2014年7月14日月曜日

術中覚醒とBIS

麻酔科勉強会  担当:S先生

「術中覚醒とBIS」

・術中覚醒の定義
  →experience and explicit recall of sensory perceptions
   during surgery
   ・術中のことを明白に思い出せる
・頻度
  ・0.1-0.2%
    ・33%:痛みを覚えている
    ・50%:手術室の会話,音を思い出せる
    ・25%:挿管時に関連した記憶
    ・16%:PTSD発症
・術中覚醒の原因
  ・薬剤エラー
  ・麻酔技術
  ・機器の問題
  ・airway
 ・例えば・・・
  ・ディプリバンキット交換時に再開押し忘れ
  ・ルートのコネクタ外れていた
  ・セボフルラン補充してダイヤル回し忘れ
  ・TIVAで輸液ボトルが空
  ・ミズチバ
  ・ライン漏れ
  ・TCIポンプに体重誤入力
  ・三方活栓の向き間違い
  ・吸入麻酔薬が空
  ・・・
・術中覚醒のリスク因子
  ・心臓手術(最大1/100)
  ・女性
  ・若年 
  ・外傷、緊急手術
  ・緊急全身麻酔の帝王切開(4/1000)
  ・TIVA
  ・小児( 0.6% )
・Briceの質問票
・BISモニターによる監視は?
  ・BIS:Biseptral Index
    ・測定した脳波をCovidienが
      フーリエ変換を用いた謎のアルゴリズムで数値化
・進化するBIS
  ・BIS A-1050→BIS-XP→BIS-VISTA
・BISモニターのパラメーター
 ・SQI(Signal quality index)
   →BIS値の信頼度、アーティファクト、筋電図などで低下
 ・SR(Suppresion ratio)
   →1分間(63sec)に脳波がフラットになった時間の割合。
    麻酔が深くなると増加
 ・EMG(Electromyograph)
   →筋電図70-110Hzの波形の強さ(デシベル)を表示
 ・SEF(Spectral Edge Frequency 95)
   →日本語訳するとスペクトルエッジ周波数。
    全体のPower Spectrumのうちちょうど95%が
    その周波数以下に存在するFrequencyの値。
    一般に麻酔が深くなるとこの値は小さくなる。
・BISに影響を及ぼすもの
 ・EMG(特に前頭部の筋肉)
 ・Medical device
    ・ペースメーカー
    ・ウォーマー
    ・副鼻腔の手術の際に使う内視鏡やシェーバー
    ・電気メス・・・
   →BISを上昇させる。
 ・脳波の異常値
 ・麻酔薬やその他薬など
    ・ケタミン→BIS値上昇
    ・ハロタン→BIS値上昇
    ・イソフルラン→transient paradoxical response?
    ・笑気                    
    ・エフェドリン→BIS値上昇?
・BISをつければ術中覚醒は防げるのか?
 ・B-Aware trial:BIS群で術中覚醒少ない。
 ・Safe-2 trial:BIS群で術中覚醒少ない。
 ・B-Unaware trial:有意差なし
 ・BAG-RECALL trial:BIS群でむしろ術中覚醒多い。