2012年3月30日金曜日

心外とhANPと中央市民の3年間


麻酔科勉強会  担当:K先生


「心臓外科手術とhANP」

・術前よりCreが高かった症例のCABG
   →hANP投与群でPOD3,4,7でのCreは有意に低値。
         (Gen Thorac Caardiovasc Surg 2012 jan)
・腎機能障害のないCABG
   →hANP投与群と非投与群の間で死亡率、RRT導入に有意差なし。
   →Cre、CCrはhANP投与群でよかった。
   →低用量hANPはCABGにおいて腎機能障害を防ぎうる可能性。
         (Journal of American College of Cardiology 2009)
・hANPレニン、アルドステロン、アンジオテンシンを抑制する。
     →RAS系を抑制する。
・メタ解析(Critical Care 2011)
   →ANP、BNPのAKIに対する予防効果を研究した15のRCT対象。
    →ANP、BNP:尿量増加、CCr増加、GFR増加。
   →利尿薬使用は減少、Creも低値、ICU stay、入院期間も減少。
   →ANPはCreピーク値を抑制、不整脈も抑制、RRT導入が減少。
   →ANP、BNPは腎保護するかもしれない。


「中央市民病院での後期研修3年間」

・改めて自己紹介。
・好きな言葉「人は悲しいから泣くのではなく泣くから悲しい。」
・なぜ麻酔科医になったのか。

・3年間で印象深かったこと。
  ・エロモナスで大量喀血、血の海の中での挿管。
  ・出血素因のある患者さんの生体肝移植、出血45,000ml。
   →RCC 98単位、FFR 56単位、PC 50単位、アルブミン96本。
   →術後患者さんは元気にされてました。
   →翌日、三宮で献血の勧誘を見て心が痛んだ。
  ・トリーチャーコリンズの抜管でCICV→気切。
  ・深夜にやってきた電撃性紫斑。
  ・99歳の緊急手術、プロポフォール2mlで導入したら血圧40台に。。。
  ・多発外傷にはFDL。安心のルート。
  ・迫りくる緊急手術の山。
  ・デュラパンはしませんでした。







2012年3月29日木曜日

AS、AVR、TAVI


麻酔科勉強会 担当:H先生


「AS、AVR、TAVI」

・ASの治療・・・手術、クスリ、バルン拡張
  ・手術:単独ASなら自覚症状が出現した場合
  ・クスリ:スタチンで弁口面積の減少度を抑制させる可能性。
         →炎症を抑制するから?
  ・バルン拡張:合併症も多い。
・ASは無症候性でも進行性。
・自覚症状が出現した時は、すでに代償が破たんしている。
・手術の判断は?
  →自覚症状が出現した時がタイミング。
  →無症候性ならば保存的に。
      →無症候性なら突然死が少ないから。(0.8%/年)
      →生存率も悪くないから。(AR合併などは除く)
・AVRについて
  ・入院死亡率2.84%、比較的安全な心臓手術。
  ・高齢者に多く、合併症や全身状態によっては適応外になることも。
      →severe ASの3-5割は保存的に診られているという報告も。
・無症候性severe AS
  →5年間無事に経過できるのはわずか25%。
  →無症候性severe ASも手術した方がいいのでは???
・TAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation)について。
・順行性にカテ入れる方法と逆行性に入れる方法、後者が多い。
・逆行性挿入(大腿動脈から入れる方法)の禁忌は?
  →上行、弓部、腸骨動脈の石灰化病変きつめ、AFバイパス後など。
・心尖部アプローチ
  →禁忌は心膜石灰化例、左室形成後など。
・PARTNER trial(NEJM 2010)
  ・AVRの適応がない人たち。TAVI vs 何もしない群の比較。
     →TAVI群で30日以内の脳卒中、大動脈解離が多い。
     →1年時では全死亡率下がった。
     →NYHA3-4の心不全も少なくなった。
     →再入院割合も減った。
   ・AVRの適応がある人たち。TAVI vs AVRの比較。
     →30日以内の心血管イベントの発生はTAVIが多い。
     →解離、冠動脈閉塞、AVブロックなど。
     →ちなみにAVR群の合併症は出血、Afなど。
     →1年時では全死、中枢神経合併症に両者有意差なし。
・結局TAVIの適応は?
  →手術のリスク高い人
   →80歳以上の高齢者
  →合併症あり、Euro score 20点以上の人。
・60歳くらいの人なら、本人がTAVI希望でもAVRが好ましい。




