麻酔科勉強会 担当:O先生
「超音波ガイド下血管穿刺のガイドライン」
1.中心静脈穿刺
・アメリカでは合併症が5-10%程度で起こっている。
・要因として、経験不足、患者解剖、procedual setting、comorbidityなど。
・同じ人が4回以上穿刺すると合併症は6倍に。
・エコーを使うと1回目成功率アップ、合併症は減る。
・習得すべき技術
・エコーを操作して見たい画像をきちんと出せる技術
・画面上で上手に針を描写する技術
2.IJV穿刺
・合併症としての動脈穿刺(エコーガイド下)
・針と画像のズレによるもの。
・SAX:針の経路、深さがわからない。
・LAX:針の経路と深さがわかる。推奨。
・Realtime imagingかStaatic imagingか。
・合併症は同じ、Realtimeの方が時間が早く、回数は少なく、成功率がアップ。
・動脈と静脈の見分け方
動脈:厚く、圧迫を受けにくく、拍動していて、収縮期のみ血流あり。
静脈:薄く、つぶれやすく、呼吸性変動して、収縮・拡張期いずれも血流あり。
・動脈と静脈の関係について
→個体差あり。ランドマーク法では合併症を起こしうる。
→少なくとも穿刺前にエコーで位置関係は確認すべし。
・IJV-CA overlap
→動脈穿刺の可能性が高くなる。
→穿刺針でVをつぶしてしまい、いきなりAに入ってしまったり。
→Realtime imagingなら、Aのない方向へ針を進められる。
・IJVが細い人が7%くらいいる。
・IJV径<7mmの人は、成功率が下がるので別の場所を探したほうがいい。
・バルサルバ手技、トレンデレンブルグ体位により、やりやすくなる。
・171人のハイリスクな人にエコーガイド下IJV穿刺したスタディ
→合併症は7例。
→CA穿刺 1.8%、oozing 1.8%、hematoma 0.4%、胸膜穿刺 0.4%
・成功率アップと合併症軽減のため、IVCではRealtime imagingを使うべし!
→カテゴリーA、レベル1のevidence
・Static imagingも有用ではある。
3.SCV穿刺
・経験が少ないと、針の角度が急になる→気胸のリスク!
→エコーガイド下でもtraditional approachを忘れずに!
→針は角度をつけない。胸壁と水平に!
・接触面積の少ないプローブを使うとよい。
・鎖骨の真ん中にプローブを置く。SCVは短軸で描写する。
・IJVと比較するとエコーの有用性は少ないかも。
・合併症は0.3-12%。
・ルーチンのエコー使用は推奨されていない。
4.FV穿刺
・合併症は比較的少ない。
・股関節を外転、外旋させるとやりやすい。逆トレンデレンブルグ体位も。
・合併症として、動脈穿刺、AV fistula、仮性動脈瘤、後腹膜出血など。
・エコーガイド下穿刺により合併症は下がる。
・overlap症例、内腔開存性のcheck目的でのエコーは有用。
・ルーチンでの使用はevidence不十分。
・もともと合併症は少ない部分なので、エコーの有用性は少ないかも。
5.小児でのCV穿刺
・もともとデータが少ない。
・経験を積んだドクターには、むしろエコーが邪魔。
→正の相関スタディ:トレーナーが施行しているケースが多い。
→負の相関スタディ:経験を積んだ人がやってるケースが多い。
・IJV穿刺では、肝臓を押してみるとやりやすい。
・FV穿刺、小児では高率にoverlapしているので注意。
6.動脈穿刺
・Realtime imagingが好ましい。
・利き手で針を持って、もう片方でプローブを持つ。
・触診法とエコーの比較。成功率は同じだが合併症がエコーの方が少ない。
・ルーチンでの使用は推奨しないが、成功率はアップする。
7.末梢静脈穿刺
・肥満の人、浮腫の人などのdeep veinにエコー下でルート確保。
→成功率はアップするが、練習が必要。
・PICC挿入にはエコー使用が推奨されている。
8.その他
・カテーテル挿入前、ダイレーター挿入前には必ずエコーチェック!
→SAXだけでは不明瞭、長軸でワイヤーをちゃんと確認。
・ちゃんと勉強して10例は監督のもとで練習しよう。
成果を出すためにはトレーニングが必要。
マーキング目的でのStatic imagingは位置決め、血栓確認などには有用。
しかしRealtime imagingで入れる方が成功率アップ、合併症ダウン。