「TEE勉強会」 担当:W先生
「肺高血圧&右心系評価」
・ASE/CSAガイドラインに右心機能評価が追加された。
・肺高血圧症のダナポイント分類
→肺高血圧症を5つに分類
・肺動脈性
・左心疾患による
・肺疾患及び/または低酸素による
・慢性血栓塞栓性
・原因不明の複合的要因による
・肺動脈性肺高血圧定義
・肺高血圧
・平均肺動脈圧≧25mmHg
・肺動脈性肺高血圧
・平均肺動脈圧≧25mmHg
・肺動脈楔入圧・左室拡張末期圧≦15mmHg
・ACCF/AHA CECD includes
・肺血管抵抗>3 wood units
・肺高血圧確定:安静時平均肺動脈圧が25mmHg以上
・肺高血圧疑い:安静時平均肺動脈圧が21~24mmHg以上
・正常:安静時平均肺動脈圧が20mmHg以下
・右心機能評価
・右室拡大
・三尖弁レベル:RVD1>42mm
・乳頭筋レベル:RVD2>35mm
・右室長径:RVD3>86mm
・面積変化率(RV fractional area change: RV-FAC)
→正常:RV-FAC>35%
・右室肥厚
・正常:壁厚 < 5mm
・moderator bandやseptal bandなどの肉柱の肥大あり。
・右室収縮能
・三尖弁輪収縮期移動距離:TAPSE
・正常:TAPSE >= 17mm
・Mモードで計測
・右室自由壁基部の三尖弁輪収縮期移動距離。
・どのエコー機器でも簡便に計測可能。
・RVFACやRVEFなど他の右室収縮機能の指標ともよく相関。
・角度依存性があり、計測部位で値が変化する。
・面積変化率(RV fractional area change: RV-FAC)
→正常:RV-FAC>35%
・3D-RVEF
・右室はその特異な形態のため2Dエコーでは
右室容量・駆出率の正確な測定は困難。
・3Dエコーによる右室駆出率
→より正確な右室容量・駆出率の測定が可能。
・ASEガイドラインでは3D-RVEF >=44%が正常
・正常値:57%(44-69)
・三尖弁輪収縮期運動速度:TVS'
・組織ドプラによる三尖弁輪収縮期運動速度
・TVS>= 10が正常
・右室拡張能
・右室拡張機能障害
→右心房圧上昇
→右心不全(頸静脈怒張・うっ血肝)
・早期の機能障害及び予後悪化の指標となり得る。
・主な指標は、E/A, E/E’, DT
・正常値
・E/A : 1.4 (0.8-2.1)
・E/E' : 4 (2-6)
・右房径
・右房長軸・短軸・収縮終期面積
・TEEで計測可?
・局所心機能
・スペックルトラッキング
・ストレイン
・ストレインレート
・総合的心機能
・Myocardial performance index: MPI
→右室Tei-index
→肺高血圧・急性肺血栓塞栓の症例で、
肺動脈圧とともに増加し感度よく
右心機能障害を診断するのに有用
→心拍数により変動すること、右房圧が高値の場合に
IVRTが短縮するため低値になることに注意
2014年10月1日水曜日
2014年9月6日土曜日
2014年9月5日金曜日
化学療法と同種造血幹細胞移植の合併症
ICU勉強会 担当:免疫血液内科ゲストDr.
「化学療法と同種造幹細胞移植の合併症」
・抗癌剤
→アントラサイクリン系、代謝拮抗剤、プリンアナログ、
ピリミジンアナログ、ビンカアルカロイド、
トポイソメラーゼ阻害剤など
・抗癌剤の作用するメカニズムその1
・細胞周期:M期→G1→S期→G2
・細胞分裂の盛んな細胞を傷害する。
→粘膜障害、骨髄抑制、悪心、嘔吐、脱毛
・抗癌剤の作用するメカニズムその2
・モノクローナル抗体
・complement-mediated cytoxicity
・Antibody-dependent cell-mediated cytoxicity
・Activation of caspases and apotosis
・リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)
・基本的にはB細胞特異的な作用。
・その他、infusion reactionなど。
・低分子医薬品
・ボルテゾミブ:26Sプロテアソーム阻害剤
・がん細胞特異的ではない
・NFκB阻害→骨髄腫細胞のアポトーシス
・骨髄微小環境を修飾
・血管新生の抑制
・有害事象:
→体内の様々な細胞に作用
→機序が不明な有害事象もある
やjりう氏ボルテゾミブでは末梢神経障害が有名.
・抗癌剤の投与方法
・レジメン
→抗がん剤,放射線治療の定義された投与計画
・使用薬剤、放射線、照射量,投与スケジュール
・CHOPの場合
・1サイクル21日間=白血球の回復に要する時間
・FNが起こりうるのは11-15日目くらい
・骨髄抑制以外の有害事象
→1サイクルで完結するとは限らない。
・蓄積毒性でサイクル数が増えると重症化するものもある.
・別の薬剤を組み合わせた別々のサイクルを
一定の順序で行うレジメンもある.
・途中で効果判定を行い,その結果によって
レジメンが枝分かれすることもある.
・ただし造血幹細胞移植などは・・・
・ドナー検索の不確実性
・治療関連毒性のリスクの患者間差が大きい
→前向き臨床研究が存在しない。
→移植の判断は移植医の裁量に委ねられる。
・血液造血器腫瘍の分類
・AMlもリンパ腫もWHO分類が広く用いられている。
→非常に細かい分類。
・ICU入室するような患者については・・・
→合併症治療を考える上で細かい分類は重要ではない!
・合併症
・発熱性好中球減少症&その他感染症
・定義
・oral temperature 38℃以上(腋窩温 37.5℃以上)
・好中球 1,000/mcL未満
かつ48時間以内に500/mcL未満になると予測されるとき
or 好中球 500/mcL未満
・特徴
・発熱の原因が不明である時にも感染症として扱う.
・特定の感染源を示す所見に乏しい
→感染症スクリーニングとして,血培2セットは必須.
→Xpや尿検査は必要と判断される時.
・所見が無いことが多いが,呼吸器症状,全身の皮疹,
CVカテ留置部,口内炎や副鼻腔所見の有無,
呼吸器症状や消化器症状の有無,神経学的異常をチェック
・輸血について
・どのレベルで輸血を行うかは世界中の医師が苦渋している問題.
・日本国内では,「輸血療法の手引き(第3版)」
→systematic-review + GRADE方式のEBM ガイドラインではない.
・“Patient-blood management”(RBC)の考え方
・患者の病態評価+マネージメント
・輸血の適応判断,血液喪失の最小化,
患者の赤血球量の適正化(入れ過ぎも駄目)
・RBC輸血
・AABBガイドライン
・安定している患者に対して,Hb ≦ 7g/dLで輸血。
・術後の場合はHb≦8g/dL または症状がある時に輸血を考慮
・心疾患を有する入院患者に対して,Hb≦8g/dL
または症状がある時に輸血を考慮する。
・急性冠症候群で入院した患者
→推奨出来るHbレベルはない。
・ヘモグロビンレベルだけでなく症状も加味すべき
・CVカテ留置や骨髄生検にどの程度の血小板が必要かは定まっていない。
→術者にもよるが,通常は2万〜5万/mcLは欲しい。
・造血幹細胞移植早期の合併症
・化学療法・放射線療法による障害
・粘膜炎(口内炎,腸炎,肛門周囲炎など)
・嘔気,嘔吐
・出血性膀胱炎
・Idiopathic pulmonary syndrome (IPS)
・移植後の血管内皮の障害に伴う障害
・VOD/SOS
・血栓性微小血管障害(thrombotic microangiopathy)
・Diffuse alveolar hemorrhage
・Capillary leak syndrome
・その他
・薬剤性障害(FK506、CyAなど)
・感染症
・免疫反応(GVHD、graft failure、HPS)など
・腸管GVHD
・大量の水様下痢便(3日間平均500ml以上)
・Intestinal failure
→タンパク質、カロリー、水分、電解質、微量元素の吸収不全
・治療の3大柱
・Slow intestinal transit
・Promote intestinal adaptation
・Reduce intestinal secretions
・支持療法
・腸管の通過時間を遅らせる
・腸管分泌の抑制
・飲むと分泌は増える→絶飲食!
・ORSは選択肢(低張液・糖分の多い飲み物は避ける)
・「ダイエット」飲料は避ける.
・PPI,オクトレオチド
・膵酵素が有効なことも
・腸管適応の促進
・経口摂取を進める
・食事:低脂肪,低線維,低乳糖,低酸,低刺激
・消化器症状を減らすように食事を選択する
・ENでは消化態、半消化態は避ける.
・晩期合併症
・白内障、角膜炎、結膜炎、骨壊死、甲状腺機能低下症・・・
・不妊や性腺機能障害も問題となる。
・二次癌を発症する可能性。
・造血器悪性腫瘍と集中治療
・ICUに入室する造血器悪性腫瘍
・非ホジキンリンパ腫>AML>MM>MDS=ALL>・・・
・ICU入室理由
・呼吸不全:62.5%
・ショック(敗血症):42.3%
・AKI:30.5%
・昏睡:22.3%
・化学療法のリスクが高い:7.1%
・ICU入室時の状況
・入院直後(入院からICUまで1〜16日)
・入院と同時
・好中球減少期
・血液内科医から2回以上のICU入室要請
「化学療法と同種造幹細胞移植の合併症」
・抗癌剤
→アントラサイクリン系、代謝拮抗剤、プリンアナログ、
ピリミジンアナログ、ビンカアルカロイド、
トポイソメラーゼ阻害剤など
・抗癌剤の作用するメカニズムその1
・細胞周期:M期→G1→S期→G2
・細胞分裂の盛んな細胞を傷害する。
→粘膜障害、骨髄抑制、悪心、嘔吐、脱毛
・抗癌剤の作用するメカニズムその2
・モノクローナル抗体
・complement-mediated cytoxicity
・Antibody-dependent cell-mediated cytoxicity
・Activation of caspases and apotosis
・リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)
・基本的にはB細胞特異的な作用。
・その他、infusion reactionなど。
・低分子医薬品
・ボルテゾミブ:26Sプロテアソーム阻害剤
・がん細胞特異的ではない
・NFκB阻害→骨髄腫細胞のアポトーシス
・骨髄微小環境を修飾
・血管新生の抑制
・有害事象:
→体内の様々な細胞に作用
→機序が不明な有害事象もある
やjりう氏ボルテゾミブでは末梢神経障害が有名.
・抗癌剤の投与方法
・レジメン
→抗がん剤,放射線治療の定義された投与計画
・使用薬剤、放射線、照射量,投与スケジュール
・CHOPの場合
・1サイクル21日間=白血球の回復に要する時間
・FNが起こりうるのは11-15日目くらい
・骨髄抑制以外の有害事象
→1サイクルで完結するとは限らない。
・蓄積毒性でサイクル数が増えると重症化するものもある.
・別の薬剤を組み合わせた別々のサイクルを
一定の順序で行うレジメンもある.
・途中で効果判定を行い,その結果によって
レジメンが枝分かれすることもある.
・ただし造血幹細胞移植などは・・・
・ドナー検索の不確実性
・治療関連毒性のリスクの患者間差が大きい
→前向き臨床研究が存在しない。
→移植の判断は移植医の裁量に委ねられる。
・血液造血器腫瘍の分類
・AMlもリンパ腫もWHO分類が広く用いられている。
→非常に細かい分類。
・ICU入室するような患者については・・・
→合併症治療を考える上で細かい分類は重要ではない!
・合併症
・発熱性好中球減少症&その他感染症
・定義
・oral temperature 38℃以上(腋窩温 37.5℃以上)
・好中球 1,000/mcL未満
かつ48時間以内に500/mcL未満になると予測されるとき
or 好中球 500/mcL未満
・特徴
・発熱の原因が不明である時にも感染症として扱う.
・特定の感染源を示す所見に乏しい
→感染症スクリーニングとして,血培2セットは必須.
→Xpや尿検査は必要と判断される時.
・所見が無いことが多いが,呼吸器症状,全身の皮疹,
CVカテ留置部,口内炎や副鼻腔所見の有無,
呼吸器症状や消化器症状の有無,神経学的異常をチェック
・輸血について
・どのレベルで輸血を行うかは世界中の医師が苦渋している問題.
・日本国内では,「輸血療法の手引き(第3版)」
→systematic-review + GRADE方式のEBM ガイドラインではない.
・“Patient-blood management”(RBC)の考え方
・患者の病態評価+マネージメント
・輸血の適応判断,血液喪失の最小化,
患者の赤血球量の適正化(入れ過ぎも駄目)
・RBC輸血
・AABBガイドライン
・安定している患者に対して,Hb ≦ 7g/dLで輸血。
・術後の場合はHb≦8g/dL または症状がある時に輸血を考慮
・心疾患を有する入院患者に対して,Hb≦8g/dL
または症状がある時に輸血を考慮する。
・急性冠症候群で入院した患者
→推奨出来るHbレベルはない。
・ヘモグロビンレベルだけでなく症状も加味すべき
・CVカテ留置や骨髄生検にどの程度の血小板が必要かは定まっていない。
→術者にもよるが,通常は2万〜5万/mcLは欲しい。
・造血幹細胞移植早期の合併症
・化学療法・放射線療法による障害
・粘膜炎(口内炎,腸炎,肛門周囲炎など)
・嘔気,嘔吐
・出血性膀胱炎
・Idiopathic pulmonary syndrome (IPS)
・移植後の血管内皮の障害に伴う障害
・VOD/SOS
・血栓性微小血管障害(thrombotic microangiopathy)
・Diffuse alveolar hemorrhage
・Capillary leak syndrome
・その他
・薬剤性障害(FK506、CyAなど)
・感染症
・免疫反応(GVHD、graft failure、HPS)など
・腸管GVHD
・大量の水様下痢便(3日間平均500ml以上)
・Intestinal failure
→タンパク質、カロリー、水分、電解質、微量元素の吸収不全
・治療の3大柱
・Slow intestinal transit
・Promote intestinal adaptation
・Reduce intestinal secretions
・支持療法
・腸管の通過時間を遅らせる
・腸管分泌の抑制
・飲むと分泌は増える→絶飲食!
・ORSは選択肢(低張液・糖分の多い飲み物は避ける)
・「ダイエット」飲料は避ける.
・PPI,オクトレオチド
・膵酵素が有効なことも
・腸管適応の促進
・経口摂取を進める
・食事:低脂肪,低線維,低乳糖,低酸,低刺激
・消化器症状を減らすように食事を選択する
・ENでは消化態、半消化態は避ける.
・晩期合併症
・白内障、角膜炎、結膜炎、骨壊死、甲状腺機能低下症・・・
・不妊や性腺機能障害も問題となる。
・二次癌を発症する可能性。
・造血器悪性腫瘍と集中治療
・ICUに入室する造血器悪性腫瘍
・非ホジキンリンパ腫>AML>MM>MDS=ALL>・・・
・ICU入室理由
・呼吸不全:62.5%
・ショック(敗血症):42.3%
・AKI:30.5%
・昏睡:22.3%
・化学療法のリスクが高い:7.1%
・ICU入室時の状況
・入院直後(入院からICUまで1〜16日)
・入院と同時
・好中球減少期
・血液内科医から2回以上のICU入室要請
MICSと麻酔管理
「麻酔科EBM勉強会」 担当 M先生
「MICSと麻酔管理」
・MICS
→Minimally Invasive Cardiac Surgery
→Full Sternotomy を行わない、または人工心肺を用いない心臓手術。
・Off-pump coronary artery bypass(OPCAB)や、
胸骨部分切開や右開胸による弁膜症手術を含む。
・補助手段として胸腔鏡や手術ロボットが使用されることもある。
・MICSの利点
・在院日数が短い
・人工呼吸期間が短い
・呼吸器合併症が少ない
・胸骨の感染率が低い(特に再開胸)
・再手術の際により安全にアプローチできる
・術後痛が少ない
・回復が早い
・美容的に優れている
・MICSの欠点
・習熟に時間が掛かる
・心臓までの距離が遠く視野も限られている
→病変把握や予期せぬ合併症位の対処が難しい
・大動脈操作や人工心肺必要時の操作が特殊
・逆行性送血
→大腿動脈送血であるため脳血管合併症が
ハイリスク患者では約2倍
→その他末梢血管合併症も増える
→血栓塞栓症、仮性動脈瘤、動脈解離、
リンパ漏、鼠径部感染症など
・空気の除去が難しい
・苦手な主義がある
→3次元的な空間把握が必要な手術、手技など
・Ross手術、David/Bentall、stentless AVR、腱索再建など
→full-Maze、左心耳縫縮も難しいとのこと
・Aoクランプの難易度が高い
・Aoクランプ時間、CPB timeが長くなる傾向にある
・術前準備
・末梢の動脈や下行大動脈に病変がないか
・動脈サイズが小さすぎないか
→CTAを用いて評価を行うのが望ましい
・末梢静脈、中心静脈、動脈ラインの場所をあらかじめ術者と相談
→ラインによっては手術の妨げになる場合がある。
・麻酔方法
・OPCAB→局所麻酔(硬膜外麻酔)による管理でも可能
・人工心肺を用いる場合やTEEを用いる場合には全身麻酔となる
・体位は仰臥位で右上げ、右上肢は肩よりも下がる
→腕神経叢や頚部にストレスがかからないように注意が必要
・皮膚には体外から除細動できるようにパッドを装着する
・左片肺換気を行っている場合
適切に除細動ができない場合があるため一度分離換気をやめる
・da Vinciを使用している場合
→一度ロールアウトすることを忘れない
・右小開胸の場合(M弁、T弁、Maze、ASDなど)
→分離換気(OLV)が必要になる
・分離換気を行う場合DLT、気管支blockerどちらでも良い
→DLTは位置がずれにくい、非換気側のPEEPや吸引ができる
・DLTは手術終了時にノーマルチューブに入れ替えが必要
・TEEの役割
・弁の機能障害、重症度評価
・心臓の容量と機能
・各種カテーテルの位置確認
・介入前後の病変の評価
・心内空気の検出
→術野が狭く見えるものに限りがあるためTEEの重要性は増す!
・MICSの適応があるのかどうかを評価するのにも役立つ
→下行大動脈のアテローム性動脈硬化が強い
→MICSでは対応できないような他の病変が見つかる
→MICS自体をやめることが必要になることも…
・カニュレーション
・脱血管の挿入
・術式に応じる。
・内頚静脈から上大静脈に脱血管を挿入したり、
endopulmonary vent catheterの追加を行う。
・大動脈クロスクランプ
・Transthoracic aortic clamping
→大動脈を外側から直接クランプする方法
・Endoaortic balloon occlusion
→上行大動脈内でバルーンを膨らませてクランプ
→右腋窩動脈または、大腿動脈の送血管と同じ部位から進め、
上行大動脈内でバルーンを膨らませる
→位置調整が難しい、コストがかかるというデメリットがある
・TAC vs EOBC
・TACはre-do症例では難しい。
・合併症の発生頻度に有意差はないとの報告も。
・TACのほうが手術時間が短く、出血量も少なく、
術後CK-MBの値も有意に低かったという報告もある。
・心筋保護
・順行性心筋保護
大動脈root canulation
Endoaortic balloon occlusion
・逆行性心筋保護
冠静脈洞canulation
EndoPledge
→冠静脈洞に直接カニュレーションするのは難しい
→経静脈的にCSにカニュレーションする。
・Endopledgeのデメリット
・合併症にCS、RA、RVの穿孔が報告されている
・位置がずれやすい
・時間がかかる
・術者が必要としない(順行性で充分)
→あまり普及していない
・左室肥大が著しい、CABGの既往がある、
ARがあるといった症例では使ってもいいかも。
・人工心肺離脱後
・通常の管理と大きな違いはない
・クロスクランプ時間、心肺時間は長くなる
・ペーシングリード付きPAカテーテルを使用する場合
→再灌流後リードを適切な位置に再調整する必要がある
・右室など術者から見えない部位が増える
→TEEや各種パラメータのモニタリングの重要性が増す
・空気塞栓に注意
・片肺換気している場合は可能なら両肺換気で呼吸再開する
・術後鎮痛
・オピオイド静注が古くから行われている
・肋間神経に局所麻酔薬を投与するのも有効
・その他Paravertebral blockも有効と言われている
・従来の方法より痛みは少ない。
・予後について
・ICU滞在日数はMini-sternotomy群で有意に短かった
・在院日数、出血量、人工呼吸期間は有意差なし
・より大規模のStudyが望まれる
「MICSと麻酔管理」
・MICS
→Minimally Invasive Cardiac Surgery
→Full Sternotomy を行わない、または人工心肺を用いない心臓手術。
・Off-pump coronary artery bypass(OPCAB)や、
胸骨部分切開や右開胸による弁膜症手術を含む。
・補助手段として胸腔鏡や手術ロボットが使用されることもある。
・MICSの利点
・在院日数が短い
・人工呼吸期間が短い
・呼吸器合併症が少ない
・胸骨の感染率が低い(特に再開胸)
・再手術の際により安全にアプローチできる
・術後痛が少ない
・回復が早い
・美容的に優れている
・MICSの欠点
・習熟に時間が掛かる
・心臓までの距離が遠く視野も限られている
→病変把握や予期せぬ合併症位の対処が難しい
・大動脈操作や人工心肺必要時の操作が特殊
・逆行性送血
→大腿動脈送血であるため脳血管合併症が
ハイリスク患者では約2倍
→その他末梢血管合併症も増える
→血栓塞栓症、仮性動脈瘤、動脈解離、
リンパ漏、鼠径部感染症など
・空気の除去が難しい
・苦手な主義がある
→3次元的な空間把握が必要な手術、手技など
・Ross手術、David/Bentall、stentless AVR、腱索再建など
→full-Maze、左心耳縫縮も難しいとのこと
・Aoクランプの難易度が高い
・Aoクランプ時間、CPB timeが長くなる傾向にある
・術前準備
・末梢の動脈や下行大動脈に病変がないか
・動脈サイズが小さすぎないか
→CTAを用いて評価を行うのが望ましい
・末梢静脈、中心静脈、動脈ラインの場所をあらかじめ術者と相談
→ラインによっては手術の妨げになる場合がある。
・麻酔方法
・OPCAB→局所麻酔(硬膜外麻酔)による管理でも可能
・人工心肺を用いる場合やTEEを用いる場合には全身麻酔となる
・体位は仰臥位で右上げ、右上肢は肩よりも下がる
→腕神経叢や頚部にストレスがかからないように注意が必要
・皮膚には体外から除細動できるようにパッドを装着する
・左片肺換気を行っている場合
適切に除細動ができない場合があるため一度分離換気をやめる
・da Vinciを使用している場合
→一度ロールアウトすることを忘れない
・右小開胸の場合(M弁、T弁、Maze、ASDなど)
→分離換気(OLV)が必要になる
・分離換気を行う場合DLT、気管支blockerどちらでも良い
→DLTは位置がずれにくい、非換気側のPEEPや吸引ができる
・DLTは手術終了時にノーマルチューブに入れ替えが必要
・TEEの役割
・弁の機能障害、重症度評価
・心臓の容量と機能
・各種カテーテルの位置確認
・介入前後の病変の評価
・心内空気の検出
→術野が狭く見えるものに限りがあるためTEEの重要性は増す!
