARBの適応
・高血圧
・CKD
・心不全
・(血管疾患)
・(糖尿病)
・副作用
・アンジオテンシンⅡの減少、阻害によるもの
・低血圧、急性腎不全、高K血症、妊娠中の問題
・ARBでも起こる。
・キニンの増加が関与(ACE=キニナーゼ)
・咳、血管性浮腫、アナフィラキシー様反応
・ARBで少ない。
・低血圧
・脱水状態の場合
→利尿薬の休薬
・うっ血性心不全の場合
→少量分割投与
・ACE阻害薬よりARBで多い
・GFR低下
・両側腎動脈狭窄
・高血圧性腎硬化症
・心不全
・CKD
→3~5日目に腎機能チェック
・高K血症
・30%以上のクレアチニン上昇
→この2つを認めたら中止
・高K血症のリスク
・腎不全
・糖尿病
・K保持性利尿薬
・NSAID
・高齢者
・空咳
・ACE阻害薬で5~20%に出現
・投薬から1~2週間で出現
・休薬から1週間以内に改善
・ACE阻害薬の再投薬で高い再発率
・ARBを考慮
・ARBは悪くなかった?
・ARBで発ガン率が上昇する?
→否定
・ARBで心筋梗塞を発症する?
→否定
・ACEi vs ARB
・低血圧はARBが多い
・咳と血管性浮腫はACE阻害薬が多い
・ちなみに、基本的に併用はダメ(副作用↑)
「ACE阻害薬とARBの注意点」
・ACEi、ARBの適応
・高血圧
・CKD
・心不全
・(血管疾患)
・(糖尿病)
・副作用
・アンジオテンシンⅡの減少、阻害によるもの
・低血圧、急性腎不全、高K血症、妊娠中の問題
・ARBでも起こる。
・キニンの増加が関与(ACE=キニナーゼ)
・咳、血管性浮腫、アナフィラキシー様反応
・ARBで少ない。
・低血圧
・脱水状態の場合
→利尿薬の休薬
・うっ血性心不全の場合
→少量分割投与
・ACE阻害薬よりARBで多い
・GFR低下
・両側腎動脈狭窄
・高血圧性腎硬化症
・心不全
・CKD
→3~5日目に腎機能チェック
・高K血症
・30%以上のクレアチニン上昇
→この2つを認めたら中止
・高K血症のリスク
・腎不全
・糖尿病
・K保持性利尿薬
・NSAID
・高齢者
・空咳
・ACE阻害薬で5~20%に出現
・投薬から1~2週間で出現
・休薬から1週間以内に改善
・ACE阻害薬の再投薬で高い再発率
・ARBを考慮
・ARBは悪くなかった?
・ARBで発ガン率が上昇する?
→否定
・ARBで心筋梗塞を発症する?
→否定
・ACEi vs ARB
・低血圧はARBが多い
・咳と血管性浮腫はACE阻害薬が多い
・ちなみに、基本的に併用はダメ(副作用↑)
高齢者に対する麻酔
麻酔の問題集 担当:N先生
「高齢者に対する麻酔」
問題1:高齢者と腎機能に関する問題。
・加齢に伴って・・・
・腎皮質は20-25%減少
・80歳までに糸球体は50%減少
・GFRは40歳以降、1ml/min/yrずつ低下
→個人差が大きい。
→実際は計算上ほどは低下していないことが多い。
・60歳以降は年齢に合わせて薬物投与量を調節すべき。
・Naや水分の調節が低下
・口渇感もにぶくなる
問題2:術後精神機能異常に関する問題
・Postopretive delirium (POD)
→手術後に発症するせん妄
・Postoperative cognitive dysfunction (POCD)
→手術に関連して起こった認知機能の低下
・Postoperative deliriumについて
・Emergence:術後24hr以内に発症するもの
・主として麻酔からの覚醒の際に起こるの
・数分~数時間
・Interval:術後2日目以降に発症するもの
・DCTが動くやつ
・数時間~数日
・Postoperative cognitive dysfunctionについて
・認知機能とは・・・
・学習、記憶、言語、知覚、注意、抽象思考など。
・認知機能のどれかが術後低下した場合
・性格の変化や情動の変動性の亢進なども
・可逆性、長くても1年以内で改善することが多い
・麻酔方法・術後鎮痛方法の影響はなさそう
・原因ははっきりしていない
→低酸素? 脳虚血? 中枢神経系の炎症?
神経伝達物質の異常? 遺伝学的影響?
高cortisol?
・Risk factor
・高齢
・大手術(心臓手術で多い)
・周術期の身体・精神機能障害
・アルコール多飲者
・high ASA score
・低い教育レベル
・strokeの既往
・POD
・PODとPOCDの相違点
・POD
・原因不明
・リスク因子はいくつか同定
・経過が短い
・症状をもとに診断
・POCD
・原因不明
・リスク因子はいくつか同定
・長期にわたる
・認知機能検査で
・POCDの診断
・診断は神経心理学検査による
・患者の自覚症状と検査所見の相関は乏しい
・術前・術後に検査の実施が必要
・標準となる検査、基準のstandardが未確定
・学習効果、floor effectなどの問題点
・神経心理学検査のチェック項目
・Level of consciousness (arousal)
・Attention and concentration
・Memory (immediate, recent, and remote)
・Language
・Visual spatial perception (視空間認知)
・Executive functioning
・Mood and thought content
・Praxis
・Calculations
・神経心理学検査の実際
・口頭での質問や絵、立体を見せて反応を見る。
・MMSEや長谷川式認知症スケール
・性格検査
・脳障害後の高次機能障害の評価
→一つの検査方法で同時に複数の機能の検査が可能
→POCDではいくつかの神経心理学検査を組み合わせて評価する。
・Attention & concentrationのテスト
・Digit symbol test
・Letter cancellation test
・Memoryのテスト
・Rey-Osterrieth complex figure
・Visual spatial perceptionについて
・perceptual and constructional abilities
・失認
→ある一つの感覚を介して対象物を認知できない障害
・失行
→運動可能であるにもかかわらず合目的運動ができない状態
→copying/drawing ,building/assembly tasks
・Clock drawingなど。
・Praxis
・実践?(process)
・the performance of learned motor movements
in the absence of primary deficits
in motor and spatial abilities
・障害→観念失行
・個々の運動はできる
・複雑な一連の運動連鎖が必要な行為が障害される
・要素行為は正しいが順序・対象を誤る
・Mood and thought content
・感情、思考形式
・性格検査や、うつ病スクリーニング検査が用いられる
・Minnesota Multiphasic Personality Inventory
・Beck Depression Inventory
・Geriatric Depression Scale
・Neuropsychiatric Inventory
・Executive functioning
・他の認知過程を制御する認知過程
・決断、計画、推論、問題解決、multi-tasking、working memoryなど
・複合的な検査機能をもった神経心理学検査で調べる
・その他
・Visual Verbal Learning Test
・Concept Shifting Test
・Stroop Colour Word Interference Test
・Letter-Digit Coding Testなど。
SGカテ挿入のシミュレーション中
「高齢者に対する麻酔」
問題1:高齢者と腎機能に関する問題。
・加齢に伴って・・・
・腎皮質は20-25%減少
・80歳までに糸球体は50%減少
・GFRは40歳以降、1ml/min/yrずつ低下
→個人差が大きい。
→実際は計算上ほどは低下していないことが多い。
・60歳以降は年齢に合わせて薬物投与量を調節すべき。
・Naや水分の調節が低下
・口渇感もにぶくなる
問題2:術後精神機能異常に関する問題
・Postopretive delirium (POD)
→手術後に発症するせん妄
・Postoperative cognitive dysfunction (POCD)
→手術に関連して起こった認知機能の低下
・Postoperative deliriumについて
・Emergence:術後24hr以内に発症するもの
・主として麻酔からの覚醒の際に起こるの
・数分~数時間
・Interval:術後2日目以降に発症するもの
・DCTが動くやつ
・数時間~数日
・Postoperative cognitive dysfunctionについて
・認知機能とは・・・
・学習、記憶、言語、知覚、注意、抽象思考など。
・認知機能のどれかが術後低下した場合
・性格の変化や情動の変動性の亢進なども
・可逆性、長くても1年以内で改善することが多い
・麻酔方法・術後鎮痛方法の影響はなさそう
・原因ははっきりしていない
→低酸素? 脳虚血? 中枢神経系の炎症?
神経伝達物質の異常? 遺伝学的影響?
高cortisol?
・Risk factor
・高齢
・大手術(心臓手術で多い)
・周術期の身体・精神機能障害
・アルコール多飲者
・high ASA score
・低い教育レベル
・strokeの既往
・POD
・PODとPOCDの相違点
・POD
・原因不明
・リスク因子はいくつか同定
・経過が短い
・症状をもとに診断
・POCD
・原因不明
・リスク因子はいくつか同定
・長期にわたる
・認知機能検査で
・POCDの診断
・診断は神経心理学検査による
・患者の自覚症状と検査所見の相関は乏しい
・術前・術後に検査の実施が必要
・標準となる検査、基準のstandardが未確定
・学習効果、floor effectなどの問題点
・神経心理学検査のチェック項目
・Level of consciousness (arousal)
・Attention and concentration
・Memory (immediate, recent, and remote)
・Language
・Visual spatial perception (視空間認知)
・Executive functioning
・Mood and thought content
・Praxis
・Calculations
・神経心理学検査の実際
・口頭での質問や絵、立体を見せて反応を見る。
・MMSEや長谷川式認知症スケール
・性格検査
・脳障害後の高次機能障害の評価
→一つの検査方法で同時に複数の機能の検査が可能
→POCDではいくつかの神経心理学検査を組み合わせて評価する。
・Attention & concentrationのテスト
・Digit symbol test
・Letter cancellation test
・Memoryのテスト
・Rey-Osterrieth complex figure
・Visual spatial perceptionについて
・perceptual and constructional abilities
・失認
→ある一つの感覚を介して対象物を認知できない障害
・失行
→運動可能であるにもかかわらず合目的運動ができない状態
→copying/drawing ,building/assembly tasks
・Clock drawingなど。
・Praxis
・実践?(process)
・the performance of learned motor movements
in the absence of primary deficits
in motor and spatial abilities
・障害→観念失行
・個々の運動はできる
・複雑な一連の運動連鎖が必要な行為が障害される
・要素行為は正しいが順序・対象を誤る
・Mood and thought content
・感情、思考形式
・性格検査や、うつ病スクリーニング検査が用いられる
・Minnesota Multiphasic Personality Inventory
・Beck Depression Inventory
・Geriatric Depression Scale
・Neuropsychiatric Inventory
・Executive functioning
・他の認知過程を制御する認知過程
・決断、計画、推論、問題解決、multi-tasking、working memoryなど
・複合的な検査機能をもった神経心理学検査で調べる
・その他
・Visual Verbal Learning Test
・Concept Shifting Test
・Stroop Colour Word Interference Test
・Letter-Digit Coding Testなど。
SGカテ挿入のシミュレーション中
2012年10月18日木曜日
奮闘!初期研修医Dr
今日も麻酔科ローテーションの初期研修医の先生方が
指導医の指導のもと、麻酔科研修に勤しんでいます。
現在麻酔科ローテーション中の研修医の先生方に、
気に入った薬剤を手に写ってもらいました。
セボフルラン
ヘスパンダー
マンニトール
安息香酸チンキ
研修医の先生方、これからも頑張ってください!
