麻酔の問題集(Clinical Anesthesia) 担当:T先生
「Airway Management」
第1問:術前酸素投与に関する問題
・肺の機能的残気量が酸素の貯蔵場所:30ml/kg
・100%酸素5分間の吸入
→SpO2が90%以下に低下するまで数分間
→この間の無呼吸時間が許容
・前酸素化=脱窒素化
・迅速導入
→バックマスク換気を行わない
→事前に酸素化を行う必要
第2問:術前酸素投与に関する問題Part2
・room airで導入すると2分間でSpO2は90%以下になる
・FiO21.0で5分間前酸素化を行うと10分間に伸びる
・5分間の前酸素化の代替として・・・
→60秒で8回の深呼吸を行う
=脱窒素を行う!
・4回の深呼吸で脱窒素化できる
・肥満者にはBiPAPや25度程度のhead-upが有効.
・マスクはしっかりfitさせないとFiO21.0にならない
・機能的残気量の69%は窒素で占められている
→これ酸素に置き換える
第3問:マスク換気に関する問題
・sniffing position により舌根部と喉頭蓋が前方推移する
・入れ歯などの補綴物が有る方が換気しやすい
→脱落には注意!
→ちなみに湿らせたガーゼを入れるとかもあり
・マスク換気のみで麻酔を維持しても良い
→ただしフルストマックなど禁忌がない場合
・健常な肺を膨らますのには圧は20-25cmH2Oで十分
→20cmH2O以上圧を掛けると胃が膨れる
ブレイク
「夏休みは北欧へ行ってきました」
第4問:声門上器具に関する問題
・利点
・侵襲が少ない
・筋弛緩の必要性が少ない
・覚醒時に咳反射が少ない
・欠点
・一般的に誤嚥の恐れのある症例には禁忌、
・気道内圧20cmH2O以下が推奨される
・どのような症例が適応か?
・気道が術野と競合しない
・嘔吐を誘発しない
・高い気道内圧を必要としない場合
→ラパロ下手術は?
→気腹で腹圧上昇
→換気に高めの圧を要し胃からの逆流の恐れも高まる
→慣れた人なら可能
第5問:声門上器具に関する問題Part2
・喘息がある場合は?
→気管内挿管は気道への刺激が強い
→喘息発作の強力なトリガーとなる。
→LMAをもちいれば挿管をさけることができる。
→喘息の症例には進んで用いてよい。
・麻酔深度を得てからLMAを挿入
→術中も深めの麻酔で維持する。
・喘息症例で挿管が必要なときは?
→まずLMAを挿入
→セボフルランでさらに麻酔を深くしてから挿管
→覚醒の時は深麻酔下で抜管
→その後LMAを挿入し、覚醒まで待つ
・・・という方法もある。
・LMA抜去タイミングは?
・深麻酔下 or protect airway reflexesが回復してから
・興奮期に抜けば咳or喉頭痙攣を起こす
・LMAは気管~気管支の敏感なところに位置しない
→喘息患者が喘鳴を起こす訳ではない
・抜去のタイミング
→LMAの抜去時deflatedせずにinflatedしたまま抜去
→分泌物を一緒に掬い出す
・LMAの欠点と合併症
・LMAの位置異常
・粘膜損傷と咽頭痛:10%程度
・胃の膨張 但しバックバルブマスクよりは優れている
・胃内容物の逆流と誤嚥:0.02%程度
・カフの膨らませすぎ N2Oによりカフ圧が上がる
・神経障害 高いカフ圧や位置以上が原因
・縦隔炎と咽後膿瘍の症例報告あり
・LMAの利点
・DAM症例
・気管挿管と比べて・・・
・挿入時の局所障害が少ない。
・血行動態の変動が少ない
・訓練を受けていない人でも使用可能
・気道過敏性のある患者でも使える
・気管挿管と比べて眼圧上昇が少ない
・気管挿管と比べて咽頭痛・嗄声の頻度が少ない
・マスクより密着性がよく手が疲れない
・バックマスク換気と比べて胃の膨張が少ない