2012年12月18日火曜日

成人麻酔での覚醒時興奮について

麻酔科勉強会  担当:H先生

「成人麻酔での覚醒時興奮について」

・覚醒時興奮はよくある。
  →傷害や疼痛増強、出血、自己抜管、カテ自己抜去リスク。
  →そのため身体的または薬剤による制御が必要となる。、
・成人における覚醒時興奮の病因や予後
  →ほとんど研究されていない。

・Emergence agitation in adults:
        risk factors in 2000 patients.
・Methods
  ・2007-2008年、1施設
  ・16-70歳
  ・ASA-PS 1-2
  ・診療科いろいろ。除外基準など。
・麻酔方法
 ・ミダゾラムとアトロピンの前投薬。
 ・導入は普通に。
 ・尿道カテーテルは全員に留置。
 ・維持は1-2%イソフルラン群
     vs 3-4μg/mLプロポフォールTCI群とに分けた。
 ・レミフェンタニル0.05-2γで鎮痛、
   ・フェンタニル1-2μg/kgをレミフェンタニル終了時に投与。
 ・術後鎮痛は各麻酔科医の裁量。
・評価
 ・抜管基準を定め、それに達していないものはPACUで抜管。
 ・痛みは10段階で評価(NRS)
   ・4以上なら痛みありとみなしてフェンタ10μg投与。
 ・Agitation:攻撃、のたうち回る、過活動
   ・mild:吸引など強い刺激により生じる
   ・moderate:刺激なしでも生じるが介入を必要としない
   ・severe:介入が必要
・結果
 ・2000人のうち426人(21.3%)がagitationあり
   ・mild:49.8%
   ・moderate:41.8%
   ・severe:8.4%

・severe agitationの発生率は1.8%だった
  →他の文献でも3%、2.4%である。
・痛みはagitationの強力なトリガー。
  →術後興奮を予防するため鎮痛は重要。
・男性の方が多い
  →男性の方が痛みに弱いことが原因であろう。
・口腔外科・頭頸部外科に多い
  →患者は覚醒時に「窒息」感を覚えるらしい。
・吸入麻酔群に多い
  →TIVAの方が薬が速く代謝・消失するから。
・覚醒時興奮の治療はまず原因の除去である。
  ・術後鎮痛をしっかり。
  ・挿管チューブ、尿道カテーテルはできるだけ早く抜く。
  ・それでもダメなら
    →プロポフォール、ミダゾラムなど短時間作用型薬剤投与。



    手術部にもクリスマスツリー。