麻酔器いろいろ
初期研修医勉強会 担当:U先生
「麻酔器いろいろ」
・麻酔器の歴史
1867 鼻と口を覆う笑気ガス吸入器
クロロホルムと空気の%を調節できる吸入器
1872 笑気を鉄筒に詰めることに成功
1877 エーテル濃度を調節する携帯式麻酔器
1882 エーテルクロロホルム麻酔器
1887 笑気・酸素の混合吸入器
1898 濃度調節可能な麻酔器
1910 間欠的流量調節可能な笑気酸素麻酔器
1912 麻酔器に流量計がつく
1924 ソーダライムが取り付けられる
麻酔バッグの圧による作動開閉弁
1926 循環式麻酔呼吸回路、二酸化炭素吸収装置
日本にも麻酔器導入
・麻酔器ははじめから小型だった
・ちなみに初期の心電図は2部屋使うほど大きかった
・麻酔器の構成
・ガス供給源(中央配管、個別供給)
・ガス流量計
・気化器
・麻酔回路
・二酸化炭素吸収装置
・人工呼吸器
・警報装置
・ガス供給源
・中央配管方式
・酸素→液化ガス(-150℃~175℃)in大容量ボンベ
・亜酸化窒素→高圧ボンベ内で液体として保存
・治療用空気→圧縮ガス、合成空気
・供給圧は3-5気圧、流量計では2気圧
・ボンベ方式
・ガス供給間違え防止
・中央配管アウトレット、麻酔ガスホース接続
→ピンインデックス方式、カラーインデックス方式
・配管
→酸素:緑、空気:黄色、亜酸化窒素:青
・ボンベ
→酸素:黒、二酸化炭素:緑、亜酸化窒素:ねずみ色
・流量計
・ニードル弁、浮子、ノブ、バルブ止め
・ロタメーター型の浮子→上端
・球形の浮子→中央
・気化器
・回路内気化器、回路外気化器がある
・回路外気化器が現在主流
・流入する新鮮ガスは80%以上がバイパス
・気化室には20%以下が分配される
・呼吸回路
・半閉鎖循環式麻酔回路
・閉鎖循環式麻酔回路
・部分的再呼吸法
・非再呼吸法
→半閉鎖循環式麻酔回路が多く用いられている
・循環式麻酔回路
・吸気弁・呼気弁
・二酸化炭素吸収装置
・蛇管
・Yピース
・呼吸バッグ
・ポップオフバルブ
・余剰ガス排出装置
・酸素フラッシュ回路
・多量の100%酸素(35-70L/分)を呼吸回路へ
・流量計や気化器は通らない
→吸入麻酔薬濃度は希釈される
・緊急的に加圧バックを膨らますときに使用する
・フラッシュを使用したリークテスト
→通常回路のリークは検知できない。注意。
ブレイク
「鳩の撃退法」
・麻酔器の大手メーカー・販売元
・ドレーゲル
・GE
・アコマ医科工業
・アイ・エム・アイ
・木村医科器械
・アネス
・当院手術室は?
→18室、Datex-Omeda社のAestivaで統一。
・救急外来には?
→3次救急初療室
・2番:Datex ohmeda aestiva 5
・3番:Drager Fabius GS
・4番:Drager Fabius Tiro
・人工呼吸器の問題点・危険性
・回路のはずれ
→もっともはずれやすいのはYピース
・そこに対するモニター
・カプノグラフィー
・上降式べローズ(回路が外れると上がらない)
・胸部の運動と心窩部の観察
・回路内圧モニター
・換気量モニター
・呼吸回路の閉塞
→肺・気道の圧外傷の原因となる!!
・チューブトラブル(折れ曲がり、噛まれる、分泌物など)
・不適切な機器が回路内にある
・人工呼吸器のべローズのリーク
・人工呼吸器の余剰ガス開放弁の故障
・バルブの開放が不十分
・人工呼吸中の急変(DOPE)
・Displacement:チューブの位置の異常
・Obstruction:挿管チューブの閉塞
・Pneumothorax:緊張性気胸
・Equipment failure:人工呼吸器の異常
→私は「いきつめ」で覚えています。
・い(位置の異常)
・き(気胸)
・つ(詰まった)
・め(メカの異常)
・急変時には?
・指導医を呼ぶ!!
・用手換気に切り替える
・呼吸音を聴取する
・気管内チューブから吸引してみる
・喉頭鏡直視下に確認・再挿管
「麻酔器いろいろ」
・麻酔器の歴史
1867 鼻と口を覆う笑気ガス吸入器
クロロホルムと空気の%を調節できる吸入器
1872 笑気を鉄筒に詰めることに成功
1877 エーテル濃度を調節する携帯式麻酔器
1882 エーテルクロロホルム麻酔器
1887 笑気・酸素の混合吸入器
1898 濃度調節可能な麻酔器
1910 間欠的流量調節可能な笑気酸素麻酔器
1912 麻酔器に流量計がつく
1924 ソーダライムが取り付けられる
麻酔バッグの圧による作動開閉弁
1926 循環式麻酔呼吸回路、二酸化炭素吸収装置
日本にも麻酔器導入
・麻酔器ははじめから小型だった
・ちなみに初期の心電図は2部屋使うほど大きかった
・麻酔器の構成
・ガス供給源(中央配管、個別供給)
・ガス流量計
・気化器
・麻酔回路
・二酸化炭素吸収装置
・人工呼吸器
・警報装置
・ガス供給源
・中央配管方式
・酸素→液化ガス(-150℃~175℃)in大容量ボンベ
・亜酸化窒素→高圧ボンベ内で液体として保存
・治療用空気→圧縮ガス、合成空気
・供給圧は3-5気圧、流量計では2気圧
・ボンベ方式
・ガス供給間違え防止
・中央配管アウトレット、麻酔ガスホース接続
→ピンインデックス方式、カラーインデックス方式
・配管
→酸素:緑、空気:黄色、亜酸化窒素:青
・ボンベ
→酸素:黒、二酸化炭素:緑、亜酸化窒素:ねずみ色
・流量計
・ニードル弁、浮子、ノブ、バルブ止め
・ロタメーター型の浮子→上端
・球形の浮子→中央
・気化器
・回路内気化器、回路外気化器がある
・回路外気化器が現在主流
・流入する新鮮ガスは80%以上がバイパス
・気化室には20%以下が分配される
・呼吸回路
・半閉鎖循環式麻酔回路
・閉鎖循環式麻酔回路
・部分的再呼吸法
・非再呼吸法
→半閉鎖循環式麻酔回路が多く用いられている
・循環式麻酔回路
・吸気弁・呼気弁
・二酸化炭素吸収装置
・蛇管
・Yピース
・呼吸バッグ
・ポップオフバルブ
・余剰ガス排出装置
・酸素フラッシュ回路
・多量の100%酸素(35-70L/分)を呼吸回路へ
・流量計や気化器は通らない
→吸入麻酔薬濃度は希釈される
・緊急的に加圧バックを膨らますときに使用する
・フラッシュを使用したリークテスト
→通常回路のリークは検知できない。注意。
ブレイク
「鳩の撃退法」
・麻酔器の大手メーカー・販売元
・ドレーゲル
・GE
・アコマ医科工業
・アイ・エム・アイ
・木村医科器械
・アネス
・当院手術室は?
→18室、Datex-Omeda社のAestivaで統一。
・救急外来には?
→3次救急初療室
・2番:Datex ohmeda aestiva 5
・3番:Drager Fabius GS
・4番:Drager Fabius Tiro
・人工呼吸器の問題点・危険性
・回路のはずれ
→もっともはずれやすいのはYピース
・そこに対するモニター
・カプノグラフィー
・上降式べローズ(回路が外れると上がらない)
・胸部の運動と心窩部の観察
・回路内圧モニター
・換気量モニター
・呼吸回路の閉塞
→肺・気道の圧外傷の原因となる!!
・チューブトラブル(折れ曲がり、噛まれる、分泌物など)
・不適切な機器が回路内にある
・人工呼吸器のべローズのリーク
・人工呼吸器の余剰ガス開放弁の故障
・バルブの開放が不十分
・人工呼吸中の急変(DOPE)
・Displacement:チューブの位置の異常
・Obstruction:挿管チューブの閉塞
・Pneumothorax:緊張性気胸
・Equipment failure:人工呼吸器の異常
→私は「いきつめ」で覚えています。
・い(位置の異常)
・き(気胸)
・つ(詰まった)
・め(メカの異常)
・急変時には?
・指導医を呼ぶ!!
・用手換気に切り替える
・呼吸音を聴取する
・気管内チューブから吸引してみる
・喉頭鏡直視下に確認・再挿管
2012年10月16日火曜日
AAAと硬膜外麻酔
麻酔科勉強会 担当:A先生
「AAAと硬膜外麻酔」
・硬膜外麻酔のメリット
→分節的な神経ブロック
・良好な鎮痛
・交感神経遮断
・呼吸器合併症の減少
・虚血性心イベント減少
・出血量低下
・血栓症低下
・消化管運動上昇
・ストレスホルモン上昇抑制
・免疫低下抑制
・創部感染低下
・AAAに対して硬膜外麻酔はあり?なし?
