麻酔科勉強会 担当:K先生
「Acute Pain Management in the Perioperative Setting」
・このガイドラインで取り扱うのは?
・術後患者に生じる疼痛
・術後疼痛を軽減あるいは取り除くための、
術前、術中、術後における活動
・ガイドライン目的
1.周術期における急性疼痛管理の安全性と有効性を促進する。
2.有害転帰のリスクを減少する。
3.患者の機能的能力や、肉体的、精神的に健康な状態を維持する。
4.周術期に急性疼痛を持つ患者の、生活の質を向上させる。
Ⅰ:周術期疼痛管理における施設の方針と体制
1.医療従事者の教育と訓練
2.患者アウトカムの監視
3.監視内容の記録
4.施設水準のモニタリング
5.周術期疼痛管理を行う麻酔科医の24時間対応
6.acute pain serviceの利用
・教育プログラムは、疼痛レベルとPONVを減少させ、
患者満足度を上昇させるかもしれない。(Category B2)
・患者レベル、施設レベルでのアウトカムの監視や、
麻酔科医の24時間対応に関する十分なエビデンスはない。
(Category D)
・疼痛アウトカムに関する記録は、
十分に行われていないかもしれない。(Category B2)
・acute pain serviceは、周術期の疼痛を軽減するかもしれない。
(Category B2)
・Recommendations
・麻酔科医は他職種と協力し、
継続的な教育活動に努めること。
・標準的、効率的な方法で疼痛管理を行い、
その結果を監視、記録すること。
・麻酔科医は、周術期疼痛管理に関する問い合わせに
いつでも対応すること。
・麻酔科医はAcute Pain Serviceの枠組みにならって
周術期の鎮痛を行うこと。
Ⅱ:術前評価
・術前の疼痛に関する病歴聴取、理学所見、他科との協議に関する
十分なエビデンスはない。(Category D)
・Recommendation
術前評価において、疼痛に関する病歴、理学所見をとり、
疼痛コントロールの計画を立てること。
Ⅲ:患者の術前準備
1.離脱症候群を引き起こす可能性がある薬剤の調節または継続
2.既存の疼痛や不安の軽減
3.マルチモーダル鎮痛としての前投薬
4.行動療法を含む、患者と家族への教育
・離脱症候群を引き起こす可能性がある薬剤の調節または
継続に関する十分なエビデンスはない。(Category D)
・既存の疼痛軽減や、マルチモーダル鎮痛を目的とした
術前治療に関する十分なエビデンスはない。(Category D)
・疼痛、鎮痛薬の使用、不安、在院期間における、
患者と家族への教育効果ははっきりしない。(Category C2)
・Recommendations
・術前準備において、離脱症候群の予防、
既存の疼痛コントロール、術前からの
術後疼痛管理を考慮すること。
・麻酔科医は他職種と協力し、患者と家族に対して
術後疼痛管理に関する教育を行うこと。
Ⅳ:周術期の疼痛管理テクニック
1.Central regional opioid analgesia
2.PCA with systemic opioids
3.Peripheral regional techniques
・Recommendations
・麻酔科医は症例ごとにリスクとベネフィットを考慮し、
種々の疼痛管理テクニックを用いること。
・疼痛管理に関するテクニックは、麻酔科医の技量や
状況の安全域に応じて選択すること。
・特に持続投与法の際には、薬物の蓄積に注意すること。
Ⅴ:疼痛管理における マルチモーダルテクニック
・Recommendations
・可能な限り、マルチモーダルな疼痛管理を行うこと。
・有害事象のリスクは最小限にしつつ、
効果的な投与量を決めること。
・薬剤の選択、投与量、経路、期間は症例ごとに決めること。
Ⅵ:患者群ごとの問題点
1.小児
2.高齢者
3.重症患者、認知機能低下患者、その他の意思疎通が困難な患者
・高齢者は若年者と比べて、周術期に投与される
鎮痛薬が少ないかもしれない。(Category B2)
・意思疎通が困難な患者特有の、疼痛評価や疼痛管理に関する
十分なエビデンスはない。(Category D)
・Recommendations
・小児においても、発達に応じた疼痛管理を積極的に行う。
・高齢者には認知機能に応じた評価を行い、
基礎疾患や、常用薬との薬物相互作用に注意すること。
・意思疎通が困難な患者では付加的な介入を考慮し、
興奮状態が見られた場合には鎮痛薬の投与を検討すること。