・MICSの適応があるのかどうかを評価するのにも役立つ
→下行大動脈のアテローム性動脈硬化が強い
→MICSでは対応できないような他の病変が見つかる
→MICS自体をやめることが必要になることも…
・カニュレーション
・脱血管の挿入
・術式に応じる。
・内頚静脈から上大静脈に脱血管を挿入したり、
endopulmonary vent catheterの追加を行う。
・大動脈クロスクランプ
・Transthoracic aortic clamping
→大動脈を外側から直接クランプする方法
・Endoaortic balloon occlusion
→上行大動脈内でバルーンを膨らませてクランプ
→右腋窩動脈または、大腿動脈の送血管と同じ部位から進め、
上行大動脈内でバルーンを膨らませる
→位置調整が難しい、コストがかかるというデメリットがある
・TAC vs EOBC
・TACはre-do症例では難しい。
・合併症の発生頻度に有意差はないとの報告も。
・TACのほうが手術時間が短く、出血量も少なく、
術後CK-MBの値も有意に低かったという報告もある。
・心筋保護
・順行性心筋保護
大動脈root canulation
Endoaortic balloon occlusion
・逆行性心筋保護
冠静脈洞canulation
EndoPledge
→冠静脈洞に直接カニュレーションするのは難しい
→経静脈的にCSにカニュレーションする。
・Endopledgeのデメリット
・合併症にCS、RA、RVの穿孔が報告されている
・位置がずれやすい
・時間がかかる
・術者が必要としない(順行性で充分)
→あまり普及していない
・左室肥大が著しい、CABGの既往がある、
ARがあるといった症例では使ってもいいかも。
・人工心肺離脱後
・通常の管理と大きな違いはない
・クロスクランプ時間、心肺時間は長くなる
・ペーシングリード付きPAカテーテルを使用する場合
→再灌流後リードを適切な位置に再調整する必要がある
・右室など術者から見えない部位が増える
→TEEや各種パラメータのモニタリングの重要性が増す
・空気塞栓に注意
・片肺換気している場合は可能なら両肺換気で呼吸再開する
・術後鎮痛
・オピオイド静注が古くから行われている
・肋間神経に局所麻酔薬を投与するのも有効
・その他Paravertebral blockも有効と言われている
・従来の方法より痛みは少ない。
・予後について
・ICU滞在日数はMini-sternotomy群で有意に短かった
・在院日数、出血量、人工呼吸期間は有意差なし
・より大規模のStudyが望まれる
ハーブ療法と麻酔
「麻酔科勉強会」 担当:H先生
「ハーブ療法と麻酔」
・症例提示
・硬膜外麻酔による無痛分娩
→分娩後にカテーテル抜去
→帰宅後に背部正中の疼痛および頭痛増悪
→MRIにて脊髄硬膜外血腫
・陣痛発来時にArnica Montanaを内服していた。
・Arnica Montana
・高度2,000mまでの牧草地に自生する
・黄色い綺麗な花を咲かせるキク科の多年草
・西洋ハーブとしてアルニカの頭花や根を利用
・消炎作用、解熱・鎮痛作用、創傷治癒作用
・成分にクマリン誘導体があり抗凝固作用あり
・術前評価
・70%以上の患者はハーブ使用について自発的に言及しない
→closed questionが必要
・5人に1人は調剤を把握していない
→持参してもらう必要がある
・使用するにあたっての誘因となった症状を聴取
・ハーブの実態
・術前患者の22-32%が使用
・米国人1990年:33.8%→1997年:42.1%
・40-60歳代 女性の使用が多い傾向がある
・薬理学的活性をもつ
・直接作用(固有の薬理学的効果)
・薬力学的相互作用
・薬物動態学的相互作用(吸収、代謝、排泄の変化)
・栄養補助食品である
→臨床前動物実験や治験を必要としない
・数種類併用しているケースが多い
→副作用の予測や原因究明が難しい
・栄養補助食品である
→臨床前動物実験や治験を必要としない
・表示が不正確
→薬効のばらつきがある
・ハーブいろいろ
・エキナセア
・ムラサキバレンギクの根
・免疫修飾作用をもつ
・上気道のウイルス、細菌、真菌感染症予防と治療に使用
・化学療法、放射線療法後の免疫賦活薬
・癌治療中の補助薬
・In vitroで免疫細胞活性化、サイトカイン産生亢進
・In vivoで人のNK細胞活性化
・免疫抑制薬の効果減弱の可能性
・移植患者へ投与さける
・8週間以上の長期服用で免疫抑制の可能性あり
・ニンニク
・抗血小板作用があるといわれる
・アリシンとその転換物質
→不可逆的、用量依存的に血小板凝集を抑制
→作用機序不明
・高血圧への有効性が示唆される
・糖尿病や家族性高コレステロール血症、乳がんなどに対しては
効果がないことが示唆されている
・胃腸障害などの悪影響も報告されている
・ワルファリンやアスピリンなどの作用を強める可能性がある
・38のRCTのメタ解析でLDLの低下、HDLの上昇がみられた
・術前は少なくとも1週間前には中止すべき
・イチョウ葉
・In vitroでは抗血小板作用があるとされる。
→抗凝固薬、抗血小板薬投与中の患者への使用は慎重に
・手術の際は少なくとも2週間前から使用を中止
・高麗人蔘
・降圧薬で治療中の高血圧患者64名
→高麗人参投与群30名、プラセボ34人を対象としたRCT
→血圧やbaPWVに有意な差は認められなかった
・メタ解析
→空腹時血糖値や、インスリン濃度に有意差なし
・セント・ジョーンズワート
・軽度~中程度の抑うつの患者375人でのRCT
→6週間の経過の中でWS群はプラセボ群に比して有意に改善
・更年期症状を有する女性100人を対象にプラセボ群と比較
→両者に優位な差はなかった。
・日光過敏、不眠、胃腸不快感、口渇、めまい、頭痛、
錯覚などの副作用
・麻酔終了時の覚醒遅延の恐れがあり、術前は中止。
・CYP3A4 CYP1A2が誘導される。
→ワーファリン、ジゴキシン、インジナビル(抗HIV薬)、
シクロスポリン、テオフィリン、経口避妊薬
→効果減弱の可能性がある
・術前評価
・ハーブは術前には中止
・薬物動態学的データがある場合は術前の中止時期を検討する
・データが無い場合は基本的に2週間前に中止
・ただしバレリアンのように急性離脱症状がある可能性がある
「ハーブ療法と麻酔」
・症例提示
・硬膜外麻酔による無痛分娩
→分娩後にカテーテル抜去
→帰宅後に背部正中の疼痛および頭痛増悪
→MRIにて脊髄硬膜外血腫
・陣痛発来時にArnica Montanaを内服していた。
・Arnica Montana
・高度2,000mまでの牧草地に自生する
・黄色い綺麗な花を咲かせるキク科の多年草
・西洋ハーブとしてアルニカの頭花や根を利用
・消炎作用、解熱・鎮痛作用、創傷治癒作用
・成分にクマリン誘導体があり抗凝固作用あり
・術前評価
・70%以上の患者はハーブ使用について自発的に言及しない
→closed questionが必要
・5人に1人は調剤を把握していない
→持参してもらう必要がある
・使用するにあたっての誘因となった症状を聴取
・ハーブの実態
・術前患者の22-32%が使用
・米国人1990年:33.8%→1997年:42.1%
・40-60歳代 女性の使用が多い傾向がある
・薬理学的活性をもつ
・直接作用(固有の薬理学的効果)
・薬力学的相互作用
・薬物動態学的相互作用(吸収、代謝、排泄の変化)
・栄養補助食品である
→臨床前動物実験や治験を必要としない
・数種類併用しているケースが多い
→副作用の予測や原因究明が難しい
・栄養補助食品である
→臨床前動物実験や治験を必要としない
・表示が不正確
→薬効のばらつきがある
・ハーブいろいろ
・エキナセア
・ムラサキバレンギクの根
・免疫修飾作用をもつ
・上気道のウイルス、細菌、真菌感染症予防と治療に使用
・化学療法、放射線療法後の免疫賦活薬
・癌治療中の補助薬
・In vitroで免疫細胞活性化、サイトカイン産生亢進
・In vivoで人のNK細胞活性化
・免疫抑制薬の効果減弱の可能性
・移植患者へ投与さける
・8週間以上の長期服用で免疫抑制の可能性あり
・ニンニク
・抗血小板作用があるといわれる
・アリシンとその転換物質
→不可逆的、用量依存的に血小板凝集を抑制
→作用機序不明
・高血圧への有効性が示唆される
・糖尿病や家族性高コレステロール血症、乳がんなどに対しては
効果がないことが示唆されている
・胃腸障害などの悪影響も報告されている
・ワルファリンやアスピリンなどの作用を強める可能性がある
・38のRCTのメタ解析でLDLの低下、HDLの上昇がみられた
・術前は少なくとも1週間前には中止すべき
・イチョウ葉
・In vitroでは抗血小板作用があるとされる。
→抗凝固薬、抗血小板薬投与中の患者への使用は慎重に
・手術の際は少なくとも2週間前から使用を中止
・高麗人蔘
・降圧薬で治療中の高血圧患者64名
→高麗人参投与群30名、プラセボ34人を対象としたRCT
→血圧やbaPWVに有意な差は認められなかった
・メタ解析
→空腹時血糖値や、インスリン濃度に有意差なし
・セント・ジョーンズワート
・軽度~中程度の抑うつの患者375人でのRCT
→6週間の経過の中でWS群はプラセボ群に比して有意に改善
・更年期症状を有する女性100人を対象にプラセボ群と比較
→両者に優位な差はなかった。
・日光過敏、不眠、胃腸不快感、口渇、めまい、頭痛、
錯覚などの副作用
・麻酔終了時の覚醒遅延の恐れがあり、術前は中止。
・CYP3A4 CYP1A2が誘導される。
→ワーファリン、ジゴキシン、インジナビル(抗HIV薬)、
シクロスポリン、テオフィリン、経口避妊薬
→効果減弱の可能性がある
・術前評価
・ハーブは術前には中止
・薬物動態学的データがある場合は術前の中止時期を検討する
・データが無い場合は基本的に2週間前に中止
・ただしバレリアンのように急性離脱症状がある可能性がある
2014年7月17日木曜日
入院患者に生じた皮疹の観方
ICU勉強会 担当:皮膚科ゲストDr
「入院患者に生じた皮疹の観方」
・所見の記載のための用語集
・斑
→皮膚の色調変化を主体とする限局性病変で、
原則として立体的変化を伴わない
・紅斑
→硝子圧で退色する淡紅色〜紅色斑。
真皮乳頭層の血管拡張、充血による。
・浸潤性紅斑
→炎症細胞浸潤により、浸潤を触れる
(少し盛り上がってざらざらする)紅斑
・硬結性紅斑
→真皮〜皮下の強い炎症により、強い硬結を触れる紅斑。
結節性紅斑、丹毒、蜂窩織炎などを考える。
・紫斑
→硝子圧で退色しない鮮紅色〜紫色斑。真皮内出血による。
・浸潤を触れる紫斑(palpable purpura)
→強い炎症のため隆起してざらざらする。
血管炎の可能性を考える。
・丘疹
→径5〜10mm以下の隆起
・結節
→径5〜10mm以上の隆起
・腫瘤
→結節よりさらに大きいもの(3cm以上?)
・膨疹
→皮膚の限局性の浮腫。
境界明瞭で扁平に隆起。蕁麻疹と同義。
・水疱
→水疱内容液は常色(皮膚色)〜橙色で漿液性のもの。
・血疱
→水疱内容液が血液を含んで紫紅色のもの
・膿疱
→水疱内容液が膿性で黄白色クリーム状のもの
・びらん
→表皮の欠損。
・表皮剥離
→外傷により表皮が欠損したもの。
・潰瘍
→表皮〜真皮、あるいは皮下組織におよぶ欠損。
・急性に全身に紅斑が拡大する場合
・既存の皮膚疾患の悪化
→慢性湿疹、接触皮膚炎、尋常性乾癬などの急性増悪
・膨疹
→蕁麻疹
・target lesion
→中央が暗赤色〜紅褐色に陥凹し、
辺縁が環状に隆起し、標的状、虹彩状を呈するもの
→多形紅斑(多形滲出性紅斑)、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、
中毒性表皮壊死症(TEN)
・水疱、びらん
→多形紅斑、SJS、TEN、
SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)
・上記の特徴がなく診断困難な場合「中毒疹」と称することが多い。
・ウイルス性発疹症
→入院中に発症する可能性は低いか?
→麻疹、風疹、伝染性単核球症(EBウイルス、CMVなどの初感染)、
伝染性紅斑(パルボB19ウイルス)など
・薬疹
→播種状紅斑丘疹型薬疹、多形紅斑、SJS、TEN、
DIHS(薬剤過敏症症候群)など
・TSS(Toxic Shock Syndrome)
→黄色ブドウ球菌の外毒素による。
・猩紅熱
→溶連菌の外毒素による。通常は小児に生じる。
・上記以外の何らかの感染症に対する免疫応答?
・EM,SJS,TEN,DIHSの原因
・多形紅斑
→感染(特にHSV)、薬剤、悪性腫瘍、食物など、
何らかの抗原に対する免疫応答
・SJS
→薬剤のことが多い。
マイコプラズマなどの
・TEN
→薬剤によるものが大半。
→感染症によると推定される症例もあり。
・DIHS
→限られた薬剤+HHV6などの再活性化
・薬疹発症のタイミング
・即時型アレルギー(蕁麻疹、アナフィラキシー)
・内服開始1時間以内の発症でなければ薬疹をほぼ否定。
・現在内服中に感作が成立して抗体(抗原特異的IgE)
→内服継続中はすぐに抗原と結合して消費されてしまい、
症状誘発に必要な抗体量に到達しないため発症しない。
・遅発型アレルギー(播種状紅斑丘疹型薬疹、多形紅斑、SJS/TENなど)
・内服開始2〜3日後(day 3〜4)の発症であれば薬疹を否定。
・内服開始3〜4週以降の発症であれば薬疹の可能性はやや低くなる。
・過去の内服により感作成立
→再度内服直後-1時間以内に発症
・現在内服中に感作成立(5日〜2週間かかる。抗原特異的T細胞産生、活性化)
→内服開始5日〜2週間後(DIHSは2週〜6週後)に発症
・DIHS(薬剤過敏症症候群)の場合は内服2-6週後の発症が多い。
・DIHSを生じる薬剤は限られている。
・カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミド、
アロプリノール、サラゾスルファピリジン、ジアフェニルスルホン、
メキシチール、ミノサイクリンなど
「入院患者に生じた皮疹の観方」
・所見の記載のための用語集
・斑
→皮膚の色調変化を主体とする限局性病変で、
原則として立体的変化を伴わない
・紅斑
→硝子圧で退色する淡紅色〜紅色斑。
真皮乳頭層の血管拡張、充血による。
・浸潤性紅斑
→炎症細胞浸潤により、浸潤を触れる
(少し盛り上がってざらざらする)紅斑
・硬結性紅斑
→真皮〜皮下の強い炎症により、強い硬結を触れる紅斑。
結節性紅斑、丹毒、蜂窩織炎などを考える。
・紫斑
→硝子圧で退色しない鮮紅色〜紫色斑。真皮内出血による。
・浸潤を触れる紫斑(palpable purpura)
→強い炎症のため隆起してざらざらする。
血管炎の可能性を考える。
・丘疹
→径5〜10mm以下の隆起
・結節
→径5〜10mm以上の隆起
・腫瘤
→結節よりさらに大きいもの(3cm以上?)
・膨疹
→皮膚の限局性の浮腫。
境界明瞭で扁平に隆起。蕁麻疹と同義。
・水疱
→水疱内容液は常色(皮膚色)〜橙色で漿液性のもの。
・血疱
→水疱内容液が血液を含んで紫紅色のもの
・膿疱
→水疱内容液が膿性で黄白色クリーム状のもの
・びらん
→表皮の欠損。
・表皮剥離
→外傷により表皮が欠損したもの。
・潰瘍
→表皮〜真皮、あるいは皮下組織におよぶ欠損。
・急性に全身に紅斑が拡大する場合
・既存の皮膚疾患の悪化
→慢性湿疹、接触皮膚炎、尋常性乾癬などの急性増悪
・膨疹
→蕁麻疹
・target lesion
→中央が暗赤色〜紅褐色に陥凹し、
辺縁が環状に隆起し、標的状、虹彩状を呈するもの
→多形紅斑(多形滲出性紅斑)、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、
中毒性表皮壊死症(TEN)
・水疱、びらん
→多形紅斑、SJS、TEN、
SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)
・上記の特徴がなく診断困難な場合「中毒疹」と称することが多い。
・ウイルス性発疹症
→入院中に発症する可能性は低いか?
→麻疹、風疹、伝染性単核球症(EBウイルス、CMVなどの初感染)、
伝染性紅斑(パルボB19ウイルス)など
・薬疹
→播種状紅斑丘疹型薬疹、多形紅斑、SJS、TEN、
DIHS(薬剤過敏症症候群)など
・TSS(Toxic Shock Syndrome)
→黄色ブドウ球菌の外毒素による。
・猩紅熱
→溶連菌の外毒素による。通常は小児に生じる。
・上記以外の何らかの感染症に対する免疫応答?
・EM,SJS,TEN,DIHSの原因
・多形紅斑
→感染(特にHSV)、薬剤、悪性腫瘍、食物など、
何らかの抗原に対する免疫応答
・SJS
→薬剤のことが多い。
マイコプラズマなどの
・TEN
→薬剤によるものが大半。
→感染症によると推定される症例もあり。
・DIHS
→限られた薬剤+HHV6などの再活性化
・薬疹発症のタイミング
・即時型アレルギー(蕁麻疹、アナフィラキシー)
・内服開始1時間以内の発症でなければ薬疹をほぼ否定。
・現在内服中に感作が成立して抗体(抗原特異的IgE)
→内服継続中はすぐに抗原と結合して消費されてしまい、
症状誘発に必要な抗体量に到達しないため発症しない。
・遅発型アレルギー(播種状紅斑丘疹型薬疹、多形紅斑、SJS/TENなど)
・内服開始2〜3日後(day 3〜4)の発症であれば薬疹を否定。
・内服開始3〜4週以降の発症であれば薬疹の可能性はやや低くなる。
・過去の内服により感作成立
→再度内服直後-1時間以内に発症
・現在内服中に感作成立(5日〜2週間かかる。抗原特異的T細胞産生、活性化)
→内服開始5日〜2週間後(DIHSは2週〜6週後)に発症
・DIHS(薬剤過敏症症候群)の場合は内服2-6週後の発症が多い。
・DIHSを生じる薬剤は限られている。
・カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミド、
アロプリノール、サラゾスルファピリジン、ジアフェニルスルホン、
メキシチール、ミノサイクリンなど
2014年7月14日月曜日
術中覚醒とBIS
麻酔科勉強会 担当:S先生
「術中覚醒とBIS」
・術中覚醒の定義
→experience and explicit recall of sensory perceptions
during surgery
・術中のことを明白に思い出せる
・頻度
・0.1-0.2%
・33%:痛みを覚えている
・50%:手術室の会話,音を思い出せる
・25%:挿管時に関連した記憶
・16%:PTSD発症
・術中覚醒の原因
・薬剤エラー
・麻酔技術
・機器の問題
・airway
・例えば・・・
・ディプリバンキット交換時に再開押し忘れ
・ルートのコネクタ外れていた
・セボフルラン補充してダイヤル回し忘れ
・TIVAで輸液ボトルが空
・ミズチバ
・ライン漏れ
・TCIポンプに体重誤入力
・三方活栓の向き間違い
・吸入麻酔薬が空
・・・
・術中覚醒のリスク因子
・心臓手術(最大1/100)
・女性
・若年
・外傷、緊急手術
・緊急全身麻酔の帝王切開(4/1000)
・TIVA
・小児( 0.6% )
・Briceの質問票
・BISモニターによる監視は?
・BIS:Biseptral Index
・測定した脳波をCovidienが
フーリエ変換を用いた謎のアルゴリズムで数値化
・進化するBIS
・BIS A-1050→BIS-XP→BIS-VISTA
・BISモニターのパラメーター
・SQI(Signal quality index)
→BIS値の信頼度、アーティファクト、筋電図などで低下
・SR(Suppresion ratio)
→1分間(63sec)に脳波がフラットになった時間の割合。
麻酔が深くなると増加
・EMG(Electromyograph)
→筋電図70-110Hzの波形の強さ(デシベル)を表示
・SEF(Spectral Edge Frequency 95)
→日本語訳するとスペクトルエッジ周波数。
全体のPower Spectrumのうちちょうど95%が
その周波数以下に存在するFrequencyの値。
一般に麻酔が深くなるとこの値は小さくなる。
・BISに影響を及ぼすもの
・EMG(特に前頭部の筋肉)
・Medical device
・ペースメーカー
・ウォーマー
・副鼻腔の手術の際に使う内視鏡やシェーバー
・電気メス・・・
→BISを上昇させる。
・脳波の異常値
・麻酔薬やその他薬など
・ケタミン→BIS値上昇
・ハロタン→BIS値上昇
・イソフルラン→transient paradoxical response?
・笑気
・エフェドリン→BIS値上昇?
・BISをつければ術中覚醒は防げるのか?
・B-Aware trial:BIS群で術中覚醒少ない。
・Safe-2 trial:BIS群で術中覚醒少ない。
・B-Unaware trial:有意差なし
・BAG-RECALL trial:BIS群でむしろ術中覚醒多い。
「術中覚醒とBIS」
・術中覚醒の定義
→experience and explicit recall of sensory perceptions
during surgery
・術中のことを明白に思い出せる
・頻度
・0.1-0.2%
・33%:痛みを覚えている
・50%:手術室の会話,音を思い出せる
・25%:挿管時に関連した記憶
・16%:PTSD発症
・術中覚醒の原因
・薬剤エラー
・麻酔技術
・機器の問題
・airway
・例えば・・・
・ディプリバンキット交換時に再開押し忘れ
・ルートのコネクタ外れていた
・セボフルラン補充してダイヤル回し忘れ
・TIVAで輸液ボトルが空
・ミズチバ
・ライン漏れ
・TCIポンプに体重誤入力
・三方活栓の向き間違い
・吸入麻酔薬が空
・・・
・術中覚醒のリスク因子
・心臓手術(最大1/100)
・女性
・若年
・外傷、緊急手術
・緊急全身麻酔の帝王切開(4/1000)
・TIVA
・小児( 0.6% )
・Briceの質問票
・BISモニターによる監視は?