→現状はControversial
・腹部大動脈瘤手術時の硬膜外併用に関するアンケート結果
(麻酔 2009:58:363-377)
・AAA手術件数別施設数
→年間10件未満、月に1例前後が2/3を占める。
・AAAに硬膜外麻酔の併用
→64%が常時併用
→場合により併用21%
→併用しない14%
・硬膜外麻酔をやらない理由は?
→合併症、特に硬膜外血腫
・硬膜外血腫の発生頻度
→アスピリン投与単独では血腫の発生率を上昇させない
→血管損傷は大きく発生率を上昇させる
→ヘパリンも1時間以降では特に大きくない
・硬膜外穿刺の基準
・血小板数:8万/mm³
・PT-INR:<1.5
・APTT:正常上限(A&A 1994;79:1165-77)
・硬膜外麻酔の基準
・抗血小板薬
→NSAIDs:リスクなし
→チクロピジン:14日間休薬
→クロピドグレル:7日間休薬
・未分画ヘパリン(皮下注)
→1日2回投与<10000単位ではリスクなし
・未分画ヘパリン(静注)
→最終投与4時間後に穿刺・抜去
穿刺後1時間以降に投与可
・低分子ヘパリン
→最終投与12時間後に穿刺・抜去
・ワルファリン
→穿刺・抜去前にINR正常を確認
・フォンダパリヌクス
→カテーテル挿入は避ける
・直接トロンビン阻害薬
→データなく穿刺は避ける
・血栓溶解薬
→禁忌
・薬草、漢方薬
→データなし
・腹部大動脈瘤手術時の硬膜外併用に関するアンケート結果
(麻酔 2009:58:363-377)
・硬膜外麻酔をしない基準(最多のもの)
・血小板数<8万
・PT-INR>1.40
・APTT>40 sec
・カテーテル挿入時期
→前日、導入前の2つが多い。
・硬膜外カテーテル挿入からヘパリン化までの時間
→2時間以下、か12-24時間が多い。
・各施設での工夫
・研修医に穿刺させない
・穿刺は熟練者が行う
・穿刺回数は2回までとする
・硬膜外に固執せず無理はしない
ブレイク
「ブリディオンについて」
・当院のブリディオンリバース率は86.6%(9月)
・ブリディオン200mg≒エスラックス60mgらしい。
・当院の現状(2011年8月~2012年7月)
・AAA 31症例(うち緊急5例)
→施設としては、やや多い部類。
・圧倒的に男性が多い(90%)
・術前合併症が多い。
・麻酔手技
・CV挿入45%
・FDLカテ挿入16%(緊急は全例)
・TAP block 42%
・手術時間
・3~4時間が多い。2時間台で終わる例も。
・食事開始時期
・POD1で飲水してPOD2で食事開始が多い。
・緊急手術は術後合併症リスクが高い。
・もし硬膜外麻酔をするなら・・・
・血小板数、PT-INR、APTTが基準値以上
・手術前日に施行
・熟練医が施行
・穿刺回数の制限
+心臓血管外科Drとの交渉
・AAAと硬膜外麻酔併用の予後
→有意差なしの論文が多いが。。。
→心血管合併症、呼吸不全、脳血管障害、挿管期間、
ICU滞在日数がそれぞれ少ないとした論文も。
(Ann Surg 2001, 234:560-569)
・予後以外でのメリット
・術後の患者満足度が大きい
・術直後の白血球数低下
・腸管ガス排出までの時間短縮。
・在院日数短縮の報告も。
・前日施行では手術室見学も兼ねて不安軽減
・これからどうするか。
・短時間作動型麻酔薬の登場、IV-PCA、神経ブロック
→以前より硬膜外麻酔の必要性は減ってきている。
・硬膜外血腫が生じた場合への対応
→硬膜外麻酔には消極的にならざるをえない。
・ICUでは?
・腸管運動低下への対応
・鎮痛コントロール難渋
→硬膜外麻酔も考慮に値する。
・術前麻酔科外来で患者に提案し決めてもらう方法も。
「AAAと硬膜外麻酔」
・硬膜外麻酔のメリット
→分節的な神経ブロック
・良好な鎮痛
・交感神経遮断
・呼吸器合併症の減少
・虚血性心イベント減少
・出血量低下
・血栓症低下
・消化管運動上昇
・ストレスホルモン上昇抑制
・免疫低下抑制
・創部感染低下
・AAAに対して硬膜外麻酔はあり?なし?
→現状はControversial
・腹部大動脈瘤手術時の硬膜外併用に関するアンケート結果
(麻酔 2009:58:363-377)
・AAA手術件数別施設数
→年間10件未満、月に1例前後が2/3を占める。
・AAAに硬膜外麻酔の併用
→64%が常時併用
→場合により併用21%
→併用しない14%
・硬膜外麻酔をやらない理由は?
→合併症、特に硬膜外血腫
・硬膜外血腫の発生頻度
→アスピリン投与単独では血腫の発生率を上昇させない
→血管損傷は大きく発生率を上昇させる
→ヘパリンも1時間以降では特に大きくない
・硬膜外穿刺の基準
・血小板数:8万/mm³
・PT-INR:<1.5
・APTT:正常上限(A&A 1994;79:1165-77)
・硬膜外麻酔の基準
・抗血小板薬
→NSAIDs:リスクなし
→チクロピジン:14日間休薬
→クロピドグレル:7日間休薬
・未分画ヘパリン(皮下注)
→1日2回投与<10000単位ではリスクなし
・未分画ヘパリン(静注)
→最終投与4時間後に穿刺・抜去
穿刺後1時間以降に投与可
・低分子ヘパリン
→最終投与12時間後に穿刺・抜去
・ワルファリン
→穿刺・抜去前にINR正常を確認
・フォンダパリヌクス
→カテーテル挿入は避ける
・直接トロンビン阻害薬
→データなく穿刺は避ける
・血栓溶解薬
→禁忌
・薬草、漢方薬
→データなし
・腹部大動脈瘤手術時の硬膜外併用に関するアンケート結果
(麻酔 2009:58:363-377)
・硬膜外麻酔をしない基準(最多のもの)
・血小板数<8万
・PT-INR>1.40
・APTT>40 sec
・カテーテル挿入時期
→前日、導入前の2つが多い。
・硬膜外カテーテル挿入からヘパリン化までの時間
→2時間以下、か12-24時間が多い。
・各施設での工夫
・研修医に穿刺させない
・穿刺は熟練者が行う
・穿刺回数は2回までとする
・硬膜外に固執せず無理はしない
ブレイク
「ブリディオンについて」
・当院のブリディオンリバース率は86.6%(9月)
・ブリディオン200mg≒エスラックス60mgらしい。
・当院の現状(2011年8月~2012年7月)
・AAA 31症例(うち緊急5例)
→施設としては、やや多い部類。
・圧倒的に男性が多い(90%)
・術前合併症が多い。
・麻酔手技
・CV挿入45%
・FDLカテ挿入16%(緊急は全例)
・TAP block 42%
・手術時間
・3~4時間が多い。2時間台で終わる例も。
・食事開始時期
・POD1で飲水してPOD2で食事開始が多い。
・緊急手術は術後合併症リスクが高い。
・もし硬膜外麻酔をするなら・・・
・血小板数、PT-INR、APTTが基準値以上
・手術前日に施行
・熟練医が施行
・穿刺回数の制限
+心臓血管外科Drとの交渉
・AAAと硬膜外麻酔併用の予後
→有意差なしの論文が多いが。。。
→心血管合併症、呼吸不全、脳血管障害、挿管期間、
ICU滞在日数がそれぞれ少ないとした論文も。
(Ann Surg 2001, 234:560-569)
・予後以外でのメリット
・術後の患者満足度が大きい
・術直後の白血球数低下
・腸管ガス排出までの時間短縮。
・在院日数短縮の報告も。
・前日施行では手術室見学も兼ねて不安軽減
・これからどうするか。
・短時間作動型麻酔薬の登場、IV-PCA、神経ブロック
→以前より硬膜外麻酔の必要性は減ってきている。
・硬膜外血腫が生じた場合への対応
→硬膜外麻酔には消極的にならざるをえない。
・ICUでは?
・腸管運動低下への対応
・鎮痛コントロール難渋
→硬膜外麻酔も考慮に値する。
・術前麻酔科外来で患者に提案し決めてもらう方法も。
術中低血圧について
初期研修医勉強会 担当:I先生
「術中低血圧について」
・血圧モニター
・触診法
・聴診法
・自動血圧計
・観血的動脈圧測定
→動脈内にカテーテル留置
→圧力をトランスデューサーで電気信号に変換
・間欠的血圧計の測定原理
・血管内を血液が流れていると仮定
・そこに管を差し込めば、管の先から血液が流れ出る
・その先に指先を押し当てれば、指先に圧力を感じる
・指の代わりに「圧力を電気信号に変換するセンサ」を装着。
・血圧を電気的に観察できる
・血圧波形
・立ち上がりが急峻なほど左室機能が良い
・圧波形の面積は心拍出量を反映
・dicrotic notchは末梢血管抵抗を反映
・呼吸性変動は循環血液量不足の場合に起こる
・平均血圧=脈圧/3+拡張期圧
・平均血圧は80mmHgを目標に(麻酔科研修チェックノート)
ブレイク
「イエローストーン国立公園について」
・Intraoperative Hypotension and 1-Year Mortality
after Noncardiac Surgery
Anaesthesiology December 2009 Volume 111
Issue 6 pp 1217-1226
・術中低血圧(intraoperative hypotension;IOH)
→遷延すれば手術後の転帰が悪化する可能性がある。
・しかしIOHの定義は様々、正確な評価もされていない
・一年後死亡率に影響を与える術中低血圧は?