2012年3月28日水曜日

フィードバックカンファレンス

フィードバックカンファレンス  担当:A先生

「症例ふりかえり」

・整形外科の腹臥位手術
   →tubeが抜けないように厳重に固定
   →抜管時にテープを剥がしたところ、表皮剥離を起こした。 
     ・テープリムーバーを使用する。
     ・愛護的に剥がす、など

・肝臓切除、術中突如血圧300台に。
   →副腎表面からの止血にラジオ波を使っていた。
   →熱が副腎深部に届いて内因性カテコラミンが放出されたため。
   →表層はバイポーラーで焼いた方が。

・特に既往のない30代女性の婦人科手術
   →手術開始時の血ガスで低カリウム。
   →術中補充。
    →さらに低カリ進行。
    →多型性PVC多発。
   →RonTからVFに。CPR、蘇生。
   →急速に進行した低カリの原因は不明。
   ・「術中心停止について」
     ・全ての原因:0.058%、麻酔が原因:0.0038%
     ・MI、coronary系トラブル 6.8%、不整脈 7.2%、PE 1.6%
     ・麻酔が原因のもの
        →気道系(換気、CICV)、クスリ、循環血液量不足、CV合併症。

・指輪が抜けなかった患者さん。
   ・指輪をはめて手術すると・・・
     →火傷のリスク、術後の浮腫で指が壊死するリスク。
   ・ひもを使った指輪の外し方。

・イソゾール静脈炎疑い
   →イソゾール導入後、点滴ラインに沿って発赤。
    →キシロカイン、ステロイド使用、軽快。

・呼吸器外科の手術
   →術前診断では腫瘍。
    →実は膿瘍。
    →喀痰でガフキー(+)。
   ・麻酔科医は挿管時など喀痰暴露の可能性。しっかり予防を。



2012年3月26日月曜日

von Recklinghausen病と血管病変

ICU勉強会 担当:S先生

「ICUカンファレンス」

・POD7での急激なCK上昇、高体温。
   →悪性高熱?横紋筋融解ならどこ?腸管?
・SMA出血→ACS→AKI→高カリ
・歯科治療→深部頸膿瘍→縦隔炎→膿胸→ope→麻酔導入後CPA→蘇生


「von Recklinghausen病と血胸」

・von Recklinghausen病
  →神経線維腫症(NF)1型
  →常染色体優性遺伝
  →17番染色体長椀の欠損により生じる。
  →頻度は1/3000くらい。
  →骨、眼、神経、皮膚病変(神経線維腫、カフェオレ班)
・von Recklinghausen病の血管病変
  →1-3%。
  →自然血胸は世界で38例の報告(うち本邦26例)
       →たまたま日本に多い?日本の発表が多い?
       →ちなみに当院では2例。
  →肋間動脈>鎖骨下動脈>内胸動脈>その他
  →血管の起始部~近位からの出血が多い。
・なぜ血管病変?
  →血管壁の脆弱性
  →線維腫が血管の栄養血管を圧迫している
  →紡錘形細胞の内膜内増殖
  →腫瘍の直接圧迫、など。
・素朴な疑問
  →神経、皮膚は外胚葉由来(NF1の病変主座)
  →血管は中胚葉由来のはず。
   →なぜ中胚葉由来の血管にNF1の病変が生じるのか???
・「三胚葉説」はもはや古い?
  →神経系と中胚葉組織は共通の「体軸幹細胞」から分化する。
                 ( Nature. 2011 Feb 17;470(7334):394-398)
  →Sox2遺伝子のON/OFFとかなんとか。
・治療は?
  →保存的治療の報告では2/9しか生存例がない。
  →IVR?
・予後は?
  →再破裂が多く、予後不良。
  →コイリングや塞栓など治療処置により出血する可能性も。



