麻酔科勉強会 担当:M先生
「大人になった先天性心疾患」
・先天性心疾患(CHD)
・内科的、外科的治療の進歩で90%が成人期を迎えている
・毎年約9000人のCHD患者が成人(ACHD)
・30~40年前のACHDはASD、VSD、PDAなどの軽症例がほとんど
・最近の10数年でTOFや単心室といった複雑ACHDが増加
・手術既往による分類
・手術既往あり
・最終修復を受けたもの
a.単純心疾患
b.複雑心疾患
・姑息術
・手術なし
・軽症
・手術拒否
・手術困難
・姑息的手術
・Blalock-Taussig手術
・PA絞扼術
・Glenn手術
・某レビューより
・CHDで生存している人数は成人>小児
→成人期に追加の姑息術や根治術や非心臓手術が必要
・ACHDは合併症率や死亡率が高い
→2013年に初めて報告がでた
・ガイドラインはない
→CHD専門の循環器内科医や麻酔科医のいる
adult CHD centerに相談する事を勧めている
・代表する病態
・左-右シャント
肺が受ける血流
・全身からの非酸素化血液+酸素化されたシャント血
→全身の血流と体血圧が肺血管床にかかる。
→非可逆的変化がおこり肺高血圧になる
→体血圧=肺血圧
→Eisenmenger syndorome
・右-左シャント
・SVR低下やPVR増加で増える
・SPO2 ↑には吸入酸素濃度上昇は効果は少ない
→フェニレフリンの方が効果的
・効果発現
→静脈麻酔薬は早い、吸入麻酔薬は遅い
・チアノーゼ心疾患
・肺血流減少し酸素化と非酸素化血液の混合でおこる
・成人までに成人期までに1から数回の手術を受けている
・長期生存の影響
・心臓合併症
・肺高血圧
・心室性不整脈、伝導障害
・残存シャント
・弁疾患
・高血圧
・大動脈瘤
・非心臓合併症
・非心臓合併症
・二次的赤血球増多症
・胆石、尿路結石
・発達障害
・以前の塞栓や脳血管障害による痙攣などの中枢神経系異常
・視力障害、聴力障害
・閉塞性または拘束性肺疾患
・肺高血圧症
・長期開存の大きな欠損孔
→血流増加と圧負荷による肺血管床の変化
→早期から起こり徐々に非可逆的に
・Eisenmenger化すると周術期死亡率増加
→非心臓手術は絶対に必要なときのみ
・死亡率予測因子
→失神、症状出現の年齢、上室性不整脈、
右心房圧上昇、SPO2低下(<85%)、
腎不全、右心不全、trisomy21
・肺高血圧症と麻酔
・肺血管抵抗を上昇させない
・肺血管抵抗の急激な上昇
→右心不全と心拍出量低下
・徐脈から心停止
・対処
・FiO2 1.0での過換気
・アシドーシス補正
・交感神経刺激をさける
・体温補正
・胸腔内圧を最低へ
・強心薬
・NO吸入
・Eisenmenger症例
→鉄欠乏の赤血球増多が血栓の予測因子となる
・術前の絶飲食により粘稠度増加
→脳血管の血栓症の危険性上昇
→適切な輸液が重要
・Ht>65%の時は術前の瀉血も有用
・Hb上昇と血漿量低下の状態
→通常のPT-INRはあてにならない
・心不全
・ANP、レニン、アルドステロン、ノルエピネフリン
→修復後も何年間も高い
・心臓の自律神経系の異常による
・左心不全→利尿薬、ジゴキシン、ACE阻害薬、βブロッカー
・右心不全に対する明確なガイドラインはない
・不整脈
・出血
・二次的な血小板数と機能低下(末梢での消費などによる)
・凝固系の異常
→原因不明 VitK依存因子、V因子、
von Willebland因子の低下によるPT-INR延長
・出血時間は、末梢の粘調度増加のため延長しない
・細動脈拡張と組織の血管増生による出血
・麻酔方法
・伝達麻酔は適応
・脊椎麻酔、硬膜麻酔
→大きな心内シャントがある時、
末梢血管抵抗がさがると右左シャント増加
・全身麻酔
→換気コントロールが可能
→high risk患者には適している
・麻酔管理
・多岐の専門性が必要
・機能低下症例、肺高血圧、うっ血性心不全、
肺高血圧、チアノーゼ症例
・体位変換が必要な手術もリスク
→Major surgery, 分離換気、腹臥位など
・解剖と生理を術前のエコーやカテーテル所見で知っておく
・術前エコーは必要
・具体的な麻酔方法など