・BIS:Biseptral Index
・測定した脳波をCovidienが
フーリエ変換を用いた謎のアルゴリズムで数値化
・進化するBIS
・BIS A-1050→BIS-XP→BIS-VISTA
・BISモニターのパラメーター
・SQI(Signal quality index)
→BIS値の信頼度、アーティファクト、筋電図などで低下
・SR(Suppresion ratio)
→1分間(63sec)に脳波がフラットになった時間の割合。
麻酔が深くなると増加
・EMG(Electromyograph)
→筋電図70-110Hzの波形の強さ(デシベル)を表示
・SEF(Spectral Edge Frequency 95)
→日本語訳するとスペクトルエッジ周波数。
全体のPower Spectrumのうちちょうど95%が
その周波数以下に存在するFrequencyの値。
一般に麻酔が深くなるとこの値は小さくなる。
・BISに影響を及ぼすもの
・EMG(特に前頭部の筋肉)
・Medical device
・ペースメーカー
・ウォーマー
・副鼻腔の手術の際に使う内視鏡やシェーバー
・電気メス・・・
→BISを上昇させる。
・脳波の異常値
・麻酔薬やその他薬など
・ケタミン→BIS値上昇
・ハロタン→BIS値上昇
・イソフルラン→transient paradoxical response?
・笑気
・エフェドリン→BIS値上昇?
・BISをつければ術中覚醒は防げるのか?
・B-Aware trial:BIS群で術中覚醒少ない。
・Safe-2 trial:BIS群で術中覚醒少ない。
・B-Unaware trial:有意差なし
・BAG-RECALL trial:BIS群でむしろ術中覚醒多い。
2014年7月4日金曜日
術中低血圧
初期研修医勉強会 担当:Y先生
「術中低血圧」
・ショックの分類
・Hypovolemic shock
→脱水、出血、嘔吐、下痢、大量発汗など
・Cardiogenic shock
→不整脈(徐脈、頻脈)、心不全、麻酔薬など
・Obstructive shock
→肺塞栓症、緊張性気胸、心タンポナーデなど
・Distributive shock
→神経原性ショック(麻酔薬)、アナフィラキシー
敗血症性ショックなど
・術中の血圧低下の程度はどのくらい?
・全身麻酔を予定されている患者を対象としたstudy
・日中平均血圧、睡眠時血圧、術中血圧を測定、比較。
→麻酔時は睡眠時よりも血圧が低下する。
・術中低血圧について
・術中低血圧についてのガイドライン、Reviewは存在しない
・高齢者を対象にしたstudy
・術中のMAPを45-55mmHgに管理した群
vs 55-70mmHgに管理した群
・心血管イベントや死亡率に有意差はなかった
・ちなみに本では?
・術中血圧はMAP>80mmHgを目標に
(羊土社:麻酔科研修チェックノート)
・脳の自動調節能は70-150mmHg、腎臓では80-180mmHg
→これを目安に患者の状態に応じて適切な血圧管理が必要
(日本医事新報社:麻酔への知的アプローチ)
・術中低血圧でoutcomeが変わるのか?
・前向きコホート研究
・2時間以上の手術が予想される成人腹部外科手術100例
・術中低血圧の定義
・MAP<60mmHg
・MAP<70mmHgかつbaselineより30%減少
・術中低血圧時間10分を閾値に入院日数や合併症が増加するか比較
→術中低血圧は入院日数を伸ばす
・腎障害、心筋障害は増えるのか?
・非心臓手術を対象とした後ろ向きコホート研究
・n=33,330
・術中低血圧と術後AKI、心筋障害の関係を評価
→MAP<55mmHgが維持すると・・・
→AKI、心筋障害リスクが有意に上昇
・脳梗塞との関連は?
・大学病院での手術患者48,241人を対象
・後ろ向きコホート研究
・術後10日以内の脳梗塞発症についてオッズ比算出
→MAPがbaselineより30%低下するとCIリスク上昇
→絶対値よりも相対値が重要
・1年後死亡率は?
・大学病院での手術患者1,705人を対象
・術中低血圧の持続時間ごとに術後1年以内の全死亡率を比較
→因果関係は明らかでなかった。
→高齢患者では高い血圧閾値、短い低血圧持続時間推奨。
「術中低血圧」
・ショックの分類
・Hypovolemic shock
→脱水、出血、嘔吐、下痢、大量発汗など
・Cardiogenic shock
→不整脈(徐脈、頻脈)、心不全、麻酔薬など
・Obstructive shock
→肺塞栓症、緊張性気胸、心タンポナーデなど
・Distributive shock
→神経原性ショック(麻酔薬)、アナフィラキシー
敗血症性ショックなど
・術中の血圧低下の程度はどのくらい?
・全身麻酔を予定されている患者を対象としたstudy
・日中平均血圧、睡眠時血圧、術中血圧を測定、比較。
→麻酔時は睡眠時よりも血圧が低下する。
・術中低血圧について
・術中低血圧についてのガイドライン、Reviewは存在しない
・高齢者を対象にしたstudy
・術中のMAPを45-55mmHgに管理した群
vs 55-70mmHgに管理した群
・心血管イベントや死亡率に有意差はなかった
・ちなみに本では?
・術中血圧はMAP>80mmHgを目標に
(羊土社:麻酔科研修チェックノート)
・脳の自動調節能は70-150mmHg、腎臓では80-180mmHg
→これを目安に患者の状態に応じて適切な血圧管理が必要
(日本医事新報社:麻酔への知的アプローチ)
・術中低血圧でoutcomeが変わるのか?
・前向きコホート研究
・2時間以上の手術が予想される成人腹部外科手術100例
・術中低血圧の定義
・MAP<60mmHg
・MAP<70mmHgかつbaselineより30%減少
・術中低血圧時間10分を閾値に入院日数や合併症が増加するか比較
→術中低血圧は入院日数を伸ばす
・腎障害、心筋障害は増えるのか?
・非心臓手術を対象とした後ろ向きコホート研究
・n=33,330
・術中低血圧と術後AKI、心筋障害の関係を評価
→MAP<55mmHgが維持すると・・・
→AKI、心筋障害リスクが有意に上昇
・脳梗塞との関連は?
・大学病院での手術患者48,241人を対象
・後ろ向きコホート研究
・術後10日以内の脳梗塞発症についてオッズ比算出
→MAPがbaselineより30%低下するとCIリスク上昇
→絶対値よりも相対値が重要
・1年後死亡率は?
・大学病院での手術患者1,705人を対象
・術中低血圧の持続時間ごとに術後1年以内の全死亡率を比較
→因果関係は明らかでなかった。
→高齢患者では高い血圧閾値、短い低血圧持続時間推奨。
血糖コントロールまとめ
麻酔科勉強会 担当:H先生
「血糖コントロールまとめ」
・2013年のInternational Diabetes Federation(IDF)の発表
→世界で3億8,200百万人が糖尿病(有病率8.3%)
・日本は720万人が罹患
・ちなみに1位は中国の9,840万人
・糖尿病の人口の80%は低−中所得層の国の人々。
・40−59歳の年齢層で多い。
・糖尿病とは
・インスリンの作用不足による慢性高血糖が主徴
→種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群。
・発症には遺伝因子と環境因子が共に関与する。
・代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来たしやすい。
・無症状からケトアシドーシスや昏睡に至る幅広い病態を示す。
・ストレス性高血糖
・外傷、手術侵襲、sepsisなど
→神経系、内分泌系、免疫系ストレス反応
→異化の亢進
・タンパク分解促進
・グリコーゲン分解
・脂肪分解
・インスリン抵抗性の増大
→ストレス性高血糖
・後期糖化反応生成物(AGEs)
・高血糖状態が持続することで産生が促進され、蓄積される。
・産生過程や構造は分からないことが多い。
・細胞表面に発現しているRAGE(receptor for AGEs)が
急性炎症に関係している。
・RAGEノックアウトマウスでは敗血症モデルや
エンドトキシンショックモデルで生存率の改善が報告されている。
・高血糖の弊害
・浸透圧利尿
→脱水
・創傷部位の血流障害
・線維芽細胞の活動障害
・Vit.C吸収障害でコラーゲンの合成が阻害
→創傷治癒の遅延
・好中球の遊走能・貪食能・殺菌能の低下
→液性免疫の低下
・血管障害
・DIGAMI study
・AMI後にインスリンを使用して死亡率が変わるかを検討した
・620人の糖尿病合併のAMI患者が対象
・primary endpointは死亡率
→インスリン使用で有意に死亡率が低下
→急性期の血糖管理の重要性が広まった。
・Leuven study
・ICU入室の人工呼吸管理患者(外科系メイン)が対象
・強化インスリン療法群は死亡率が3.4%低かった。
・Leuven ll study
・今回は内科系メイン
・強化インスリン療法群は死亡率が2.8%低かった(有意差なし)。
・Leuven studyの問題点
・単一施設での研究
・Leuven I の対象患者の6割が開心術後
・Leuven IIでは有意差はなかった
・低血糖の発生率が高いなど
・強化インスリン療法の是非について
・NICE-SUGAR study
・BS値81-108mg/dlでコントロールする群(IIT)
vs 180mg/dlを保つ群(従来)で90日間の死亡率を調査
・ICU42施設 6022人 最も大規模なstudy
・死亡率 IIT27.5% 従来24.9% (P=0.02)
→有意にIIT群が死亡率が高い結果となった。
・小児を対象としたstudyでも
(N Engl J Med. 2014 Apr 10;370(15):1469.)
→Tight glicemic control群は低血糖発生率が高い。
・日本版敗血症診療ガイドラインでは・・・
→目標血糖値は144-180mg/dl
→強化インスリン療法は行わない。
→NICE-SUGAR trialに由来
「血糖コントロールまとめ」
・2013年のInternational Diabetes Federation(IDF)の発表
→世界で3億8,200百万人が糖尿病(有病率8.3%)
・日本は720万人が罹患
・ちなみに1位は中国の9,840万人
・糖尿病の人口の80%は低−中所得層の国の人々。
・40−59歳の年齢層で多い。
・糖尿病とは
・インスリンの作用不足による慢性高血糖が主徴
→種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群。
・発症には遺伝因子と環境因子が共に関与する。
・代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来たしやすい。
・無症状からケトアシドーシスや昏睡に至る幅広い病態を示す。
・ストレス性高血糖
・外傷、手術侵襲、sepsisなど
→神経系、内分泌系、免疫系ストレス反応
→異化の亢進
・タンパク分解促進
・グリコーゲン分解
・脂肪分解
・インスリン抵抗性の増大
→ストレス性高血糖
・後期糖化反応生成物(AGEs)
・高血糖状態が持続することで産生が促進され、蓄積される。
・産生過程や構造は分からないことが多い。
・細胞表面に発現しているRAGE(receptor for AGEs)が
急性炎症に関係している。
・RAGEノックアウトマウスでは敗血症モデルや
エンドトキシンショックモデルで生存率の改善が報告されている。
・高血糖の弊害
・浸透圧利尿
→脱水
・創傷部位の血流障害
・線維芽細胞の活動障害
・Vit.C吸収障害でコラーゲンの合成が阻害
→創傷治癒の遅延
・好中球の遊走能・貪食能・殺菌能の低下
→液性免疫の低下
・血管障害
・DIGAMI study
・AMI後にインスリンを使用して死亡率が変わるかを検討した
・620人の糖尿病合併のAMI患者が対象
・primary endpointは死亡率
→インスリン使用で有意に死亡率が低下
→急性期の血糖管理の重要性が広まった。
・Leuven study
・ICU入室の人工呼吸管理患者(外科系メイン)が対象
・強化インスリン療法群は死亡率が3.4%低かった。
・Leuven ll study
・今回は内科系メイン
・強化インスリン療法群は死亡率が2.8%低かった(有意差なし)。
・Leuven studyの問題点
・単一施設での研究
・Leuven I の対象患者の6割が開心術後
・Leuven IIでは有意差はなかった
・低血糖の発生率が高いなど
・強化インスリン療法の是非について
・NICE-SUGAR study
・BS値81-108mg/dlでコントロールする群(IIT)
vs 180mg/dlを保つ群(従来)で90日間の死亡率を調査
・ICU42施設 6022人 最も大規模なstudy
・死亡率 IIT27.5% 従来24.9% (P=0.02)
→有意にIIT群が死亡率が高い結果となった。
・小児を対象としたstudyでも
(N Engl J Med. 2014 Apr 10;370(15):1469.)
→Tight glicemic control群は低血糖発生率が高い。
・日本版敗血症診療ガイドラインでは・・・
→目標血糖値は144-180mg/dl
→強化インスリン療法は行わない。
→NICE-SUGAR trialに由来
喉頭蓋炎とPRISと気胸
ICU勉強会 担当:N先生
「喉頭蓋炎とPRISと気胸」
1.急性喉頭蓋炎での挿管の適応は?
・基本的には明確な基準はなくcontroversy
・小児→気道狭く早めに挿管すべき
・就学前の小児749人で気道確保をしなかった群
→挿管・気切した群より死亡率が高かった。
・成人→ICU等で経過観察が可能?
・重症呼吸困難がなく、気道が50%以上開通している場合
→経過観察が推奨
→79%で経過観察で治療成功が報告
・総合的な判断が必要となる
・4つのポイント
・時間経過:発症が急激(1日以内)
・症状:呼吸困難、stridor、流涎、チアノーゼ
・所見:ファイバーでの喉頭蓋の腫脹
・血液検査:WBC、CRPなどの炎症反応
・その他、起炎菌(Hib)、基礎疾患(糖尿病など)も
2.プロポフォールの副作用
・PRIS
・循環器:血圧低下(ICUの約25%)、徐脈、不整脈
・神経系:興奮作用→痙攣様、ミオクローヌスなど
・感染→6-12hr毎のルート交換(CDC guideline)
・アナフィラキシー
・高TG血症
・膵炎
・呼吸性アシドーシス
・PRIS(Propofol infusion syndrome)について
・長期間・高用量の投与で起こるまれな致死性合併症
→代謝性アシドーシス、脂質異常症、多臓器不全が進行
→徐脈性不整脈、心停止に至る
・乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化が先行
・ミトコンドリア脂質代謝障害や遺伝子欠損症の関与
・PRIS発症の危険因子
・高用量>4㎎/kg/hr or 67μg/kg/min
・長期間>48hr
・乳幼児
・重症患者
・低タンパク・高脂質の摂取
・先天的なミトコンドリア脂質代謝異常
・カテコラミン・ステロイド投与
・PRISは成人でも発症する
【症例報告】
・43歳女性、血管奇形に対して開頭術後
・術直後に原因不明・重症の乳酸アシドーシス
・術中に7mg/kg/hr、ICUで3.5mg/kg/hr
・プロポフォールの投与を中止、アシドーシス補正で改善
3.気胸の画像診断
・Xp:背臥位での気胸の所見
・double diaphragm sign
・deep sulcus sign
・depression of diaphragm
・basilar hyperlucency
・medial stripe sign
・肺エコー
・正常所見
・Bat sign:上下の肋骨+胸膜
・A-line:胸膜より深部に並行
→胸膜下のAirを反映
・Mモード
・平行線→表面組織
・不均一→肺実質
・Seashore sign
→表面組織と肺実質の境界
・気胸所見
・Lung slidingが消失
・M modeでSeashoreが消失
「喉頭蓋炎とPRISと気胸」
1.急性喉頭蓋炎での挿管の適応は?
・基本的には明確な基準はなくcontroversy
・小児→気道狭く早めに挿管すべき
・就学前の小児749人で気道確保をしなかった群
→挿管・気切した群より死亡率が高かった。
・成人→ICU等で経過観察が可能?
・重症呼吸困難がなく、気道が50%以上開通している場合
→経過観察が推奨
→79%で経過観察で治療成功が報告
・総合的な判断が必要となる
・4つのポイント
・時間経過:発症が急激(1日以内)
・症状:呼吸困難、stridor、流涎、チアノーゼ
・所見:ファイバーでの喉頭蓋の腫脹
・血液検査:WBC、CRPなどの炎症反応
・その他、起炎菌(Hib)、基礎疾患(糖尿病など)も
2.プロポフォールの副作用
・PRIS
・循環器:血圧低下(ICUの約25%)、徐脈、不整脈
・神経系:興奮作用→痙攣様、ミオクローヌスなど
・感染→6-12hr毎のルート交換(CDC guideline)
・アナフィラキシー
・高TG血症
・膵炎
・呼吸性アシドーシス
・PRIS(Propofol infusion syndrome)について
・長期間・高用量の投与で起こるまれな致死性合併症
→代謝性アシドーシス、脂質異常症、多臓器不全が進行
→徐脈性不整脈、心停止に至る
・乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化が先行
・ミトコンドリア脂質代謝障害や遺伝子欠損症の関与
・PRIS発症の危険因子
・高用量>4㎎/kg/hr or 67μg/kg/min
・長期間>48hr
・乳幼児
・重症患者
・低タンパク・高脂質の摂取
・先天的なミトコンドリア脂質代謝異常
・カテコラミン・ステロイド投与
・PRISは成人でも発症する
【症例報告】
・43歳女性、血管奇形に対して開頭術後
・術直後に原因不明・重症の乳酸アシドーシス
・術中に7mg/kg/hr、ICUで3.5mg/kg/hr
・プロポフォールの投与を中止、アシドーシス補正で改善
3.気胸の画像診断
・Xp:背臥位での気胸の所見
・double diaphragm sign
・deep sulcus sign
・depression of diaphragm
・basilar hyperlucency
・medial stripe sign
・肺エコー
・正常所見
・Bat sign:上下の肋骨+胸膜
・A-line:胸膜より深部に並行
→胸膜下のAirを反映
・Mモード
・平行線→表面組織
・不均一→肺実質
・Seashore sign
→表面組織と肺実質の境界
・気胸所見
・Lung slidingが消失
・M modeでSeashoreが消失
2014年5月14日水曜日
周術期β遮断薬
麻酔科EBM勉強会 担当:K先生
「周術期βブロッカー」
・β受容体
・主に心筋に存在するβ1受容体
・平滑筋に存在するβ2受容体
・脂肪細胞に存在するβ3受容体
・βブロッカーについて
・β1選択性
→非選択型β遮断薬は、β2受容体も阻害する
→気管支喘息患者には禁忌となる。
・脂溶性or水溶性
→脂溶性のβ遮断薬は肝代謝
→作用時間が短い
→水溶性のβ遮断薬は腎排泄
→作用時間が長い。
・ISA(内因性β刺激作用)
→交感神経が興奮しているときはβを抑制
→興奮していないときはβをわずかに刺激する。
・ISA+は心拍出量を減少させすぎない
→高齢者や徐脈の患者さんに適している。
・ISA-は心拍出量を減少させる
→狭心症や頻脈の患者さんに適している。
・心筋梗塞の再発や虚血性疾患を防止
・心不全の予後を改善する。
・降圧薬としてのβ遮断薬
・臨床応用され半世紀以上経過する。
・高血圧治療ガイドライン(JSH2009)
Ca拮抗薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と並ぶ高血圧の第一選択薬
・心臓血管死や心血管系イベントの観点からは・・・
・降圧薬の種類間で差異を認めない。
・むしろ目標血圧までの積極的な降圧の重要性を強調
・メタ解析
→降圧薬の種類に有意差なし。
→降圧の程度と心血管イベントのオッズ比との間に
逆相関関係が認められると報告
・高血圧治療ガイドライン(GL)2013改訂
→第一選択薬からβ遮断薬を外し、
→Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4クラスとした
・抗不整脈薬としてのβ遮断薬
・術後心房細動
・心臓手術
→CABG後に最も多く(30%)発症する。
→弁置換術では30-40%、複合手術では40-50%で発症 Almassi GH et al: Ann Surg.1997;226 :501-11
・肺手術
→葉切除で10-20%,全摘術では40%の症例で発症する
・術後心房細動は術後2日目にもっとも多く発症
・その40%が再発
・発症すると・・・
・在院日数の延長
・脳梗塞発症率は3倍
・周術期死亡率も悪化
・β遮断薬の効果
・頻脈性頻脈,上室性不整脈,
さらにリドカイン抵抗性の心室細動に対しても有効との報告。
・アミオダロンとともに術後心房細動予防効果は確立。
・周術期心房細動発症時の治療にも使用される.
・ACC/AHA/ESC心房細動治療ガイドライン
→Class Ⅰで推奨(LOE A),
・ACC/AHA冠動脈バイパスガイドライン
→Class Ⅰで勧告(LOE B),
・ACC/AHA非心臓手術のための
周術期心血管系評価・管理ガイドライン
→Class Ⅰで推奨(LOE B)
・虚血性心疾患におけるβ遮断薬
・陰性変力作用による心収縮力抑制
・陰性変時作用による心拍数低下
・心筋酸素消費量の低下
・拡張時間延長による拡張機能の改善
・交感神経・レニン抑制による血管拡張
・β遮断薬,とくにカルベジロールは抗酸化作用が強い。
→ アポトーシス抑制にも関与する
・β遮断薬の有効性のメカニズムは複合的
→単一機能で説明することができない
・ACC/AHAガイドライン~非心臓手術の周術期β遮断薬
・服用中のβ遮断薬は継続(ClassⅠ; LOE C)
・血管手術・高リスク手術
→β遮断薬の投与を推奨(ClassⅡa; LOE B)
・新たに徐脈・低血圧に注意して使用
・低リスク症例に対する使用は明らかでない(ClassⅡb;LOE B)
・周術期に新たに開始する高用量β遮断薬の投与は有害
(ClassⅢ;LOE B)
「周術期βブロッカー」
・β受容体
・主に心筋に存在するβ1受容体
・平滑筋に存在するβ2受容体
・脂肪細胞に存在するβ3受容体
・βブロッカーについて
・β1選択性
→非選択型β遮断薬は、β2受容体も阻害する
→気管支喘息患者には禁忌となる。
・脂溶性or水溶性
→脂溶性のβ遮断薬は肝代謝
→作用時間が短い
→水溶性のβ遮断薬は腎排泄
→作用時間が長い。
・ISA(内因性β刺激作用)
→交感神経が興奮しているときはβを抑制
→興奮していないときはβをわずかに刺激する。
・ISA+は心拍出量を減少させすぎない
→高齢者や徐脈の患者さんに適している。
・ISA-は心拍出量を減少させる
→狭心症や頻脈の患者さんに適している。
・心筋梗塞の再発や虚血性疾患を防止
・心不全の予後を改善する。
・降圧薬としてのβ遮断薬
・臨床応用され半世紀以上経過する。
・高血圧治療ガイドライン(JSH2009)
Ca拮抗薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と並ぶ高血圧の第一選択薬
・心臓血管死や心血管系イベントの観点からは・・・
・降圧薬の種類間で差異を認めない。
・むしろ目標血圧までの積極的な降圧の重要性を強調
・メタ解析
→降圧薬の種類に有意差なし。
→降圧の程度と心血管イベントのオッズ比との間に
逆相関関係が認められると報告
・高血圧治療ガイドライン(GL)2013改訂
→第一選択薬からβ遮断薬を外し、
→Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4クラスとした
・抗不整脈薬としてのβ遮断薬
・術後心房細動
・心臓手術
→CABG後に最も多く(30%)発症する。
→弁置換術では30-40%、複合手術では40-50%で発症 Almassi GH et al: Ann Surg.1997;226 :501-11
・肺手術
→葉切除で10-20%,全摘術では40%の症例で発症する
・術後心房細動は術後2日目にもっとも多く発症
・その40%が再発
・発症すると・・・
・在院日数の延長
・脳梗塞発症率は3倍
・周術期死亡率も悪化
・β遮断薬の効果
・頻脈性頻脈,上室性不整脈,
さらにリドカイン抵抗性の心室細動に対しても有効との報告。
・アミオダロンとともに術後心房細動予防効果は確立。
・周術期心房細動発症時の治療にも使用される.