・Method、Result、discussionなど。
・まとめ
・IOHと1年後死亡率の因果関係は明らかにならなかった
・CART分析
・IOHと1年後死亡率の相関
→血圧閾値と低血圧持続時間によって決まる
・血圧閾値だけでなく低血圧持続時間も重要
・患者、手術特性、年齢、術式などもIOHと転帰に影響
というわけで、
・手術時の低血圧閾値、持続時間の両方が転帰に影響
・低血圧が持続すると転帰が悪化する可能性
→IOHには留意
「術中低血圧について」
・血圧モニター
・触診法
・聴診法
・自動血圧計
・観血的動脈圧測定
→動脈内にカテーテル留置
→圧力をトランスデューサーで電気信号に変換
・間欠的血圧計の測定原理
・血管内を血液が流れていると仮定
・そこに管を差し込めば、管の先から血液が流れ出る
・その先に指先を押し当てれば、指先に圧力を感じる
・指の代わりに「圧力を電気信号に変換するセンサ」を装着。
・血圧を電気的に観察できる
・血圧波形
・立ち上がりが急峻なほど左室機能が良い
・圧波形の面積は心拍出量を反映
・dicrotic notchは末梢血管抵抗を反映
・呼吸性変動は循環血液量不足の場合に起こる
・平均血圧=脈圧/3+拡張期圧
・平均血圧は80mmHgを目標に(麻酔科研修チェックノート)
ブレイク
「イエローストーン国立公園について」
・Intraoperative Hypotension and 1-Year Mortality
after Noncardiac Surgery
Anaesthesiology December 2009 Volume 111
Issue 6 pp 1217-1226
・術中低血圧(intraoperative hypotension;IOH)
→遷延すれば手術後の転帰が悪化する可能性がある。
・しかしIOHの定義は様々、正確な評価もされていない
・一年後死亡率に影響を与える術中低血圧は?
・Method、Result、discussionなど。
・まとめ
・IOHと1年後死亡率の因果関係は明らかにならなかった
・CART分析
・IOHと1年後死亡率の相関
→血圧閾値と低血圧持続時間によって決まる
・血圧閾値だけでなく低血圧持続時間も重要
・患者、手術特性、年齢、術式などもIOHと転帰に影響
というわけで、
・手術時の低血圧閾値、持続時間の両方が転帰に影響
・低血圧が持続すると転帰が悪化する可能性
→IOHには留意
2012年10月11日木曜日
麻酔の問題集(Airway Management)
麻酔の問題集(Clinical Anesthesia) 担当:T先生
「Airway Management」
第1問:術前酸素投与に関する問題
・肺の機能的残気量が酸素の貯蔵場所:30ml/kg
・100%酸素5分間の吸入
→SpO2が90%以下に低下するまで数分間
→この間の無呼吸時間が許容
・前酸素化=脱窒素化
・迅速導入
→バックマスク換気を行わない
→事前に酸素化を行う必要
第2問:術前酸素投与に関する問題Part2
・room airで導入すると2分間でSpO2は90%以下になる
・FiO21.0で5分間前酸素化を行うと10分間に伸びる
・5分間の前酸素化の代替として・・・
→60秒で8回の深呼吸を行う
=脱窒素を行う!
・4回の深呼吸で脱窒素化できる
・肥満者にはBiPAPや25度程度のhead-upが有効.
・マスクはしっかりfitさせないとFiO21.0にならない
・機能的残気量の69%は窒素で占められている
→これ酸素に置き換える
第3問:マスク換気に関する問題
・sniffing position により舌根部と喉頭蓋が前方推移する
・入れ歯などの補綴物が有る方が換気しやすい
→脱落には注意!
→ちなみに湿らせたガーゼを入れるとかもあり
・マスク換気のみで麻酔を維持しても良い
→ただしフルストマックなど禁忌がない場合
・健常な肺を膨らますのには圧は20-25cmH2Oで十分
→20cmH2O以上圧を掛けると胃が膨れる
ブレイク
「夏休みは北欧へ行ってきました」
第4問:声門上器具に関する問題
・利点
・侵襲が少ない
・筋弛緩の必要性が少ない
・覚醒時に咳反射が少ない
・欠点
・一般的に誤嚥の恐れのある症例には禁忌、
・気道内圧20cmH2O以下が推奨される
・どのような症例が適応か?
・気道が術野と競合しない
・嘔吐を誘発しない
・高い気道内圧を必要としない場合
→ラパロ下手術は?
→気腹で腹圧上昇
→換気に高めの圧を要し胃からの逆流の恐れも高まる
→慣れた人なら可能
第5問:声門上器具に関する問題Part2
・喘息がある場合は?
→気管内挿管は気道への刺激が強い
→喘息発作の強力なトリガーとなる。
→LMAをもちいれば挿管をさけることができる。
→喘息の症例には進んで用いてよい。
・麻酔深度を得てからLMAを挿入
→術中も深めの麻酔で維持する。
・喘息症例で挿管が必要なときは?
→まずLMAを挿入
→セボフルランでさらに麻酔を深くしてから挿管
→覚醒の時は深麻酔下で抜管
→その後LMAを挿入し、覚醒まで待つ
・・・という方法もある。
・LMA抜去タイミングは?
・深麻酔下 or protect airway reflexesが回復してから
・興奮期に抜けば咳or喉頭痙攣を起こす
・LMAは気管~気管支の敏感なところに位置しない
→喘息患者が喘鳴を起こす訳ではない
・抜去のタイミング
→LMAの抜去時deflatedせずにinflatedしたまま抜去
→分泌物を一緒に掬い出す
・LMAの欠点と合併症
・LMAの位置異常
・粘膜損傷と咽頭痛:10%程度
・胃の膨張 但しバックバルブマスクよりは優れている
・胃内容物の逆流と誤嚥:0.02%程度
・カフの膨らませすぎ N2Oによりカフ圧が上がる
・神経障害 高いカフ圧や位置以上が原因
・縦隔炎と咽後膿瘍の症例報告あり
・LMAの利点
・DAM症例
・気管挿管と比べて・・・
・挿入時の局所障害が少ない。
・血行動態の変動が少ない
・訓練を受けていない人でも使用可能
・気道過敏性のある患者でも使える
・気管挿管と比べて眼圧上昇が少ない
・気管挿管と比べて咽頭痛・嗄声の頻度が少ない
・マスクより密着性がよく手が疲れない
・バックマスク換気と比べて胃の膨張が少ない
「Airway Management」
第1問:術前酸素投与に関する問題
・肺の機能的残気量が酸素の貯蔵場所:30ml/kg
・100%酸素5分間の吸入
→SpO2が90%以下に低下するまで数分間
→この間の無呼吸時間が許容
・前酸素化=脱窒素化
・迅速導入
→バックマスク換気を行わない
→事前に酸素化を行う必要
第2問:術前酸素投与に関する問題Part2
・room airで導入すると2分間でSpO2は90%以下になる
・FiO21.0で5分間前酸素化を行うと10分間に伸びる
・5分間の前酸素化の代替として・・・
→60秒で8回の深呼吸を行う
=脱窒素を行う!
・4回の深呼吸で脱窒素化できる
・肥満者にはBiPAPや25度程度のhead-upが有効.
・マスクはしっかりfitさせないとFiO21.0にならない
・機能的残気量の69%は窒素で占められている
→これ酸素に置き換える
第3問:マスク換気に関する問題
・sniffing position により舌根部と喉頭蓋が前方推移する
・入れ歯などの補綴物が有る方が換気しやすい
→脱落には注意!
→ちなみに湿らせたガーゼを入れるとかもあり
・マスク換気のみで麻酔を維持しても良い
→ただしフルストマックなど禁忌がない場合
・健常な肺を膨らますのには圧は20-25cmH2Oで十分
→20cmH2O以上圧を掛けると胃が膨れる
ブレイク
「夏休みは北欧へ行ってきました」
第4問:声門上器具に関する問題
・利点
・侵襲が少ない
・筋弛緩の必要性が少ない
・覚醒時に咳反射が少ない
・欠点
・一般的に誤嚥の恐れのある症例には禁忌、
・気道内圧20cmH2O以下が推奨される
・どのような症例が適応か?
・気道が術野と競合しない
・嘔吐を誘発しない
・高い気道内圧を必要としない場合
→ラパロ下手術は?
→気腹で腹圧上昇
→換気に高めの圧を要し胃からの逆流の恐れも高まる
→慣れた人なら可能
第5問:声門上器具に関する問題Part2
・喘息がある場合は?
→気管内挿管は気道への刺激が強い
→喘息発作の強力なトリガーとなる。
→LMAをもちいれば挿管をさけることができる。
→喘息の症例には進んで用いてよい。
・麻酔深度を得てからLMAを挿入
→術中も深めの麻酔で維持する。
・喘息症例で挿管が必要なときは?
→まずLMAを挿入
→セボフルランでさらに麻酔を深くしてから挿管
→覚醒の時は深麻酔下で抜管
→その後LMAを挿入し、覚醒まで待つ
・・・という方法もある。
・LMA抜去タイミングは?
