ICU勉強会 担当:U先生
「胸部大動脈瘤に対するステントグラフト」
・歴史は浅い
・1993年:自作ステントグラフトの臨床応用開始
※Aoに対する血管内治療自体が保険適応認められず
・2008年:企業製造の胸部用ステントグラフトが薬事承認
・以降、急速に普及
・適応
①上行大動脈
・適応なし
・ただし広範囲胸部大動脈瘤については
→上行・弓部を人工血管 + 弓部・下行にステント
→elephant trunk + 経カテーテルステントグラフト
②弓部大動脈
・弓部専用ステントグラフト
・branched(枝付き) stentgrsft
・ Fenestrsted(開窓型) stentgraft薬事承認なし
→弓部分枝への非解剖学的バイパス と併用
※外科手術困難例・ハイリスク症例
・Frozen elephant trunk 法またはStented elephant trunk法
→末梢側(下行)大動脈縫合のみステントグラフトで代用
→死亡率/合併症発症率が通常手術に比して同等あるいは良好
→特に広範囲弓部型・A型解離にて弓部置換を要するCASEで有用
・広範弓部~下行瘤に対する2期的ハイブリッド手術
→弓部置換の際にelephant trunkを下行瘤内に挿入
→後日、TEVER。
③下行大動脈
・解剖学的状況がデバイスの適応に適合するなら…
・OPEと比較して急性期死亡率・有害事象発症率が低い
・ハイリスク症例ではfirst choice.
・Low risk症例でも脊髄神経障害の発生は低い。
・適応外
・瘤による圧迫症状があるもの(心臓・食道など)
・食道と交通のあるもの
・感染瘤
・気管支婁・肺婁を伴ったCASE
④外傷性大動脈損傷
・First choice
→体外循環を使用することのRISKが高い
→付随する外傷治療に移行できる
→大動脈損傷を伴う多発外傷の治療成績は著明に向上
・合併症
・エンドリーク:急性期8-26% Type Ⅰが中心
・ちなみに…
・TypeⅠ
・ステントグラフトと宿主大動脈との接合不全に基づいたleak。
・TypeⅡ
・大動脈瘤側枝からの逆流に伴うleak。
・TypeⅢ
・グラフト-グラフト間の接合部,あるいはグラフト損傷等に伴うleak
・TypeⅣ
・ステントグラフトのporosityからのleak
・TypeⅤ
・画像診断上,明らかなEndoleakは指摘できないが
徐々に拡大傾向をきたすもの。
・脊髄神経麻痺
・risk factor
①広範囲の肋間動脈閉塞
②AAA OPE既往(内腸骨動脈閉塞)
③左鎖骨下動脈のCOVER
→RISK重なる場合にはスパドレなど予防措置が必須