2012年5月16日水曜日

胸部大動脈瘤に対するステントグラフト

ICU勉強会   担当:U先生

「胸部大動脈瘤に対するステントグラフト」

・歴史は浅い
  ・1993年:自作ステントグラフトの臨床応用開始
    ※Aoに対する血管内治療自体が保険適応認められず
  ・2008年:企業製造の胸部用ステントグラフトが薬事承認
  ・以降、急速に普及
・適応
 ①上行大動脈
   ・適応なし
   ・ただし広範囲胸部大動脈瘤については
     →上行・弓部を人工血管 +  弓部・下行にステント
     →elephant trunk + 経カテーテルステントグラフト
 ②弓部大動脈
   ・弓部専用ステントグラフト
   ・branched(枝付き) stentgrsft
   ・ Fenestrsted(開窓型) stentgraft薬事承認なし
     →弓部分枝への非解剖学的バイパス と併用
       ※外科手術困難例・ハイリスク症例
   ・Frozen elephant trunk 法またはStented elephant trunk法
     →末梢側(下行)大動脈縫合のみステントグラフトで代用
     →死亡率/合併症発症率が通常手術に比して同等あるいは良好
     →特に広範囲弓部型・A型解離にて弓部置換を要するCASEで有用
   ・広範弓部~下行瘤に対する2期的ハイブリッド手術
     →弓部置換の際にelephant trunkを下行瘤内に挿入
     →後日、TEVER。
 ③下行大動脈
   ・解剖学的状況がデバイスの適応に適合するなら…
   ・OPEと比較して急性期死亡率・有害事象発症率が低い
   ・ハイリスク症例ではfirst choice.
   ・Low risk症例でも脊髄神経障害の発生は低い。
   ・適応外
      ・瘤による圧迫症状があるもの(心臓・食道など)
      ・食道と交通のあるもの
      ・感染瘤
      ・気管支婁・肺婁を伴ったCASE
 ④外傷性大動脈損傷
   ・First choice
     →体外循環を使用することのRISKが高い
     →付随する外傷治療に移行できる
     →大動脈損傷を伴う多発外傷の治療成績は著明に向上
・合併症
  ・エンドリーク:急性期8-26% Type Ⅰが中心
   ・ちなみに…
    ・TypeⅠ
      ・ステントグラフトと宿主大動脈との接合不全に基づいたleak。
    ・TypeⅡ
      ・大動脈瘤側枝からの逆流に伴うleak。
    ・TypeⅢ
      ・グラフト-グラフト間の接合部,あるいはグラフト損傷等に伴うleak
    ・TypeⅣ
      ・ステントグラフトのporosityからのleak
    ・TypeⅤ
      ・画像診断上,明らかなEndoleakは指摘できないが
       徐々に拡大傾向をきたすもの。
  ・脊髄神経麻痺
    ・risk factor
      ①広範囲の肋間動脈閉塞
      ②AAA OPE既往(内腸骨動脈閉塞)
      ③左鎖骨下動脈のCOVER
         →RISK重なる場合にはスパドレなど予防措置が必須