      麻酔科医ワーキングスペース

2012年3月23日金曜日

漢方とエビデンス

初期研修医勉強会 担当:T先生

「漢方とエビデンス」

・陰陽五行
・五臓
・東洋学的な診察
  →切診、腹診、舌診
  →虚実、気、血、水の状態を判断、使う薬の判断。
・一発で症状に対応する薬もある。
  ・若い女性:当帰芍薬散
  ・二日酔:五苓散
  ・夏バテ:清暑益気湯
  ・足のつり:芍薬甘草湯、など。
・飲み方は食前が基本
・名前によって、飲み方が変わる。
  ・○○湯:湯に溶かす。
  ・○○丸:そのまま。
  ・○○散:そのまま、または水に溶かして
  ・○○膏:塗る。
・漢方薬の副作用
  →甘草は高血圧に注意。小柴胡湯の間質性肺炎は有名。
・急性期に使える漢方薬もある。
・慢性期の漢方薬は体質改善に効果あり。
  →しかし専門知識が必要、その奥には怪しげな世界も。
・証、気血水から漢方薬を判断するのは難しい。
  →ならば病名から漢方薬をチョイスできないか?

「ブレイク」
・自作PCの楽しみ。
・6枚スクリーン使ってます。
・メモリー16G、ネトゲがサクサクできます。
・将来の夢はMac天国を作り上げることです。

・大建中湯
  →虚で腹中に寒、蠕動亢進して痛む場合に。
  →治療効果に関する研究結果は出ている。
  →予防は効果は?
  →何にしろnが少ない。。。。
・半夏厚朴湯
  →咳反射を改善、誤嚥を減らす可能性。
  →認知機能障害がある高齢者の肺炎、肺炎関連死を減少させた。
・脳浮腫には五苓散。
・MRSA感染症には補中益気湯。
・褥瘡形成には十全大補湯
・褥瘡感染には排膿散及湯。
・怒りっぽい不安には抑肝散などなど。
・いろいろ本もあります。
・成分が雑多に入りすぎていて、アメリカではやめておこうという話になったらしい。




2012年3月21日水曜日

Echocardiography

麻酔の問題集  担当:H先生

「Echocardiography」


問題1:前負荷の指標となるものは?・・・CVP、PCWP、TEE、SvO2、尿量
  ・CVPはいろいろなパラメーターの影響を受ける。
  ・尿量は前負荷が減っても保たれることが多い。
  ・TEEによる左室拡張末期容積計測→前負荷の指標

問題2:心筋虚血の計測
  ・心筋虚血が起こると?
  ・Perfusion defect→拡張障害→局所壁運動異常→ECG変化→胸痛
  ・TEEにより拡張障害、局所壁運動異常がチェックできる。
  ・ECG変化までには数時間を要することも。

問題3:TEEでの胸部食道上行大動脈短軸像が有効な病態
  ・PE、上行解離、肺血流評価、ガンツの位置など。

「ブレイク」
  ・TEE講習会@東京に参加してきました。
  ・思ったより会場がゴージャスだった。
  ・エコーの原理はやっぱり難しい。
  ・基本的な内容が多く、初学者にはありがたかった。
  ・異常に見える正常構造物は、実物画像を見れてよかった。
  ・LVADが熱い。
  ・3Dには結構な時間を割いていた。やっぱりMRが多い。
  ・スライドと配布資料がバラバラでわかりにくかった講義も。
  ・そもそもわからせる気のなさそうな先生の講義も。

問題4:左室収縮機能評価
  ・左室収縮能は前負荷、後負荷、心収縮力の影響を受ける。
  ・局所壁運動より収縮期壁肥厚に注目。
      →局所壁運動はブロック、Pacing、テザリングなどの影響を受ける。
  ・見た目のEFで大まかな判断。
  ・MRがあると過大評価、ASがあると過小評価。

問題5:ベルヌーイの公式
  ・CVPとTRjetの速度から収縮期肺動脈圧を計算する問題。



  研修医の先生。ファイバー挿管を経験しました。

oncologic emergency

ICU勉強会 担当:U先生

「ICUカンファレンス」

・耳鼻咽喉科&形成外科のロング手術後の患者さん
・泌尿器&呼吸器&耳鼻咽喉科のロング手術後の患者さん
・小児科の入室が最近多い。
・腹水貯留→ACS→AKI→高K

