2012年5月29日火曜日

造血幹細胞移植

ICU勉強会   担当:Y先生


「最近のICUトピックス」

・ヘルペス脳炎、症候性てんかんなど。
・ICUにおける造血幹細胞移植。
・心臓血管外科術後の意識障害。
・繰り返す腹腔内出血。
・open abdomenの管理。
・など。


「造血幹細胞移植」

・造血幹細胞移植の分類
  ・ドナーによる分類
    →自家移植と同種移植
  ・移植法による分類
    →骨髄移植、末梢骨幹細胞移植、臍帯血移植
・自家移植
  ・ほとんどが末梢血幹細胞移植。
  ・自家骨髄移植が行われることも。
・同種移植
  ・HLA適合(HLA-A, HLA-B, HLA-DR各2型、合計6型全て適合)
    ・血縁者・・・・兄弟姉妹で1/4の確率で一致
    ・非血縁者・・・骨髄バンク。80%の患者で適応者が見つかる。
  ・HLA非適合(6型のうち5型のみ適合)
    ・血縁者・・・・HLA適合非血縁者間移植に匹敵
    ・非血縁者・・・成績は向上中。
・骨髄移植
  ・ドナーの骨髄採取に全身麻酔が必要となる。
  ・ほとんどが同種移植。まれに自家骨髄移植も行われる。
  ・生着率、採取可能幹細胞数は普通。
  ・同種移植の場合、GVHD(急性・慢性)発症あり。
・末梢血幹細胞移植
  →同種移植の場合
    ・幹細胞数は多い。
    ・生着率が高い。
    ・慢性GVHD発症の可能性が高い。
    ・健常人にG-CSFを使用するリスク。
  →自家移植の場合
    ・幹細胞数は普通。
    ・生着率が高い。
    ・GVHDは起こり得ない。
    ・癌細胞混入の可能性あり。
・自家移植が 超大量化学療法を可能とした。
    ・抗癌剤の使用量をもう少し増やせば有効率が上がるはず。
      →しかしこれ以上使うと骨髄破壊が心配。
      →骨髄破壊量を超えて抗癌剤を使用。
      →骨髄破壊後にPBSCT施行。
      →骨髄機能の回復。
    ・骨髄破壊量<致死的肝・腎・肺障害発症量。
    ・PBSCTにより骨髄破壊量を超えた化学療法が可能となった。
・臍帯血幹細胞移植
  ・長所
    ・ドナーに危険性や負担がない
    ・比較的速やかに移植が実施できる
    ・GVHDが少ない。
    ・HLA不一致でも移植可能。
  ・短所
    ・造血幹細胞が少ない→生着不全が起こりやすい。
    ・同じドナーから血液を再び採取 できない。
    ・移植後感染症発症率が高い。
・前処置
  ・抗癌剤、急性GVHD予防、放射線照射
・急性GVHD
  ・術後100日以内に発症。
  ・骨髄破壊的移植では60日以内の発症が多い。
  ・原因はHLAのマイナーミスマッチ?
  ・移植片中の成熟T cellが関与。
  ・Target organは皮膚、肝臓、消化管。
  ・鑑別は血栓性微小血管症:TMA(HUS/TTP)
  ・治療はステロイド投与。
・慢性GVHD
  ・移植後100日以降に発症。
  ・発症様式によって3型に分類。
     →Progressive型、Quiescent型、De novo型
  ・Target organが多岐にわたる。
  ・移植幹細胞から分化したT cellが関与。
  ・症状に応じて局所療法から全身免疫抑制療法まで。