・ACC/AHA/ESC心房細動治療ガイドライン
→Class Ⅰで推奨(LOE A),
・ACC/AHA冠動脈バイパスガイドライン
→Class Ⅰで勧告(LOE B),
・ACC/AHA非心臓手術のための
周術期心血管系評価・管理ガイドライン
→Class Ⅰで推奨(LOE B)
・虚血性心疾患におけるβ遮断薬
・陰性変力作用による心収縮力抑制
・陰性変時作用による心拍数低下
・心筋酸素消費量の低下
・拡張時間延長による拡張機能の改善
・交感神経・レニン抑制による血管拡張
・β遮断薬,とくにカルベジロールは抗酸化作用が強い。
→ アポトーシス抑制にも関与する
・β遮断薬の有効性のメカニズムは複合的
→単一機能で説明することができない
・ACC/AHAガイドライン~非心臓手術の周術期β遮断薬
・服用中のβ遮断薬は継続(ClassⅠ; LOE C)
・血管手術・高リスク手術
→β遮断薬の投与を推奨(ClassⅡa; LOE B)
・新たに徐脈・低血圧に注意して使用
・低リスク症例に対する使用は明らかでない(ClassⅡb;LOE B)
・周術期に新たに開始する高用量β遮断薬の投与は有害
(ClassⅢ;LOE B)
小児の気道管理
麻酔科勉強会 担当:W先生
「小児の気道管理」
・無呼吸後の酸素飽和度低下時間
・肥満127kg大人<10kg子供<70kg大人
・解剖学的違い
・相対的に舌が大きく、鼻腔が狭い
・喉頭位置は前方・頭側(成人C6、小児C4)
・喉頭蓋が長い
・声帯が傾斜し、円錐型の喉頭は輪状軟骨部が最も狭い
・相対的に頭が大きく、後頭部突出
→仰臥位で自然と首が屈曲
・生理学的違い
・酸素予備量・機能的残気量が小さい
・酸素消費量が多い(成人3ml/kg/min、乳児6ml/kg/min)
→上気道閉塞や無呼吸で急激に酸素飽和度が低下する
・新生児と乳児
→肺胞が少なく、肺の弾性収縮力・コンプライアンスが小さく、
胸郭コンプライアンスが大きい
→無気肺と肺内シャントのリスクが増大
・低酸素血症
・気管挿管に手間取る、迅速導入
・喉頭痙攣
→感冒やインフルエンザ、興奮期や第2期の麻酔深度で抜管
・覚醒時でも普段から息こらえがある
・息こらえ=Valsalva様現象
→声門閉鎖により腹腔・胸腔内圧が上昇
→換気困難となり肺血管抵抗↑、
卵円孔開存から右→左シャントが生じる可能性
・準備は万端に
・薄い円座と肩枕
・経口・経鼻エアウェイが非常に有効
・曲型ブレード
→アデノイドや扁桃肥大で視野が悪いとき
→舌を圧排し視野を確保
・直型ブレード
→喉頭が前方頭側にあり喉頭蓋で喉頭が見えないとき
・基本的に「~1歳が直型、1歳~が曲型」
・LMA、気管支ファイバー、AWSなど
・挿管チューブ
・カフ無し:4+年齢/4
・カフ有り:3.5+年齢/4
・少なくとも前後3サイズを準備
・カフ有りチューブでは、カフを輪状軟骨より遠位に挿入
・カフ圧:25~30cmH2O未満?
・成人の毛細管圧は25~35mmHgだが小児は不明
・気道内圧25cmH2Oでリークがない場合
→抜管後の咳嗽・喉頭痙攣が多いという報告
・小児の迅速導入
・準備万端にし、導入時役割分担を決定
・可能であれば予め胃管で胃内容吸引
・マスク密着で酸素化
・輪状軟骨の位置確認
・薬剤投与
・アトロピン0.01mg/kg
・チオペンタール4~6mg/kg
・ロクロニウム0.9mg/kg
・入眠後に輪状軟骨圧迫
・マスク換気は行わず30~60秒後に挿管
・挿管確認
・挿管失敗時は輪状軟骨を圧迫しながらマスク換気を行い再度挿管
・ロクロニウムを増量
→効果発現は早くなるが作用時間が延長する
・不適切な輪状軟骨圧迫
→喉頭展開不良・気道閉塞・食道損傷の原因となる
・浅麻酔での輪状甲状軟骨圧迫
→バッキングや咳を誘発させる
・輪状甲状軟骨に必要な圧
・成人では30~40N(約3~4kgf)が推奨
・小児では規定されていない
・迅速導入変法
新生児
→十分太い胃管で体位を変えながら胃を圧迫しつつ吸引
→誤嚥には問題のないレベルまで胃内容が減少する
・十分に胃を吸引した後に、
単なる急速導入または輪状軟骨を圧迫しながら
換気を行うmodified RSIが行われることも多い
・薬剤投与後に輪状軟骨を圧迫しながら100%酸素でマスク換気
→筋弛緩が得られたのちに挿管する方法も。
・腸重積整復について
・「非観血的整復術を無麻酔で行っても全身麻酔下で行っても
整復率に差はなく、全身麻酔は必要ない:推奨度C2」
・動物実験
・鎮静は息こらえの働きを抑制させる。
→穿孔の危険性が高くなる可能性。
・腸重積症
・6ヶ月〜2歳未満、男児に多い
・三大症状は、腹痛・嘔吐・血便
・脱水が強い
・発症から時間経過が短く、軽症のものは注腸整復が容易
・開腹手術適応
・イレウスや消化管穿孔を合併した症例
・器質的疾患を持ち整復不可能であった症例など
・当院では原則全身麻酔だが・・・
・そもそも全身麻酔で行わない
・スキサメトニウムによる迅速導入
・筋弛緩の発現が早い
・非脱分極性筋弛緩薬による迅速導入
・priming principle
・意識下挿管
「小児の気道管理」
・無呼吸後の酸素飽和度低下時間
・肥満127kg大人<10kg子供<70kg大人
・解剖学的違い
・相対的に舌が大きく、鼻腔が狭い
・喉頭位置は前方・頭側(成人C6、小児C4)
・喉頭蓋が長い
・声帯が傾斜し、円錐型の喉頭は輪状軟骨部が最も狭い
・相対的に頭が大きく、後頭部突出
→仰臥位で自然と首が屈曲
・生理学的違い
・酸素予備量・機能的残気量が小さい
・酸素消費量が多い(成人3ml/kg/min、乳児6ml/kg/min)
→上気道閉塞や無呼吸で急激に酸素飽和度が低下する
・新生児と乳児
→肺胞が少なく、肺の弾性収縮力・コンプライアンスが小さく、
胸郭コンプライアンスが大きい
→無気肺と肺内シャントのリスクが増大
・低酸素血症
・気管挿管に手間取る、迅速導入
・喉頭痙攣
→感冒やインフルエンザ、興奮期や第2期の麻酔深度で抜管
・覚醒時でも普段から息こらえがある
・息こらえ=Valsalva様現象
→声門閉鎖により腹腔・胸腔内圧が上昇
→換気困難となり肺血管抵抗↑、
卵円孔開存から右→左シャントが生じる可能性
・準備は万端に
・薄い円座と肩枕
・経口・経鼻エアウェイが非常に有効
・曲型ブレード
→アデノイドや扁桃肥大で視野が悪いとき
→舌を圧排し視野を確保
・直型ブレード
→喉頭が前方頭側にあり喉頭蓋で喉頭が見えないとき
・基本的に「~1歳が直型、1歳~が曲型」
・LMA、気管支ファイバー、AWSなど
・挿管チューブ
・カフ無し:4+年齢/4
・カフ有り:3.5+年齢/4
・少なくとも前後3サイズを準備
・カフ有りチューブでは、カフを輪状軟骨より遠位に挿入
・カフ圧:25~30cmH2O未満?
・成人の毛細管圧は25~35mmHgだが小児は不明
・気道内圧25cmH2Oでリークがない場合
→抜管後の咳嗽・喉頭痙攣が多いという報告
・小児の迅速導入
・準備万端にし、導入時役割分担を決定
・可能であれば予め胃管で胃内容吸引
・マスク密着で酸素化
・輪状軟骨の位置確認
・薬剤投与
・アトロピン0.01mg/kg
・チオペンタール4~6mg/kg
・ロクロニウム0.9mg/kg
・入眠後に輪状軟骨圧迫
・マスク換気は行わず30~60秒後に挿管
・挿管確認
・挿管失敗時は輪状軟骨を圧迫しながらマスク換気を行い再度挿管
・ロクロニウムを増量
→効果発現は早くなるが作用時間が延長する
・不適切な輪状軟骨圧迫
→喉頭展開不良・気道閉塞・食道損傷の原因となる
・浅麻酔での輪状甲状軟骨圧迫
→バッキングや咳を誘発させる
・輪状甲状軟骨に必要な圧
・成人では30~40N(約3~4kgf)が推奨
・小児では規定されていない
・迅速導入変法
新生児
→十分太い胃管で体位を変えながら胃を圧迫しつつ吸引
→誤嚥には問題のないレベルまで胃内容が減少する
・十分に胃を吸引した後に、
単なる急速導入または輪状軟骨を圧迫しながら
換気を行うmodified RSIが行われることも多い
・薬剤投与後に輪状軟骨を圧迫しながら100%酸素でマスク換気
→筋弛緩が得られたのちに挿管する方法も。
・腸重積整復について
・「非観血的整復術を無麻酔で行っても全身麻酔下で行っても
整復率に差はなく、全身麻酔は必要ない:推奨度C2」
・動物実験
・鎮静は息こらえの働きを抑制させる。
→穿孔の危険性が高くなる可能性。
・腸重積症
・6ヶ月〜2歳未満、男児に多い
・三大症状は、腹痛・嘔吐・血便
・脱水が強い
・発症から時間経過が短く、軽症のものは注腸整復が容易
・開腹手術適応
・イレウスや消化管穿孔を合併した症例
・器質的疾患を持ち整復不可能であった症例など
・当院では原則全身麻酔だが・・・
・そもそも全身麻酔で行わない
・スキサメトニウムによる迅速導入
・筋弛緩の発現が早い
・非脱分極性筋弛緩薬による迅速導入
・priming principle
・意識下挿管
術後認知機能障害~POCD
「麻酔科EBM勉強会」 担当;W先生
「術後認知機能障害:POCD」
・POCD(Postoperative cognitive dysfunction)
・術後に注意力・実行機能・記憶などが低下
・せん妄・認知症とは異なる
・DSM-Ⅳ、ICD-10に記載がない
・明確な定義がなく診断基準がバラバラ
・診断には術前術後の神経心理学検査が必要
・多くは可逆的で大半は治癒
・厳しい診断基準
・認知機能の任意の2領域が-2SD以下
・複合認知機能スコアが-2SD以下
・やや緩い診断基準:多
・認知機能の任意の1領域が-1SD以下
・複合認知機能スコアが-1SD以下
・術前術後検査の信頼性、検査時の意欲などにより
認知機能スコアの解釈が難しい
→ある研究では33%の患者がPOCDと診断されてしまった
・POCDの診断
・reliable change index
→学習効果を除外するため、
対照群の平均学習効果を補正因子として差し引く
・せん妄とは
・高齢者に起こる急性の認知機能低下
・DSM-Ⅳ、ICD-10に記載あり
・覚醒レベル・注意力・論理的思考などの障害
・急性発症、日内変動あり
・非術後のせん妄は、中等度認知機能障害者や
早期認知症患者で起こりやすく、
全身状態増悪や死亡率増加に関係
・非術後のせん妄
→中等度認知機能障害者や早期認知症患者で起こりやすく、
全身状態増悪や死亡率増加に関係
→術後せん妄は術後早期の65歳以上の患者に起こりやすく、
術後1〜2週間以内に改善
・術後せん妄とPOCDの関係、
→エビデンスがちらほら
・認知症とは
・脳機能の不可逆的&退行性変化
ex)Alzheimer病、Lewy小体型、脳血管性、Huntington
・DSM-Ⅳ、ICD-10に記載あり
・記憶、性格変化、抑うつ、判断力低下、睡眠障害、ADL低下
→家族認識☓、寝たきり
・認知症とPOCDの関係性に結論は出ていないが…
→入院を繰り返すと認知機能↓
・特定の全身麻酔薬は病理学的変化をもたらす可能性
ex)イソフルラン
→脳内でβ-アミロイドやリン酸タウ蛋白を産生促進
→認知症発症or進行を加速?
・手術は神経系の炎症を促進
→認知症発症?
・手術&麻酔と認知症の関係は推測
→大半の研究で否定されている
・POCDの予防と治療
・低血圧・低酸素・低血糖・代謝異常を回避
→術中は十分な脳灌流を保つ!
・ICU入室者はPOCDのハイリスク!
・脳の臓器不全:SIRS、MODSの一症状
・他臓器不全の予防・治療が重要
ex)AKI→原因検索・治療、透析など
・手術合併症の回避
ex)出血、感染
・多面的治療
・疼痛・炎症への多面的アプローチ
・周術期の睡眠障害を最小に
・身体的・精神的活動を活性化:リハビリ
・いろいろな報告
・心臓手術を受けた患者の41%が
5年後も認知機能が低下していた
NEJM 2001; 344(6): 395-402
→認知機能低下は心臓手術の主要合併症だ!
→おそらくCPBが原因だ!
→off-pump手術の登場
・非心臓大手術を受けた高齢者の46%が
1年後も認知機能が低下していた
Anesthesiology 2010; 112(4): 852-9
→心臓・非心臓に限らず、約半数の患者にPOCDが起こる!
→International Study of POCD
・1994年設立、インパクト大
・非心臓手術でのPOCDの特徴を調査
・心臓手術、特にCPBを用いた術後は、重度のPOCDが持続する。
・POCDの遺伝的素因
→Alzheimer病などの変性疾患とoverlapしている?
・アポリポ蛋白E遺伝子のエプシロンアレル
→ADのリスク因子、脳損傷後の予後不良因子
→加齢での認知機能低下を加速
・POCDとアポリポ蛋白E遺伝子との関連は示されていない
→POCDの遺伝的素因は存在すると予想
→断基準が曖昧なため調査は難しい
「術後認知機能障害:POCD」
・POCD(Postoperative cognitive dysfunction)
・術後に注意力・実行機能・記憶などが低下
・せん妄・認知症とは異なる
・DSM-Ⅳ、ICD-10に記載がない
・明確な定義がなく診断基準がバラバラ
・診断には術前術後の神経心理学検査が必要
・多くは可逆的で大半は治癒
・厳しい診断基準
・認知機能の任意の2領域が-2SD以下
・複合認知機能スコアが-2SD以下
・やや緩い診断基準:多
・認知機能の任意の1領域が-1SD以下
・複合認知機能スコアが-1SD以下
・術前術後検査の信頼性、検査時の意欲などにより
認知機能スコアの解釈が難しい
→ある研究では33%の患者がPOCDと診断されてしまった
・POCDの診断
・reliable change index
→学習効果を除外するため、
対照群の平均学習効果を補正因子として差し引く
・せん妄とは
・高齢者に起こる急性の認知機能低下
・DSM-Ⅳ、ICD-10に記載あり
・覚醒レベル・注意力・論理的思考などの障害
・急性発症、日内変動あり
・非術後のせん妄は、中等度認知機能障害者や
早期認知症患者で起こりやすく、
全身状態増悪や死亡率増加に関係
・非術後のせん妄
→中等度認知機能障害者や早期認知症患者で起こりやすく、
全身状態増悪や死亡率増加に関係
→術後せん妄は術後早期の65歳以上の患者に起こりやすく、
術後1〜2週間以内に改善
・術後せん妄とPOCDの関係、
→エビデンスがちらほら
・認知症とは
・脳機能の不可逆的&退行性変化
ex)Alzheimer病、Lewy小体型、脳血管性、Huntington
・DSM-Ⅳ、ICD-10に記載あり
・記憶、性格変化、抑うつ、判断力低下、睡眠障害、ADL低下
→家族認識☓、寝たきり
・認知症とPOCDの関係性に結論は出ていないが…
→入院を繰り返すと認知機能↓
・特定の全身麻酔薬は病理学的変化をもたらす可能性
ex)イソフルラン
→脳内でβ-アミロイドやリン酸タウ蛋白を産生促進
→認知症発症or進行を加速?
・手術は神経系の炎症を促進
→認知症発症?
・手術&麻酔と認知症の関係は推測
→大半の研究で否定されている
・POCDの予防と治療
・低血圧・低酸素・低血糖・代謝異常を回避
→術中は十分な脳灌流を保つ!
・ICU入室者はPOCDのハイリスク!
・脳の臓器不全:SIRS、MODSの一症状
・他臓器不全の予防・治療が重要
ex)AKI→原因検索・治療、透析など
・手術合併症の回避
ex)出血、感染
・多面的治療
・疼痛・炎症への多面的アプローチ
・周術期の睡眠障害を最小に
・身体的・精神的活動を活性化:リハビリ
・いろいろな報告
・心臓手術を受けた患者の41%が
5年後も認知機能が低下していた
NEJM 2001; 344(6): 395-402
→認知機能低下は心臓手術の主要合併症だ!
→おそらくCPBが原因だ!
→off-pump手術の登場
・非心臓大手術を受けた高齢者の46%が
1年後も認知機能が低下していた
Anesthesiology 2010; 112(4): 852-9
→心臓・非心臓に限らず、約半数の患者にPOCDが起こる!
→International Study of POCD
・1994年設立、インパクト大
・非心臓手術でのPOCDの特徴を調査
・心臓手術、特にCPBを用いた術後は、重度のPOCDが持続する。
・POCDの遺伝的素因
→Alzheimer病などの変性疾患とoverlapしている?
・アポリポ蛋白E遺伝子のエプシロンアレル
→ADのリスク因子、脳損傷後の予後不良因子
→加齢での認知機能低下を加速
・POCDとアポリポ蛋白E遺伝子との関連は示されていない
→POCDの遺伝的素因は存在すると予想
→断基準が曖昧なため調査は難しい
2014年4月16日水曜日
痛み
麻酔科勉強会 担当:S先生
「痛み」
・IASPによる定義(1979)
→実際に何らかの組織損傷が起こったとき、
または組織損傷を起こす可能性があるとき、
あるいはそのような損傷の際に表現される、
不快な感覚や不快な情動体験」
→痛みは心と体の両面的現象
・痛みの分類
・急性痛
・病因を同定しやすい
・数日から数週間の経過が多い
・多くは侵害受容性
・慢性痛
・治療を要すると期待される時間の枠組みを越えて持続する痛み,
あるいは進行性の非がん性疾患に関連する痛み
・病因が多因子
・期間不定(早期から生じていることも)
・侵害受容性 and/or 神経障害性
・神経障害性痛
→体性感覚伝導路の損傷や病変によって直接に引き起こされる痛み
・古典的特徴
・持続的および発作性の自発痛
・アロディニア
・痛覚過敏
・しびれ
・神経障害性痛疾患
・脳卒中後痛(視床痛)
・脊髄損傷後痛
・多発性硬化症
・幻肢痛
・腕神経叢引き抜き損傷後痛
・帯状疱疹後神経痛
・三叉神経痛・舌下神経痛
・術後瘢痕性痛
・CRPSタイプⅡ(カウザルキー)
・腰下肢痛に伴う神経障害性痛
・糖尿病性ニューロパチー
・抗癌薬性ニューロパチー
・HIV性ニューロパチー
・神経障害性痛薬物療法アルゴリズムについて
・帯状疱疹後神経痛
・水痘・帯状疱疹ウイルス感染
・水痘・帯状疱疹ウィルスに対する免疫
→正常人でも加齢とともに低下する。
・帯状疱疹の90%は明らかな基礎疾患がない人に起こる。
・80歳以上まで生きると50%の人が帯状疱疹にかかる。
・帯状疱疹痛の時間的変化
・帯状疱疹
・神経に沿って炎症を生じ、神経障害
・水疱を伴う皮疹と強い痛み
・帯状疱疹後神経痛
・炎症により神経が回復不能な損傷をうけた状態
・50代以降に発症すると神経痛に移行しやすい
・帯状疱疹後神経痛に移行する危険因子
・皮疹の重症度
・加齢
→60歳以上では抗ウィルス薬を用いても、
帯状疱疹発症6か月後に痛みが10~25%の症例で残存。
・合併疾患
→免疫力が低下する疾患が合併する場合。
・臨床像
・90%以上の症例で感覚低下
・約50%の症例でアロディニア
・早い時期から神経ブロックを行った場合
→神経痛への移行が少ない傾向がある。
・治療
・薬物療法
・急性期のワクチン投与も有効
・神経ブロック
・体性神経ブロックは有効
・交感神経ブロックは無効
・ステロイド併用神経根ブロックは有効
・CRPS(複合性局所疼痛症候群)
・銃創による神経損傷後に遷延する痛みをカウザルキーと呼んだ
・外傷後遷延性疼痛患者で交感神経機能亢進を示すもの
→反射性交感神経性ジストロフィー
・1994年に両者を内包する概念としてCRPSと呼ぶことになった
・神経損傷がない場合がタイプⅠ
・ある場合がタイプⅡ
・症状
・原因から予想される程度を超える激しい痛み
・着衣や微風などの触感が痛みとして認識(アロディニア)
・皮膚の変化(色の変化、光沢、乾燥など)
・浮腫
・手や足の機能低下
・判定基準
→判定基準を見ればわかる通り検査は不要だが・・・
・両側の同時撮影写真
・サーモグラフィー
・両側同時撮影のX線写真
・骨密度計測値
・筋電図、神経伝導速度検査
→労災保険に必要
・病態
・神経損傷→証明できないことも
・不動化による障害(ギプス)
・Neglect-like現象
→触覚の高次機能↓や思うように動かない
・自律神経症状
・社会的因子(自損では↓)
・心理的因子(うつなどでは↑)
・治療
・神経ブロック
・交感神経節ブロック(SGB、胸部・腰部)(推奨度C)
・持続硬膜外ブロック
・末梢神経ブロック
→経過が長い場合は不可(推奨度C)
・社会的因子のある患者は要注意
・浮腫側に局所静脈内ステロイド(GradeⅠ)
・薬剤
・カルシトニンやビスフォスフォネート(推奨度A)
・ステロイド(経口・局所静脈内)(推奨度B)
・そのほかは神経障害性痛に対する薬剤(エビデンスなし)
・NSAIDsは無効なはずだが出していることが多い
・その他
・理学療法
→治療の要
・温熱交代浴、光線療法、リハビリ
・手術(神経そのもの、偽関節など)
・認知行動療法(脳の関与??)
