初期研修医勉強会 担当:F先生
「術後疼痛管理とその意義」
・体性痛
→限局した、さしこむような痛み
・浅い痛み(切開創)
・深い痛み(筋肉痛)
・内蔵痛
→部位が明確でない、違和感のある痛み
・麻酔薬の副作用としての痛み
→セボフルランによる頭痛など
・術後疼痛の修飾因子
・患者因子
・術前の不安、恐怖による増強
・麻酔方法
・全身麻酔、硬膜外麻酔併用、麻薬使用の有無
・手術部位、手術時間、侵襲の程度
・上腹部>下腹部
・長時間>短時間
・浅いところ>深いところなど
・術後痛の影響
①呼吸機能の低下
・反射的な腹筋緊張、横隔膜機能低下
・痛みへの恐怖による深呼吸、咳の抑制
→分泌物貯留、無気肺
②循環器
・交換神経緊張→頻脈、血圧上昇
・離床の遅れ→DVTのリスク上昇
③消化器
・腸管運動抑制→イレウスのリスク上昇
④内分泌
・痛みによる交感神経緊張
・ストレスホルモンの遊離
・異化亢進、血液凝固能亢進、免疫能低下
⑤精神面
・薬の過量投与、医療スタッフへの不信感
・術後鎮痛の手段
・術中のNSAIDS、オピオイド予防的静注
・硬膜外腔またはクモ膜下腔オピオイド持続投与
・オピオイド静脈内投与によるPCA
・薬を使わない鎮痛法
・術後鎮痛の意義
・早期機能回復による患者QOLの向上にとどまらない。
・医療関係者のストレス軽減
・栄養状態の改善
・医療経済的にも入院日数の減少などいいことは多い。
・日本における術後鎮痛の問題点
・我慢する日本人
→手術後に多少痛いのはしょうがない
・施設、機器の不足によるハード面
・人手不足、連携不足という医療スタッフ側因子
・米国では術後鎮痛を体系的に行うためのガイドラインあり。
・術前からの患者状態把握の重要性
・患者、家族、医療スタッフへの適切な教育
・麻酔科医が主役
・ブレイク
「自己紹介」
「ファゴットの魅力」
・術後鎮痛法により術後予後が改善?
・局所麻酔併用の術後鎮痛
→癌手術後の再発率、転移率が下がる
→患者の長期予後を改善できる…かもしれない。
・周術期の細胞性免疫をを低下させる因子
・手術自体の侵襲
・痛みストレス
・オピオイド(とくにモルヒネ、フェンタニル)
・吸入麻酔薬
→癌細胞の最前線の防御機構が弱る。
・COX阻害薬
→動物実験では腫瘍増殖、血管新生等を抑制したらしい。
・区域麻酔および鎮痛
→痛み信号の伝達を止める
→同時にNK細胞の機能維持
→免疫能を保つ。
→区域麻酔を併用して全身麻酔薬の使用量を減らす。
・COX阻害薬、局所麻酔での鎮痛の割合を増やして麻薬の必要量を減らす。
・周術期の免疫能を維持
→がん手術後の転移率、再発率を下げる?
・乳房切除についての研究
・全麻+傍脊椎ブロックvs全麻のみ
・術後3年間のの再発率で有意差あり。
・再発リスクも優位に低下。
・麻酔科医の創意工夫や判断は患者の生命予後を左右する可能性。