2012年10月11日木曜日

麻酔の問題集(Airway Management)

麻酔の問題集(Clinical Anesthesia)  担当:T先生

「Airway Management」


第1問:術前酸素投与に関する問題

・肺の機能的残気量が酸素の貯蔵場所:30ml/kg
・100%酸素5分間の吸入
  →SpO2が90%以下に低下するまで数分間
  →この間の無呼吸時間が許容
・前酸素化=脱窒素化
・迅速導入
 →バックマスク換気を行わない
 →事前に酸素化を行う必要

第2問:術前酸素投与に関する問題Part2

・room airで導入すると2分間でSpO2は90%以下になる
・FiO21.0で5分間前酸素化を行うと10分間に伸びる
・5分間の前酸素化の代替として・・・
  →60秒で8回の深呼吸を行う
    =脱窒素を行う!
・4回の深呼吸で脱窒素化できる
・肥満者にはBiPAPや25度程度のhead-upが有効.
・マスクはしっかりfitさせないとFiO21.0にならない
・機能的残気量の69%は窒素で占められている
  →これ酸素に置き換える

第3問:マスク換気に関する問題

・sniffing position により舌根部と喉頭蓋が前方推移する
・入れ歯などの補綴物が有る方が換気しやすい
  →脱落には注意!
  →ちなみに湿らせたガーゼを入れるとかもあり
・マスク換気のみで麻酔を維持しても良い
  →ただしフルストマックなど禁忌がない場合
・健常な肺を膨らますのには圧は20-25cmH2Oで十分
  →20cmH2O以上圧を掛けると胃が膨れる

ブレイク
「夏休みは北欧へ行ってきました」

第4問:声門上器具に関する問題

・利点
  ・侵襲が少ない
  ・筋弛緩の必要性が少ない
  ・覚醒時に咳反射が少ない
・欠点
  ・一般的に誤嚥の恐れのある症例には禁忌、
  ・気道内圧20cmH2O以下が推奨される
・どのような症例が適応か?
  ・気道が術野と競合しない
  ・嘔吐を誘発しない
  ・高い気道内圧を必要としない場合
    →ラパロ下手術は?
     →気腹で腹圧上昇
     →換気に高めの圧を要し胃からの逆流の恐れも高まる
     →慣れた人なら可能

第5問:声門上器具に関する問題Part2

・喘息がある場合は?
  →気管内挿管は気道への刺激が強い
  →喘息発作の強力なトリガーとなる。
  →LMAをもちいれば挿管をさけることができる。
  →喘息の症例には進んで用いてよい。
・麻酔深度を得てからLMAを挿入
  →術中も深めの麻酔で維持する。
・喘息症例で挿管が必要なときは?
  →まずLMAを挿入
  →セボフルランでさらに麻酔を深くしてから挿管
  →覚醒の時は深麻酔下で抜管
  →その後LMAを挿入し、覚醒まで待つ
     ・・・という方法もある。
・LMA抜去タイミングは?
  ・深麻酔下 or protect airway reflexesが回復してから
  ・興奮期に抜けば咳or喉頭痙攣を起こす
  ・LMAは気管~気管支の敏感なところに位置しない
    →喘息患者が喘鳴を起こす訳ではない
  ・抜去のタイミング
    →LMAの抜去時deflatedせずにinflatedしたまま抜去
    →分泌物を一緒に掬い出す
・LMAの欠点と合併症
  ・LMAの位置異常
  ・粘膜損傷と咽頭痛:10%程度
  ・胃の膨張 但しバックバルブマスクよりは優れている
  ・胃内容物の逆流と誤嚥:0.02%程度
  ・カフの膨らませすぎ N2Oによりカフ圧が上がる
  ・神経障害 高いカフ圧や位置以上が原因
  ・縦隔炎と咽後膿瘍の症例報告あり
・LMAの利点
  ・DAM症例
  ・気管挿管と比べて・・・
    ・挿入時の局所障害が少ない。
    ・血行動態の変動が少ない
  ・訓練を受けていない人でも使用可能
  ・気道過敏性のある患者でも使える
  ・気管挿管と比べて眼圧上昇が少ない
  ・気管挿管と比べて咽頭痛・嗄声の頻度が少ない
  ・マスクより密着性がよく手が疲れない
  ・バックマスク換気と比べて胃の膨張が少ない