「oncologic emergency」

・定義:癌の治療経過中の生命を脅かすイベント
  →転移に伴う症状、治療の細胞毒性など。
  →わりと定義は広い。
・チェックすべきこと
  ・癌の種類、stage、予後
  ・現在の治療は?
     →根治を目指す?対症療法?緩和?
・癌救急、どんな疾患がある?
  ・突然死
  ・心タンポナーデ、PE
  ・失神
  ・SVC syndrome
  ・呼吸状態の悪化
  ・Tumore Lysis syndrome
  ・ケモが漏れた
  ・Cytokine release syndrome
・突然死の原因は?
  ・心膜、心筋メタ、伝導障害
      →メラノーマ、bronchogenic carcinomaなど。
      →非感染性血栓性心内膜炎
  ・放射線治療後の心外膜炎
  ・Chemoによる心筋障害
・PE:手術で頻度が上がる。
  →ヘパリンワンショットはOK。
  →持続は原疾患の診断がつくまでちょっと待つ必要も。
・呼吸:ARDSなど。




     OBの先生が訪ねてきてくれました。

2012年3月17日土曜日

University of California San Francisco体験記

麻酔科勉強会  担当:U先生

「University of California San Francisco体験記」

・UCSF
  ・全米麻酔科ラインキング1位(2005年)の名門
  ・722床、オペ室28室。他にも病院がある。
・アメリカの麻酔科医
  ・1年インターン、3年レジデント、1年フェロー、そしてスタッフ。
・UCSFの麻酔科医
  ・170人くらいいる。
  ・レジデントの年収は500万円くらいらしい。
  ・スタッフは2000万円くらいらしい。
  ・麻酔看護師も28人いる
・日勤麻酔科医の一日について
・シフトについて
  ・日勤、午後開始、夜勤の3系統。夜勤は5連続。
・時間外は一律75$
・休日も忙しい。
  →ある休日の緊急手術
  →肝移植(死体)、肺移植、腸壊死、分娩×5、整形、AAArupture
・レジデントのローテーション
  ・手術室、急性ペイン、慢性ペイン、ブロック、ICU、産科麻酔、・・・
・麻酔方法について
  →リドカイン、プロポフォール、フェンタニル、ロクロニウムで導入
  →心外ではエトミデートも使う。
  →維持はセボまたはデス、フェンタニル。アルチバはない。
  →リバースはネオスチグミン+グリコピロレート。
・硬麻は座位で入れる。
・IV-PCAはモルヒネやハイドロモルフォン。
・持続大腿カテはロピバカイン0.2%を5-8ml/h
・100kgオーバーの患者さんは普通。
・Difficult Airway
  →グライドスコープ大活躍。
・みんな体がでかい。
  →ラインも太目。
   →子供で22G、大人はawakeで16G、心外は14G、A lineは20G
・毛深い人も多い。
・基本、「雑」な印象。。。。
  →小学校でおそうじの経験がないから???
・硬膜外麻酔で血圧が下がったらエフェドリン25mg筋注。
   →10分で効いてきて1時間くらい持つのでいいらしい。

・各科手術について
 ・心臓血管外科
   →VAD、肺移植など週1ペース。
   →INVOSは必ず貼る。
    →維持はイソフルラン。人工心肺にイソの気化器がついてる。
    →全例でアミノカプリック酸を使う。
   →AD or DOA、ミルリノン、フェニレフリン、NADなどで離脱。
    →SGカテ使わない。CVのみ。導入前に入れる。
 ・小児麻酔
   →14歳くらいまではslowで導入。
   →深麻酔科抜管が基本。
   →チューブは基本カフあり。
    →急性喉頭蓋炎はほとんどないらしい。
      →みんなHibワクチン打ってるから。
 ・一般外科
    →減量のための胃バイパス手術がけっこうある。
    →乳房減量術も。
 ・整形外科
   →脊椎が多い。1日7-8件。
   →SEP、MEP使う。舌咬傷防止に気を使っている。
   →THA、TKAは術後抗凝固するので硬麻はしない。
   →THA:腰神経叢ブロック+脊麻にモルヒネ
   →TKA:大腿神経ブロック+脊麻にモルヒネ

