ICU勉強会 担当:N先生
「喉頭蓋炎とPRISと気胸」
1.急性喉頭蓋炎での挿管の適応は?
・基本的には明確な基準はなくcontroversy
・小児→気道狭く早めに挿管すべき
・就学前の小児749人で気道確保をしなかった群
→挿管・気切した群より死亡率が高かった。
・成人→ICU等で経過観察が可能?
・重症呼吸困難がなく、気道が50%以上開通している場合
→経過観察が推奨
→79%で経過観察で治療成功が報告
・総合的な判断が必要となる
・4つのポイント
・時間経過:発症が急激(1日以内)
・症状:呼吸困難、stridor、流涎、チアノーゼ
・所見:ファイバーでの喉頭蓋の腫脹
・血液検査:WBC、CRPなどの炎症反応
・その他、起炎菌(Hib)、基礎疾患(糖尿病など)も
2.プロポフォールの副作用
・PRIS
・循環器:血圧低下(ICUの約25%)、徐脈、不整脈
・神経系:興奮作用→痙攣様、ミオクローヌスなど
・感染→6-12hr毎のルート交換(CDC guideline)
・アナフィラキシー
・高TG血症
・膵炎
・呼吸性アシドーシス
・PRIS(Propofol infusion syndrome)について
・長期間・高用量の投与で起こるまれな致死性合併症
→代謝性アシドーシス、脂質異常症、多臓器不全が進行
→徐脈性不整脈、心停止に至る
・乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化が先行
・ミトコンドリア脂質代謝障害や遺伝子欠損症の関与
・PRIS発症の危険因子
・高用量>4㎎/kg/hr or 67μg/kg/min
・長期間>48hr
・乳幼児
・重症患者
・低タンパク・高脂質の摂取
・先天的なミトコンドリア脂質代謝異常
・カテコラミン・ステロイド投与
・PRISは成人でも発症する
【症例報告】
・43歳女性、血管奇形に対して開頭術後
・術直後に原因不明・重症の乳酸アシドーシス
・術中に7mg/kg/hr、ICUで3.5mg/kg/hr
・プロポフォールの投与を中止、アシドーシス補正で改善
3.気胸の画像診断
・Xp:背臥位での気胸の所見
・double diaphragm sign
・deep sulcus sign
・depression of diaphragm
・basilar hyperlucency
・medial stripe sign
・肺エコー
・正常所見
・Bat sign:上下の肋骨+胸膜
・A-line:胸膜より深部に並行
→胸膜下のAirを反映
・Mモード
・平行線→表面組織
・不均一→肺実質
・Seashore sign
→表面組織と肺実質の境界
・気胸所見
・Lung slidingが消失
・M modeでSeashoreが消失