2014年7月4日金曜日

喉頭蓋炎とPRISと気胸

ICU勉強会  担当:N先生

「喉頭蓋炎とPRISと気胸」

1.急性喉頭蓋炎での挿管の適応は?

・基本的には明確な基準はなくcontroversy
  ・小児→気道狭く早めに挿管すべき
     ・就学前の小児749人で気道確保をしなかった群
        →挿管・気切した群より死亡率が高かった。
  ・成人→ICU等で経過観察が可能?
     ・重症呼吸困難がなく、気道が50%以上開通している場合
       →経過観察が推奨
       →79%で経過観察で治療成功が報告
・総合的な判断が必要となる
  ・4つのポイント
    ・時間経過:発症が急激(1日以内)
    ・症状:呼吸困難、stridor、流涎、チアノーゼ
    ・所見:ファイバーでの喉頭蓋の腫脹
    ・血液検査:WBC、CRPなどの炎症反応
  ・その他、起炎菌(Hib)、基礎疾患(糖尿病など)も

2.プロポフォールの副作用
  ・PRIS
  ・循環器:血圧低下(ICUの約25%)、徐脈、不整脈
  ・神経系:興奮作用→痙攣様、ミオクローヌスなど
  ・感染→6-12hr毎のルート交換(CDC guideline)
  ・アナフィラキシー
  ・高TG血症
  ・膵炎
  ・呼吸性アシドーシス
 ・PRIS(Propofol infusion syndrome)について
  ・長期間・高用量の投与で起こるまれな致死性合併症
    →代謝性アシドーシス、脂質異常症、多臓器不全が進行
    →徐脈性不整脈、心停止に至る
  ・乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化が先行
  ・ミトコンドリア脂質代謝障害や遺伝子欠損症の関与
  ・PRIS発症の危険因子
    ・高用量>4㎎/kg/hr or 67μg/kg/min
    ・長期間>48hr
    ・乳幼児
    ・重症患者
    ・低タンパク・高脂質の摂取
    ・先天的なミトコンドリア脂質代謝異常
    ・カテコラミン・ステロイド投与
  ・PRISは成人でも発症する
  【症例報告】
    ・43歳女性、血管奇形に対して開頭術後
    ・術直後に原因不明・重症の乳酸アシドーシス
    ・術中に7mg/kg/hr、ICUで3.5mg/kg/hr
    ・プロポフォールの投与を中止、アシドーシス補正で改善

3.気胸の画像診断
  ・Xp:背臥位での気胸の所見
    ・double diaphragm sign
    ・deep sulcus sign
    ・depression of diaphragm
    ・basilar hyperlucency
    ・medial stripe sign
  ・肺エコー
    ・正常所見
       ・Bat sign:上下の肋骨+胸膜
       ・A-line:胸膜より深部に並行
          →胸膜下のAirを反映
       ・Mモード
         ・平行線→表面組織
         ・不均一→肺実質
         ・Seashore sign
           →表面組織と肺実質の境界
    ・気胸所見
       ・Lung slidingが消失
       ・M modeでSeashoreが消失