・脊髄内刺激電極
・エピドラスコピー(腰下肢痛に対して)
・人工神経再生
「痛み」
・IASPによる定義(1979)
→実際に何らかの組織損傷が起こったとき、
または組織損傷を起こす可能性があるとき、
あるいはそのような損傷の際に表現される、
不快な感覚や不快な情動体験」
→痛みは心と体の両面的現象
・痛みの分類
・急性痛
・病因を同定しやすい
・数日から数週間の経過が多い
・多くは侵害受容性
・慢性痛
・治療を要すると期待される時間の枠組みを越えて持続する痛み,
あるいは進行性の非がん性疾患に関連する痛み
・病因が多因子
・期間不定(早期から生じていることも)
・侵害受容性 and/or 神経障害性
・神経障害性痛
→体性感覚伝導路の損傷や病変によって直接に引き起こされる痛み
・古典的特徴
・持続的および発作性の自発痛
・アロディニア
・痛覚過敏
・しびれ
・神経障害性痛疾患
・脳卒中後痛(視床痛)
・脊髄損傷後痛
・多発性硬化症
・幻肢痛
・腕神経叢引き抜き損傷後痛
・帯状疱疹後神経痛
・三叉神経痛・舌下神経痛
・術後瘢痕性痛
・CRPSタイプⅡ(カウザルキー)
・腰下肢痛に伴う神経障害性痛
・糖尿病性ニューロパチー
・抗癌薬性ニューロパチー
・HIV性ニューロパチー
・神経障害性痛薬物療法アルゴリズムについて
・帯状疱疹後神経痛
・水痘・帯状疱疹ウイルス感染
・水痘・帯状疱疹ウィルスに対する免疫
→正常人でも加齢とともに低下する。
・帯状疱疹の90%は明らかな基礎疾患がない人に起こる。
・80歳以上まで生きると50%の人が帯状疱疹にかかる。
・帯状疱疹痛の時間的変化
・帯状疱疹
・神経に沿って炎症を生じ、神経障害
・水疱を伴う皮疹と強い痛み
・帯状疱疹後神経痛
・炎症により神経が回復不能な損傷をうけた状態
・50代以降に発症すると神経痛に移行しやすい
・帯状疱疹後神経痛に移行する危険因子
・皮疹の重症度
・加齢
→60歳以上では抗ウィルス薬を用いても、
帯状疱疹発症6か月後に痛みが10~25%の症例で残存。
・合併疾患
→免疫力が低下する疾患が合併する場合。
・臨床像
・90%以上の症例で感覚低下
・約50%の症例でアロディニア
・早い時期から神経ブロックを行った場合
→神経痛への移行が少ない傾向がある。
・治療
・薬物療法
・急性期のワクチン投与も有効
・神経ブロック
・体性神経ブロックは有効
・交感神経ブロックは無効
・ステロイド併用神経根ブロックは有効
・CRPS(複合性局所疼痛症候群)
・銃創による神経損傷後に遷延する痛みをカウザルキーと呼んだ
・外傷後遷延性疼痛患者で交感神経機能亢進を示すもの
→反射性交感神経性ジストロフィー
・1994年に両者を内包する概念としてCRPSと呼ぶことになった
・神経損傷がない場合がタイプⅠ
・ある場合がタイプⅡ
・症状
・原因から予想される程度を超える激しい痛み
・着衣や微風などの触感が痛みとして認識(アロディニア)
・皮膚の変化(色の変化、光沢、乾燥など)
・浮腫
・手や足の機能低下
・判定基準
→判定基準を見ればわかる通り検査は不要だが・・・
・両側の同時撮影写真
・サーモグラフィー
・両側同時撮影のX線写真
・骨密度計測値
・筋電図、神経伝導速度検査
→労災保険に必要
・病態
・神経損傷→証明できないことも
・不動化による障害(ギプス)
・Neglect-like現象
→触覚の高次機能↓や思うように動かない
・自律神経症状
・社会的因子(自損では↓)
・心理的因子(うつなどでは↑)
・治療
・神経ブロック
・交感神経節ブロック(SGB、胸部・腰部)(推奨度C)
・持続硬膜外ブロック
・末梢神経ブロック
→経過が長い場合は不可(推奨度C)
・社会的因子のある患者は要注意
・浮腫側に局所静脈内ステロイド(GradeⅠ)
・薬剤
・カルシトニンやビスフォスフォネート(推奨度A)
・ステロイド(経口・局所静脈内)(推奨度B)
・そのほかは神経障害性痛に対する薬剤(エビデンスなし)
・NSAIDsは無効なはずだが出していることが多い
・その他
・理学療法
→治療の要
・温熱交代浴、光線療法、リハビリ
・手術(神経そのもの、偽関節など)
・認知行動療法(脳の関与??)
・脊髄内刺激電極
・エピドラスコピー(腰下肢痛に対して)
・人工神経再生
麻酔と睡眠時無呼吸
麻酔科EBM勉強会 担当:M先生
「麻酔と睡眠時無呼吸」
・睡眠時無呼吸
→慢性的に、睡眠中の部分的もしくは完全な
上気道閉塞を繰り返す病態
・有病率
・中年男性で9%、中年女性で5%
・最大90%のOSAS患者が正式な診断をされていない。
・閉塞起点は?
・口蓋垂89%
・舌根部22%
・下咽頭33%
・喉頭33%
・OSASの症状
・眠っているとき
・大きないびきをかく
・呼吸の停止
・頻回の中途覚醒
・日中、起きているとき
・耐え難い眠気
・集中力の低下
・起床時の頭痛
・性欲減退
・OSAS患者は交通事故や労働災害といった事故に遭いやすい
・OSASに併存しや
・高血圧
・肺高血圧(右心不全)
・冠動脈疾患
・うっ血性心不全
・不整脈
・耐糖能障害
・メカニズム
・睡眠時無呼吸→反復する低酸素&高二酸化炭素血症
・酸化ストレス
・全身炎症(α、β受容体upregulation)
・血管内皮障害
・免疫反応
→心血管疾患、耐糖能障害
・OSASの検査と診断
・Polysomnography
・AHI(apnea hypopnea index)
→1時間当たりのApnea、Hypopneaの回数
→重症度分類
・OSASの合併症
・挿管困難
・術後低酸素血症、SpO2の低下
・血圧変動
・術後心筋虚血
・術後不整脈
・術後せん妄
・気道閉塞後肺水腫
・呼吸停止
・合併症増加の原因
・周術期の薬剤
→周術期の薬剤の投与(鎮静薬、筋弛緩薬など)
→上気道の緊張の低下、気道反射の抑制、中枢性換気応答の減弱
→上気道閉塞を増悪させる
・上気道狭窄
・元々狭小化している上気道
→麻酔や手術に伴いさらに狭小化
→上気道の閉塞を引き起こす
・挿管後の声帯浮腫、鼻腔パッキング、NGチューブ、
血腫などが原因となる
・仰臥位はOSASを増悪させる
・サーカディアンリズムの乱れ
・CPAPの中断
・スクリーニング
・ASA(American Society of Anesthesiologists)
・BMI35kg/㎡以上
・頚部の周囲径男性:17インチ、女性:16インチ以上
・気道に影響を与える頭頚部奇形の存在
・鼻腔の解剖学的な閉塞
・両側扁桃が接触しているまたは接触しそう
→2つ以上該当で陽性
・APSS(Associated Professional Sleep Society)
・STOP screening tool
・STOP-Bang screening tool
・Epworthの眠気テスト(日本呼吸器学会)
・Mallanpati分類からOSASのリスクを予想しよう!
→Mallanpati分類が1つ上がるごとにOSASのリスクも上昇する
・Recommendation
・日中の早い時間帯に手術の予定を入れましょう
・CPAPを持参するよう指示しましょう
・Difficult Airwayに備えましょう
・必要に応じモニタリングできる環境を整えましょう
・局所麻酔や神経ブロックを考慮しましょう
・導入・抜管時ヘッドアップしましょう
・誤嚥の予防をしましょう
・術後は上気道閉塞がないか継続した観察を行いましょう
・高CO2血症が疑われた場合血ガスを考慮しましょう
・麻薬の初回投与は回復室で行いましょう
・麻薬の眠剤やアルコールとの併用しないよう指導しましょう
TAVIセッティング
「麻酔と睡眠時無呼吸」
・睡眠時無呼吸
→慢性的に、睡眠中の部分的もしくは完全な
上気道閉塞を繰り返す病態
・有病率
・中年男性で9%、中年女性で5%
・最大90%のOSAS患者が正式な診断をされていない。
・閉塞起点は?
・口蓋垂89%
・舌根部22%
・下咽頭33%
・喉頭33%
・OSASの症状
・眠っているとき
・大きないびきをかく
・呼吸の停止
・頻回の中途覚醒
・日中、起きているとき
・耐え難い眠気
・集中力の低下
・起床時の頭痛
・性欲減退
・OSAS患者は交通事故や労働災害といった事故に遭いやすい
・OSASに併存しや
・高血圧
・肺高血圧(右心不全)
・冠動脈疾患
・うっ血性心不全
・不整脈
・耐糖能障害
・メカニズム
・睡眠時無呼吸→反復する低酸素&高二酸化炭素血症
・酸化ストレス
・全身炎症(α、β受容体upregulation)
・血管内皮障害
・免疫反応
→心血管疾患、耐糖能障害
・OSASの検査と診断
・Polysomnography
・AHI(apnea hypopnea index)
→1時間当たりのApnea、Hypopneaの回数
→重症度分類
・OSASの合併症
・挿管困難
・術後低酸素血症、SpO2の低下
・血圧変動
・術後心筋虚血
・術後不整脈
・術後せん妄
・気道閉塞後肺水腫
・呼吸停止
・合併症増加の原因
・周術期の薬剤
→周術期の薬剤の投与(鎮静薬、筋弛緩薬など)
→上気道の緊張の低下、気道反射の抑制、中枢性換気応答の減弱
→上気道閉塞を増悪させる
・上気道狭窄
・元々狭小化している上気道
→麻酔や手術に伴いさらに狭小化
→上気道の閉塞を引き起こす
・挿管後の声帯浮腫、鼻腔パッキング、NGチューブ、
血腫などが原因となる
・仰臥位はOSASを増悪させる
・サーカディアンリズムの乱れ
・CPAPの中断
・スクリーニング
・ASA(American Society of Anesthesiologists)
・BMI35kg/㎡以上
・頚部の周囲径男性:17インチ、女性:16インチ以上
・気道に影響を与える頭頚部奇形の存在
・鼻腔の解剖学的な閉塞
・両側扁桃が接触しているまたは接触しそう
→2つ以上該当で陽性
・APSS(Associated Professional Sleep Society)
・STOP screening tool
・STOP-Bang screening tool
・Epworthの眠気テスト(日本呼吸器学会)
・Mallanpati分類からOSASのリスクを予想しよう!
→Mallanpati分類が1つ上がるごとにOSASのリスクも上昇する
・Recommendation
・日中の早い時間帯に手術の予定を入れましょう
・CPAPを持参するよう指示しましょう
・Difficult Airwayに備えましょう
・必要に応じモニタリングできる環境を整えましょう
・局所麻酔や神経ブロックを考慮しましょう
・導入・抜管時ヘッドアップしましょう
・誤嚥の予防をしましょう
・術後は上気道閉塞がないか継続した観察を行いましょう
・高CO2血症が疑われた場合血ガスを考慮しましょう
・麻薬の初回投与は回復室で行いましょう
・麻薬の眠剤やアルコールとの併用しないよう指導しましょう
TAVIセッティング
2014年3月30日日曜日
周術期脳梗塞
麻酔科EBM勉強会 担当:W先生
「周術期脳梗塞」
・各手術における脳卒中合併率
・心臓手術・血管手術:約1〜10%
・一般手術:1%未満(ただし頭頸部手術は5%)
・頸動脈内膜剥離術
・有症状患者(脳梗塞・TIA後):約5%
・無症状患者:約2.5%
・発症時期
・対象リスク群や観察期間がバラバラ
・非心臓手術:
・術中16%、術後84%(中央値2日、最長16日)
・心臓手術:術中35%、術後65%
・病態による分類
・塞栓62%
・分類不能14%
・多因子10%
・低灌流9%
・ラクナ3%
・血栓1%
・出血1%
・潜在性脳梗塞
・明らかな麻痺・言語障害などがなく、MRIで初めて発見される
・心臓手術後の25〜50%に生じる
・術後認知機能低下のリスク
・分水嶺梗塞
・臨床症状があっても画像では診断できない場合がある
・MRI 68% > CT 37 %
・両側の梗塞では、より診断が難しい
・MRI 48 % > CT 22 %
・低灌流
・global hypoperfusion
ex)両側の分水嶺梗塞
・relative hypoperfusion
ex)頸動脈狭窄による片側性分水嶺梗塞
・塞栓
・不整脈:心房細動など
・大動脈弓の石灰化・粥腫
・周術期心筋梗塞
・心臓・内頚動脈への術操作
・人工心肺
・卵円孔開存
・脂肪塞栓
・手術侵襲→易血栓性
→術後14-21日まで
・易血栓性のリスク因子
・全身麻酔
・術後脱水
・ベッドレスト
→抗血小板薬・抗凝固薬の使用は一時的に過凝固を更に亢進
→しかし安全性が認められてきた
・一般外科手術における脳卒中リスク因子
・脳卒中の既往
・心疾患
・高血圧
・糖尿病
・末梢血管疾患
・心房細動
・On-Pump vs Off-Pump CABG
・Off-Pumpの方が周術期脳梗塞発生率が少ない傾向
→有意差がない報告もあり
・TEE、epiaortic echo、血栓フィルターなどの併用でリスク↓
・エコーでの粥腫
→>5mm:no-touch technique、Off-Pump
→3-5mm:カニュレーション位置検討、
・最小限のクロスクランプ(シングルクランプ)
・心臓手術における脳卒中リスク因子
・女性
・高齢
・大血管手術
・末梢血管疾患
・脳卒中の既往
・心機能低下
・慢性腎障害
・高血圧
・糖尿病
・心房細動
・緊急手術
・人工心肺時間
・CEAにおける脳卒中リスク因子
・術側と反対側の内頸動脈閉塞
・術側の脳卒中・TIAの既往
・高血圧(拡張期血圧>90mmHg)
・糖尿病
・左内頸動脈に対するCEA
→女性は男性と比較してCEAの効果は少ない
・術前術後の血圧コントロール
・収縮期血圧<180mmHg
・拡張期血圧>110mmHg
であれば脳梗塞のリスクは増加しない
・拡張期血圧>110mmHgは心筋梗塞・脳梗塞のリスク
・術中血圧コントロール
・平均血圧が普段より10mmHg以上低下すると
→脳梗塞リスクは4倍に増加する
・人工心肺中の平均血圧はcontroversial
「周術期脳梗塞」
・各手術における脳卒中合併率
・心臓手術・血管手術:約1〜10%
・一般手術:1%未満(ただし頭頸部手術は5%)
・頸動脈内膜剥離術
・有症状患者(脳梗塞・TIA後):約5%
・無症状患者:約2.5%
・発症時期
・対象リスク群や観察期間がバラバラ
・非心臓手術:
・術中16%、術後84%(中央値2日、最長16日)
・心臓手術:術中35%、術後65%
・病態による分類
・塞栓62%
・分類不能14%
・多因子10%
・低灌流9%
・ラクナ3%
・血栓1%
・出血1%
・潜在性脳梗塞
・明らかな麻痺・言語障害などがなく、MRIで初めて発見される
・心臓手術後の25〜50%に生じる
・術後認知機能低下のリスク
・分水嶺梗塞
・臨床症状があっても画像では診断できない場合がある
・MRI 68% > CT 37 %
・両側の梗塞では、より診断が難しい
・MRI 48 % > CT 22 %
・低灌流
・global hypoperfusion
ex)両側の分水嶺梗塞
・relative hypoperfusion
ex)頸動脈狭窄による片側性分水嶺梗塞
・塞栓
・不整脈:心房細動など
・大動脈弓の石灰化・粥腫
・周術期心筋梗塞
・心臓・内頚動脈への術操作
・人工心肺
・卵円孔開存
・脂肪塞栓
・手術侵襲→易血栓性
→術後14-21日まで
・易血栓性のリスク因子
・全身麻酔
・術後脱水
・ベッドレスト
→抗血小板薬・抗凝固薬の使用は一時的に過凝固を更に亢進
→しかし安全性が認められてきた
・一般外科手術における脳卒中リスク因子
・脳卒中の既往
・心疾患
・高血圧
・糖尿病
・末梢血管疾患
・心房細動
・On-Pump vs Off-Pump CABG
・Off-Pumpの方が周術期脳梗塞発生率が少ない傾向
→有意差がない報告もあり
・TEE、epiaortic echo、血栓フィルターなどの併用でリスク↓
・エコーでの粥腫
→>5mm:no-touch technique、Off-Pump
→3-5mm:カニュレーション位置検討、
・最小限のクロスクランプ(シングルクランプ)
・心臓手術における脳卒中リスク因子
・女性
・高齢
・大血管手術
・末梢血管疾患
・脳卒中の既往
・心機能低下
・慢性腎障害
・高血圧
・糖尿病
・心房細動
・緊急手術
・人工心肺時間
・CEAにおける脳卒中リスク因子
・術側と反対側の内頸動脈閉塞
・術側の脳卒中・TIAの既往
・高血圧(拡張期血圧>90mmHg)
・糖尿病
・左内頸動脈に対するCEA
→女性は男性と比較してCEAの効果は少ない
・術前術後の血圧コントロール
・収縮期血圧<180mmHg
・拡張期血圧>110mmHg
であれば脳梗塞のリスクは増加しない
・拡張期血圧>110mmHgは心筋梗塞・脳梗塞のリスク
・術中血圧コントロール
・平均血圧が普段より10mmHg以上低下すると
→脳梗塞リスクは4倍に増加する
・人工心肺中の平均血圧はcontroversial
2014年3月13日木曜日
TAVIの術後管理
ICU勉強会 担当:S先生
「TAVIの術後管理」
・術後問題となりうる点
・神経学的な問題(譫妄・痛み・TIA&CI)
・循環器の問題(不整脈、ARetc.)
・呼吸器不全
・腎不全
・バスキュラーアクセス部位に生じる問題
・抗血小板・抗凝固療法
・術後に言及のあるガイドライン
→2012 ACCF/AATS/SCAI/STS EXpert Consensus
Document on Transcatheter Aortic Valve Replacement
・術後せん妄
・ガイドラインには特に記載なし
・後ろ向きの研究ではTAで51%、TFで16%発生
→ICU滞在期間が要因?(TA 84hr v.s. TF36hr)
・TAVI患者はPODの危険因子多し。
→高齢(平均83歳)、合併症の多さ、ICU入室など。
→ルーチンにCAM-ICUなどで評価してもよいのでは?
・活動低下型の譫妄に注意
・治療は一般に準じて(ハロペリドール・クエチアピン・オランザピン)
・鎮痛
・TAの場合はかなり痛い
・ACCF/AATS/SCAI/STSでは・・・
・持続肋間神経ブロック
・創部浸潤麻酔
・麻薬/非麻薬系鎮痛薬
・硬膜外麻酔は血腫の問題があり推奨されない
・155名を対象とした研究
→硬膜外麻酔の方が呼吸器合併症と
30日以内の合併症発生率が低かったという報告も
・TFでは?
腸骨鼠径~腸骨下腹神経ブロック単体で手術を行った場合、
全身麻酔と比較して手術室滞在時間と入院期間の減少が認められた
・TIA&脳梗塞
・TAVI後の脳梗塞発生率
→TFで2.9~9.1%、TAで1.5~6.7%
・31名のTAVI患者を対象に拡散強調MRIを撮影したところ
77%に脳虚血があったという報告がある
・術後1週間以内で生じることが多い。
・PARTNER trialでは12/31が2日以内。
・その他の報告でも24時間以内にもっとも多いとされている
・中大脳動脈領域の梗塞が多く、症状はすぐに出やすい
・治療は?
・ACCF/AATS/SCAI/STSでは・・・
・出血性梗塞の場合はすぐに抗凝固・抗血小板薬をストップ
・FFPなどの輸血を行う
・メジャーな血管では抗凝固療法or血栓除去術を考慮
・Caのよるものが多いが、血栓によるものはrt-PAも考慮する
→出血のリスクに注意。
・マイナーな血管の場合の治療はアスピリン
・Afありは抗凝固も
・心腔内血栓あるときはヘパリン化を
・患者が安定していて頸・椎骨動脈閉塞や頭蓋内占有病変が
見当たらないとき
→心エコー、ホルター心電図など原因の究明を
・再梗塞予防
→アスピリンor徐放性チエノピリジンorクロピドグレルの
使用を推奨
→アスピリンは必ず飲む
・完全房室ブロック
・術前からの伝導遅延や脚ブロックがリスク
・埋め込み弁による伝導路の障害が原因
・Sapienでは1.8%~8.5%で生じる
・ほとんどが術中~術直後に生じるが30日後に生じた例も
・発症していなくてもリスクのある患者にはバックアップが無難・・・
・ベータブロッカーはリスク患者は控える
・AF
・PARTNERtrialでは25%は術前からAF
・新規発症は0.6~8.6%%とされているが31.9%という報告もあり
・TA、LAサイズ大がリスク因子と考えられている
・発症時は通常のAF治療を
・AR
・術後のparavalvular leakageは85%に起こる。
→1年後でも75%は残存
・そのうち3分の1以上はmild以上のAR(3度以上は稀)
・弁周囲の高度石灰化が要因
・SevereARが残ると明らかに予後に影響する
→valve-in valve or AVR
・mild-moderateARが残っている場合は・・・
→ACCF/AATS/SCAI/STS もお手上げ
→一般的なAR管理を行うくらいしかない
・その他の循環器合併症
・ショック・LOS
→IABP、PCPS、カテコラミン、利尿薬など
・弁輪部破裂
→緊急開心術 血圧管理に注意
・人工弁の移動・変位
→valveの拡張不足による。
→術後に生じた例はない。
・冠動脈入口部狭窄によるMI
→PCI or CABG
・心破裂
→TAでリスク↑ 血圧管理に注意
・とはいえ目標血圧ははっきりしない。
・平均血圧60~80くらいで管理。
・呼吸不全
・PARTNERtrialでは・・・
→41%がCOPDで21%は酸素投与を要していた
・術後肺障害が生じる割合
→TFで1%、TAで2%との報告がある
・再挿管の原因
→痛みのコントロール不良と肺水腫
・術後volume負荷が必要な症例が多い。
→肺水腫になりがち。
・胸水貯留も多い。
→評価・胸水穿刺が必要になることも
・ACCF/AATS/SCAI/STSでは“早期抜管“を推奨しているのみ
・6分歩行の距離でリスクを判別できるという報告も。
・腎不全
・ガイドラインに記載はない
・PARTNERtrialでは・・・
→5%、他の報告では50%の患者で術前腎機能低下あり
・造影剤使用が必須のためリスクは高い
・小規模stadyでは・・・
→9%のAKI発症、術前からの腎機能低下例では35%の発症。
・対策
・還流圧を保つ
・Nアセチルシステイン
・ハイドレーション
→心肺機能が悪い患者が多く、避けるのが無難。
・術後透析
・造影剤の使用量を減らす
・Vascular access部位に生じる問題
・主に後腹膜への出血、動脈解離、仮性動脈瘤
・PARTNERtrialでは・・・
→30%に血管障害(16%はメジャートラブル)
・TFでの予測因子
・施設経験
・血管石灰化
・SFAR(血管径÷シースの外径)<1.05
・後ろ向き研究によると・・・
→後腹膜血腫の症状
・鼠径上部の圧痛100%
・背部痛64%
・下肢の神経症状34%に見られた
・術後のショックの原因の一つとして覚えておく必要あり
・沈子をしっかり固定、外した後も注意することが重要
・術後抗凝固療法
・ACCF/AATS/SCAI/STSでは・・・
・アスピリン(81mg/day 永久に)
+クロピドグレル(75mg/day 3-6か月)
or ワーファリン(適応疾患あれば)の組み合わせ
・CCSでは・・・
・低用量アスピリン(永久に)
+チエノピリジン系抗血小板剤(1-3か月)
or ワーファリン(適応疾患あれば)の組み合わせ
・PARTNERtrialでは・・・
・アスピリン(81mg/day)
+クロピドグレル(75mg/day 90日間)
・エビデンスはない
「TAVIの術後管理」
・術後問題となりうる点
・神経学的な問題(譫妄・痛み・TIA&CI)
・循環器の問題(不整脈、ARetc.)
