2012年3月26日月曜日

von Recklinghausen病と血管病変

ICU勉強会 担当:S先生

「ICUカンファレンス」

・POD7での急激なCK上昇、高体温。
   →悪性高熱?横紋筋融解ならどこ?腸管?
・SMA出血→ACS→AKI→高カリ
・歯科治療→深部頸膿瘍→縦隔炎→膿胸→ope→麻酔導入後CPA→蘇生


「von Recklinghausen病と血胸」

・von Recklinghausen病
  →神経線維腫症(NF)1型
  →常染色体優性遺伝
  →17番染色体長椀の欠損により生じる。
  →頻度は1/3000くらい。
  →骨、眼、神経、皮膚病変(神経線維腫、カフェオレ班)
・von Recklinghausen病の血管病変
  →1-3%。
  →自然血胸は世界で38例の報告(うち本邦26例)
       →たまたま日本に多い?日本の発表が多い?
       →ちなみに当院では2例。
  →肋間動脈>鎖骨下動脈>内胸動脈>その他
  →血管の起始部~近位からの出血が多い。
・なぜ血管病変?
  →血管壁の脆弱性
  →線維腫が血管の栄養血管を圧迫している
  →紡錘形細胞の内膜内増殖
  →腫瘍の直接圧迫、など。
・素朴な疑問
  →神経、皮膚は外胚葉由来(NF1の病変主座)
  →血管は中胚葉由来のはず。
   →なぜ中胚葉由来の血管にNF1の病変が生じるのか???
・「三胚葉説」はもはや古い?
  →神経系と中胚葉組織は共通の「体軸幹細胞」から分化する。
                 ( Nature. 2011 Feb 17;470(7334):394-398)
  →Sox2遺伝子のON/OFFとかなんとか。
・治療は?
  →保存的治療の報告では2/9しか生存例がない。
  →IVR?
・予後は?
  →再破裂が多く、予後不良。
  →コイリングや塞栓など治療処置により出血する可能性も。



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