2012年4月19日木曜日

Fluid Management

初期研修医勉強会  担当:N先生

「Fluid Management」

・輸液の基本的な考え方
  →人体は約60%の水分と40%の固体成分からできている
     ・体重の60%の水分
       その40%が細胞内液、15%が間質液、5%が血漿
・細胞内液:細胞外液=2:1、間質液:血漿=3:1
・Donnan effect
  →理論上細胞外液を点滴すると1/4が血管内に留まることになる。
  →実際は1/3程血管内に留まるといわれている。
  →アルブミン荷電の影響らしい。
・浸透圧osmolalityと張度tonicity
・浸透圧とはある溶液中に溶解している粒の数
  ・effective osmolと張度について
・周術期の特性
  →サードスペース、血管拡張の影響を考えなければならない。
・サードスペース
  →非機能的細胞外液
  →細胞外液とは交通があるものの平衡関係にない体液分画
  →麻酔や炎症により血管拡張
  →相対的な細胞外液量の必要量増大が生じる
・輸液製剤
  →基本的に全ての輸液製剤は生理食塩水と自由水(5%糖液)の混合したものと考える。
  →それに+α(膠質液、血漿増量製剤など)
・輸液製剤の種類いろいろ
  ・電解質製剤
    ・細胞外液
    ・生理食塩水、乳酸化リンゲル液はともに細胞外に分布
      →血管内は約1/3~1/4
    ・生理食塩水はCl濃度が高い。
      →高クロライド性アシドーシスになるおそれがある
  ・5%糖液
    ・ブドウ糖が代謝されるため、純粋に水分として細胞内外に等しく分布(自由水)
    ・血管内には1/12程度
  ・血漿増量剤
    ・ヘスパンダー
      →ヒドロキシエチルデンプン配合剤注射液
      →約2日間血管内にとどまる
      →使用量は20ml/㎏/日にとどめる
       ・副作用
         ・アナフィラキシー様反応
         ・凝固異常
         ・腎機能障害
         ・消化器症状(悪心嘔吐など)
    ・アルブミン製剤
      ・アルブミナー(人血清アルブミン注射液)
      ・血漿増量剤同様に循環血漿量是正目的に使用される。   
        ・副作用
          ・Na負荷
          ・アナフィラキシー様反応
・術中輸液
  →理想的な周術期輸液管理とは組織環流を保つことである
  →実際には手術要因、年齢・合併症など患者要因、麻酔要因などにより影響。
・輸液戦略
   ・Fixed volume therapy
   ・Restrictive fluid therapy
   ・Goal-directed fluid therapy
・Fixed volume therapy
  ・通常のパラメータ(血圧、脈拍、尿量など)アルゴリズムにのっとっての輸液管理
  ・基本的にoverloadよりになる
・Restrictive fluid therapy
  ・できるだけ輸液を絞った周術期輸液管理
  ・輸液過多を防ぎ、術後の合併症を減少させる
  ・イレウス合併の減少、腸管機能の早期回復、入院期間短縮、肺水腫の合併減少。
  ・ただし術中のhypovolemiaの合併が危惧されている
・Goal directed fluid therapy
  ・1回拍出量や心拍出量をPACやTEEなどのデバイスによりモニター
    →個々の症例に応じた輸液管理をすることにより理想的な輸液管理をはかる
・入院期間の短縮、腸管機能保護、イレウス合併減少、腎保護など。
・論文読んできました。
  Perioperative Fluid Management Strategies in Major Surgery: A Stratified Meta-Analysis  
    Anesth Analg March 2012 114:640-651; published ahead   of print January 16, 2012,