麻酔科勉強会 担当:H先生
「分離肺換気」
・肺保護戦略は肺癌術後の合併症リスクを低下させるか?(Chest 2010)
→Conventional vs Protective
→Protective群で合併症は有意に低下
・分離肺換気、VCV vs PCV(A&A 2007)
→PaO2は変わりなし。圧はPCVの方が低い。
・分離肺換気中の低酸素血症について
①Prediction、②Prevention、③Treatment
①Predictionについて
・明確な予想因子はない。
・左肺手術の方が一般的に酸素化良好(右肺の方が大きい)。
・術前肺機能検査と術中PaO2は関連性に乏しい。
・重症閉塞性疾患なほど、術中酸素化良好。auto PEEPのため?
・血流分布異常について
・VQスキャンは有効。
・肺中枢病変の方が酸素化良好。健側に血流シフトするため?
・仰臥位と側臥位では側臥位の方が有利。
②Preventionについて
・チューブの位置異常は12%におこる。必ず側臥位後にファイバーチェック。
・TVは酸素化に影響しない。
→low TV+low PEEP (4-5 cmH2O推奨)
・PCV設定、Ppeak 20-25、PEEP 6-7 (右)/7-8 (左)くらいがいい?
・IE比は呼気終末flowがゼロになるように。PaCO2は30-35。
・非換気肺へのO2付加は酸素化を著明に改善させる。
→術野の妨げになるかも。
→実はチューブの位置異常でした、というときに気づきにくい。
・最終手段としてNO吸入、almitrine(日本にはない)使用など。
・吸入麻酔薬はHPVを抑制するが臨床的には問題にならない。
・胸部硬膜外麻酔の使用により酸素化は悪化する。
・COPDの人でHb低下すると酸素化は悪化する。
③Treatmentについて
・非換気肺にPEEPをかける。
・両肺換気にする。
・換気肺をリクルートメントする。
・ファイバーで位置確認する。
・痰吸引する。
・胸部硬膜外麻酔について
・分離肺換気中の酸素化に影響する可能性(A&A 1999)。
→General麻酔群(GA) vs 胸部硬膜外麻酔追加群(TEA)
→GA群で分離肺換気中のPaO2が高かった。
・TEA+吸入麻酔 vs TIVA(A&A 2001)
→TEA+吸入麻酔群の方がPaO2が高かった。
・硬膜外麻酔のロピバカイン濃度の違いとPaO2(Aneth. 2010)
→ロピバカインが濃いとPaO2低下する。
・分離肺換気中の輸液反応性の指標としてのSVV(Journal of Aneth. 2011)
→TVをいろいろ変えて、ROC曲線とか書いてみた。
→SVVを指標にしたいならTVを8ml/kg以上にすべし。
麻酔科ローテ初期研修医、最後は心臓手術の見学です。