2012年1月27日金曜日

分離肺換気

麻酔科勉強会 担当:H先生

「分離肺換気」

・肺保護戦略は肺癌術後の合併症リスクを低下させるか?(Chest 2010)
  →Conventional vs Protective
  →Protective群で合併症は有意に低下
・分離肺換気、VCV vs PCV(A&A 2007)
  →PaO2は変わりなし。圧はPCVの方が低い。
・分離肺換気中の低酸素血症について
  ①Prediction、②Prevention、③Treatment
 ①Predictionについて
   ・明確な予想因子はない。
   ・左肺手術の方が一般的に酸素化良好(右肺の方が大きい)。
   ・術前肺機能検査と術中PaO2は関連性に乏しい。
   ・重症閉塞性疾患なほど、術中酸素化良好。auto PEEPのため?
   ・血流分布異常について
      ・VQスキャンは有効。
      ・肺中枢病変の方が酸素化良好。健側に血流シフトするため?
      ・仰臥位と側臥位では側臥位の方が有利。
 ②Preventionについて
   ・チューブの位置異常は12%におこる。必ず側臥位後にファイバーチェック。
   ・TVは酸素化に影響しない。
     →low TV+low PEEP (4-5 cmH2O推奨)
   ・PCV設定、Ppeak 20-25、PEEP 6-7 (右)/7-8 (左)くらいがいい?
   ・IE比は呼気終末flowがゼロになるように。PaCO2は30-35。
   ・非換気肺へのO2付加は酸素化を著明に改善させる。
      →術野の妨げになるかも。
      →実はチューブの位置異常でした、というときに気づきにくい。
   ・最終手段としてNO吸入、almitrine(日本にはない)使用など。
   ・吸入麻酔薬はHPVを抑制するが臨床的には問題にならない。
   ・胸部硬膜外麻酔の使用により酸素化は悪化する。
   ・COPDの人でHb低下すると酸素化は悪化する。
 ③Treatmentについて
   ・非換気肺にPEEPをかける。
   ・両肺換気にする。
   ・換気肺をリクルートメントする。
   ・ファイバーで位置確認する。
   ・痰吸引する。
・胸部硬膜外麻酔について
  ・分離肺換気中の酸素化に影響する可能性(A&A 1999)。
     →General麻酔群(GA) vs 胸部硬膜外麻酔追加群(TEA)
     →GA群で分離肺換気中のPaO2が高かった。
  ・TEA+吸入麻酔 vs TIVA(A&A 2001)
     →TEA+吸入麻酔群の方がPaO2が高かった。
  ・硬膜外麻酔のロピバカイン濃度の違いとPaO2(Aneth. 2010)
     →ロピバカインが濃いとPaO2低下する。
・分離肺換気中の輸液反応性の指標としてのSVV(Journal of Aneth. 2011)
     →TVをいろいろ変えて、ROC曲線とか書いてみた。
     →SVVを指標にしたいならTVを8ml/kg以上にすべし。


麻酔科ローテ初期研修医、最後は心臓手術の見学です。