麻酔科勉強会 担当:Y先生
「ロボット支援下前立腺全摘術の麻酔」
・ロボット支援下前立腺全摘術(RALP)
・da Vinciを使用。
→手術支援ロボット
・Surgeon Console
・Patient Cart
・Vision Cartの3つからなる。
・手術室のセッティング。
・手術の流れ
・麻酔導入、動脈ライン1本静脈ライン2本
→体位固定(砕石位)
→ヘッドダウンテスト(頭低位30度)
→砕石位で手術開始
→ポート挿入、気腹
→ポート挿入後、頭低位30度、da Vinciロールイン
→コンソール操作開始(気腹圧10)。
→DVC処理で一時的に気腹圧15に。
→コンソール操作終了
→ヘッドアップ、da Vinciロールアウト
→ポート抜去、手術終了
→抜管。
・全身麻酔と気腹
・呼吸:PaCO2増加、CO2塞栓、皮下気腫
・循環:CO増加、末梢血管抵抗増加、肺血管抵抗増加
・頭低位(Steep Trendelenburg position)
・頭低位における循環
・上肢
→血管内圧増加
・頭蓋内圧上昇、眼圧上昇、上気道浮腫・・・
・CO増加、CVP上昇
・下肢
→下腿灌流低下
・下腿虚血、コンパートメント症候群
→骨盤内圧低下
・CO2塞栓
・頭低位における呼吸
・腹腔内圧の上昇→横隔膜の圧迫
・肺コンプライアンス低下
・気道内圧上昇
・無気肺形成
・V/Q mismatch・・・
・挿管チューブの変位
・頭部後屈→事故抜管
・気管の頭側変位→片肺換気
・頭低位の影響について論文いろいろ
・頭低位の角度に関して標準化された基準はない。
・角度に依存して血圧、気道内圧は上昇、肺comliance低下。
・CO2気腹を伴う40°頭低位に患者は十分耐えうる。
・年長者ではPaCO2-EtCo2 gapが広がる可能性。
・ST位においてはVCMでもPCVでも臨床的問題となる差はない。
・頭低位における眼合併症について
・ST位が長引けば眼灌流圧維持の自動能が保持されなくなる可能性
・頭低位手術の患者
・術中パラメータ観察&術後眼科診察の報告
→視力検査、RNFLを評価
・IOPは時間毎に上昇傾向(max 36 mmHg)。
・視力検査、RNFLは全例術前術後で変化なし。
・眼合併症もなし。
術前眼合併症がないならば・・・
→数時間のST位によるIOP上昇は問題ない。
・IOP上昇のリスク因子
→①手術時間、②EtCO2増加
・IOP上昇の予測因子
→眼瞼浮腫、結膜浮腫の存在がIOP>40mmHgの予測因子
・麻酔科専用眼圧計があるので術中計測しましょう。
・下腿コンパートメント症候群
・頭低位で下腿が心臓よりも上方へ
→下腿灌流低下+レビテータによる圧迫
→下腿虚血、再灌流、コンパートメント症候群
・英国の報告では9/3110(0.29%)。
・リスク因子は
①ST位時間>4h
②early learning curve段階
③肥満(BMI>30kg/m2)
④末梢血管疾患の合併
⑤不適切な体位
・その他の合併症報告
・腕神経叢麻痺
・肩への圧迫刺激によるもの
→当院ではHUG-U-VAC使用で圧の分散化を狙う。
・上気道浮腫
→抜管後、再挿管になる可能性。
・その他トピックスいろいろ
・術中脳酸素飽和度に臨床的変化なし。
・予防的抗生剤投与はST合剤か、第二第三世代セフェム。
・DVTハイリスク手術ではない。
・SVVが輸液反応性の指標になるかも。
・体温が下がります。保温&室温upを!
・フェイスガードで顔面保護を。
→カメラコード、助手の腕が顔面に当たるため。
・術後鎮痛
・硬膜外麻酔は必要なさそう
・アナペイン局所麻酔注射は効果あり。
・IV-PCA、フェンタニル精密持続、NSAIDS、アセトアミノフェンなど。
・トラマールを使用する施設も。
頭低位シミュレーション