初期研修医勉強会 担当:Y先生
「術中低血圧」
・ショックの分類
・Hypovolemic shock
→脱水、出血、嘔吐、下痢、大量発汗など
・Cardiogenic shock
→不整脈(徐脈、頻脈)、心不全、麻酔薬など
・Obstructive shock
→肺塞栓症、緊張性気胸、心タンポナーデなど
・Distributive shock
→神経原性ショック(麻酔薬)、アナフィラキシー
敗血症性ショックなど
・術中の血圧低下の程度はどのくらい?
・全身麻酔を予定されている患者を対象としたstudy
・日中平均血圧、睡眠時血圧、術中血圧を測定、比較。
→麻酔時は睡眠時よりも血圧が低下する。
・術中低血圧について
・術中低血圧についてのガイドライン、Reviewは存在しない
・高齢者を対象にしたstudy
・術中のMAPを45-55mmHgに管理した群
vs 55-70mmHgに管理した群
・心血管イベントや死亡率に有意差はなかった
・ちなみに本では?
・術中血圧はMAP>80mmHgを目標に
(羊土社:麻酔科研修チェックノート)
・脳の自動調節能は70-150mmHg、腎臓では80-180mmHg
→これを目安に患者の状態に応じて適切な血圧管理が必要
(日本医事新報社:麻酔への知的アプローチ)
・術中低血圧でoutcomeが変わるのか?
・前向きコホート研究
・2時間以上の手術が予想される成人腹部外科手術100例
・術中低血圧の定義
・MAP<60mmHg
・MAP<70mmHgかつbaselineより30%減少
・術中低血圧時間10分を閾値に入院日数や合併症が増加するか比較
→術中低血圧は入院日数を伸ばす
・腎障害、心筋障害は増えるのか?
・非心臓手術を対象とした後ろ向きコホート研究
・n=33,330
・術中低血圧と術後AKI、心筋障害の関係を評価
→MAP<55mmHgが維持すると・・・
→AKI、心筋障害リスクが有意に上昇
・脳梗塞との関連は?
・大学病院での手術患者48,241人を対象
・後ろ向きコホート研究
・術後10日以内の脳梗塞発症についてオッズ比算出
→MAPがbaselineより30%低下するとCIリスク上昇
→絶対値よりも相対値が重要
・1年後死亡率は?
・大学病院での手術患者1,705人を対象
・術中低血圧の持続時間ごとに術後1年以内の全死亡率を比較
→因果関係は明らかでなかった。
→高齢患者では高い血圧閾値、短い低血圧持続時間推奨。