「ブレイク」・・・アメリカの手術室
・手術着のままみんな家に帰る。
・物品棚に自分や家族の写真を貼りまくっている。
・指輪は外さない。
・刺青ナース。
・頭に真っ赤な花をつけてムンテラする黒人心臓外科医
・診察台の上にあぐらをかいて座ってムンテラするドクター。
・麻酔中にポテト食べながらネットショッピングする麻酔科医。

 ・泌尿器科
   →TUR-Btは日帰り全麻なので閉鎖神経ブロックはしない。
   →尿道カテ不快なんて聞いたことがないらしい。
 ・移植外科
   →とにかく速い。
    →腎移植でドナー3時間、レシピ5-6時間。
   →死体肝移植なら4時間。
   →膵移植もやってた。
 ・産婦人科
   →分娩する人の90%に硬麻が入ってる。
    →レミフェンタニルのIV-PCA
   →帝王切開の麻酔は?
      ・CSEAでやるのは200kgオーバーか合併症ありの人たち。
      ・脊麻はマーカイン+フェンタ+モルヒネ。
      ・全麻にするかもなので、必ず制酸薬を飲んでる。
      ・執刀前に抗生剤はショット。
      ・旦那が頭元にいて、妊婦さんを励ましてる。
      ・PONV予防はオンダンセトロン。
   →乳房がでかすぎる人のための、持つところが短い喉頭鏡がある。
 ・急性期ペインチーム
   →術後患者さんのすべての疼痛管理を担当する。
    →休日も回診してIV-PCAの中身とかチェック。
 ・慢性期ペインチーム
   →肥満で腰痛の人が多い。(痩せるのが一番の治療じゃないかと)
    →硬膜外、ステロイド入り局麻など。
 ・ICU
   →64床ある。
   →JVDをなんか重視していた。
   →体重は毎日チェックしている。












2012年3月15日木曜日

睡眠時無呼吸症候群

初期研修医勉強会 担当:M先生

「SAS(睡眠時無呼吸症候群)について」

・AHI:無呼吸低呼吸指数・・・重症度を反映
・SASのパターン
  ・①OSAS(閉塞性)
      →気道閉塞によるもの
  ・②CSAS(中枢性)
      →脳血管疾患など、呼吸中枢の異常によるもの
  ・③混合性
・日本には200万人くらいいる。1000万人いるかも。
・SASの概念
  ・顎顔面容積と軟部組織との相対比で決まる。
  ・骨格系の異常
     →小顎、下顎の後退、咽頭が長い、歯がない、など。
  ・軟部組織系の異常
     →軟口蓋が長い、巨舌、低位舌、扁桃・アデノイド肥大など。
・SASに合併する疾患
  →高血圧、糖尿病、心筋梗塞など。
・SASの治療
   ①生活習慣の改善
      →減酒、減量、禁煙、睡眠体位工夫、クスリを減らす、・・・
   ②内科的治療
      →CPAP,アセタゾラミド、・・・
   ③外科的治療
      →UPPPP(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)、扁摘、アデ切、・・・
   ④歯科的治療
      →マウスピース

「ブレイク」
・引越し屋さんはどこがいいか?

・STOP-Bang Questionaire
   →3項目以上当てはまるならOSAハイリスク
・周術期とSAS
  ・マスク換気困難、挿管困難の可能性
  ・機能的残気量低下、低換気になりやすい
  ・抜管後、上気道閉塞のリスク
・対策は?
  ・前投薬は避ける。
  ・意識下挿管も考慮。
  ・経鼻エアウェイの使用
  ・ファーラー位、
   ・筋弛緩薬は完全拮抗させてから起こす。
  ・PEEPの使用。
  ・完全覚醒させてから起こす。
  ・術後CPAP使用。
  ・・・
・SASの人は肥満が多い?
  →47%の人は非肥満だった。
  →AHI>30だと、30%が非肥満だった。
  →女性に非肥満が多かった。
・CPAPの効果についての論文(Lancetの有名なやつ)
  →CPAPすると心血管合併症が減少する。