・深麻酔下 or protect airway reflexesが回復してから
・興奮期に抜けば咳or喉頭痙攣を起こす
・LMAは気管~気管支の敏感なところに位置しない
→喘息患者が喘鳴を起こす訳ではない
・抜去のタイミング
→LMAの抜去時deflatedせずにinflatedしたまま抜去
→分泌物を一緒に掬い出す
・LMAの欠点と合併症
・LMAの位置異常
・粘膜損傷と咽頭痛:10%程度
・胃の膨張 但しバックバルブマスクよりは優れている
・胃内容物の逆流と誤嚥:0.02%程度
・カフの膨らませすぎ N2Oによりカフ圧が上がる
・神経障害 高いカフ圧や位置以上が原因
・縦隔炎と咽後膿瘍の症例報告あり
・LMAの利点
・DAM症例
・気管挿管と比べて・・・
・挿入時の局所障害が少ない。
・血行動態の変動が少ない
・訓練を受けていない人でも使用可能
・気道過敏性のある患者でも使える
・気管挿管と比べて眼圧上昇が少ない
・気管挿管と比べて咽頭痛・嗄声の頻度が少ない
・マスクより密着性がよく手が疲れない
・バックマスク換気と比べて胃の膨張が少ない
2012年10月5日金曜日
周術期の輸液と出血
初期研修医勉強会 担当:K先生
「周術期の輸液と出血」
・維持量+
①術前の脱水
②麻酔薬による血管拡張
③サードスペースへの移動
④出血
・4-2-1のルール
・維持量に加えて・・・
①術前の脱水補正
→はじめの500mlは早めのスピードで
②麻酔薬による血管拡張
→麻酔方法、使用薬剤でも異なる
③サードスペースへの移動
→侵襲に応じて
④出血
・Fixed Volume Therapy
→体液の移行、不感蒸泄、尿量による喪失を見越して輸液負荷
・小さな手術→6ml/kg/hr
・中等度の手術→8ml/kg/hr
・大きな手術→10ml/kg/hr
→過剰輸液になりやすい
・過剰輸液の悪影響
・肺水腫の増悪
・呼吸不全および肺炎
・消化管浮腫、消化管吻合不全
・腹水、abdominal compartmet syndrome
・創傷治癒の遅延
・希釈による凝固障害
・Restrictive Fluid Therapy
・Goal Directed Fluid Therapy
・輸液管理のパラメータ
・静的パラメータ
→有効性は証明されていない
・動的パラメータ
→各種循環モニタリング値の呼吸に伴う変動
→輸液反応性の指標となりうる
・自発呼吸のある人、不整脈では不可能
・輸液反応性の予測には静的パラメータの有用性は限定的
・動的パラメータなども併用すべき
ブレイク
「お月見と和菓子」
・出血と重症度
・クラスⅠ:全血液量の15%未満
→臨床所見は軽微もしくはみられない
・クラスⅡ:全血液量の15%~30%
→起立時に血圧低下、心拍数上昇
・クラスⅢ:全血液量の30%~40%
→非代償性の循環血液量減少性ショック
・クラスⅣ:40%を超す出血
→低血圧、乏尿
・輸液について
→組織酸素摂取量を維持、好気性代謝を継続させる
・心拍出量、ヘモグロビン濃度が重要
・心拍出量→補充輸液
・ヘモグロビン濃度→輸血
・膠質液vs晶質液
・膠質液→75%~80%が血管内に=血漿量を増加
・晶質液→20%のみが血管内に=間質液を増加
→心拍出量を増加させるには膠質液が有効
・赤血球濃厚液は粘度の増加により、心拍出量は増加しにくい
・血流、酸素運搬、組織の酸素化を正常化
→心係数、D02、Vo2、 乳酸値など
ハイブリッド手術
「周術期の輸液と出血」
・維持量+
①術前の脱水
②麻酔薬による血管拡張
③サードスペースへの移動
④出血
・4-2-1のルール
・維持量に加えて・・・
①術前の脱水補正
→はじめの500mlは早めのスピードで
②麻酔薬による血管拡張
→麻酔方法、使用薬剤でも異なる
③サードスペースへの移動
→侵襲に応じて
④出血
・Fixed Volume Therapy
→体液の移行、不感蒸泄、尿量による喪失を見越して輸液負荷
・小さな手術→6ml/kg/hr
・中等度の手術→8ml/kg/hr
・大きな手術→10ml/kg/hr
→過剰輸液になりやすい
・過剰輸液の悪影響
・肺水腫の増悪
・呼吸不全および肺炎
・消化管浮腫、消化管吻合不全
・腹水、abdominal compartmet syndrome
・創傷治癒の遅延
・希釈による凝固障害
・Restrictive Fluid Therapy
・Goal Directed Fluid Therapy
・輸液管理のパラメータ
・静的パラメータ
→有効性は証明されていない
・動的パラメータ
→各種循環モニタリング値の呼吸に伴う変動
→輸液反応性の指標となりうる
・自発呼吸のある人、不整脈では不可能
・輸液反応性の予測には静的パラメータの有用性は限定的
・動的パラメータなども併用すべき
ブレイク
「お月見と和菓子」
・出血と重症度
・クラスⅠ:全血液量の15%未満
→臨床所見は軽微もしくはみられない
・クラスⅡ:全血液量の15%~30%
→起立時に血圧低下、心拍数上昇
・クラスⅢ:全血液量の30%~40%
→非代償性の循環血液量減少性ショック
・クラスⅣ:40%を超す出血
→低血圧、乏尿
・輸液について
→組織酸素摂取量を維持、好気性代謝を継続させる
・心拍出量、ヘモグロビン濃度が重要
・心拍出量→補充輸液
・ヘモグロビン濃度→輸血
・膠質液vs晶質液
・膠質液→75%~80%が血管内に=血漿量を増加
・晶質液→20%のみが血管内に=間質液を増加
→心拍出量を増加させるには膠質液が有効
・赤血球濃厚液は粘度の増加により、心拍出量は増加しにくい
・血流、酸素運搬、組織の酸素化を正常化
→心係数、D02、Vo2、 乳酸値など
ハイブリッド手術
2012年10月2日火曜日
chylopericardium
ICU勉強会 担当:I先生
「chylopericardium」
・chylothorax:乳び胸
・chyloperitoneum:乳び腹水
・chylopericardium:乳び心膜
・chyle:乳び
→50%以上の人:胸管1本、左静脈角に合流
→胸管2本、右静脈角に合流する人も
→39%以上で胸管2,3本
→胸管結さつ失敗する可能性が高い
・chylo~に共通の症状
→低栄養、免疫不全、代謝異常
・chylo”pericardium”
→心タンポ、心外膜炎(→収縮性心膜炎)
→治療しないとhigh motarity rate
・chylopericardium
・1次性<<2次性
→心外傷、オペ(特にCHD)、先天性リンパ管症、
radiation後、鎖骨下静脈塞栓、感染(TB)、
縦隔悪性腫瘍(lymphoma、メタ)、急性膵炎、、、
・成人心臓術後合併症としては珍しい
→AVR、CABG、tlansplantation
・診断
・TG>500mg/dL
・Chole/TG<1
・感染negative、cytologyでリンパ球優位
・リンパ管造影、リンパ管シンチ(+CT)
・治療
・制限食(脂肪0、中鎖脂肪酸はOK?!)、TPN
→半数は数週間で治る(食事再開で再発多い)
・タンポ、心外膜炎、massive(500mL/day×5days)
→aggressive に(心嚢ドレーン、全身管理)
・Surgicalに治す場合
→保存的治療1-2wで改善傾向ない場合、低栄養激しいとき
・心膜開窓、胸管結さつ(VATS)
・心嚢―腹腔バイパス
・内科的治療
・サンドスタチン(ソマトスタチンアナログ)
→消化管のDcellから分泌
・消化管の栄養吸収や運動抑制
・消化液そのものの減少?
・胸管平滑筋を収縮させるため胸管流量減少?
・フィブロガミンP(第13因子製剤)
・適応
・先天性第13因子欠乏による出血傾向
・第13因子低下に伴う縫合不全・漏こう
→胸管損傷部の修復促進?
・lymphangiography
・インジゴカルミンでリンパ管を同定後リピオドールを注入
・そもそもは損傷部位の同定目的だったが…
→リピオドールが損傷部位を塞栓する?!
・保存的治療抵抗性の乳び疾患9人に対するリンパ管造影
→8/9人で治ったとの報告
10月から研修を始めたF先生。頑張ってください。
「chylopericardium」
・chylothorax:乳び胸
・chyloperitoneum:乳び腹水
・chylopericardium:乳び心膜
・chyle:乳び
→50%以上の人:胸管1本、左静脈角に合流
→胸管2本、右静脈角に合流する人も
→39%以上で胸管2,3本
→胸管結さつ失敗する可能性が高い
・chylo~に共通の症状
→低栄養、免疫不全、代謝異常
・chylo”pericardium”
→心タンポ、心外膜炎(→収縮性心膜炎)
→治療しないとhigh motarity rate
・chylopericardium
・1次性<<2次性
→心外傷、オペ(特にCHD)、先天性リンパ管症、
radiation後、鎖骨下静脈塞栓、感染(TB)、
縦隔悪性腫瘍(lymphoma、メタ)、急性膵炎、、、
・成人心臓術後合併症としては珍しい
→AVR、CABG、tlansplantation
・診断
・TG>500mg/dL
・Chole/TG<1
・感染negative、cytologyでリンパ球優位
・リンパ管造影、リンパ管シンチ(+CT)
・治療
・制限食(脂肪0、中鎖脂肪酸はOK?!)、TPN
→半数は数週間で治る(食事再開で再発多い)
・タンポ、心外膜炎、massive(500mL/day×5days)
→aggressive に(心嚢ドレーン、全身管理)
・Surgicalに治す場合
→保存的治療1-2wで改善傾向ない場合、低栄養激しいとき
・心膜開窓、胸管結さつ(VATS)
・心嚢―腹腔バイパス
・内科的治療
・サンドスタチン(ソマトスタチンアナログ)
→消化管のDcellから分泌
・消化管の栄養吸収や運動抑制
・消化液そのものの減少?
・胸管平滑筋を収縮させるため胸管流量減少?
・フィブロガミンP(第13因子製剤)
・適応
・先天性第13因子欠乏による出血傾向
・第13因子低下に伴う縫合不全・漏こう
→胸管損傷部の修復促進?
・lymphangiography
・インジゴカルミンでリンパ管を同定後リピオドールを注入
・そもそもは損傷部位の同定目的だったが…
→リピオドールが損傷部位を塞栓する?!
・保存的治療抵抗性の乳び疾患9人に対するリンパ管造影
→8/9人で治ったとの報告
10月から研修を始めたF先生。頑張ってください。
2012年9月28日金曜日
SvO2とVSP
麻酔科勉強会 担当:I先生
「SvO2とVSP」
・SvO2 (混合静脈血酸素飽和度)
→正常値は70%
・SvO2低下
→全身への酸素供給の障害
→貧血や低酸素血症がなければ心拍出量低下を表す。
・VSP(心室中隔穿孔)
・AMIの1-4%
・septalの梗塞の15%に心破裂合併
・1w以内 (特に<24h)
→freshな梗塞部は軟なので。
・予後
→院内死亡率87.9%
・risk factor
・高齢女性
・初回発症の1枝完全閉塞(心機能良、collateがない)
・発症後安静を保っていないもの
・確定診断
→RV→PAのO2 step up!!(&エコー)
・治療はオペのみ!
