初期研修医勉強会 担当:F先生
「挿管困難と顔貌」
・開口度
・下顎骨ー側頭骨関節機能
・口が開かなくては始まらない
・最大開口時の上下前歯間距離
・通常2.5~3横指幅
・2横指幅以下⇒喉頭鏡のブレード挿入、操作が困難
・上顎前歯の突出
・喉頭鏡操作および視線の妨げになる。
→挿管困難の可能性が高くなる
・ブレードによる歯の損傷の可能性も高くなる
・マランパチー分類
・ClassⅠ、Ⅱでは喉頭展開しやすい
・ClassⅢ、Ⅳでは挿管困難が多い
・下顎のスペース
・挿管困難が予測される場合は・・・
・下顎ー舌骨間距離 2横指以下
・下顎甲状軟骨隆起間距離が6.5cm以上
・頸部伸展度
・喉頭展開
→口腔・咽頭・喉頭の軸を一致させたい
→頭部をさらに伸展させる必要がある。
・環椎ー後頭骨関節機能障害(慢性関節リウマチ)など
→頭を後屈するのが困難
→挿管困難の可能性が高くなる。
・その他頭部、頸部、顔面の評価
・頭が短い
・頭部・顔面・頚部の外傷
・高度肥満
・挿管困難対策
・ファイバースコープ下挿管
・気管支ファイバースコープを使用する主な目的
①分離肺換気デバイスの操作
②挿管困難
③喀痰吸引や無気肺の解除など
・喉頭の観察
→経鼻的に行う方が経口的に行うよりも容易。
・気管内チューブの挿入
→角度的に経鼻の方が進みやすい.
・経口の場合は舌をうまくよけておく必要
・バーマンエアウェイTを使用する。
・Airway Scope
・2006年7月登場。
・日本のペンタックス社(現HOYA株式会社)。
・一般名称はビデオ硬性挿管用喉頭鏡
・ディスポーザブルの喉頭鏡
→イントロック(ITL).
・AWSの利点
①通常の喉頭鏡よりも視野が良好
②優れた気管チューブ誘導機能がある
③頭頸部の位置を動かす必要がない。
→自然位で挿管可能(頸椎病変患者に有用)
④イントロックに吸引カテーテルを挿入できる。
→挿管操作中の吸引操作が容易
⑤液晶モニター。
→より多くの人に挿管状況の観察が可能
・欠点
①高価。本体850,000円、ITL=1箱5本入り12,500円
②開口制限時は使用困難(開口量18mm以下では使用不能)
③歯の脆弱がある場合、挿入・操作が困難
④曇り止めが必要
⑤分泌物や出血が多いと視野閉塞の可能性あり
⑥歯の脆弱がある場合、挿入・操作が困難
・Bullard型喉頭鏡
・気道の解剖に. 基づきJ字型にデザイン
・内視鏡を有する喉頭鏡
・気管内チュ-ブが通過できる程度の開口が可能
→かなり高確率で挿管が可能
・盲目的経鼻挿管
・適度の鎮静を効かせる。
・経鼻で気管内チューブを通す。
・呼吸音を頼りに患者の吸気に合わせてチューブを進める。
・挿管する.
・トラキライト
・ラリンジアルマスク
・利点
・挿入は気管挿管よりも容易、盲目的に挿入可能。
・効果はバッグマスク法よりも確実。
・酸素化、陽圧喚起能力は気管挿管とほぼ同等。
・声門を通らないため、侵襲は気管挿管よりも小さい
・欠点
・気管と食道が完全に分離されない
・マスクから漏れが大きいときは陽圧換気が不十分
・声門下の気道閉塞(腫瘍・浮腫)には無効
・逆行性挿管
・E-line
→Esthetic-line
・1954年 Rickettsが提唱
・美しい口もとの基準とされる線
・軟組織顔貌上の鼻の先端-オトガイ部最突出点を結ぶ直線
・東洋人の骨格
→E-lineに上下の口唇が接するか
やや後退している状態が美しいとされている。
・Profileの分類
・美しい顔の条件
・アリストテレス
→美は「秩序とシンメトリーの明確さ」にある.
・プロティノス
→「美しいものは本質的にシンメトリーをなす.」
・新古典派やルネサンス期の基準
・「耳の長さと鼻の長さが同一である」
・「眼間距離が鼻の幅と同一である」
・「口裂の幅が鼻の幅の1.5 倍である」
・正面観
①対称性
→ヒトの顔は非対称.
・右半分が大きい。
・中顔面より下顔面に下がるにつれて左方偏位を示す.
→正中に対してオトガイが4mmずれると・・・
顔が非対称であることに人は気付く.
①顔面高
・上中下顔面の比率が均等な顔の下顔面高
→総顔面の高の±13~15%変化させると・・・
→長い(or短い)顔と認識される。
・不正咬合
・遺伝的要因
・環境的要因
・口腔習癖
・齲蝕、歯周疾患
・顎関節障害
・鼻咽腔疾患
・歯ぎしり
・外傷
・ハプスブルグ家における骨格性下顎前突の家系集積