2012年5月7日月曜日

眼科手術の麻酔

麻酔科勉強会  担当:N先生

「眼科手術の麻酔」

・眼圧
  ・正常値10~22mmHg
  ・日本人の平均値14.5 mmHg
・眼圧上昇はなぜ悪いか
  ・急性緑内障の発生
  ・眼内容物の突出の可能性
     →失明の可能性
・眼圧を上昇させる因子
  ・高血圧
  ・眼周囲の圧力上昇、眼球圧迫
  ・低酸素症、高二酸化炭素症
  ・いきみ、嘔吐、咳、バッキング
  ・麻酔関連
    →喉頭展開・気管挿管・高換気圧・薬剤
・眼圧を低下させる因子
  ・低二酸化炭素症
  ・低体温
  ・頭部挙上
  ・薬剤
    →利尿薬、β遮断薬等
  ・ほとんどの麻酔関連薬で眼圧は低下する。
    →ケタミン、スキサメトニウムは眼圧を上昇させる。
・アトロピンと緑内障
  →閉塞隅角・開放隅角緑内障の患者でも通常の量であれば使用OK。
・眼球心臓反射
  ・眼球圧迫・外眼筋牽引などによって起こる
  ・子供に多い
    →斜視手術などで問題となる
  ・神経支配:
    →求心路:三叉神経、
    →遠心路:迷走神経
  ・症状
    →不整脈(洞性徐脈が多い)、吐き気など
  ・低酸素・高二酸化炭素血症で増悪・重症化しやすい
  ・様々な予防方法が考えられているが確実なものはない
  ・刺激の反復により再発しにくくなる
・眼科麻酔
  ・全身麻酔
  ・区域麻酔
  ・表面麻酔
・全身麻酔
  ・患者の協力が得られない場合
   →安静が保てない、コミュニケーションがとれないなど
  ・侵襲が高い場合など
  ・眼圧上昇が好ましくない状況では、適切な麻酔深度を保つ(LMAが有用)
  ・手術中はAirwayへのアクセスが困難
     →チューブの接続不良・位置のずれなどに注意する
・区域麻酔
  ・球後ブロック(Retrobulbar block)
  ・眼周囲ブロック(peribulbar block)
  ・テノン嚢下麻酔
・テノン嚢下麻酔について
    →結膜に表面麻酔をする
    →結膜をハサミで切開し強膜の上のテノン嚢まで切開
    →テノン嚢の中に鈍針を挿入
    →局麻薬を注入
  ・球後・眼周囲ブロックとの比較
    ・無動効果の優劣ははっきりせず
    ・鎮痛効果は優れる
    ・球後部にアクセスしないため球後出血や神経損傷が起きにくい
  ・特徴的な合併症
    →結膜出血・浮腫がほぼ必発
    →自然に消退



       ICUにもROTEM出動中。