2012年3月14日水曜日

Echo Round


TEE勉強会  担当:Y先生

「Echo Round」

・症例1 63歳女性
  ・MRに対してMVR施行
  ・post CPB:人工弁、PVL(-)、層流、mPG 1.1mmHg
  ・ICU帰室後、カテコラミン増量もアシドーシス進行
    →鑑別疾患
      ・弁機能不全、左・右心不全、心タンポ、volume loss
  ・emergent TEE施行
    ・45°大動脈弁短軸像をちょっとひねったview
      →IVC-RA間が狭窄、7mmくらい
       →乱流発生
       →右室は虚脱気味
  ・再開胸
    →IVC-RA接合部の狭窄
     →脱血管を抜いて縫合したところに糸を深くかけすぎたっぽい。
    →組織浮腫(+)
    →自己心膜patchで修復
    →術後はIVC-RA 1.2cmくらいまで拡大。乱流は残った。
・「SVC/IVC cannulationの合併症」
  ・狭窄は率は低いが起こったら重大。
  ・急性IVC狭窄
     →血行動態悪化、肝不全、腎不全

・症例2 56歳女性
  ・post AVR(Freestyle 23mm、subcoronary position)
  ・severe AS→Re-AVR
  ・TEE→弁の可動性低下、乱流あり。
・「post AVRの評価」
  ・弁の面積と相関するが、血流とは無関係
   ・低心拍出状態→圧較差減少→ASの重症度が過小評価となる。
  ・高心拍出状態→圧較差増加→ASの重症度が過大評価となる。
  ・Cardiac Outputの影響を受けにくいパラメーターは?
    →EOA:連続の式から算出
          ・LVOTは円形であるという前提
           ・非対称性LVOTでは不正確となりうる。
           ・LVOTを過小評価するとAS重症度が過大評価となる。
      DVI:LVOT peak V/AV peak Vなど。





   手術室各室にあるリテラ。薬品はここから取り出します。

2012年3月9日金曜日

麻酔器、麻酔回路、気化器

麻酔科勉強会   担当:S先生


「麻酔器、麻酔回路、気化器」

・基本構造:麻酔器+呼吸回路
・Aestiva Workstationの内部構造
・笑気&酸素が気化器を経由して呼吸回路へ
  →酸素フラッシュ回路は気化器をバイパス
・気化熱、比熱、熱伝導速度など
  気化熱:1gの液体を気体にするのに必要な熱量
  比熱:1gの物質の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量
     →麻酔薬が気化する過程で麻酔薬の温度は低下する
     →麻酔器内では比熱の大きな金属が必要
  熱伝導度
     →気化器内の温度を一定に保ちたい
     →熱伝導度の大きな金属が使われる。
・いろいろな吸入麻酔薬の蒸気圧曲線
  →セボは20℃で200mmHg
  →飽和させると大気圧760mmHgでは26%
  →飽和させると濃度高すぎる!!!
・可変式バイパス気化器
  →気化器に入る回路と、バイパス回路がある。
・温度補正機構の仕組み
・バイメタル
  →熱膨張率の異なる2枚の金属板を重ね合わせた構造
  →温度の変化によって曲がり方が変化する性質を利用
・デスフルランについて
  →飽和蒸気圧はセボの3-4倍
  →MAC 6-7%
  →一定期間に蒸発する量はかなり多い。
  →使用量が多いので気化器の温度が下がりやすい。
  →専用の外部熱源が必要
  →だから専用の気化器じゃないと使えません。
・デスフルラン気化器
  →100mlの担体ガスが流入するとデスフルラン833mlが流出

「ブレイク」
・大規模study名がだじゃれっぽい気がする。
  →SAFE、ALIVE、ARREST、NICE-SUGAR
・首長族に挿管
・シーナ・アイエンガー「選択の科学」