・呼吸器不全
・腎不全
・バスキュラーアクセス部位に生じる問題
・抗血小板・抗凝固療法
・術後に言及のあるガイドライン
→2012 ACCF/AATS/SCAI/STS EXpert Consensus
Document on Transcatheter Aortic Valve Replacement
・術後せん妄
・ガイドラインには特に記載なし
・後ろ向きの研究ではTAで51%、TFで16%発生
→ICU滞在期間が要因?(TA 84hr v.s. TF36hr)
・TAVI患者はPODの危険因子多し。
→高齢(平均83歳)、合併症の多さ、ICU入室など。
→ルーチンにCAM-ICUなどで評価してもよいのでは?
・活動低下型の譫妄に注意
・治療は一般に準じて(ハロペリドール・クエチアピン・オランザピン)
・鎮痛
・TAの場合はかなり痛い
・ACCF/AATS/SCAI/STSでは・・・
・持続肋間神経ブロック
・創部浸潤麻酔
・麻薬/非麻薬系鎮痛薬
・硬膜外麻酔は血腫の問題があり推奨されない
・155名を対象とした研究
→硬膜外麻酔の方が呼吸器合併症と
30日以内の合併症発生率が低かったという報告も
・TFでは?
腸骨鼠径~腸骨下腹神経ブロック単体で手術を行った場合、
全身麻酔と比較して手術室滞在時間と入院期間の減少が認められた
・TIA&脳梗塞
・TAVI後の脳梗塞発生率
→TFで2.9~9.1%、TAで1.5~6.7%
・31名のTAVI患者を対象に拡散強調MRIを撮影したところ
77%に脳虚血があったという報告がある
・術後1週間以内で生じることが多い。
・PARTNER trialでは12/31が2日以内。
・その他の報告でも24時間以内にもっとも多いとされている
・中大脳動脈領域の梗塞が多く、症状はすぐに出やすい
・治療は?
・ACCF/AATS/SCAI/STSでは・・・
・出血性梗塞の場合はすぐに抗凝固・抗血小板薬をストップ
・FFPなどの輸血を行う
・メジャーな血管では抗凝固療法or血栓除去術を考慮
・Caのよるものが多いが、血栓によるものはrt-PAも考慮する
→出血のリスクに注意。
・マイナーな血管の場合の治療はアスピリン
・Afありは抗凝固も
・心腔内血栓あるときはヘパリン化を
・患者が安定していて頸・椎骨動脈閉塞や頭蓋内占有病変が
見当たらないとき
→心エコー、ホルター心電図など原因の究明を
・再梗塞予防
→アスピリンor徐放性チエノピリジンorクロピドグレルの
使用を推奨
→アスピリンは必ず飲む
・完全房室ブロック
・術前からの伝導遅延や脚ブロックがリスク
・埋め込み弁による伝導路の障害が原因
・Sapienでは1.8%~8.5%で生じる
・ほとんどが術中~術直後に生じるが30日後に生じた例も
・発症していなくてもリスクのある患者にはバックアップが無難・・・
・ベータブロッカーはリスク患者は控える
・AF
・PARTNERtrialでは25%は術前からAF
・新規発症は0.6~8.6%%とされているが31.9%という報告もあり
・TA、LAサイズ大がリスク因子と考えられている
・発症時は通常のAF治療を
・AR
・術後のparavalvular leakageは85%に起こる。
→1年後でも75%は残存
・そのうち3分の1以上はmild以上のAR(3度以上は稀)
・弁周囲の高度石灰化が要因
・SevereARが残ると明らかに予後に影響する
→valve-in valve or AVR
・mild-moderateARが残っている場合は・・・
→ACCF/AATS/SCAI/STS もお手上げ
→一般的なAR管理を行うくらいしかない
・その他の循環器合併症
・ショック・LOS
→IABP、PCPS、カテコラミン、利尿薬など
・弁輪部破裂
→緊急開心術 血圧管理に注意
・人工弁の移動・変位
→valveの拡張不足による。
→術後に生じた例はない。
・冠動脈入口部狭窄によるMI
→PCI or CABG
・心破裂
→TAでリスク↑ 血圧管理に注意
・とはいえ目標血圧ははっきりしない。
・平均血圧60~80くらいで管理。
・呼吸不全
・PARTNERtrialでは・・・
→41%がCOPDで21%は酸素投与を要していた
・術後肺障害が生じる割合
→TFで1%、TAで2%との報告がある
・再挿管の原因
→痛みのコントロール不良と肺水腫
・術後volume負荷が必要な症例が多い。
→肺水腫になりがち。
・胸水貯留も多い。
→評価・胸水穿刺が必要になることも
・ACCF/AATS/SCAI/STSでは“早期抜管“を推奨しているのみ
・6分歩行の距離でリスクを判別できるという報告も。
・腎不全
・ガイドラインに記載はない
・PARTNERtrialでは・・・
→5%、他の報告では50%の患者で術前腎機能低下あり
・造影剤使用が必須のためリスクは高い
・小規模stadyでは・・・
→9%のAKI発症、術前からの腎機能低下例では35%の発症。
・対策
・還流圧を保つ
・Nアセチルシステイン
・ハイドレーション
→心肺機能が悪い患者が多く、避けるのが無難。
・術後透析
・造影剤の使用量を減らす
・Vascular access部位に生じる問題
・主に後腹膜への出血、動脈解離、仮性動脈瘤
・PARTNERtrialでは・・・
→30%に血管障害(16%はメジャートラブル)
・TFでの予測因子
・施設経験
・血管石灰化
・SFAR(血管径÷シースの外径)<1.05
・後ろ向き研究によると・・・
→後腹膜血腫の症状
・鼠径上部の圧痛100%
・背部痛64%
・下肢の神経症状34%に見られた
・術後のショックの原因の一つとして覚えておく必要あり
・沈子をしっかり固定、外した後も注意することが重要
・術後抗凝固療法
・ACCF/AATS/SCAI/STSでは・・・
・アスピリン(81mg/day 永久に)
+クロピドグレル(75mg/day 3-6か月)
or ワーファリン(適応疾患あれば)の組み合わせ
・CCSでは・・・
・低用量アスピリン(永久に)
+チエノピリジン系抗血小板剤(1-3か月)
or ワーファリン(適応疾患あれば)の組み合わせ
・PARTNERtrialでは・・・
・アスピリン(81mg/day)
+クロピドグレル(75mg/day 90日間)
・エビデンスはない
2014年2月28日金曜日
気管支喘息
ICU勉強会 担当:K先生
「気管支喘息」
・喘息患者は世界で3億人ほど
・北米、英国、オーストラリア、ブラジルに多い。
・ロシアや中国は低いらしい。(診断されていない?)
・日本では高知県がなぜか高い。
・喘息とは?
・気道の慢性炎症
→起動障害と気道構造の変化(リモデリング)
→非可逆性の気流制限
→気道過敏性の亢進
・気管支喘息の治療の変遷
・ハーブの煙の吸入(紀元前、エジプトなど)
・アトロピン、ベラドンナ(1900年代前半)
・エピネフリン吸入(1947年)
・β2アドレナリン受容体刺激(1967年)
・ICSとLABA合剤が有効な理由
・両薬剤の補完的な作用
・ステロイド受容体刺激のβ2受容体に対する効果
・Β2受容体刺激のステロイド受容体に対する効果
・両薬剤が肺内のほぼ同部位に同時に吸入される
・気道への好酸球浸潤
・中枢では気道粘膜近くに多い
・末梢ではより遠位側に多い
→末梢へ吸入ステロイド薬を充分量到達させる必要性
→ICS粒子径が小さいほど喘息コントロールが良好な可能性
・喘息とCOPDの鑑別
・喘息→可逆性の気流制限
・COOPD→非可逆性の気流制限
・COPDの診断基準
1.気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーで
FEV1/FVC<70%を満たすこと。
2.他の気流閉塞をきたし得る疾患を除外すること
1.気管支喘息
2.びまん性汎細気管支炎
3.先天性副鼻腔気管支症候群
4.閉塞性細気管支炎
5.気管支拡張症
6.肺結核
7.塵肺症
8.肺リンパ脈管筋腫症
9.うっ血性心不全
10.間質性肺疾患
11.肺癌
・喘息?COPD?
・喘息と診断された患者の30%は非可逆性の気流制限を示す。
・COPDと診断された患者の10%に気道可逆性がある。
・高齢者喘息、リモデリングが進んだ喘息に多い。
・COPDはタバコとの関連が強い。
・COPDと診断されていても喘息の合併を疑うとき
①発作性呼吸困難
②夜間早朝の喘鳴、呼吸困難
③アトピー素因
④喀痰、末梢血好酸球増加
・喘息の病態と治療薬の役割
・長期管理薬(連用:コントローラー)
・吸入ステロイド薬
・長時間作動性気管支拡張薬(吸入)
・長時間作動性気管支拡張薬(経口・貼付)
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・テオフィリン徐放性製剤
・発作治療薬(頓用)
・短時間作動型β刺激薬の吸入剤が基本(迅速な拡張効果)。
・発作治療薬の使用頻度は長期管理薬の見直しのメッセージ。
・抗IgE抗体
・75㎎ 1瓶 35642円・・・高い
・新しい喘息治療薬など
「気管支喘息」
・喘息患者は世界で3億人ほど
・北米、英国、オーストラリア、ブラジルに多い。
・ロシアや中国は低いらしい。(診断されていない?)
・日本では高知県がなぜか高い。
・喘息とは?
・気道の慢性炎症
→起動障害と気道構造の変化(リモデリング)
→非可逆性の気流制限
→気道過敏性の亢進
・気管支喘息の治療の変遷
・ハーブの煙の吸入(紀元前、エジプトなど)
・アトロピン、ベラドンナ(1900年代前半)
・エピネフリン吸入(1947年)
・β2アドレナリン受容体刺激(1967年)
・ICSとLABA合剤が有効な理由
・両薬剤の補完的な作用
・ステロイド受容体刺激のβ2受容体に対する効果
・Β2受容体刺激のステロイド受容体に対する効果
・両薬剤が肺内のほぼ同部位に同時に吸入される
・気道への好酸球浸潤
・中枢では気道粘膜近くに多い
・末梢ではより遠位側に多い
→末梢へ吸入ステロイド薬を充分量到達させる必要性
→ICS粒子径が小さいほど喘息コントロールが良好な可能性
・喘息とCOPDの鑑別
・喘息→可逆性の気流制限
・COOPD→非可逆性の気流制限
・COPDの診断基準
1.気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーで
FEV1/FVC<70%を満たすこと。
2.他の気流閉塞をきたし得る疾患を除外すること
1.気管支喘息
2.びまん性汎細気管支炎
3.先天性副鼻腔気管支症候群
4.閉塞性細気管支炎
5.気管支拡張症
6.肺結核
7.塵肺症
8.肺リンパ脈管筋腫症
9.うっ血性心不全
10.間質性肺疾患
11.肺癌
・喘息?COPD?
・喘息と診断された患者の30%は非可逆性の気流制限を示す。
・COPDと診断された患者の10%に気道可逆性がある。
・高齢者喘息、リモデリングが進んだ喘息に多い。
・COPDはタバコとの関連が強い。
・COPDと診断されていても喘息の合併を疑うとき
①発作性呼吸困難
②夜間早朝の喘鳴、呼吸困難
③アトピー素因
④喀痰、末梢血好酸球増加
・喘息の病態と治療薬の役割
・長期管理薬(連用:コントローラー)
・吸入ステロイド薬
・長時間作動性気管支拡張薬(吸入)
・長時間作動性気管支拡張薬(経口・貼付)
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・テオフィリン徐放性製剤
・発作治療薬(頓用)
・短時間作動型β刺激薬の吸入剤が基本(迅速な拡張効果)。
・発作治療薬の使用頻度は長期管理薬の見直しのメッセージ。
・抗IgE抗体
・75㎎ 1瓶 35642円・・・高い
・新しい喘息治療薬など
新しい治療が始まりました
2014年度になり、当院でも新たな治療が始まりました。
経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)
ロボット支援下前立腺全摘術
新しい手術に対しても、安全な麻酔・周術期管理を確立すべく、
スタッフ一同、頑張っていこうと思います。
ストレス潰瘍予防
ICU勉強会 担当:K先生
「潰瘍予防」
・ストレス潰瘍の機序
・重症疾患
→腸管内循環不全
→HCO3分泌低下
→胃粘膜血流低下
→腸管蠕動低下
→胃酸の胃内停滞
→急性ストレス潰瘍の発生
・ストレス潰瘍予防の適応
・次の項目のうち一つ
・凝固異常(血小板数<5万orINR>1.5 APTT>正常値の2倍)
・48時間以上の人工呼吸
・上部消化管出血or潰瘍の既往
・外傷性の脳損傷・脊髄損傷・熱傷(対表面積の35%以上)
・次の項目のうち二つ
・敗血症
・ICU滞在が1週間以上
・潜血陽性が6日以上
・ステロイド治療(ハイドロコルチゾン250mgかそれと同等)
・PPIとH2RAの作用機序
・胃潰瘍診療ガイドライン
・非ピロリ胃潰瘍→PPI第一選択肢
・PPI vs H2blocker
・H2RAの方が出血率が高かったという報告
・SSCG2012ではH2RAよりPPI推奨
・ストレス潰瘍予防薬のデメリット
・PPIとC.difficile感染症
→毎日PPI or H2RA投与でCD感染発症率が上がるという報告
・潰瘍予防薬とHAP
→PPIはH2RAと比較してHAP発生率が高いという報告
・PPIと骨折リスク
→PPIの使用で股関節骨折のリスクが上昇するという報告。
・使用歴がなかければリスク上昇
・PPI中止後2年以内はその傾向が続く
原因は???
・小腸からのCa吸収低下説
・PPIが破骨細胞の活動を促進する説
・経管栄養開始後のストレス潰瘍予防は必要?
・経腸栄養あり:①潰瘍予防薬の効果がない可能性
②肺炎の副作用がある可能性
・経腸栄養なし:①潰瘍予防薬の効果あり。
・アスピリン内服中患者の一次予防は?
・エヴィデンスレベルの高い報告がない。
・急性期は必要だろうが慢性的長期投与は必要ないだろう。
「潰瘍予防」
・ストレス潰瘍の機序
・重症疾患
→腸管内循環不全
→HCO3分泌低下
→胃粘膜血流低下
→腸管蠕動低下
→胃酸の胃内停滞
→急性ストレス潰瘍の発生
・ストレス潰瘍予防の適応
・次の項目のうち一つ
・凝固異常(血小板数<5万orINR>1.5 APTT>正常値の2倍)
・48時間以上の人工呼吸
・上部消化管出血or潰瘍の既往
・外傷性の脳損傷・脊髄損傷・熱傷(対表面積の35%以上)
・次の項目のうち二つ
・敗血症
・ICU滞在が1週間以上
・潜血陽性が6日以上
・ステロイド治療(ハイドロコルチゾン250mgかそれと同等)
・PPIとH2RAの作用機序
・胃潰瘍診療ガイドライン
・非ピロリ胃潰瘍→PPI第一選択肢
・PPI vs H2blocker
・H2RAの方が出血率が高かったという報告
・SSCG2012ではH2RAよりPPI推奨
・ストレス潰瘍予防薬のデメリット
・PPIとC.difficile感染症
→毎日PPI or H2RA投与でCD感染発症率が上がるという報告
・潰瘍予防薬とHAP
→PPIはH2RAと比較してHAP発生率が高いという報告
・PPIと骨折リスク
→PPIの使用で股関節骨折のリスクが上昇するという報告。
・使用歴がなかければリスク上昇
・PPI中止後2年以内はその傾向が続く
原因は???
・小腸からのCa吸収低下説
・PPIが破骨細胞の活動を促進する説
・経管栄養開始後のストレス潰瘍予防は必要?
・経腸栄養あり:①潰瘍予防薬の効果がない可能性
②肺炎の副作用がある可能性
・経腸栄養なし:①潰瘍予防薬の効果あり。
・アスピリン内服中患者の一次予防は?
・エヴィデンスレベルの高い報告がない。
・急性期は必要だろうが慢性的長期投与は必要ないだろう。
2014年1月30日木曜日
ロボット支援下前立腺全摘術の麻酔
麻酔科勉強会 担当:Y先生
「ロボット支援下前立腺全摘術の麻酔」
・ロボット支援下前立腺全摘術(RALP)
・da Vinciを使用。
→手術支援ロボット
・Surgeon Console
・Patient Cart
・Vision Cartの3つからなる。
・手術室のセッティング。
・手術の流れ
・麻酔導入、動脈ライン1本静脈ライン2本
→体位固定(砕石位)
→ヘッドダウンテスト(頭低位30度)
→砕石位で手術開始
→ポート挿入、気腹
→ポート挿入後、頭低位30度、da Vinciロールイン
→コンソール操作開始(気腹圧10)。
→DVC処理で一時的に気腹圧15に。
→コンソール操作終了
→ヘッドアップ、da Vinciロールアウト
→ポート抜去、手術終了
→抜管。
・全身麻酔と気腹
・呼吸:PaCO2増加、CO2塞栓、皮下気腫
・循環:CO増加、末梢血管抵抗増加、肺血管抵抗増加
・頭低位(Steep Trendelenburg position)
・頭低位における循環
・上肢
→血管内圧増加
・頭蓋内圧上昇、眼圧上昇、上気道浮腫・・・
・CO増加、CVP上昇
・下肢
→下腿灌流低下
・下腿虚血、コンパートメント症候群
→骨盤内圧低下
・CO2塞栓
・頭低位における呼吸
・腹腔内圧の上昇→横隔膜の圧迫
・肺コンプライアンス低下
・気道内圧上昇
・無気肺形成
・V/Q mismatch・・・
・挿管チューブの変位
・頭部後屈→事故抜管
・気管の頭側変位→片肺換気
・頭低位の影響について論文いろいろ
・頭低位の角度に関して標準化された基準はない。
・角度に依存して血圧、気道内圧は上昇、肺comliance低下。
・CO2気腹を伴う40°頭低位に患者は十分耐えうる。
・年長者ではPaCO2-EtCo2 gapが広がる可能性。
・ST位においてはVCMでもPCVでも臨床的問題となる差はない。
・頭低位における眼合併症について
・ST位が長引けば眼灌流圧維持の自動能が保持されなくなる可能性
・頭低位手術の患者
・術中パラメータ観察&術後眼科診察の報告
→視力検査、RNFLを評価
・IOPは時間毎に上昇傾向(max 36 mmHg)。
・視力検査、RNFLは全例術前術後で変化なし。
・眼合併症もなし。
術前眼合併症がないならば・・・
→数時間のST位によるIOP上昇は問題ない。
・IOP上昇のリスク因子
→①手術時間、②EtCO2増加
・IOP上昇の予測因子
→眼瞼浮腫、結膜浮腫の存在がIOP>40mmHgの予測因子
・麻酔科専用眼圧計があるので術中計測しましょう。
・下腿コンパートメント症候群
・頭低位で下腿が心臓よりも上方へ
→下腿灌流低下+レビテータによる圧迫
→下腿虚血、再灌流、コンパートメント症候群
・英国の報告では9/3110(0.29%)。
・リスク因子は
①ST位時間>4h
②early learning curve段階
③肥満(BMI>30kg/m2)
④末梢血管疾患の合併
⑤不適切な体位
・その他の合併症報告
・腕神経叢麻痺
・肩への圧迫刺激によるもの
→当院ではHUG-U-VAC使用で圧の分散化を狙う。
・上気道浮腫
→抜管後、再挿管になる可能性。
・その他トピックスいろいろ
・術中脳酸素飽和度に臨床的変化なし。
・予防的抗生剤投与はST合剤か、第二第三世代セフェム。
・DVTハイリスク手術ではない。
・SVVが輸液反応性の指標になるかも。
・体温が下がります。保温&室温upを!
・フェイスガードで顔面保護を。
→カメラコード、助手の腕が顔面に当たるため。
・術後鎮痛
・硬膜外麻酔は必要なさそう
・アナペイン局所麻酔注射は効果あり。
・IV-PCA、フェンタニル精密持続、NSAIDS、アセトアミノフェンなど。
・トラマールを使用する施設も。
頭低位シミュレーション
「ロボット支援下前立腺全摘術の麻酔」
・ロボット支援下前立腺全摘術(RALP)
・da Vinciを使用。
→手術支援ロボット
・Surgeon Console
・Patient Cart
・Vision Cartの3つからなる。
・手術室のセッティング。
・手術の流れ
・麻酔導入、動脈ライン1本静脈ライン2本
→体位固定(砕石位)
→ヘッドダウンテスト(頭低位30度)
→砕石位で手術開始
→ポート挿入、気腹
→ポート挿入後、頭低位30度、da Vinciロールイン
→コンソール操作開始(気腹圧10)。
→DVC処理で一時的に気腹圧15に。
→コンソール操作終了
→ヘッドアップ、da Vinciロールアウト
→ポート抜去、手術終了
→抜管。
・全身麻酔と気腹
・呼吸:PaCO2増加、CO2塞栓、皮下気腫
・循環:CO増加、末梢血管抵抗増加、肺血管抵抗増加
・頭低位(Steep Trendelenburg position)
・頭低位における循環
・上肢
→血管内圧増加
・頭蓋内圧上昇、眼圧上昇、上気道浮腫・・・
・CO増加、CVP上昇
・下肢
→下腿灌流低下
・下腿虚血、コンパートメント症候群
→骨盤内圧低下
・CO2塞栓
・頭低位における呼吸
・腹腔内圧の上昇→横隔膜の圧迫
・肺コンプライアンス低下
・気道内圧上昇
・無気肺形成
・V/Q mismatch・・・
・挿管チューブの変位
・頭部後屈→事故抜管
・気管の頭側変位→片肺換気
・頭低位の影響について論文いろいろ
・頭低位の角度に関して標準化された基準はない。
・角度に依存して血圧、気道内圧は上昇、肺comliance低下。
・CO2気腹を伴う40°頭低位に患者は十分耐えうる。
・年長者ではPaCO2-EtCo2 gapが広がる可能性。
・ST位においてはVCMでもPCVでも臨床的問題となる差はない。
・頭低位における眼合併症について
・ST位が長引けば眼灌流圧維持の自動能が保持されなくなる可能性
・頭低位手術の患者
・術中パラメータ観察&術後眼科診察の報告
→視力検査、RNFLを評価
・IOPは時間毎に上昇傾向(max 36 mmHg)。
・視力検査、RNFLは全例術前術後で変化なし。
・眼合併症もなし。
術前眼合併症がないならば・・・
→数時間のST位によるIOP上昇は問題ない。
・IOP上昇のリスク因子
→①手術時間、②EtCO2増加
・IOP上昇の予測因子
→眼瞼浮腫、結膜浮腫の存在がIOP>40mmHgの予測因子
・麻酔科専用眼圧計があるので術中計測しましょう。
・下腿コンパートメント症候群
・頭低位で下腿が心臓よりも上方へ
→下腿灌流低下+レビテータによる圧迫
→下腿虚血、再灌流、コンパートメント症候群
・英国の報告では9/3110(0.29%)。
・リスク因子は
①ST位時間>4h
②early learning curve段階
③肥満(BMI>30kg/m2)
④末梢血管疾患の合併
⑤不適切な体位
・その他の合併症報告
・腕神経叢麻痺
・肩への圧迫刺激によるもの
→当院ではHUG-U-VAC使用で圧の分散化を狙う。
・上気道浮腫
→抜管後、再挿管になる可能性。
・その他トピックスいろいろ
・術中脳酸素飽和度に臨床的変化なし。
・予防的抗生剤投与はST合剤か、第二第三世代セフェム。
・DVTハイリスク手術ではない。
・SVVが輸液反応性の指標になるかも。
・体温が下がります。保温&室温upを!