・早期 or 待機的
・早期オペ
→梗塞部が軟→縫合が難
・David-Komeda法
→梗塞部をドーム型にパッチで覆い、正常心筋に縫い付ける
・待機的オペ(バイタルが許せば…)
→梗塞部が瘢痕化したら、縫合し易い
・Daggett法…直接穴を防ぐ
→実際は、それまでにMOFとなることが多い
・理想は待機オペだが、最近はすぐオペすることが多い
手術室フロアから山側を眺める。
「SvO2とVSP」
・SvO2 (混合静脈血酸素飽和度)
→正常値は70%
・SvO2低下
→全身への酸素供給の障害
→貧血や低酸素血症がなければ心拍出量低下を表す。
・VSP(心室中隔穿孔)
・AMIの1-4%
・septalの梗塞の15%に心破裂合併
・1w以内 (特に<24h)
→freshな梗塞部は軟なので。
・予後
→院内死亡率87.9%
・risk factor
・高齢女性
・初回発症の1枝完全閉塞(心機能良、collateがない)
・発症後安静を保っていないもの
・確定診断
→RV→PAのO2 step up!!(&エコー)
・治療はオペのみ!
・早期 or 待機的
・早期オペ
→梗塞部が軟→縫合が難
・David-Komeda法
→梗塞部をドーム型にパッチで覆い、正常心筋に縫い付ける
・待機的オペ(バイタルが許せば…)
→梗塞部が瘢痕化したら、縫合し易い
・Daggett法…直接穴を防ぐ
→実際は、それまでにMOFとなることが多い
・理想は待機オペだが、最近はすぐオペすることが多い
手術室フロアから山側を眺める。
アナフィラキシー
初期研修医勉強会 担当:N先生
「アナフィラキシー」
・アナフィラキシー
・アレルギー症状が2臓器以上に出現した状態。
・食物、薬物、ハチ毒などが原因。
・即時型アレルギー反応のひとつの総称。
・アナフィラキシーショック
・さらに血圧低下や意識消失まで至った状態。
・アナフィラキシー様症状
→特異抗原や特異的IgE抗体が特定できない状態。
→特定出来る場合は単にアナフィラキシー症状と言う。
→ここにショックバイタルを示すとアナフィラキシーショック。
・「アナフィラキシー」の症状
・呼吸困難、全身紅潮、血管浮腫、蕁麻疹
→のうち、複数が合わせて発現した全身的の症状の出現。
・アレルギー性と考えられる急性で重篤な呼吸困難あり。
・アナフィラキシーの症状
・皮膚症状(蕁麻疹・紅潮・掻痒感):90%
・呼吸器症状:40〜60%
・低血圧(めまい・失神など):30〜35%
・嘔気・嘔吐・下痢・腹痛:25〜30%
・頭痛:5〜8%
・胸痛:4〜6%
・痙攣:1〜2%
・歯科で頻用する浸潤麻酔薬でもアレルギー報告があり。
→死亡例も存在。
・歯科口腔外科でも問診時必ず問診行う。
・麻酔薬へのアレルギーではない場合が多い。
→添加保存料のメチルパラベンへのアレルギーがほとんど。
→現在は、ほとんどのものが無添加
・歯科で気分不良等を訴えるのは・・・
→心因性のものや過呼吸、迷走神経反射によるもの。
・アナフィラキシーの治療
・エピネフリン:効果発現が早いこともあり、第一選択。
・筋注:エピネフリン 0.1%液0.2~0.5 mgを皮下注あるいは筋注。
・研修医御法度では・・・
→エピネフリン0.3mg(ボスミン1/3管)を筋注or皮下注を行う。
・静注:エピネフリン(ボスミン®)0.25 mg の 10 倍希釈をゆっくり静注
→効果不十分な場合、5~15 分おきに追加投与する。
「アナフィラキシー」
・アナフィラキシー
・アレルギー症状が2臓器以上に出現した状態。
・食物、薬物、ハチ毒などが原因。
・即時型アレルギー反応のひとつの総称。
・アナフィラキシーショック
・さらに血圧低下や意識消失まで至った状態。
・アナフィラキシー様症状
→特異抗原や特異的IgE抗体が特定できない状態。
→特定出来る場合は単にアナフィラキシー症状と言う。
→ここにショックバイタルを示すとアナフィラキシーショック。
・「アナフィラキシー」の症状
・呼吸困難、全身紅潮、血管浮腫、蕁麻疹
→のうち、複数が合わせて発現した全身的の症状の出現。
・アレルギー性と考えられる急性で重篤な呼吸困難あり。
・アナフィラキシーの症状
・皮膚症状(蕁麻疹・紅潮・掻痒感):90%
・呼吸器症状:40〜60%
・低血圧(めまい・失神など):30〜35%
・嘔気・嘔吐・下痢・腹痛:25〜30%
・頭痛:5〜8%
・胸痛:4〜6%
・痙攣:1〜2%
・歯科で頻用する浸潤麻酔薬でもアレルギー報告があり。
→死亡例も存在。
・歯科口腔外科でも問診時必ず問診行う。
・麻酔薬へのアレルギーではない場合が多い。
→添加保存料のメチルパラベンへのアレルギーがほとんど。
→現在は、ほとんどのものが無添加
・歯科で気分不良等を訴えるのは・・・
→心因性のものや過呼吸、迷走神経反射によるもの。
・アナフィラキシーの治療
・エピネフリン:効果発現が早いこともあり、第一選択。
・筋注:エピネフリン 0.1%液0.2~0.5 mgを皮下注あるいは筋注。
・研修医御法度では・・・
→エピネフリン0.3mg(ボスミン1/3管)を筋注or皮下注を行う。
・静注:エピネフリン(ボスミン®)0.25 mg の 10 倍希釈をゆっくり静注
→効果不十分な場合、5~15 分おきに追加投与する。
2012年9月26日水曜日
フィードバックカンファレンス
フィードバックカンファレンス 担当:H先生
・硬膜外カテーテルが脊髄腔内に迷入した1例
・Chiari奇形合併の帝王切開(全身麻酔)
・術後PE発症した1例
・術中喘息発作の1例
→深麻酔下抜管
→LMA入れ替え
→覚醒後喉頭痙攣
→再挿管
・Chiari奇形について
・分類
Ⅰ型・・・小脳扁桃の頸椎管内への嵌入
Ⅱ型・・・小脳扁桃、虫部、延髄、第4脳室の頸椎管内への嵌入
Ⅲ型・・・頸部二分脊椎内に小脳の嵌入
Ⅳ型・・・小脳形成不全
・type Ⅰで無症状かつ脊髄空洞症がない。
→経過観察でOK。
・脊髄空洞症あり。
→CSF閉塞所見を確認する。
・Chiari奇形の麻酔管理
・ICPを上げない。
・脊椎麻酔や硬膜外麻酔(硬膜穿刺しないならOK)を避ける?
・type Ⅰ患者の帝王切開
・数例の症例報告あり。
→ほとんど全身麻酔
→一部外科治療後に硬膜外麻酔で行った症例も。
→普通に脊椎麻酔で行った症例も。
McGRATHがやってきました。評判上々です。
・硬膜外カテーテルが脊髄腔内に迷入した1例
・Chiari奇形合併の帝王切開(全身麻酔)
・術後PE発症した1例
・術中喘息発作の1例
→深麻酔下抜管
→LMA入れ替え
→覚醒後喉頭痙攣
→再挿管
・Chiari奇形について
・分類
Ⅰ型・・・小脳扁桃の頸椎管内への嵌入
Ⅱ型・・・小脳扁桃、虫部、延髄、第4脳室の頸椎管内への嵌入
Ⅲ型・・・頸部二分脊椎内に小脳の嵌入
Ⅳ型・・・小脳形成不全
・type Ⅰで無症状かつ脊髄空洞症がない。
→経過観察でOK。
・脊髄空洞症あり。
→CSF閉塞所見を確認する。
・Chiari奇形の麻酔管理
・ICPを上げない。
・脊椎麻酔や硬膜外麻酔(硬膜穿刺しないならOK)を避ける?
・type Ⅰ患者の帝王切開
・数例の症例報告あり。
→ほとんど全身麻酔
→一部外科治療後に硬膜外麻酔で行った症例も。
→普通に脊椎麻酔で行った症例も。
McGRATHがやってきました。評判上々です。
2012年9月22日土曜日
Ischemic MR
麻酔科勉強会 担当:H先生
「Ischemic MR」
・Carpentierの分類
→弁葉運動に基づく分類
・ESCの分類
①弁葉の異常によるもの
・Organic MR
②左室の異常によるもの
・Ischemic MR(冠動脈疾患に伴う)
・Functional MR(心筋症など左室機能異常に伴う)
→実際にはこの2つの使い分けは曖昧
・広義のIMR
・冠動脈疾患に続発するMR。
・「心筋梗塞後」とする文献もある。
・乳頭筋断裂によるMRも含む。
・狭義のIMR
・心筋虚血による”functional”MR
・従来、「乳頭筋機能異常」と説明されていた。
・IMR pattern 1
①Asymmetric tethering pattern
・inferior-lateral MI
・後内側乳頭筋部位のLV wall remodelingによる。
・両尖が後壁側に引っ張られる。
・MR jetは偏心性に吹く。
②Symmetric tethering pattern
・anterior or multiple MI
・LV wallは全体的にremodelingされている。
・LVはより拡大し、wall motion scoreは高い。
・両尖が心尖部側に引っ張られる。
・MR jetは中心性に吹く。
③Prevalence of annular dilation/dysfunction
・tetheringは存在せず、弁輪拡張のみ
・心基部後壁の限定的な梗塞
④Ischemic prolapse
・MI後、乳頭筋壊死→線維化により生じる。
・高内側乳頭筋断裂が多い(血流支配の関係)
・腱索断裂も起こりうる。
・IMRの評価
・TEE in the operating room should not be used
to decide upon treatment of MR!!
