2012年1月25日水曜日

呼吸器外科の麻酔について

麻酔の問題集 担当:H先生

「呼吸器外科の麻酔について」

1.肺切除後の呼吸機能の問題
・術前検査で術後の肺機能を予想。
→スパイロ:1秒率、1秒量、機能的残気量など
・一側肺全摘では患側肺がどのくらい機能しているか検査が必要。
→換気血流スキャン
→患側肺がシャントの場合は全摘後むしろ酸素化は改善する。
→術前PaCO2上昇は換気不足を示唆、予後不良因子。
・肺血管床の減少に循環が耐えられるか。
→PA閉塞テストなど。

2.側臥位についての問題
・上側の肺は換気は多く血流は少ない。
・下側の肺は血流が多く換気が少ない。
・腹腔内圧は下側の肺にかかりやすい。
→下側の肺は分離肺換気開始後FiO2を上げると無気肺を作りやすい。

3.分離肺換気の適応についての問題
・絶対的適応は「分離しないと死ぬ」手術。
・健側肺の保護:膿胸、血胸など
・換気分布のコントロールが必要な場合。
・気管支肺胞洗浄
・相対的適応は術野の確保目的、など。
     →食道、TAA、上葉切除、VATS、・・・

4.低酸素性肺血管攣縮(HPV)の問題
・吸入麻酔薬はHPVを抑制する。
・Iso=Sevらしい。
・%HPV低下率=22.8×Isoの肺胞内濃度-5.3らしい。
・低体温も間接的にHPVを抑制する。
・Hypervolemiaは肺血管の拡張によりHPVを抑制する。
・Hypovolemiaは換気肺の血流低下により酸素化不良を起こす。
・患側肺の虚脱によりHPVは促進される。
・HPVのIndirect inhibitor・・・PA圧を上げるもの
→MS、PE、血管収縮薬の使用、・・・
・HPVのDirect inhibitor・・・肺血管を拡張させるもの
→感染、血管拡張薬の使用、・・・

5.分離肺換気での換気量についての問題
・一回換気量、教科書的には10-12ml/kgだが、多すぎ?
・非換気肺へのCPAP負荷によりPaO2改善
・過換気でPaO2
→気道内圧上昇、肺血管抵抗上昇、HPV抑制、右左シャント増大
・CO2は高くても低くてもHPVを抑制する。

6.縦隔鏡の麻酔
・パルスオキシメーターは左右につける。
・動脈ラインは右に取る。
→腕頭動脈圧迫時に橈骨動脈圧が低下する。
→右総頸動脈の血流が下がり、左片麻痺が出現することがある。
・大量出血のリスクがある手術である。
・反回神経麻痺、気道圧迫の可能性もある。