・フェイスガードで顔面保護を。
→カメラコード、助手の腕が顔面に当たるため。
・術後鎮痛
・硬膜外麻酔は必要なさそう
・アナペイン局所麻酔注射は効果あり。
・IV-PCA、フェンタニル精密持続、NSAIDS、アセトアミノフェンなど。
・トラマールを使用する施設も。
頭低位シミュレーション
結核診療の基礎知識
ICU勉強会 担当:K先生
「結核診療の基礎知識」
・結核
・世界三大感染症の1つ
・世界で年間880万人発病、175万人が死亡
・日本は先進国中でも結核が多い。
→年間約3万人が罹患し、2300人以上が死亡
→罹患率は1997年から微増、2000年以降は減少
・高齢者の比率が多く70歳以上が約4割を占める
・日本の罹患率のワースト3は大阪、東京、兵庫
・結核の約8-9割は肺結核
・2007年4月から結核予防法が感染症法に統合
→結核は二類感染症に分類された
・結核菌
・抗酸菌(Acid-fast bacillus)(好気性桿菌)
・ミコール酸などのワックス状の細胞壁成分を持つ。
→毒や乾燥に強い
・分裂速度が遅い(15-24時間)
・塗抹陽性患者の咳、くしゃみ
→飛沫が 放出、飛沫核となる。
→これを吸引することが感染の契機となる
・結核は飛沫核(空気)感染
・吸引された結核菌がマクロファージに貪食
→一部が処理しきれず増殖(感染成立)
→細胞性免疫が成立すると・・・
→特徴的な壊死を伴った(乾酪性)肉芽組織に封入
・結核の感染様式
・結核の感染と発病
・一次結核と二次結核について
→結核に感染しても約1割の人しか発病しない
・結核を疑うべき状況
・慢性(2週間以上)の咳、痰(血痰)、発熱
・全身倦怠感、体重減少、寝汗、胸痛、呼吸苦
→結核に特有の症状はない。
→結核を疑うことが大切
・発症リスク要因
・高齢者、糖尿病、免疫抑制治療中、
悪性腫瘍、透析患者、濃厚接触、・・・
・一般の抗菌剤でよくならない肺炎
・胸部単純写真
・典型的には上葉(S1,2)及びS6に好発する
辺縁不整な浸潤影や結節影で空洞形成を伴う。
・但し、空洞を伴わない孤立性結節影、広範な浸潤影など
多彩な陰影を呈し、典型的でなくても否定できない。
・栗粒結核では両側肺野全体にびまん性の粒状影を呈する。
・胸部CT所見
・感染を疑ったら・・・
→まずは三連痰
・喀痰抗酸菌塗抹検査が1回陰性
→排菌(塗抹陽性)は否定できない!
→3回実施して塗抹陽性患者の80-90%が検出できる
・喀痰が出ない人は
①胃液採取 ②気管支鏡検査
・喀痰の肉眼的品質評価
→Miller&Jones分類
・喀痰の顕微鏡的品質評価
→Geckler分類
・抗酸菌検査結果の解釈のポイント
・喀痰の性状に注意 (M&J分類のM1,2では再提出)
・抗酸菌塗沫陽性でも結核とは限らない(NTMもある)
・結核菌と同定したら、薬剤感受性検査を必ず行う
・薬剤感受性検査の結果に数週間かかる
→一般に治療は薬剤感受性結果を待たずに開始する
・陳旧性結核所見のある人の結核菌PCR陽性に注意
→死菌をみている可能性があり培養検査を必ず併用する
・気管支洗浄液、胃液の塗抹陽性は排菌を意味しない
・肺結核以外の結核(喀痰塗抹陰性)は隔離不要
・ツベルクリン反応
・ツ反陰性だった人が陽転化した場合には結核感染を示唆する
→栗粒結核などの重症例やHIV感染などではツ反陰性となる
・結核の主要な感染源
・クォンティフェロン
・結核患者への対応
・喀痰結核菌塗沫陽性(排菌)患者の場合
・患者にサージカルマスク、医療従事者にN95マスクを装着
入院が必要な場合は陰圧個室で。
・結核病棟のある専門施設に連絡
→近隣なら西神戸医療センター、兵庫中央病院など
・専門施設への入院までの間は、自宅待機
→乳幼児や免疫力が低下した人への接触は避ける
・塗沫陰性、培養陽性患者の場合
・隔離は不要であり外来で加療可能(呼吸器内科へ紹介)
・結核患者の届け出について
・結核患者の鑑別診断
・肺炎
・肺真菌症(アスペルギルスなど)
・肺癌
・非結核性抗酸菌症
・サルコイドーシス
・結核治療の原則
・原則1:感性薬剤の使用
・原則2:併用療法の原則
・原則3:初期強化療法と維持療法を分けて考える
・原則4:薬剤変更の時、1剤ずつの変更はしない
・原則5:完全服薬の励行(DOTSの実施)
・結核の標準治療
・非定型抗酸菌症(NTM)1
・日本のNTMの70%以上を占める。
①中年女性に多い「中葉・舌区型」
②男性に多い「空洞形成型(結核症類似型)
③HIV感染者でみられる「全身播種型」
・非定型抗酸菌症(NTM)2
・MACについで2番目に多いNTM
・男性が多い(80%)
・症状、画像所見ともに結核に類似(結核に比べて散布影が少ない)
・抗結核薬の効果が期待できる
・結核を見逃さないために
・慢性の咳、痰があれば胸部Xpを撮る
・肺炎の影をみたら結核の可能性を考える
・陳旧性の陰影と決めつけず以前と比較する
・喀痰検査では痰の性状も確認する
・胸水をみたら結核性胸膜炎も考慮する
「結核診療の基礎知識」
・結核
・世界三大感染症の1つ
・世界で年間880万人発病、175万人が死亡
・日本は先進国中でも結核が多い。
→年間約3万人が罹患し、2300人以上が死亡
→罹患率は1997年から微増、2000年以降は減少
・高齢者の比率が多く70歳以上が約4割を占める
・日本の罹患率のワースト3は大阪、東京、兵庫
・結核の約8-9割は肺結核
・2007年4月から結核予防法が感染症法に統合
→結核は二類感染症に分類された
・結核菌
・抗酸菌(Acid-fast bacillus)(好気性桿菌)
・ミコール酸などのワックス状の細胞壁成分を持つ。
→毒や乾燥に強い
・分裂速度が遅い(15-24時間)
・塗抹陽性患者の咳、くしゃみ
→飛沫が 放出、飛沫核となる。
→これを吸引することが感染の契機となる
・結核は飛沫核(空気)感染
・吸引された結核菌がマクロファージに貪食
→一部が処理しきれず増殖(感染成立)
→細胞性免疫が成立すると・・・
→特徴的な壊死を伴った(乾酪性)肉芽組織に封入
・結核の感染様式
・結核の感染と発病
・一次結核と二次結核について
→結核に感染しても約1割の人しか発病しない
・結核を疑うべき状況
・慢性(2週間以上)の咳、痰(血痰)、発熱
・全身倦怠感、体重減少、寝汗、胸痛、呼吸苦
→結核に特有の症状はない。
→結核を疑うことが大切
・発症リスク要因
・高齢者、糖尿病、免疫抑制治療中、
悪性腫瘍、透析患者、濃厚接触、・・・
・一般の抗菌剤でよくならない肺炎
・胸部単純写真
・典型的には上葉(S1,2)及びS6に好発する
辺縁不整な浸潤影や結節影で空洞形成を伴う。
・但し、空洞を伴わない孤立性結節影、広範な浸潤影など
多彩な陰影を呈し、典型的でなくても否定できない。
・栗粒結核では両側肺野全体にびまん性の粒状影を呈する。
・胸部CT所見
・感染を疑ったら・・・
→まずは三連痰
・喀痰抗酸菌塗抹検査が1回陰性
→排菌(塗抹陽性)は否定できない!
→3回実施して塗抹陽性患者の80-90%が検出できる
・喀痰が出ない人は
①胃液採取 ②気管支鏡検査
・喀痰の肉眼的品質評価
→Miller&Jones分類
・喀痰の顕微鏡的品質評価
→Geckler分類
・抗酸菌検査結果の解釈のポイント
・喀痰の性状に注意 (M&J分類のM1,2では再提出)
・抗酸菌塗沫陽性でも結核とは限らない(NTMもある)
・結核菌と同定したら、薬剤感受性検査を必ず行う
・薬剤感受性検査の結果に数週間かかる
→一般に治療は薬剤感受性結果を待たずに開始する
・陳旧性結核所見のある人の結核菌PCR陽性に注意
→死菌をみている可能性があり培養検査を必ず併用する
・気管支洗浄液、胃液の塗抹陽性は排菌を意味しない
・肺結核以外の結核(喀痰塗抹陰性)は隔離不要
・ツベルクリン反応
・ツ反陰性だった人が陽転化した場合には結核感染を示唆する
→栗粒結核などの重症例やHIV感染などではツ反陰性となる
・結核の主要な感染源
・クォンティフェロン
・結核患者への対応
・喀痰結核菌塗沫陽性(排菌)患者の場合
・患者にサージカルマスク、医療従事者にN95マスクを装着
入院が必要な場合は陰圧個室で。
・結核病棟のある専門施設に連絡
→近隣なら西神戸医療センター、兵庫中央病院など
・専門施設への入院までの間は、自宅待機
→乳幼児や免疫力が低下した人への接触は避ける
・塗沫陰性、培養陽性患者の場合
・隔離は不要であり外来で加療可能(呼吸器内科へ紹介)
・結核患者の届け出について
・結核患者の鑑別診断
・肺炎
・肺真菌症(アスペルギルスなど)
・肺癌
・非結核性抗酸菌症
・サルコイドーシス
・結核治療の原則
・原則1:感性薬剤の使用
・原則2:併用療法の原則
・原則3:初期強化療法と維持療法を分けて考える
・原則4:薬剤変更の時、1剤ずつの変更はしない
・原則5:完全服薬の励行(DOTSの実施)
・結核の標準治療
・非定型抗酸菌症(NTM)1
・日本のNTMの70%以上を占める。
①中年女性に多い「中葉・舌区型」
②男性に多い「空洞形成型(結核症類似型)
③HIV感染者でみられる「全身播種型」
・非定型抗酸菌症(NTM)2
・MACについで2番目に多いNTM
・男性が多い(80%)
・症状、画像所見ともに結核に類似(結核に比べて散布影が少ない)
・抗結核薬の効果が期待できる
・結核を見逃さないために
・慢性の咳、痰があれば胸部Xpを撮る
・肺炎の影をみたら結核の可能性を考える
・陳旧性の陰影と決めつけず以前と比較する
・喀痰検査では痰の性状も確認する
・胸水をみたら結核性胸膜炎も考慮する
2014年1月24日金曜日
硬膜穿刺後頭痛
麻酔EBM勉強会 担当:I先生
「硬膜穿刺後頭痛」
・硬膜穿刺後頭痛
・多くの場合は持続期間も短く軽症。
・頭痛で動けず、退院が伸びてしまうこともある。
・数か月、数年単位で持続したり慢性化しうる。
・脳神経麻痺や硬膜下血腫の原因になりうる。
・予想以上に頻度が高く訴訟になることも。
・リスク因子
・針の形とサイズ
・発症機序仮説①
・硬膜穿刺部位からCSFが漏出し続ける
→頭蓋内のCSFの量が減る
→脳と頭蓋骨がこすれやすくなり、髄膜が刺激される
→髄膜は痛覚を感じるため頭痛が生じる
・この仮説から考えられる治療法
・CSFの漏出を最小限にする
・CSFの産生を促す
・脊髄から頭蓋内へCSFを移動させる
・発症機序仮説②
・CSFの減少により、頭蓋内圧が低下する
→代償性に脳血管拡張が起こる
→偏頭痛と同様の機序で頭痛が起こる
・根拠:以下の2点が偏頭痛と似ている
・女性に多い
・PDPH患者の脳MRIで脳血流が増加している
・この仮説から考えられる治療法
・脳血管収縮薬の使用
・保存的治療
・ベッド安静
・水分負荷
・腹臥位 / 背中を丸める体位を取る
・カフェイン
・トリプタン
・ACTH/ステロイド
・侵襲的治療
・くも膜下腔に生食投与/カテーテルを留置
・硬膜外腔に生食投与/モルヒネ投与/デキストラン投与
・ブラッドパッチ/予防的ブラッドパッチ
・各治療のエビデンス
・ベッド上安静
・安静時間の延長がPDPH発生を減らすというエビデンスなし
・頭痛があっても症状が安定しているなら早期に離床を
・補液
・硬膜穿刺後補液をした研究は1つしかない
・PDPH発生減らすエビデンスはないが脱水はよくない
・腹臥位、背中を丸める体位を取る
・腹圧上昇
→CSFが腰椎から頭蓋内のコンパートメントに移行
・ただし支持する研究は行われていない
・カフェイン摂取(経口or経静脈)
→いくつか研究あり
・カフェイン経静脈的投与
・保存的加療に反応しなかったPDPHの患者41人
→500mgのカフェインを経静脈的に投与
→70%の患者が頭痛消失
・カフェイン経口投与
・カフェイン群で有意に頭痛は改善
・カフェインで頭痛が改善した群
→うち6人は翌日には頭痛再燃
・ステロイド
・脊椎麻酔で帝王切開を受け、PDPH発症した患者60人
・30人ずつHydrocortisone群と安静のみ群に分ける
→有意差を持ってHydrocortisone群で頭痛の程度が改善
・硬膜外生食持続投与
・頭痛が改善したという報告いくつかあり
・EBP(硬膜外ブラッドパッチ)
・PDPH治療のゴールドスタンダード
・硬膜外針を通して自己静脈血(15~20mlが理想)を
硬膜と脊椎の間の脂肪組織に注入
・できれば硬膜穿刺部位に近い椎間から注入
※血液が十分量あれば離れていてもOK
・注入後、1時間~2時間仰臥位
・菌血症や発熱患者、HIV感染者には避ける
・宗教上の理由で拒否する患者
→血液の代わりにデキストラン注入を考慮
・成功率は?
・以前は95%もの成功率と報告
→これらの研究のほとんどが前向き試験ではない
・EBPの成功率は65%ほどしかないとする報告も
・成功率を下げる独立因子
・穿刺した針の太さ
・硬膜穿刺してからEBP施行まで4日以上
・EBPの血液量が不十分
・硬膜外腔デキストラン投与
・適応:宗教上の理由などでEBPを拒否した患者など
・成功例報告あり
・神経毒性やアレルギー反応の危険性がある
・現時点ではスタンダードな治療とはいえない
「硬膜穿刺後頭痛」
・硬膜穿刺後頭痛
・多くの場合は持続期間も短く軽症。
・頭痛で動けず、退院が伸びてしまうこともある。
・数か月、数年単位で持続したり慢性化しうる。
・脳神経麻痺や硬膜下血腫の原因になりうる。
・予想以上に頻度が高く訴訟になることも。
・リスク因子
・針の形とサイズ
・発症機序仮説①
・硬膜穿刺部位からCSFが漏出し続ける
→頭蓋内のCSFの量が減る
→脳と頭蓋骨がこすれやすくなり、髄膜が刺激される
→髄膜は痛覚を感じるため頭痛が生じる
・この仮説から考えられる治療法
・CSFの漏出を最小限にする
・CSFの産生を促す
・脊髄から頭蓋内へCSFを移動させる
・発症機序仮説②
・CSFの減少により、頭蓋内圧が低下する
→代償性に脳血管拡張が起こる
→偏頭痛と同様の機序で頭痛が起こる
・根拠:以下の2点が偏頭痛と似ている
・女性に多い
・PDPH患者の脳MRIで脳血流が増加している
・この仮説から考えられる治療法
・脳血管収縮薬の使用
・保存的治療
・ベッド安静
・水分負荷
・腹臥位 / 背中を丸める体位を取る
・カフェイン
・トリプタン
・ACTH/ステロイド
・侵襲的治療
・くも膜下腔に生食投与/カテーテルを留置
・硬膜外腔に生食投与/モルヒネ投与/デキストラン投与
・ブラッドパッチ/予防的ブラッドパッチ
・各治療のエビデンス
・ベッド上安静
・安静時間の延長がPDPH発生を減らすというエビデンスなし
・頭痛があっても症状が安定しているなら早期に離床を
・補液
・硬膜穿刺後補液をした研究は1つしかない
・PDPH発生減らすエビデンスはないが脱水はよくない
・腹臥位、背中を丸める体位を取る
・腹圧上昇
→CSFが腰椎から頭蓋内のコンパートメントに移行
・ただし支持する研究は行われていない
・カフェイン摂取(経口or経静脈)
→いくつか研究あり
・カフェイン経静脈的投与
・保存的加療に反応しなかったPDPHの患者41人
→500mgのカフェインを経静脈的に投与
→70%の患者が頭痛消失
・カフェイン経口投与
・カフェイン群で有意に頭痛は改善
・カフェインで頭痛が改善した群
→うち6人は翌日には頭痛再燃
・ステロイド
・脊椎麻酔で帝王切開を受け、PDPH発症した患者60人
・30人ずつHydrocortisone群と安静のみ群に分ける
→有意差を持ってHydrocortisone群で頭痛の程度が改善
・硬膜外生食持続投与
・頭痛が改善したという報告いくつかあり
・EBP(硬膜外ブラッドパッチ)
・PDPH治療のゴールドスタンダード
・硬膜外針を通して自己静脈血(15~20mlが理想)を
硬膜と脊椎の間の脂肪組織に注入
・できれば硬膜穿刺部位に近い椎間から注入
※血液が十分量あれば離れていてもOK
・注入後、1時間~2時間仰臥位
・菌血症や発熱患者、HIV感染者には避ける
・宗教上の理由で拒否する患者
→血液の代わりにデキストラン注入を考慮
・成功率は?
