ICU勉強会 担当:T先生
「短腸症候群」
・Short bowel syndrome(SBS)
・小腸の広範囲切除による吸収不良症候群。
・原因疾患
・クローン病、悪性腫瘍、放射線治療後、血流不全など
・経口摂取を開始できるかどうか
→残存小腸長が重要な要素
・中心静脈栄養について
・残存小腸が
・180cm以下ならSBSになるかかも
・60cm以下ならPNが必須に
・残存小腸の変化
・空腸は大部分の栄養素の主な消化吸収部位
→空腸切除によって栄養吸収が有意に低下
→回腸の絨毛の長さが伸びる。
→吸収機能が亢進し、適応していく。
→結果として栄養吸収が徐々に改善する。
・回腸
・B12,胆汁酸の吸収
・60cm以上切断すると低下する
・回腸の切除が100cm以下
→汁酸の喪失は肝臓が代償する
→吸収されなかった胆汁が結腸で過剰となり下痢に。
・100cm以上の切断
→胆汁酸濃度が下がる。
→十二指腸での脂肪と脂溶性ビタミンの吸収が低下
→ビタミンB12および胆汁酸は回腸で吸収される。
・回腸を100cm以上切除した場合
→重度の下痢および吸収不良が起こる。
→残存空腸の代償性適応は認められない。
→脂肪,脂溶性ビタミン,ビタミンB12の吸収不良
・回盲弁の消失
→小腸通過時間が短くなる
→栄養吸収障害が起こる
・結腸の細菌が回腸末端にトランスロケーション
→ビタミンB12や胆汁酸の吸収が落ちる
→下痢になる
・結腸内の非吸収胆汁酸
→分泌性下痢の原因となる。
・切除部位では?
・結腸温存
→水分および電解質喪失が有意に減少する。
・回腸末端および回盲弁の切除
→腸内細菌異常増殖の素因となることがある。
・管理(早期)
・水分、電解質のモニタリング。
・初めのゴール
→PNで電解質異常と水分異常を防ぐこと
・H2blocker投与で胃酸の過分泌を防ぐ
→pHの変化による脂質の吸収が低下する
→安定したら経腸栄養を再開する
・ソマトスタチンが消化液の分泌を減らす。
・状態が安定し排便量が2L/dayになったら
→Naおよびブドウ糖の経口等浸透圧液を徐々に開始。
→後半切除患者は生涯TPN
・食後に下痢をする患者は食事1時間前に止瀉薬。
・コレスチラミン2-4gを毎食時に。
・ビタミンB12欠乏患者は1日1回筋注。
・Ca、Mgも補充
・H2RA、PPI
・栄養は?
・持続的腸管栄養か少量頻回投与
・PNのテーパリング
・クスリ
・H2blockerなどは胃液膵液の過剰分泌を防ぐ。
・ロペラミド
・クスリの吸収
・薬剤はほとんどが胃や近位小腸で吸収される
→効果が保たれることが多い
・腸液コーティングはやめとくべし
・手術療法
・小腸移植