・術前TTEでの評価
・LV機能評価(収縮能や局所壁運動異常など)
・MV弁尖や弁輪、弁下組織など形態学的評価
・MR jetの場所や方向などの観察
・IMR severity
・Effective Refurfitant Orifice Area(EROA)
・Regurgitant Volume(RV)
・Vena Contracta
・Coaptation Depth
・Tenting Area (Tenting Volume)
ブレイク
「心臓血管麻酔学会@仙台の感想」
・IMRの治療
・Medical Therapy
・MRの逆流量を減らす。
・LVのリモデリングを遅らせる。
・ACE阻害薬、ARB
→後負荷↓、逆流↓、remodeling↓
・利尿薬
→前負荷↓、LV容積↓、tethering ↓
・βブロッカー
・Revascularization
・Resynchronization
・外科的介入について
・Indications for surgery(ESC guidelines)の紹介
・Moderate-severe MR
→CABG単独とCABG+MVP or MVRを比較
→生存率には影響はないが、QOLに影響を与える。
・Mild MR
→CABGをする場合でもMV手術は推奨されない。
・MVPかMVRか。
→Repairのほうが死亡率が低い、という報告もある。
→変わらないという報告もある。
・Repairの手術手技
→Ringによる弁輪形成がgold standard。
→Ring間では優劣なし。
・腱索切断
・leaflet extension
・左室形成術
・乳頭筋吊り上げ術
・Alferi手技
・MV repairの問題点
・残存or再発MR
→半年後、28%がmoderate-severe MR。
・MR残存
→LV remodelingの進行
→tetheringが悪化
→MRは増悪する。
・機能的MS
・MR再発の予測因子
・Coaptation Depth>15mm
>10mmならMVR or MAP + α
<10mmならMAP
・PLA(Posterior mitral Leaflet Angle)> 45°
・distal ALA(distal Anterior mitral Leaflet Angle )> 25°
・Tenting Area > 2.5cm2
・弁輪径、LV径、LA面積は大きいほうがMR再発が多い
→感度や特異度は高くない。
オプティカルスタイレットで挿管
「Ischemic MR」
・Carpentierの分類
→弁葉運動に基づく分類
・ESCの分類
①弁葉の異常によるもの
・Organic MR
②左室の異常によるもの
・Ischemic MR(冠動脈疾患に伴う)
・Functional MR(心筋症など左室機能異常に伴う)
→実際にはこの2つの使い分けは曖昧
・広義のIMR
・冠動脈疾患に続発するMR。
・「心筋梗塞後」とする文献もある。
・乳頭筋断裂によるMRも含む。
・狭義のIMR
・心筋虚血による”functional”MR
・従来、「乳頭筋機能異常」と説明されていた。
・IMR pattern 1
①Asymmetric tethering pattern
・inferior-lateral MI
・後内側乳頭筋部位のLV wall remodelingによる。
・両尖が後壁側に引っ張られる。
・MR jetは偏心性に吹く。
②Symmetric tethering pattern
・anterior or multiple MI
・LV wallは全体的にremodelingされている。
・LVはより拡大し、wall motion scoreは高い。
・両尖が心尖部側に引っ張られる。
・MR jetは中心性に吹く。
③Prevalence of annular dilation/dysfunction
・tetheringは存在せず、弁輪拡張のみ
・心基部後壁の限定的な梗塞
④Ischemic prolapse
・MI後、乳頭筋壊死→線維化により生じる。
・高内側乳頭筋断裂が多い(血流支配の関係)
・腱索断裂も起こりうる。
・IMRの評価
・TEE in the operating room should not be used
to decide upon treatment of MR!!
・術前TTEでの評価
・LV機能評価(収縮能や局所壁運動異常など)
・MV弁尖や弁輪、弁下組織など形態学的評価
・MR jetの場所や方向などの観察
・IMR severity
・Effective Refurfitant Orifice Area(EROA)
・Regurgitant Volume(RV)
・Vena Contracta
・Coaptation Depth
・Tenting Area (Tenting Volume)
ブレイク
「心臓血管麻酔学会@仙台の感想」
・IMRの治療
・Medical Therapy
・MRの逆流量を減らす。
・LVのリモデリングを遅らせる。
・ACE阻害薬、ARB
→後負荷↓、逆流↓、remodeling↓
・利尿薬
→前負荷↓、LV容積↓、tethering ↓
・βブロッカー
・Revascularization
・Resynchronization
・外科的介入について
・Indications for surgery(ESC guidelines)の紹介
・Moderate-severe MR
→CABG単独とCABG+MVP or MVRを比較
→生存率には影響はないが、QOLに影響を与える。
・Mild MR
→CABGをする場合でもMV手術は推奨されない。
・MVPかMVRか。
→Repairのほうが死亡率が低い、という報告もある。
→変わらないという報告もある。
・Repairの手術手技
→Ringによる弁輪形成がgold standard。
→Ring間では優劣なし。
・腱索切断
・leaflet extension
・左室形成術
・乳頭筋吊り上げ術
・Alferi手技
・MV repairの問題点
・残存or再発MR
→半年後、28%がmoderate-severe MR。
・MR残存
→LV remodelingの進行
→tetheringが悪化
→MRは増悪する。
・機能的MS
・MR再発の予測因子
・Coaptation Depth>15mm
>10mmならMVR or MAP + α
<10mmならMAP
・PLA(Posterior mitral Leaflet Angle)> 45°
・distal ALA(distal Anterior mitral Leaflet Angle )> 25°
・Tenting Area > 2.5cm2
・弁輪径、LV径、LA面積は大きいほうがMR再発が多い
→感度や特異度は高くない。
オプティカルスタイレットで挿管
2012年9月21日金曜日
2012年9月20日木曜日
麻酔と蘇生の歴史
初期研修医勉強会 担当:U先生
「麻酔と蘇生の歴史」
・紀元前4000年頃から西暦1840年代まで
→天然物を鎮痛薬として内服
→アヘン、大麻、マンドラゴラ、
ヒヨス、マンダラゲ、アルコールなど
・全身麻酔の始まり
1771:Joseph Priestley, Scheel(イギリス)
→O2、N2Oを発見
1795:Humphry Davy(イギリス)
→N2Oの鎮痛作用を確認
1804:華岡青洲(日本)
→通仙散を乳癌手術麻酔に用いる(156例)
1818:Michael Farady(イギリス)
→エーテルに催眠・鎮痛作用のあることを発見
・全身麻酔の発達
1842:Crawford W. Long(アメリカ)
→エーテルを用いて頸部の腫瘤摘出
1844:Horace Wells(アメリカ)
→笑気麻酔下に無痛で抜歯
1845:笑気麻酔の公開で失敗する
1846:William T.M. Morton(アメリカ)
→エーテル麻酔の公開を成功
1847:James Y.Simpson(イギリス)
→クロロホルム麻酔に成功
1878:William Macemen(イギリス)
→気管内挿管による全身麻酔が開始
1884:Carl Koller(ドイツ)
→コカインによる表面麻酔に成功
William S.Halsted(アメリカ)
→コカインを伝達麻酔に用いた
1898:August C.G.Bier(ドイツ)
→くも膜下腔にコカインを注入して脊髄麻酔
・合成麻薬の発見
1904:プロカインの合成
1947:リドカインの応用
1949:サクシニルコリンの筋弛緩作用発見
1955:ハロタンが使用される
1963:エンフルランの合成
1965:イソフルラン、フェンタニルの合成
1968:セボフルランの合成
・近代麻酔の完成
・ベクロニウム
・ロピバカイン
・プロポフォール(1989-臨床使用)
・レミフェンタニル
・スガマデクス
→これらは1980-2000年代に発見されている
・華岡青洲
・1804年10月13日、世界初の全身麻酔
・実験台は嫁、姑
・通仙散
・経口麻酔薬
・効果発現に時間を要する
・個人差が大きい
・通仙散の作り方
・マンダラゲ8分
・トリカブト2分
・ビャクシ2分
・トウキ2分
・センキュウ2分
・ナンセイシャ1分
(分=匁の1/10(375mg)。1匁=3.75g)
・通仙散の飲み方
①前スライドのものを細かく砕く
②熱湯に投じてかき混ぜる
③滓を取り除く
④温かいうちに飲む
→2-4時間で効果がみられる
ブレイク
「長崎とカステラ」
・麻酔器具の歴史
1831:プラバーズ注射器の発明
1854:中空の金属針開発
1886:アンプル完成
1895:直接喉頭鏡完成
1932:マッキントッシュブレード開発
1952:全プラスチックのディスポ注射器完成
・麻酔器の発達
1867:鼻と口を覆う笑気ガス吸入器製作
クロロホルム吸入器を開発
1872:笑気吸入器を製作
1877:携帯式麻酔器製作
1882:エーテルクロロホルム麻酔器開発
・蘇生法の歴史
・古代から
→温熱法・むち打ち法・ふいご法・燻煙法・逆さづり法・樽法等
18世紀:回転法(呼気・吸気を作る)
1848:世界初の術中死
1892:胸骨圧迫(120/分)を提唱
1901:開胸マッサージ
1911:VFの心電図記録
1937:除細動器の開発
1947:漏斗胸手術にVFを治療
1951:閉胸式除細動器開発
1956:口対口呼吸の人工呼吸の完成
1957:ABCの提唱
1960:非開胸式心臓マッサージの報告(20例中70%蘇生)
「麻酔と蘇生の歴史」
・紀元前4000年頃から西暦1840年代まで
→天然物を鎮痛薬として内服
→アヘン、大麻、マンドラゴラ、
ヒヨス、マンダラゲ、アルコールなど
・全身麻酔の始まり
1771:Joseph Priestley, Scheel(イギリス)
→O2、N2Oを発見
1795:Humphry Davy(イギリス)
→N2Oの鎮痛作用を確認
1804:華岡青洲(日本)
→通仙散を乳癌手術麻酔に用いる(156例)
1818:Michael Farady(イギリス)
→エーテルに催眠・鎮痛作用のあることを発見
・全身麻酔の発達
1842:Crawford W. Long(アメリカ)
→エーテルを用いて頸部の腫瘤摘出
1844:Horace Wells(アメリカ)
→笑気麻酔下に無痛で抜歯
1845:笑気麻酔の公開で失敗する
1846:William T.M. Morton(アメリカ)
→エーテル麻酔の公開を成功
1847:James Y.Simpson(イギリス)
→クロロホルム麻酔に成功
1878:William Macemen(イギリス)
→気管内挿管による全身麻酔が開始
1884:Carl Koller(ドイツ)
→コカインによる表面麻酔に成功
William S.Halsted(アメリカ)
→コカインを伝達麻酔に用いた
1898:August C.G.Bier(ドイツ)
→くも膜下腔にコカインを注入して脊髄麻酔
・合成麻薬の発見
1904:プロカインの合成
1947:リドカインの応用
1949:サクシニルコリンの筋弛緩作用発見
1955:ハロタンが使用される
1963:エンフルランの合成
1965:イソフルラン、フェンタニルの合成
1968:セボフルランの合成
・近代麻酔の完成
・ベクロニウム
・ロピバカイン
・プロポフォール(1989-臨床使用)
・レミフェンタニル
・スガマデクス
→これらは1980-2000年代に発見されている
・華岡青洲
・1804年10月13日、世界初の全身麻酔
・実験台は嫁、姑
・通仙散
・経口麻酔薬
・効果発現に時間を要する
・個人差が大きい
・通仙散の作り方
・マンダラゲ8分
・トリカブト2分
・ビャクシ2分
・トウキ2分
・センキュウ2分
・ナンセイシャ1分
(分=匁の1/10(375mg)。1匁=3.75g)
・通仙散の飲み方
①前スライドのものを細かく砕く
②熱湯に投じてかき混ぜる
③滓を取り除く
④温かいうちに飲む
→2-4時間で効果がみられる
ブレイク
「長崎とカステラ」
・麻酔器具の歴史
1831:プラバーズ注射器の発明
1854:中空の金属針開発
1886:アンプル完成
1895:直接喉頭鏡完成
1932:マッキントッシュブレード開発
1952:全プラスチックのディスポ注射器完成
・麻酔器の発達
1867:鼻と口を覆う笑気ガス吸入器製作
クロロホルム吸入器を開発
1872:笑気吸入器を製作
1877:携帯式麻酔器製作
1882:エーテルクロロホルム麻酔器開発
・蘇生法の歴史
・古代から
→温熱法・むち打ち法・ふいご法・燻煙法・逆さづり法・樽法等
18世紀:回転法(呼気・吸気を作る)
1848:世界初の術中死
1892:胸骨圧迫(120/分)を提唱
1901:開胸マッサージ
1911:VFの心電図記録
1937:除細動器の開発
1947:漏斗胸手術にVFを治療
1951:閉胸式除細動器開発
1956:口対口呼吸の人工呼吸の完成
1957:ABCの提唱
1960:非開胸式心臓マッサージの報告(20例中70%蘇生)
血液凝固とPoint of Care
麻酔科勉強会 担当:Y先生
「血液凝固とPoint of Care」
・Waterfall model (1964)
・一般凝固機能、抗凝固薬の作用機序の原理を理解するには便利
・生体内の血液凝固を説明する上で正確ではない
・複雑?
