2012年11月8日木曜日

周術期の内分泌機能

麻酔の問題集  担当:K先生

「ENDOCRINE FUNCTION」

問題1:コルチゾールの生理に関する問題

・糖質コルチコイド(糖質コルチコイド>電解質コルチコイド)
・15-25mg/day分泌されている。
・Corticosteroid binding globulin(CBG)と結合している。
・生理活性あるのは遊離のcortisolのみ。
・早朝に最高値、夜間に最低値となる日内変動

・糖質コルチコイドの作用
  ・代謝作用
    ・糖新生を促す。
      →タンパクを片っ端から糖に。
      →筋萎縮
  ・抗インスリン作用。
    →末梢の糖利用を抑制。血糖値↑、グリコーゲン合成↑
  ・脂肪分解↑。血中遊離脂肪酸↑。
  ・水利尿作用
    →糸球体濾過量増加作用。抗利尿ホルモンに拮抗。
  ・電解質作用
    →電解質コルチコイド活性
    →Na+を再吸収。H+とK+の分泌を促す。
  ・免疫に対する作用
    →末梢血中の白血球数↑↑
    →好中球遊走阻害→抗炎症作用
  ・末梢血中のリンパ球、好酸球、好塩基球数↓↓
    →抗アレルギー、抗炎症作用
  ・アラキドン酸カスケード阻害
  ・リソソームの安定化
  ・肉芽形成阻害
  ・骨
    →骨芽細胞抑制
  ・Ca吸収抑制作用
    →骨粗鬆症
  ・神経系
    ・過剰:精神的な不安定。不眠。集中力低下
    ・欠乏:易疲労感。脱力感。
・感染症診療でステロイドの使用
  ・相対的副腎不全に対する低容量ステロイド
    →内分泌疾患の既往、ステロイドの使用歴なければ、
     ショックを呈していないsepsis患者にステロイドはダメ。
  ・小児髄膜炎(H.influenzae type B)
  ・成人髄膜炎(Streptococcus pneumoniae)
   →細菌を破壊する事で生じる炎症カスケードをblock、難聴を防ぐ。
   →抗菌薬が入る直前か同時に投与しないと意味がなくなる。

問題2:コルチゾールの生理に関する問題Part2

 ・PONVとステロイド
  ・8 mg dexamethasoneはgradeAで術後鎮痛と悪心•嘔吐対策に有効。
    →高いエビデンスがある。

問題3:ステロイドカバーに関する問題
 ・ステロイド必要量
   →視床下部−下垂体−副腎系により調節される。
 ・ステロイド服用
   →視床下部−下垂体−副腎系の抑制が起こる可能性がある。
  ・ステロイドの投与量、中止期間が関与。
  ・視床下部−下垂体−副腎系が抑制されていると、
   手術時に本来分泌されるべきコルチゾール分泌が不十分になり、
   急性副腎不全となりショックを起こす事が懸念されてきた。
 ・ステロイドカバーの強いエビデンスは存在しない。
 ・個々の患者にあわせた適切な投与量、投与間隔を検討する必要。


問題4:レニン・アンジオテンシン系に関する問題

・レニン・アンジオテンシン系の全体像
・傍糸球体装置の役割
・腎臓低灌流によって起こる変化
  →傍糸球体装置:交感神経末端(β)↑↑
  →マクラデンサ:原尿中Cl-量↓↓
  →腎臓輸入細動脈の弛緩
  →レニン分泌
   →アンギオテンシノーゲン(肝臓)
   →アンギオテンシンⅠ
   →アンギオテンシンⅡ 
・交感神経系の緊張
 →アルドステロン分泌↑↑(副腎皮質)
    →Na+再吸収↑↑H+、K+排泄↑↑(集合管)
  →尿細管にてNa+,Cl-の再吸収とK+の排泄
  →動脈収縮
  →下垂体後葉での抗利尿ホルモン分泌の促進
  →腎灌流を改善する
・周術期のACEi、ARBについて

問題5:周術期の低血糖に関する問題



  11月から麻酔科に来てくれた研修医Y先生