・以前は95%もの成功率と報告
→これらの研究のほとんどが前向き試験ではない
・EBPの成功率は65%ほどしかないとする報告も
・成功率を下げる独立因子
・穿刺した針の太さ
・硬膜穿刺してからEBP施行まで4日以上
・EBPの血液量が不十分
・硬膜外腔デキストラン投与
・適応:宗教上の理由などでEBPを拒否した患者など
・成功例報告あり
・神経毒性やアレルギー反応の危険性がある
・現時点ではスタンダードな治療とはいえない
2014年1月22日水曜日
ICU過去、現在、未来
ICU勉強会 担当:M先生
「ICU過去、現在、未来」
・最近G-ICU入室しなくなった症例
・COPD急性増悪に対する挿管、人工呼吸管理
・喘息重積発作
→いずれも内科的コントロールがよくなった。
・肝不全に対するCHDF+血漿交換
・下部消化管穿孔など敗血症患者の外来経由の救急入院
→E-ICUに入るようになった。
・小児先天性心疾患術後
→手術自体を当院でやらなくなった。
・医療機器・薬剤の開発
・電子カルテへの移行
・低侵襲のモニター
・短時間作用性
・機械そのものの進歩
・鎮静薬
・従来は・・・
→セレネース+アキネトン、ペンタジン+アタラックスp、
ホリゾン、ドルミカム
・短時間作用性の薬剤の出現
→持続で使用できかつ鎮静レベルの調整が容易
→プロポフォール、プレセデックス
→鎮静レベルのスコア化が可能に
・経口薬の利用
・BIS
・気道
・経鼻挿管から経口挿管へ
・様々な挿管デバイス
・LMA、ビデオ喉頭鏡、AWS、McGRATH、
BFの外付けモニター、光源の小型化
・呼吸器
・人工呼吸器の発達
・PSなど自発呼吸を生かした換気モード
→昔は対応できる機械が少なかった。
・新生児から成人からまで対応可能
・フロートリガー
・NIVもできる呼吸器の発達やNHFの導入
・モニター
・SPO2やETCO2、吸入麻酔ガス濃度
・循環器
・cGMPを増加させる薬剤の開発
・βブロッカーの適応
・スタチン
・心拍出量や混合静脈血酸素飽和度の持続的な表示
・機械による連続的心拍出量表示
→測定者による誤差がない。時間節約に。
・TTEに加えTEEの発達
・IABP,PCPSの小型化(VADの発達)
・輸血
・新鮮血から保存血、成分輸血へ
・セルセイバー
・MUF
・消化管と栄養
・経腸栄養の発達と中心静脈栄養症例の減少
・様々な用途の経腸栄養製剤
・経口薬の積極的利用
・PPIの開発
・腎臓
・HD,PDで管理→CHDの開発
・CHD回路の進歩により小児にも使用可
・アクトシン、イノバンからハンプへ
・内分泌
・至適血糖コントロール方法は
・ステロイド使用法
・パルス療法から相対的副腎機能不全へ
・筋骨格系
・筋弛緩薬
・ミオブロック→マスキュラックス→エスラックス
・ブリディオンの出現
・ICUにおけるリハビリ
・DVT予防
・弾性ストッキング
・フットポンプ
・抗凝固
・鎮痛
・フェンタニル持続使用の認可、アルチバ
・NSAIDsやアセトアミノフェンの静注薬
・ブロックの利用
・肋間神経ブロック→持続へ
・TAPなど
・感染症
・抗菌薬の開発と耐性菌
・感染症科の独立
・画像検査
・胸腹部のレントゲンのみ
・CTの活用
・エコー利用
・電子カルテ化
→画像をシャウカステンに掛けずともカンファ可能に。
・検査結果
・救急検査はCBCと限られた生化学検査のみ
・ABG:機器の発達でHbや電解質、血糖も検査室と誤差がない
・凝固系の測定可能→安全な抗凝固
・生化学、電解質も測定範囲が広がる
・1つの分野のみの発達だけでは、ICU管理は変わらない
・心臓手術では・・・
・短時間作用性の麻酔薬と持続投与可能な鎮静薬の開発
自発呼吸と同調できる呼吸器開発
術中管理を容易にするデバイスの進歩
→心臓術後の早期抜管に
・CHDは心臓手術の適応を広げた
・未だ開発されないもの
・肝臓の代わりをするもの
・透析のために太い透析用カテーテルを挿入することは同じ。
機械の大きさもあまり変わりはない
・せん妄を予防すること、すぐに回復させる事は困難
「ICU過去、現在、未来」
・最近G-ICU入室しなくなった症例
・COPD急性増悪に対する挿管、人工呼吸管理
・喘息重積発作
→いずれも内科的コントロールがよくなった。
・肝不全に対するCHDF+血漿交換
・下部消化管穿孔など敗血症患者の外来経由の救急入院
→E-ICUに入るようになった。
・小児先天性心疾患術後
→手術自体を当院でやらなくなった。
・医療機器・薬剤の開発
・電子カルテへの移行
・低侵襲のモニター
・短時間作用性
・機械そのものの進歩
・鎮静薬
・従来は・・・
→セレネース+アキネトン、ペンタジン+アタラックスp、
ホリゾン、ドルミカム
・短時間作用性の薬剤の出現
→持続で使用できかつ鎮静レベルの調整が容易
→プロポフォール、プレセデックス
→鎮静レベルのスコア化が可能に
・経口薬の利用
・BIS
・気道
・経鼻挿管から経口挿管へ
・様々な挿管デバイス
・LMA、ビデオ喉頭鏡、AWS、McGRATH、
BFの外付けモニター、光源の小型化
・呼吸器
・人工呼吸器の発達
・PSなど自発呼吸を生かした換気モード
→昔は対応できる機械が少なかった。
・新生児から成人からまで対応可能
・フロートリガー
・NIVもできる呼吸器の発達やNHFの導入
・モニター
・SPO2やETCO2、吸入麻酔ガス濃度
・循環器
・cGMPを増加させる薬剤の開発
・βブロッカーの適応
・スタチン
・心拍出量や混合静脈血酸素飽和度の持続的な表示
・機械による連続的心拍出量表示
→測定者による誤差がない。時間節約に。
・TTEに加えTEEの発達
・IABP,PCPSの小型化(VADの発達)
・輸血
・新鮮血から保存血、成分輸血へ
・セルセイバー
・MUF
・消化管と栄養
・経腸栄養の発達と中心静脈栄養症例の減少
・様々な用途の経腸栄養製剤
・経口薬の積極的利用
・PPIの開発
・腎臓
・HD,PDで管理→CHDの開発
・CHD回路の進歩により小児にも使用可
・アクトシン、イノバンからハンプへ
・内分泌
・至適血糖コントロール方法は
・ステロイド使用法
・パルス療法から相対的副腎機能不全へ
・筋骨格系
・筋弛緩薬
・ミオブロック→マスキュラックス→エスラックス
・ブリディオンの出現
・ICUにおけるリハビリ
・DVT予防
・弾性ストッキング
・フットポンプ
・抗凝固
・鎮痛
・フェンタニル持続使用の認可、アルチバ
・NSAIDsやアセトアミノフェンの静注薬
・ブロックの利用
・肋間神経ブロック→持続へ
・TAPなど
・感染症
・抗菌薬の開発と耐性菌
・感染症科の独立
・画像検査
・胸腹部のレントゲンのみ
・CTの活用
・エコー利用
・電子カルテ化
→画像をシャウカステンに掛けずともカンファ可能に。
・検査結果
・救急検査はCBCと限られた生化学検査のみ
・ABG:機器の発達でHbや電解質、血糖も検査室と誤差がない
・凝固系の測定可能→安全な抗凝固
・生化学、電解質も測定範囲が広がる
・1つの分野のみの発達だけでは、ICU管理は変わらない
・心臓手術では・・・
・短時間作用性の麻酔薬と持続投与可能な鎮静薬の開発
自発呼吸と同調できる呼吸器開発
術中管理を容易にするデバイスの進歩
→心臓術後の早期抜管に
・CHDは心臓手術の適応を広げた
・未だ開発されないもの
・肝臓の代わりをするもの
・透析のために太い透析用カテーテルを挿入することは同じ。
機械の大きさもあまり変わりはない
・せん妄を予防すること、すぐに回復させる事は困難
大人になった先天性心疾患
麻酔科勉強会 担当:M先生
「大人になった先天性心疾患」
・先天性心疾患(CHD)
・内科的、外科的治療の進歩で90%が成人期を迎えている
・毎年約9000人のCHD患者が成人(ACHD)
・30~40年前のACHDはASD、VSD、PDAなどの軽症例がほとんど
・最近の10数年でTOFや単心室といった複雑ACHDが増加
・手術既往による分類
・手術既往あり
・最終修復を受けたもの
a.単純心疾患
b.複雑心疾患
・姑息術
・手術なし
・軽症
・手術拒否
・手術困難
・姑息的手術
・Blalock-Taussig手術
・PA絞扼術
・Glenn手術
・某レビューより
・CHDで生存している人数は成人>小児
→成人期に追加の姑息術や根治術や非心臓手術が必要
・ACHDは合併症率や死亡率が高い
→2013年に初めて報告がでた
・ガイドラインはない
→CHD専門の循環器内科医や麻酔科医のいる
adult CHD centerに相談する事を勧めている
・代表する病態
・左-右シャント
肺が受ける血流
・全身からの非酸素化血液+酸素化されたシャント血
→全身の血流と体血圧が肺血管床にかかる。
→非可逆的変化がおこり肺高血圧になる
→体血圧=肺血圧
→Eisenmenger syndorome
・右-左シャント
・SVR低下やPVR増加で増える
・SPO2 ↑には吸入酸素濃度上昇は効果は少ない
→フェニレフリンの方が効果的
・効果発現
→静脈麻酔薬は早い、吸入麻酔薬は遅い
・チアノーゼ心疾患
・肺血流減少し酸素化と非酸素化血液の混合でおこる
・成人までに成人期までに1から数回の手術を受けている
・長期生存の影響
・心臓合併症
・肺高血圧
・心室性不整脈、伝導障害
・残存シャント
・弁疾患
・高血圧
・大動脈瘤
・非心臓合併症
・非心臓合併症
・二次的赤血球増多症
・胆石、尿路結石
・発達障害
・以前の塞栓や脳血管障害による痙攣などの中枢神経系異常
・視力障害、聴力障害
・閉塞性または拘束性肺疾患
・肺高血圧症
・長期開存の大きな欠損孔
→血流増加と圧負荷による肺血管床の変化
→早期から起こり徐々に非可逆的に
・Eisenmenger化すると周術期死亡率増加
→非心臓手術は絶対に必要なときのみ
・死亡率予測因子
→失神、症状出現の年齢、上室性不整脈、
右心房圧上昇、SPO2低下(<85%)、
腎不全、右心不全、trisomy21
・肺高血圧症と麻酔
・肺血管抵抗を上昇させない
・肺血管抵抗の急激な上昇
→右心不全と心拍出量低下
・徐脈から心停止
・対処
・FiO2 1.0での過換気
・アシドーシス補正
・交感神経刺激をさける
・体温補正
・胸腔内圧を最低へ
・強心薬
・NO吸入
・Eisenmenger症例
→鉄欠乏の赤血球増多が血栓の予測因子となる
・術前の絶飲食により粘稠度増加
→脳血管の血栓症の危険性上昇
→適切な輸液が重要
・Ht>65%の時は術前の瀉血も有用
・Hb上昇と血漿量低下の状態
→通常のPT-INRはあてにならない
・心不全
・ANP、レニン、アルドステロン、ノルエピネフリン
→修復後も何年間も高い
・心臓の自律神経系の異常による
・左心不全→利尿薬、ジゴキシン、ACE阻害薬、βブロッカー
・右心不全に対する明確なガイドラインはない
・不整脈
・出血
・二次的な血小板数と機能低下(末梢での消費などによる)
・凝固系の異常
→原因不明 VitK依存因子、V因子、
von Willebland因子の低下によるPT-INR延長
・出血時間は、末梢の粘調度増加のため延長しない
・細動脈拡張と組織の血管増生による出血
・麻酔方法
・伝達麻酔は適応
・脊椎麻酔、硬膜麻酔
→大きな心内シャントがある時、
末梢血管抵抗がさがると右左シャント増加
・全身麻酔
→換気コントロールが可能
→high risk患者には適している
・麻酔管理
・多岐の専門性が必要
・機能低下症例、肺高血圧、うっ血性心不全、
肺高血圧、チアノーゼ症例
・体位変換が必要な手術もリスク
→Major surgery, 分離換気、腹臥位など
・解剖と生理を術前のエコーやカテーテル所見で知っておく
・術前エコーは必要
・具体的な麻酔方法など
「大人になった先天性心疾患」
・先天性心疾患(CHD)
・内科的、外科的治療の進歩で90%が成人期を迎えている
・毎年約9000人のCHD患者が成人(ACHD)
・30~40年前のACHDはASD、VSD、PDAなどの軽症例がほとんど
・最近の10数年でTOFや単心室といった複雑ACHDが増加
・手術既往による分類
・手術既往あり
・最終修復を受けたもの
a.単純心疾患
b.複雑心疾患
・姑息術
・手術なし
・軽症
・手術拒否
・手術困難
・姑息的手術
・Blalock-Taussig手術
・PA絞扼術
・Glenn手術
・某レビューより
・CHDで生存している人数は成人>小児
→成人期に追加の姑息術や根治術や非心臓手術が必要
・ACHDは合併症率や死亡率が高い
→2013年に初めて報告がでた
・ガイドラインはない
→CHD専門の循環器内科医や麻酔科医のいる
adult CHD centerに相談する事を勧めている
・代表する病態
・左-右シャント
肺が受ける血流
・全身からの非酸素化血液+酸素化されたシャント血
→全身の血流と体血圧が肺血管床にかかる。
→非可逆的変化がおこり肺高血圧になる
→体血圧=肺血圧
→Eisenmenger syndorome
・右-左シャント
・SVR低下やPVR増加で増える
・SPO2 ↑には吸入酸素濃度上昇は効果は少ない
→フェニレフリンの方が効果的
・効果発現
→静脈麻酔薬は早い、吸入麻酔薬は遅い
・チアノーゼ心疾患
・肺血流減少し酸素化と非酸素化血液の混合でおこる
・成人までに成人期までに1から数回の手術を受けている
・長期生存の影響
・心臓合併症
・肺高血圧
・心室性不整脈、伝導障害
・残存シャント
・弁疾患
・高血圧
・大動脈瘤
・非心臓合併症
・非心臓合併症
・二次的赤血球増多症
・胆石、尿路結石
・発達障害
・以前の塞栓や脳血管障害による痙攣などの中枢神経系異常
・視力障害、聴力障害
・閉塞性または拘束性肺疾患
・肺高血圧症
・長期開存の大きな欠損孔
→血流増加と圧負荷による肺血管床の変化
→早期から起こり徐々に非可逆的に
・Eisenmenger化すると周術期死亡率増加
→非心臓手術は絶対に必要なときのみ
・死亡率予測因子
→失神、症状出現の年齢、上室性不整脈、
右心房圧上昇、SPO2低下(<85%)、
腎不全、右心不全、trisomy21
・肺高血圧症と麻酔
・肺血管抵抗を上昇させない
・肺血管抵抗の急激な上昇
→右心不全と心拍出量低下
・徐脈から心停止
・対処
・FiO2 1.0での過換気
・アシドーシス補正
・交感神経刺激をさける
・体温補正
・胸腔内圧を最低へ
・強心薬
・NO吸入
・Eisenmenger症例
→鉄欠乏の赤血球増多が血栓の予測因子となる
・術前の絶飲食により粘稠度増加
→脳血管の血栓症の危険性上昇
→適切な輸液が重要
・Ht>65%の時は術前の瀉血も有用
・Hb上昇と血漿量低下の状態
→通常のPT-INRはあてにならない
・心不全
・ANP、レニン、アルドステロン、ノルエピネフリン
→修復後も何年間も高い
・心臓の自律神経系の異常による
・左心不全→利尿薬、ジゴキシン、ACE阻害薬、βブロッカー
・右心不全に対する明確なガイドラインはない
・不整脈
・出血
・二次的な血小板数と機能低下(末梢での消費などによる)
・凝固系の異常
→原因不明 VitK依存因子、V因子、
von Willebland因子の低下によるPT-INR延長
・出血時間は、末梢の粘調度増加のため延長しない
・細動脈拡張と組織の血管増生による出血
・麻酔方法
・伝達麻酔は適応
・脊椎麻酔、硬膜麻酔
→大きな心内シャントがある時、
末梢血管抵抗がさがると右左シャント増加
・全身麻酔
→換気コントロールが可能
→high risk患者には適している
・麻酔管理
・多岐の専門性が必要
・機能低下症例、肺高血圧、うっ血性心不全、
肺高血圧、チアノーゼ症例
・体位変換が必要な手術もリスク
→Major surgery, 分離換気、腹臥位など
・解剖と生理を術前のエコーやカテーテル所見で知っておく
・術前エコーは必要
・具体的な麻酔方法など
2014年1月18日土曜日
観血的動脈圧測定
麻酔科勉強会 担当:W先生
「観血的動脈圧測定」
・血圧測定の歴史
・1733年、馬の動脈にカニュレーション
→血液柱が上下することや約2.5mの高さに上昇することを発見
・動脈圧ラインの仕組み
・圧力センター部がホイットストーンブリッジ回路に接続
・加圧バッグにヘパリンを入れるべきか?
・挿入期間の中央値、必要とした処置、抜去理由、カテーテル機能
ヘパリン添加溶液(1U/ml)と生食はすべてにおいて有意差なし
・血管閉塞率も有意差なし
・4日以内の使用であればヘパ生(2U/mL)と生食の開存性に有意差なし
・導入前の動脈ライン確保
・リドカインテープは穿刺6〜8時間前に貼り付けると良い
・動脈ラインは何Gを使う?
・20Gと18Gの4種類のカニューレを挿入し、
アレンテスト、超音波、動脈造影で評価
→血管充填率と動脈閉塞の発生率は正の相関関係あり。
・体格や年齢が同じでも女より男の方が動脈径は太い
→撓骨動脈カニュレーションが女性で難しい原因
・20G vs 22G
・20G針では血管径が有意に増加(P=0.02)
・背景として穿刺回数に有意差あり(P=0.02)
・動脈ライン採血は?
・最低限、死腔の2倍以上は吸引するべき
・凝固(APTT)検査時は6倍以上吸引するべき
・ABP?NIBP?
・それぞれの誤差要因について
・NIBPは血流・血圧変化の双方を反映する
→臨床的信頼度が高い?
・ABPは圧波を直接観察でき経時的変化を追求できる
→臨床的価値は高い?
・ある研究
・sABP<111mmHgのとき、NIBP>ABP
・sABP>111mmHgのとき、NIBP<ABP
→麻酔科医にとってNIBPは都合が良い?
・ABPのみで管理した方が、 輸血量・昇圧剤・降圧剤の使用が多かった
ただし短期予後は変わらず
・人工心肺後の撓骨動脈圧偽性低下
・偽性低下
→中枢・末梢間に圧較差が生じた状態
→72%の症例で発生したという報告あり。
・末梢血管収縮、末梢血管拡張、循環血液量減少、
血管弾性率の変化、・・・
・人工心肺中の再加温による動脈シャント説
→盗血現象を起こすため
「観血的動脈圧測定」
・血圧測定の歴史
・1733年、馬の動脈にカニュレーション
→血液柱が上下することや約2.5mの高さに上昇することを発見
・動脈圧ラインの仕組み
・圧力センター部がホイットストーンブリッジ回路に接続
・加圧バッグにヘパリンを入れるべきか?
・挿入期間の中央値、必要とした処置、抜去理由、カテーテル機能
ヘパリン添加溶液(1U/ml)と生食はすべてにおいて有意差なし
・血管閉塞率も有意差なし
・4日以内の使用であればヘパ生(2U/mL)と生食の開存性に有意差なし
・導入前の動脈ライン確保
・リドカインテープは穿刺6〜8時間前に貼り付けると良い
・動脈ラインは何Gを使う?
・20Gと18Gの4種類のカニューレを挿入し、
アレンテスト、超音波、動脈造影で評価
→血管充填率と動脈閉塞の発生率は正の相関関係あり。
・体格や年齢が同じでも女より男の方が動脈径は太い
→撓骨動脈カニュレーションが女性で難しい原因
・20G vs 22G
・20G針では血管径が有意に増加(P=0.02)
・背景として穿刺回数に有意差あり(P=0.02)
・動脈ライン採血は?
・最低限、死腔の2倍以上は吸引するべき
・凝固(APTT)検査時は6倍以上吸引するべき
・ABP?NIBP?
・それぞれの誤差要因について
・NIBPは血流・血圧変化の双方を反映する
→臨床的信頼度が高い?
・ABPは圧波を直接観察でき経時的変化を追求できる
→臨床的価値は高い?
・ある研究
・sABP<111mmHgのとき、NIBP>ABP
・sABP>111mmHgのとき、NIBP<ABP
→麻酔科医にとってNIBPは都合が良い?
・ABPのみで管理した方が、 輸血量・昇圧剤・降圧剤の使用が多かった
ただし短期予後は変わらず
・人工心肺後の撓骨動脈圧偽性低下
・偽性低下
→中枢・末梢間に圧較差が生じた状態
→72%の症例で発生したという報告あり。
・末梢血管収縮、末梢血管拡張、循環血液量減少、
血管弾性率の変化、・・・
・人工心肺中の再加温による動脈シャント説
→盗血現象を起こすため
術後発熱
初期研修医勉強会 担当:Y先生
「術後発熱について」
・大手術後数日は38℃を超す発熱がよくある
・ほとんどの場合は自然に解熱する
→しかし重篤な疾患が隠れていることもある
・発熱の原因
・Infection
・Surgical Site Infection
・Nosocomial Pneumonia・・・
・Non-Infection
・Suture Reaction
・DVT・・・
・術後反応熱のメカニズム
・侵襲により局所の炎症が起こりサイトカインが産生される
・侵襲が大きい程高熱を呈することが多い
・反応熱は術後2,3日で解熱することが多い
・発熱のタイミングにより鑑別
・薬剤熱
・定義:薬剤以外の原因が否定された発熱
・比較的徐脈は10%程度
・Antibiotics
・Anticonvulsant
・Flosemide
・Hydralazine
・Heparin・・・
・術後発熱の対応(IDSAガイドライン)
・術後48時間以内の発熱
→呼吸器症状がないならばCXRは不要(level3
・尿路症状がないならば尿定性、培養は不要。
・48時間以上経過し尿道バルーンが挿入されている時
→尿培養、定性提出(level3
・創部は毎日観察。感染を疑う徴候がなければ培養は不要
・常にDVT、PEの可能性を考慮する。
(特に鎮静下、足が動かせない、悪性腫瘍の患者(level2
・血液培養は取るべき?
→術後48時間は血液培養陽性率が低い。
→医療経済的にも、労働力的にも省略してよい
・Surgical site infection(SSI)
・周術期感染症の38%を占める
・術後48時間以内の発熱はSSIは疑いにくい
・局所所見が最も有効
・創部周囲は1週間程度発赤するが抗菌薬等の治療なしに治癒する
・ほとんどのSSIは5日以内に症状が出ない
・部位による分類
・Superficial
・Deep incisional
・Organ/Space
・予防的抗菌薬投与
・抗菌薬の開始は術前60分以内
・半減期の2倍の時間経過
or大量出血(>1500ml)でrepeat dosing
・Clean-contaminated, Contamitatedで最も効果がある
・バンコマイシンの使用は?
・RoutineのVancomycinの使用はSSIのリスクを上昇
・使う場面
・MRSAが施設にて培養された時
・MRSAが患者より培養された時
・施設入所、透析患者などMRSA感染のリスクが高い時
・手術終了24時間以上の抗菌薬投与はSSIを減少させない
・耐性菌を増加させるかもしれない
・その他の感染防止
・Skin antisepsis
→Chlorhexidine-alcohol>Popidon-iodine
・Hair removal
・ただし前日の剃毛はリスク上昇
・shaving<clipping< use of depilatory creams
・S.aureus decolonization
・S.aureus感染による入院期間の延長、医療費は膨大
・S.aureus感染
→大部分がcross-infectionではなくpatient own flora
・鼻腔内S.aureus保菌
→術後感染・透析患者・肝硬変患者における感染率を上昇
→鼻腔内の除菌で感染率減少??
「術後発熱について」
・大手術後数日は38℃を超す発熱がよくある
・ほとんどの場合は自然に解熱する
→しかし重篤な疾患が隠れていることもある
・発熱の原因
・Infection
・Surgical Site Infection
・Nosocomial Pneumonia・・・
・Non-Infection
・Suture Reaction
・DVT・・・
・術後反応熱のメカニズム
・侵襲により局所の炎症が起こりサイトカインが産生される
・侵襲が大きい程高熱を呈することが多い
・反応熱は術後2,3日で解熱することが多い
・発熱のタイミングにより鑑別
・薬剤熱
・定義:薬剤以外の原因が否定された発熱
・比較的徐脈は10%程度
・Antibiotics
・Anticonvulsant
・Flosemide
・Hydralazine
・Heparin・・・
・術後発熱の対応(IDSAガイドライン)
・術後48時間以内の発熱
→呼吸器症状がないならばCXRは不要(level3
・尿路症状がないならば尿定性、培養は不要。
・48時間以上経過し尿道バルーンが挿入されている時
→尿培養、定性提出(level3
・創部は毎日観察。感染を疑う徴候がなければ培養は不要
・常にDVT、PEの可能性を考慮する。
(特に鎮静下、足が動かせない、悪性腫瘍の患者(level2
・血液培養は取るべき?
→術後48時間は血液培養陽性率が低い。
→医療経済的にも、労働力的にも省略してよい
・Surgical site infection(SSI)
・周術期感染症の38%を占める
・術後48時間以内の発熱はSSIは疑いにくい
・局所所見が最も有効
・創部周囲は1週間程度発赤するが抗菌薬等の治療なしに治癒する
・ほとんどのSSIは5日以内に症状が出ない
・部位による分類
・Superficial
・Deep incisional
・Organ/Space
・予防的抗菌薬投与
・抗菌薬の開始は術前60分以内
・半減期の2倍の時間経過
or大量出血(>1500ml)でrepeat dosing
・Clean-contaminated, Contamitatedで最も効果がある
・バンコマイシンの使用は?
・RoutineのVancomycinの使用はSSIのリスクを上昇
・使う場面
・MRSAが施設にて培養された時
・MRSAが患者より培養された時
・施設入所、透析患者などMRSA感染のリスクが高い時
・手術終了24時間以上の抗菌薬投与はSSIを減少させない
・耐性菌を増加させるかもしれない
・その他の感染防止
・Skin antisepsis
→Chlorhexidine-alcohol>Popidon-iodine
・Hair removal
・ただし前日の剃毛はリスク上昇
・shaving<clipping< use of depilatory creams
・S.aureus decolonization
・S.aureus感染による入院期間の延長、医療費は膨大
・S.aureus感染
→大部分がcross-infectionではなくpatient own flora
・鼻腔内S.aureus保菌
→術後感染・透析患者・肝硬変患者における感染率を上昇
→鼻腔内の除菌で感染率減少??
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