・Cell-based model
・生体内の血液凝固をより正確に反映するモデル
・血小板の活性化
①血管損傷部位
→GPIb/IXはvW因子を介して露出されたコラーゲンに粘着。
②血管外の組織因子も露出
→血中の活性型VII因子と結合
→Xaを経て微量のトロンビン(IIa)発生。
③コラーゲンとトロンビンはそれぞれGPVIとPAR1を活性化
→局所の血小板凝集を活性化する
・血小板活性化の波及
・活性化された血小板はADPやトロンボキサンA2を放出
→周囲の血小板も二次的に活性化。
→活性化した血小板はフィブリノゲンと結合。
・血小板の凝集
・活性化をうけた血小板はGPIIb/IIIbを多数発現。
・このレセプターにvW因子またはフィブリノゲンが結合。
・多数の血小板が血管損傷部位を覆う(一次止血)
・クロット形成
・活性化した血小板表面
→微量のトロンビンがV、VIII、XI因子を活性化する
・X因子活性化酵素による効率的なトロンビン産生。
→十分な量のトロンビン
→フィブリノゲンをXIIIa因子のもと安定化フィブリン重合化へ。
→最終的に強固なclotが形成される。
・従来の凝固検査
→生体内での血液凝固を説明するものとして必ずしも正確ではない
・PT、APTT
・血漿成分での評価
・フィブリンが析出するまでの時間の測定
・血餅の強度の評価ができない
・線溶系の評価ができない
・PT
・外因系凝固カスケードの活性をスクリーニング
・クエン酸加被検血漿に組織TPとCa2+を含んだ試薬を添加
→フィブリン析出までの時間を測定する
・APTT
・内因系凝固カスケードの活性をスクリーニング
・クエン酸加被検血漿
・組織TPとCa2+を含んだ試薬を添加
・フィブリン析出までの時間を測定する(PTT)。
・さらにセライトやカオリン、エラジン酸などの陰性荷電物質を添加
→XII因子などの接触物質の十分な活性化
→安定で制度の高い方法にした検査(APTT)
・ACT
・全血凝固検査法
・活性化凝固時間
・高容量域のヘパリン効果はAPTTでは評価できない
・ベットサイドで測定可能
・活性化剤を混じたテストtube内に血液を入れる
→凝固塊形成
→tube内の棒磁石が重力に抗して回転移動。
・Point of Careモニター
・代表的な機器
・トロンボエラストグラフ(TEG®:Thrombelastograph)
・トロンボエラストメトリー(ROTEM®: Thromboelastometry)
・ソノクロット(Sonoclot®)
・point of careモニター
・装置が小型である(設置や移動が容易であること)
・検体の前処理(遠心分離など)が不要である
・測定時間が短い
・比較的少量の検体で測定できる
・結果の解釈が容易である
・臨床的再現性が高い
・従来の凝固検査と異なる点
・全血検査なので血小板と凝固因子の相互作用を評価できる
・凝固反応の速度を測定できる点
・血餅の弾性粘張度の変化を測定する
→止血血栓の強度を計測できる点
・凝固過程だけではなく線溶過程も評価できる
・凝固・線溶過程を波形から視覚的にも評価できる点
・簡単にROTEM
・INTEM、EXTEMのCTはそれぞれAPTT、PTに相当
・CTは凝固因子活性を反映
・MCFはフィブリノゲン、血小板数に影響を受ける
・FIBTEMはフィブリノゲンのレベルと相関する
・FIBTEMのMCFが10mm以下orEXTEMのCTが正常の1.5倍以上
→フィブリノゲン製剤の投与指標となる
・APTEM-EXTEMで線溶系の異常
・INTEM-HEPTEMでヘパリンの影響
・臨床応用
・心臓手術の術後出血管理
→TEG導入後、輸血使用量を、著しく減らすことが可能になった。
・集中治療室での外傷ケアに推奨
・肝移植で輸血量の減少
「血液凝固とPoint of Care」
・Waterfall model (1964)
・一般凝固機能、抗凝固薬の作用機序の原理を理解するには便利
・生体内の血液凝固を説明する上で正確ではない
・複雑?
・Cell-based model
・生体内の血液凝固をより正確に反映するモデル
・血小板の活性化
①血管損傷部位
→GPIb/IXはvW因子を介して露出されたコラーゲンに粘着。
②血管外の組織因子も露出
→血中の活性型VII因子と結合
→Xaを経て微量のトロンビン(IIa)発生。
③コラーゲンとトロンビンはそれぞれGPVIとPAR1を活性化
→局所の血小板凝集を活性化する
・血小板活性化の波及
・活性化された血小板はADPやトロンボキサンA2を放出
→周囲の血小板も二次的に活性化。
→活性化した血小板はフィブリノゲンと結合。
・血小板の凝集
・活性化をうけた血小板はGPIIb/IIIbを多数発現。
・このレセプターにvW因子またはフィブリノゲンが結合。
・多数の血小板が血管損傷部位を覆う(一次止血)
・クロット形成
・活性化した血小板表面
→微量のトロンビンがV、VIII、XI因子を活性化する
・X因子活性化酵素による効率的なトロンビン産生。
→十分な量のトロンビン
→フィブリノゲンをXIIIa因子のもと安定化フィブリン重合化へ。
→最終的に強固なclotが形成される。
・従来の凝固検査
→生体内での血液凝固を説明するものとして必ずしも正確ではない
・PT、APTT
・血漿成分での評価
・フィブリンが析出するまでの時間の測定
・血餅の強度の評価ができない
・線溶系の評価ができない
・PT
・外因系凝固カスケードの活性をスクリーニング
・クエン酸加被検血漿に組織TPとCa2+を含んだ試薬を添加
→フィブリン析出までの時間を測定する
・APTT
・内因系凝固カスケードの活性をスクリーニング
・クエン酸加被検血漿
・組織TPとCa2+を含んだ試薬を添加
・フィブリン析出までの時間を測定する(PTT)。
・さらにセライトやカオリン、エラジン酸などの陰性荷電物質を添加
→XII因子などの接触物質の十分な活性化
→安定で制度の高い方法にした検査(APTT)
・ACT
・全血凝固検査法
・活性化凝固時間
・高容量域のヘパリン効果はAPTTでは評価できない
・ベットサイドで測定可能
・活性化剤を混じたテストtube内に血液を入れる
→凝固塊形成
→tube内の棒磁石が重力に抗して回転移動。
・Point of Careモニター
・代表的な機器
・トロンボエラストグラフ(TEG®:Thrombelastograph)
・トロンボエラストメトリー(ROTEM®: Thromboelastometry)
・ソノクロット(Sonoclot®)
・point of careモニター
・装置が小型である(設置や移動が容易であること)
・検体の前処理(遠心分離など)が不要である
・測定時間が短い
・比較的少量の検体で測定できる
・結果の解釈が容易である
・臨床的再現性が高い
・従来の凝固検査と異なる点
・全血検査なので血小板と凝固因子の相互作用を評価できる
・凝固反応の速度を測定できる点
・血餅の弾性粘張度の変化を測定する
→止血血栓の強度を計測できる点
・凝固過程だけではなく線溶過程も評価できる
・凝固・線溶過程を波形から視覚的にも評価できる点
・簡単にROTEM
・INTEM、EXTEMのCTはそれぞれAPTT、PTに相当
・CTは凝固因子活性を反映
・MCFはフィブリノゲン、血小板数に影響を受ける
・FIBTEMはフィブリノゲンのレベルと相関する
・FIBTEMのMCFが10mm以下orEXTEMのCTが正常の1.5倍以上
→フィブリノゲン製剤の投与指標となる
・APTEM-EXTEMで線溶系の異常
・INTEM-HEPTEMでヘパリンの影響
・臨床応用
・心臓手術の術後出血管理
→TEG導入後、輸血使用量を、著しく減らすことが可能になった。
・集中治療室での外傷ケアに推奨
・肝移植で輸血量の減少
登録:
投稿 (Atom)