2014年3月30日日曜日

周術期脳梗塞

麻酔科EBM勉強会  担当:W先生

「周術期脳梗塞」

・各手術における脳卒中合併率
  ・心臓手術・血管手術:約1〜10%
  ・一般手術:1%未満(ただし頭頸部手術は5%)
  ・頸動脈内膜剥離術
     ・有症状患者(脳梗塞・TIA後):約5%
     ・無症状患者:約2.5%
・発症時期
  ・対象リスク群や観察期間がバラバラ
  ・非心臓手術:
    ・術中16%、術後84%(中央値2日、最長16日)
  ・心臓手術:術中35%、術後65%
・病態による分類
  ・塞栓62%
  ・分類不能14%
  ・多因子10%
  ・低灌流9%
  ・ラクナ3%
  ・血栓1%
  ・出血1%
・潜在性脳梗塞
  ・明らかな麻痺・言語障害などがなく、MRIで初めて発見される
  ・心臓手術後の25〜50%に生じる
  ・術後認知機能低下のリスク
・分水嶺梗塞
   ・臨床症状があっても画像では診断できない場合がある
   ・MRI 68% > CT 37 %
   ・両側の梗塞では、より診断が難しい
   ・MRI 48 % > CT 22 %
 ・低灌流
   ・global hypoperfusion
      ex)両側の分水嶺梗塞
   ・relative hypoperfusion
      ex)頸動脈狭窄による片側性分水嶺梗塞
 ・塞栓
   ・不整脈:心房細動など
   ・大動脈弓の石灰化・粥腫 
   ・周術期心筋梗塞
   ・心臓・内頚動脈への術操作
   ・人工心肺
   ・卵円孔開存
   ・脂肪塞栓
・手術侵襲→易血栓性
  →術後14-21日まで
  ・易血栓性のリスク因子
    ・全身麻酔
    ・術後脱水
    ・ベッドレスト
   →抗血小板薬・抗凝固薬の使用は一時的に過凝固を更に亢進
   →しかし安全性が認められてきた
・一般外科手術における脳卒中リスク因子
  ・脳卒中の既往
  ・心疾患
  ・高血圧
  ・糖尿病
  ・末梢血管疾患
  ・心房細動
・On-Pump vs Off-Pump CABG
  ・Off-Pumpの方が周術期脳梗塞発生率が少ない傾向
    →有意差がない報告もあり
  ・TEE、epiaortic echo、血栓フィルターなどの併用でリスク↓
  ・エコーでの粥腫
     →>5mm:no-touch technique、Off-Pump
     →3-5mm:カニュレーション位置検討、
  ・最小限のクロスクランプ(シングルクランプ)
・心臓手術における脳卒中リスク因子
  ・女性
  ・高齢
  ・大血管手術
  ・末梢血管疾患
  ・脳卒中の既往
  ・心機能低下
  ・慢性腎障害
  ・高血圧
  ・糖尿病
  ・心房細動
  ・緊急手術
  ・人工心肺時間
・CEAにおける脳卒中リスク因子
  ・術側と反対側の内頸動脈閉塞
  ・術側の脳卒中・TIAの既往
  ・高血圧(拡張期血圧>90mmHg)
  ・糖尿病
  ・左内頸動脈に対するCEA
 →女性は男性と比較してCEAの効果は少ない
・術前術後の血圧コントロール
  ・収縮期血圧<180mmHg
  ・拡張期血圧>110mmHg
     であれば脳梗塞のリスクは増加しない
  ・拡張期血圧>110mmHgは心筋梗塞・脳梗塞のリスク
・術中血圧コントロール
  ・平均血圧が普段より10mmHg以上低下すると
     →脳梗塞リスクは4倍に増加する
  ・人工心肺中の平均血圧はcontroversial