麻酔科勉強会 担当:S先生
「膠質液いろいろ」
・輸液製剤
・晶質液:リンゲル液、生理食塩水
・膠質液:
・アルブミン製剤:
・4-5%:hypooncotic
・20-25%:hyperoncotic
・合成膠質液
・HES
・ゼラチン
・デキストラン
・HES:① HES (②/③) 』
・① : concentration (%)
・② : molecular weight (kDa)
・③ : degree of substitution
(DS ; 2nd generation HES = 0.5)
・例:HespanderTM = 6% HES (70/0.5)
・Boldt scandal
・ドイツの麻酔科医Joachim Boldt。
→colloidの世界的権威。
・102本中89の研究が倫理委員会の認可なしに行われた。
・少なくとも10本の論文はfalse dataであった。
・膠質液 vs 晶質液
・Perel P,et al. Cochrane Database Syst Rev 2012;6
・(Boldtを含む)66 RCTのメタ解析。
・outcome:mortality
・アルブミン vs 晶質液:Risk ratio 1.01
・HES vs 晶質液:Risk ratio 1.10
・アルブミン vs HES
・Bunn F, et al Cocherane Database Syst Rev 2012;7
・(Boldtを含む)86 RCT(n=5,484)のメタ解析。
・surgical ICU入院患者
・outcome:mortality
・Risk Radio 1.06
・hypooncotic vs hyperoncotic
・Schortgen F, et al. Intensive Care Med 2008;34:2157-68.
・MC-cohort study
・shockの患者(n=1,013)。
・outcome:①腎合併症、②ICU death。
・晶質液でのodds ratio 1.00
・人工高張膠質液:①1.16(0.52-2.57) ②1.76(1.00-3.11)
・高張アルブミン:①5.99(2.75-13.08)②2.79(1.42-5.47)
・アルブミン vs 晶質液
・Finfer S, et al. NEJM 2004;350:2247-56
・SAFE study。
・4%アルブミン vs 生食
・ICU入室患者(n=6,997)
・probability of survival:p=0.96
・Severe sepsis患者:Relative Risk 0.87(0.74-1.02)
・HES vs 晶質液
・Myburgh JA, et al. NEJM 2012;367:1901-11
・CHEST trial。
・ICU入室患者(n=6,742)
・6% HES(130/0.4) vs 生食
・90日死亡:p=0.26
・RRT使用:HES群で高い。
・心臓手術における膠質液
・Novickis RJ, et al. Thorac Cadiovasc Surg 2012;144:223-30
・(Boldtを含まない)18 RCT(n=970)のメタ解析。
・人工心肺を使用した心臓手術患者。
・水分バランス、ICU滞在期間、死亡率に有意差なし。
・頭部外傷におけるアルブミン
・Myburgh J, et al. NEJM 2007;357:874-84
・ICU入室の頭部外傷患者(n=460)
・4%アルブミン vs 生食
・probabillity of survival:生食群が有意に高い。
・GOSe(Extended Glasgow Outcome Scale)
→生食群で有意に高い。
・sepsisにおけるアルブミン使用
・Delaney AP, et al. Crit Care Med 2011;39:386-91
・sepsis患者
・アルブミン vs その他の製剤
・死亡率:アルブミン群のほうが低い。
・sepsisにおけるHESその1
・Schortgen F, et al. Lancet 2001;357:911-6
・severe sepsisまたはseptic shockの患者(n=129)
・6% HES(200/0.6) vs 3% fluid-modified gelatin
・HES群でARFリスクが高い。
・sepsisにおけるHESその2
・Bayer O, et al. Crit Care Med 2011;39:1335-42
・surgical ICUのsevere sepsisまたはseptic shock患者(n=346)。
・HES群、ゼラチン群でRRT実施が多くなる。
・sepsisにおけるHESその3
・Guidet B, et al. Crit Care 2012;16:R94
・multi center RCT
・CRYSTMAS study。
・severe sepsis患者(n=196)
・6% HES(130/0.4) vs 生食
・輸液使用量は生食群が多い。
・sepsisにおけるHESその4
・Perner A, et al. NEJM 2012;367:124-34
・multi center RCT
・6S trial
・severe sepsisまたはseptic shock患者(n=798)
・6% HES(130/0.42)+必要なら晶質液 vs リンゲル。
・HES群でprobabillity of survivalは低い。
・ショック群ではリンゲルの方がいい。
・6% HESは本当に安全か。
・Suzuki T, et al. j Anesth 2010;24:418-25
・SC-retrospective cohort study
・5,000ml以上出血した手術患者。
・6% HES(70/0.55)(n=31)
・術後AKI vs 術後non-AKI
・差はなし。
・ATS consensus statement for colloid in ICU
・Am J Respir Crit Care Med 2004;170:1247-59
・頭部外傷には膠質液は控えるべき。
・全ての膠質液は凝固系に影響を与える。
・HESはsepsis患者ではAKIリスクを高める。
・透析関連の低血圧には膠質液が晶質液より優れる。
・高張アルブミンは腹水大量吸引後には投与するべき。
・血行動態的に安定期のARDSには輸液制限が適す。
・ESICM consensus statement for colloid in ICU
・Reinhart K, et al. Intensive Care Med 2012;38:368-83
・推奨(recommend)
・severe sepsis、AKIハイリスク
→HES(>200/>0.4)使わない。
・頭部外傷には膠質液を使わない。
・臓器移植ドナーにはHESを使わない。
・提案(suggest)
・severe sepsisにはアルブミンを使ってもいい。
・AKIハイリスクにはHES(130/0.4)を使わない。
・輸液蘇生に高張膠質液を使わない。