2014年4月16日水曜日

麻酔と睡眠時無呼吸

麻酔科EBM勉強会  担当:M先生

「麻酔と睡眠時無呼吸」

・睡眠時無呼吸
  →慢性的に、睡眠中の部分的もしくは完全な
   上気道閉塞を繰り返す病態
・有病率
 ・中年男性で9%、中年女性で5%
 ・最大90%のOSAS患者が正式な診断をされていない。
・閉塞起点は?
  ・口蓋垂89%
  ・舌根部22%
  ・下咽頭33%
  ・喉頭33%
・OSASの症状
 ・眠っているとき
   ・大きないびきをかく
   ・呼吸の停止
   ・頻回の中途覚醒
 ・日中、起きているとき
   ・耐え難い眠気
   ・集中力の低下
   ・起床時の頭痛
   ・性欲減退
・OSAS患者は交通事故や労働災害といった事故に遭いやすい
・OSASに併存しや
  ・高血圧
  ・肺高血圧(右心不全)
  ・冠動脈疾患
  ・うっ血性心不全
  ・不整脈
  ・耐糖能障害
・メカニズム
  ・睡眠時無呼吸→反復する低酸素&高二酸化炭素血症
     ・酸化ストレス
     ・全身炎症(α、β受容体upregulation)
     ・血管内皮障害
     ・免疫反応
    →心血管疾患、耐糖能障害
・OSASの検査と診断
  ・Polysomnography
  ・AHI(apnea hypopnea index)
   →1時間当たりのApnea、Hypopneaの回数
   →重症度分類
・OSASの合併症
  ・挿管困難
  ・術後低酸素血症、SpO2の低下
  ・血圧変動
  ・術後心筋虚血
  ・術後不整脈
  ・術後せん妄
  ・気道閉塞後肺水腫
  ・呼吸停止
・合併症増加の原因
  ・周術期の薬剤
    →周術期の薬剤の投与(鎮静薬、筋弛緩薬など)
    →上気道の緊張の低下、気道反射の抑制、中枢性換気応答の減弱
    →上気道閉塞を増悪させる
  ・上気道狭窄
    ・元々狭小化している上気道
      →麻酔や手術に伴いさらに狭小化
      →上気道の閉塞を引き起こす
    ・挿管後の声帯浮腫、鼻腔パッキング、NGチューブ、
     血腫などが原因となる
  ・仰臥位はOSASを増悪させる
  ・サーカディアンリズムの乱れ
  ・CPAPの中断
・スクリーニング
  ・ASA(American Society of Anesthesiologists)
    ・BMI35kg/㎡以上
    ・頚部の周囲径男性:17インチ、女性:16インチ以上
    ・気道に影響を与える頭頚部奇形の存在
    ・鼻腔の解剖学的な閉塞
    ・両側扁桃が接触しているまたは接触しそう
       →2つ以上該当で陽性
  ・APSS(Associated Professional Sleep Society)
  ・STOP screening tool
  ・STOP-Bang screening tool
  ・Epworthの眠気テスト(日本呼吸器学会)
・Mallanpati分類からOSASのリスクを予想しよう!
  →Mallanpati分類が1つ上がるごとにOSASのリスクも上昇する

・Recommendation
  ・日中の早い時間帯に手術の予定を入れましょう
  ・CPAPを持参するよう指示しましょう
  ・Difficult Airwayに備えましょう
  ・必要に応じモニタリングできる環境を整えましょう
  ・局所麻酔や神経ブロックを考慮しましょう
  ・導入・抜管時ヘッドアップしましょう
  ・誤嚥の予防をしましょう
  ・術後は上気道閉塞がないか継続した観察を行いましょう
  ・高CO2血症が疑われた場合血ガスを考慮しましょう
  ・麻薬の初回投与は回復室で行いましょう
  ・麻薬の眠剤やアルコールとの併用しないよう指導しましょう



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