麻酔科勉強会 担当:Y先生
「血液凝固とPoint of Care」
・Waterfall model (1964)
・一般凝固機能、抗凝固薬の作用機序の原理を理解するには便利
・生体内の血液凝固を説明する上で正確ではない
・複雑?
・Cell-based model
・生体内の血液凝固をより正確に反映するモデル
・血小板の活性化
①血管損傷部位
→GPIb/IXはvW因子を介して露出されたコラーゲンに粘着。
②血管外の組織因子も露出
→血中の活性型VII因子と結合
→Xaを経て微量のトロンビン(IIa)発生。
③コラーゲンとトロンビンはそれぞれGPVIとPAR1を活性化
→局所の血小板凝集を活性化する
・血小板活性化の波及
・活性化された血小板はADPやトロンボキサンA2を放出
→周囲の血小板も二次的に活性化。
→活性化した血小板はフィブリノゲンと結合。
・血小板の凝集
・活性化をうけた血小板はGPIIb/IIIbを多数発現。
・このレセプターにvW因子またはフィブリノゲンが結合。
・多数の血小板が血管損傷部位を覆う(一次止血)
・クロット形成
・活性化した血小板表面
→微量のトロンビンがV、VIII、XI因子を活性化する
・X因子活性化酵素による効率的なトロンビン産生。
→十分な量のトロンビン
→フィブリノゲンをXIIIa因子のもと安定化フィブリン重合化へ。
→最終的に強固なclotが形成される。
・従来の凝固検査
→生体内での血液凝固を説明するものとして必ずしも正確ではない
・PT、APTT
・血漿成分での評価
・フィブリンが析出するまでの時間の測定
・血餅の強度の評価ができない
・線溶系の評価ができない
・PT
・外因系凝固カスケードの活性をスクリーニング
・クエン酸加被検血漿に組織TPとCa2+を含んだ試薬を添加
→フィブリン析出までの時間を測定する
・APTT
・内因系凝固カスケードの活性をスクリーニング
・クエン酸加被検血漿
・組織TPとCa2+を含んだ試薬を添加
・フィブリン析出までの時間を測定する(PTT)。
・さらにセライトやカオリン、エラジン酸などの陰性荷電物質を添加
→XII因子などの接触物質の十分な活性化
→安定で制度の高い方法にした検査(APTT)
・ACT
・全血凝固検査法
・活性化凝固時間
・高容量域のヘパリン効果はAPTTでは評価できない
・ベットサイドで測定可能
・活性化剤を混じたテストtube内に血液を入れる
→凝固塊形成
→tube内の棒磁石が重力に抗して回転移動。
・Point of Careモニター
・代表的な機器
・トロンボエラストグラフ(TEG®:Thrombelastograph)
・トロンボエラストメトリー(ROTEM®: Thromboelastometry)
・ソノクロット(Sonoclot®)
・point of careモニター
・装置が小型である(設置や移動が容易であること)
・検体の前処理(遠心分離など)が不要である
・測定時間が短い
・比較的少量の検体で測定できる
・結果の解釈が容易である
・臨床的再現性が高い
・従来の凝固検査と異なる点
・全血検査なので血小板と凝固因子の相互作用を評価できる
・凝固反応の速度を測定できる点
・血餅の弾性粘張度の変化を測定する
→止血血栓の強度を計測できる点
・凝固過程だけではなく線溶過程も評価できる
・凝固・線溶過程を波形から視覚的にも評価できる点
・簡単にROTEM
・INTEM、EXTEMのCTはそれぞれAPTT、PTに相当
・CTは凝固因子活性を反映
・MCFはフィブリノゲン、血小板数に影響を受ける
・FIBTEMはフィブリノゲンのレベルと相関する
・FIBTEMのMCFが10mm以下orEXTEMのCTが正常の1.5倍以上
→フィブリノゲン製剤の投与指標となる
・APTEM-EXTEMで線溶系の異常
・INTEM-HEPTEMでヘパリンの影響
・臨床応用
・心臓手術の術後出血管理
→TEG導入後、輸血使用量を、著しく減らすことが可能になった。
・集中治療室での外傷ケアに推奨
・肝移植で輸血量の減少