・呼吸回路の基本構造
・ベローズ上昇式人工呼吸器




     長時間手術、お疲れ様でした。

2012年3月8日木曜日

SSI対策

初期研修医勉強会 担当:M先生

「SSI(Surgical Site Infection)について」

・CDCのガイドラインより定義
  ・術後30日以内に発生した手術関連の感染症
  ・人工物挿入手術については1年以内に発生したもの。
・切創部感染、臓器感染、体腔感染など。
・予防のために・・・気を付けることがいろいろあります。
・よく使われる抗生剤についてまとめてきました。
・「セファメジン」
  ・CEZ
  ・グラム陽性球菌。黄色ブドウ球菌(非MRSA)に効力あり。
  ・中枢移行性悪い。
  ・腸球菌、リステリアには効かない。
・「セフメタゾン」
  ・CMZ
  ・セファマイシン系。第二世代セフェムと同じ。
  ・嫌気性菌にスペクトルを持つ。
  ・飲酒によりジスルフィラム作用あり。
  ・VitK欠乏の副作用が報告されている。
・「フルマリン」
  ・FMOX
  ・オキサセフェム系。セファマイシン系とほぼ同じ。
  ・セフメタゾンとフルマリンの違いは?
    →どちらもペプチドグリカン合成阻害。
    →スペクトルはほぼ同じ。
    →フルマリンの方が値段が3倍ほど高い。
・「メロペン」「フィニバックス」
  ・MEPM&DRPM
  ・カルバペネム系。広域スペクトル。
  ・ESBL産生菌、AmpC産生菌のfirst choise。
  ・効かないものに注意。
    →MRSA、VRE、E.faecium、マルトフィリア、C.difficile、・・・
  ・バルプロ酸飲んでる人は注意。
    →バルプロ酸の血中濃度低下、痙攣起こす可能性。
・「ダラシン」
  ・クリンダマイシン
  ・グラム陽性球菌、嫌気性菌、マイコプラズマなど。
  ・βラクタムアレルギーの人などに使う。
  ・壊死性筋膜炎では毒素産生抑制目的に併用される。
  ・偽膜性腸炎を起こしやすい。
・「バンコマイシン」
  ・VCM
  ・グリコペプチド系。MRSAに効力。
  ・Redman Syndrome
    →急速静注でヒスタミン分泌、血圧下がって真っ赤になる。
    →1時間以上かけて緩徐に静注。
  ・TDMしましょう。
  ・耳毒性、腎毒性に注意。

「ブレイク」
・自己紹介
・神崎郡福崎町
・神大医学部ラグビー部について
  →iPS細胞の山中教授もOBです。
・ガンダム好きです。
  →ガンプラ作ってます。

・各科のSSI予防の抗菌薬投与について
  →表皮由来のGPCに対してはCEZを。
  →口腔内嫌気性菌、腸内嫌気性菌が問題ならCMZを。
・抗生剤投与のタイミング
  →皮膚切開の60分前に入れ終わる。
  →駆血帯を使う手術は駆血帯使用前に。
・出血1,500ml以上出た場合は追加投与を。
・帝王切開では臍帯クランプ後に。
・手術後24-72時間以上は投与しない。

・腎機能悪い人は?
  →CEZなら、CCr 20-50で8時間毎、CCr 20以下で16時間毎。




   今日、どなたか先生が使われたようです。



2012年3月7日水曜日

CPRについて

麻酔の問題集 担当:H先生

「CPRについて」

第一問:BLSについての問題
・BLSはCBA(胸骨圧迫→気道→呼吸)の順番に。
・正常な呼吸でない場合は呼吸停止とみなす。
・市民・非熟練医療従事者はpulselessの確認必要ない。すぐCPR。
・胸骨圧迫が強調されるようになった。
  →Reaの報告
  →胸骨圧迫群のみ群、呼吸補助併用群を比較。
  →生存退院率、神経学的予後に差がなかった。
・非心源性心停止、小児の場合は人工呼吸併用で予後改善。
・人工呼吸が全く否定されたわけではない。
  →医療従事者なら30:2をしましょう。

