麻酔科勉強会 担当:W先生
「小児の気道管理」
・無呼吸後の酸素飽和度低下時間
・肥満127kg大人<10kg子供<70kg大人
・解剖学的違い
・相対的に舌が大きく、鼻腔が狭い
・喉頭位置は前方・頭側(成人C6、小児C4)
・喉頭蓋が長い
・声帯が傾斜し、円錐型の喉頭は輪状軟骨部が最も狭い
・相対的に頭が大きく、後頭部突出
→仰臥位で自然と首が屈曲
・生理学的違い
・酸素予備量・機能的残気量が小さい
・酸素消費量が多い(成人3ml/kg/min、乳児6ml/kg/min)
→上気道閉塞や無呼吸で急激に酸素飽和度が低下する
・新生児と乳児
→肺胞が少なく、肺の弾性収縮力・コンプライアンスが小さく、
胸郭コンプライアンスが大きい
→無気肺と肺内シャントのリスクが増大
・低酸素血症
・気管挿管に手間取る、迅速導入
・喉頭痙攣
→感冒やインフルエンザ、興奮期や第2期の麻酔深度で抜管
・覚醒時でも普段から息こらえがある
・息こらえ=Valsalva様現象
→声門閉鎖により腹腔・胸腔内圧が上昇
→換気困難となり肺血管抵抗↑、
卵円孔開存から右→左シャントが生じる可能性
・準備は万端に
・薄い円座と肩枕
・経口・経鼻エアウェイが非常に有効
・曲型ブレード
→アデノイドや扁桃肥大で視野が悪いとき
→舌を圧排し視野を確保
・直型ブレード
→喉頭が前方頭側にあり喉頭蓋で喉頭が見えないとき
・基本的に「~1歳が直型、1歳~が曲型」
・LMA、気管支ファイバー、AWSなど
・挿管チューブ
・カフ無し:4+年齢/4
・カフ有り:3.5+年齢/4
・少なくとも前後3サイズを準備
・カフ有りチューブでは、カフを輪状軟骨より遠位に挿入
・カフ圧:25~30cmH2O未満?
・成人の毛細管圧は25~35mmHgだが小児は不明
・気道内圧25cmH2Oでリークがない場合
→抜管後の咳嗽・喉頭痙攣が多いという報告
・小児の迅速導入
・準備万端にし、導入時役割分担を決定
・可能であれば予め胃管で胃内容吸引
・マスク密着で酸素化
・輪状軟骨の位置確認
・薬剤投与
・アトロピン0.01mg/kg
・チオペンタール4~6mg/kg
・ロクロニウム0.9mg/kg
・入眠後に輪状軟骨圧迫
・マスク換気は行わず30~60秒後に挿管
・挿管確認
・挿管失敗時は輪状軟骨を圧迫しながらマスク換気を行い再度挿管
・ロクロニウムを増量
→効果発現は早くなるが作用時間が延長する
・不適切な輪状軟骨圧迫
→喉頭展開不良・気道閉塞・食道損傷の原因となる
・浅麻酔での輪状甲状軟骨圧迫
→バッキングや咳を誘発させる
・輪状甲状軟骨に必要な圧
・成人では30~40N(約3~4kgf)が推奨
・小児では規定されていない
・迅速導入変法
新生児
→十分太い胃管で体位を変えながら胃を圧迫しつつ吸引
→誤嚥には問題のないレベルまで胃内容が減少する
・十分に胃を吸引した後に、
単なる急速導入または輪状軟骨を圧迫しながら
換気を行うmodified RSIが行われることも多い
・薬剤投与後に輪状軟骨を圧迫しながら100%酸素でマスク換気
→筋弛緩が得られたのちに挿管する方法も。
・腸重積整復について
・「非観血的整復術を無麻酔で行っても全身麻酔下で行っても
整復率に差はなく、全身麻酔は必要ない:推奨度C2」
・動物実験
・鎮静は息こらえの働きを抑制させる。
→穿孔の危険性が高くなる可能性。
・腸重積症
・6ヶ月〜2歳未満、男児に多い
・三大症状は、腹痛・嘔吐・血便
・脱水が強い
・発症から時間経過が短く、軽症のものは注腸整復が容易
・開腹手術適応
・イレウスや消化管穿孔を合併した症例
・器質的疾患を持ち整復不可能であった症例など
・当院では原則全身麻酔だが・・・
・そもそも全身麻酔で行わない
・スキサメトニウムによる迅速導入
・筋弛緩の発現が早い
・非脱分極性筋弛緩薬による迅速導入
・priming principle
・意識下挿管