2012年4月15日日曜日

胸腹部大動脈瘤の麻酔

 麻酔科勉強会  担当:K先生

「胸腹部大動脈瘤の麻酔」

・胸腹部大動脈瘤(TAAA)の麻酔のイメージ
   ・とりあえず長い(手術まで、心肺、止血)
   ・やることが多い(CSFドレナージ、分離換気、側臥位)
   ・やたら出血する(凝固が狂う、術野が広い、血を吐く)
   ・心肺を回してもボーっとできない(部分循環の場合)
   ・合併症が多い(対麻痺、腎障害、死亡率)
   ・数が少ない(一期一会)
・Crawford classification
・TAAA
   ・平均すると、毎年0.1cmずつ大きくなる
   ・瘤のサイズと、破裂・解離・死亡には直接相関がある
   ・高血圧、男性、70歳以上、喫煙、診断時に5cm以上
       →急速拡大の独立因子
   ・一般的に手術推奨(特に6cm以上)
   ・待機手術の死亡率は5~25%
   ・合併症・死亡率は、施設や術者に依存する
・症状
  →背部痛、心窩部痛、嗄声、息切れ、咳、喀血)
・心機能
   ・心臓合併症・死亡率は10~15%以上
   ・約30%の症例で、術後24時間以内に心機能障害
・呼吸機能
   ・術後合併症・死亡率の主な要因は呼吸不全
・腎機能
   ・術前腎機能低下は術後腎不全と死亡率の独立因子
   ・13~24%は術前腎機能低下(Cr>1.5)
   ・緊急手術、術前腎機能低下、大動脈遮断時間、高齢
     →術後急性腎不全の独立因子(7~40%)
・画像評価
   ・CT、血管造影、MRA
   ・50~80%の症例で、Artery of Adamkiewiczが見つかる
   ・Artery of Adamkiewiczの同定・再建で、対麻痺は50%→5%
・術前・モニタリングについて
   ・導入前の鎮静(破裂、解離のリスク)
   ・右橈骨動脈圧ライン(左鎖骨下動脈近位でのクランプ)
   ・大腿動脈圧ライン(足背動脈、LHB灌流圧)
   ・中心静脈ライン(“double-stick” technique)
   ・rapid infusion device(レベル1)
   ・TEE
・左心バイパス
   →Crawford Ⅰ/Ⅱでは有効性が証明
   →Ⅲ/Ⅳでは確実な有効性は示されていない
・腎保護
   ・大動脈遮断遠位側の灌流圧を維持する
   ・虚血期間に、腎動脈に冷やした灌流液を流す
   ・冷やした晶質液>等温血
     →4℃の晶質液で腎臓を28℃以下に保ったところ、腎保護効果あり
   ・マンニトールとドパミンは議論中
   ・尿流出確認のため、インジゴカルミンやフロセミドを用いることもある
・脊髄保護
   ・対麻痺の発生率は2.7~20%
   ・死亡率にも関連がある
   ・脳脊髄液ドレナージ
   ・平均動脈圧の維持
   ・左心バイパス
   ・低体温
   ・肋間/根動脈の再建
   ・SEP(somatosensory-evoked potentials)
   ・MEP(motor-evoked potentials)
・CSF Drainage
  ・凝固能について
     ・低分子へパリン:24時間(高用量)/12時間(低用量)休薬
     ・クロピドグレル(プラビックス):7日休薬
     ・チクロピジン(パナルジン):10(~14)日休薬
     ・アブシキシマブ:24~48時間休薬
     ・エプチフィバチド/チロフィバン:4~8時間休薬
     ・血小板>10万、INR>1.3、APTT正常
  ・局所感染部位を避ける
  ・頭蓋内圧が上昇している場合、ドレーン留置は避ける
  ・無菌化
  ・クロルヘキシジン、ドレープ、手洗い、アクセサリーを外す、グローブ、マスク、ガウン
  ・アウェイクでの挿入を推奨
  ・入院後、手術の24時間前に、ドレーンを挿入
  ・外傷性/血性穿刺
  ・抗凝固と60分以上あける
  ・24時間の手術延期
  ・術後脳脊髄血腫のリスクについて考慮
・術中のCSFモニタリング
  ・血行動態
  ・低血圧を避ける
  ・SCPP>60mmHgとなるよう、MAP/MAPdを維持
  ・CVPを上げすぎない
  ・ゼロ点は、Phlebostatic Axis
  ・ドレナージ
  ・CSFP<10mmHg or SCPP>60mmHgとなるように排液
  ・10~15ml/h以上は排液しない
  ・オピオイドのクモ膜下投与は行わない
・術後モニタリング
  ・低血圧を避ける
  ・ドレナージ/モニタリング期間は、72時間をめどに
  ・血性髄液が見られればICHの可能性を考え、画像評価を考慮
  ・新たな下肢の脱落症状
    →虚血か血腫を考える。
    →SCPPを上昇させて(MAP↑/CSFP↓)、画像評価を考慮する
・ドレーン抜去の凝固能
  ・血小板>10万、INR<1.3、APTT正常
  ・抜去前2~4時間はヘパリン中止
  ・抜去後1時間はヘパリン中止
・まとめ
  ・TAAA repairの麻酔は、手技が多いだけではなさそう
  ・やっぱり対麻痺と腎障害は避けたい



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