第二問:ACLSについての問題
・蘇生薬剤の推奨度など。
・VF/pulselessVT→エピネフリン、アミオダロン考慮。
・PEA/Asistole→アトロピン不使用
・EtCO2モニターの使用推奨。
・パルスチェックのタイミング
・ROSC後の管理など。
・アミオダロン/ニフェカラント/リドカインそれぞれ。
・経気道投与量。

第三問:CPR中の生理
・CPR中は脳と心臓に血液がシフトする。
・EtCO2モニターの役割
  →食道挿管のルールアウト
  →胸骨圧迫の質の評価
  →ちなみに当院救急外来でも使えるようになりました。

第四問:いろいろ問題
・子供のCPAについて
・除細動のエネルギーについて。二相性、単相性。
・脳血流の自動調節について
・軽度低体温について
・心拍再開後のintensive careについて
  ・呼吸:過換気、過剰酸素化を避ける。
  ・循環:輸液、クスリ、デバイス、PCIなど。
  ・低体温:12-24時間、32-34℃
  ・痙攣予防
  ・血糖コントロール
・NSE神経特異エノラーゼ、S100-bとか。






2012年3月5日月曜日

集中治療医学会ふりかえり


ICUカンファレンス  担当:M先生

「集中治療医学会ふりかえり」

・会場前で確定申告のソフト配布してました。
・さぬきうどんブース
  →会長の知り合いさんのお店らしい。
・発表者2人、お疲れ様でした。
・看護師さんの発表もありました。
  →病院移転ネタ。
・ランチョンセミナー
  ・aEEG as a Trend Monitor of Brain Function
   →aEEG:振幅だけを取り出して時間軸を圧縮、トレンドを見る。
  ・Mechanism of Sepsis
   →名古屋の松田先生。分子メカニズムとか。
・シンポジウム
  ・Critical illness myopathy and polyneuropathy
  ・Oncologic emergency
   →おもしろかったらしい。
  ・集中治療の質の確保と向上
   →データベース的な
  ・ICUと医療経済
   →社会保険対策委員会活動報告
   →DPC/PDPS、原価計算、外保連
・クリットラインの代わりにHb-Oxmeter使ってみた。
・終末期のDecision-makingのアンケート、世代別医師の意識調査
・CHDF中のNバランス
  →排液濃度から研究してみました。
・栄養投与法、プロバイオティクスについてのバンドル作成
  →予後がよくなった。
・意識障害でMRIを。
・足を他動的に動かすと腸も動く。
・間欠的経鼻吸引でVAPを減らす。



  3月から滋賀県より研修に来て下さったT先生。





  3月から新しい研修医の先生も来てくれました。






  3月も頑張りましょう。




2012年3月4日日曜日

重症患者の輸血

麻酔科勉強会  担当:Y先生

 「重症患者の輸血について」

・TRICC study(1999 NEJM)
  →輸血制限群と輸血自由群の比較、制限群の方が死亡率低い。
  →Hb 7-9g/dlくらいに保つ。
  →虚血性心疾患や脳梗塞の人はこの類ではないかも。
・虚血性心疾患の人の輸血は?
  →心臓外科術後の輸血基準については明確なevidenceなし。
  →JAMA 2010.Octの論文を紹介。
     ・リベラル群(Hct<30)と制限群(Hct<24)の比較。
     →輸血単位数と30日死亡リスクに関連あり。
     →輸血制限の有無は予後に影響を与えなかった。
・Hct 30、Hb 10がダメなのは?
  →輸血製剤そのものの副作用、製剤の酸素運搬能低下、など。
  →2,3-DPGは2週間で枯渇する。
  →酸素解離曲線の左方移動
  →末梢組織での酸素リリース悪化
  →他にも赤血球の変形など。
・免疫修飾現象
  →非溶血性発熱、CMV感染、抗HLA抗体産生血小板不応症
・Hct 24がひとつの指標になる?
・術中は刻一刻と状況が変わるので、実際の対応は難しいかも。

ブレイク:
・西市民病院の3か月を振り返って
・集中治療医学会報告





2012年3月2日金曜日

集中治療医学会@幕張

日本集中治療医学会学術集会@千葉・幕張メッセが開催されました。
当科からも発表者をはじめ、交代で多くの先生が参加されました。











発表を終えられた先生方、お疲れ様でした。