麻酔科勉強会 担当:H先生
「無痛分娩」
・分娩経過の復習・・・第一期、第二期、第三期
・分娩の痛み
→痛みの程度・持続時間と部位は、陣痛経過により変化する
→鎮痛もそれに合わせて調整する
・第一期~全開大
・子宮頸部の拡張に伴う内蔵痛
・下腹部から腰背部への関連痛を伴う
・傍子宮頚管部
→下腹神経叢→腰部交感神経鎖→T10〜L1
・第二期
・会陰部・産道の拡張による体性痛
・会陰部の知覚神経
→陰部神経→S2/3/4
・陣痛を和らげることへの反論
・産科医・・・分娩経過が遅れるのでは?
→むしろ促進される可能性
・小児科医・・・胎児への影響は?
→麻酔薬の移行はごくわずか。明らかな臨床的影響なし。
・助産師・・・良好な母子関係が築けない?
→明らかに否定
・日本人の国民性も関与
→痛みに耐えてこそ、より一層、子への愛情が湧くはず
→赤ちゃんだけを頑張らせるなんて…
・無痛分娩いろいろ
・精神予防性無痛分娩
・ラマーズ法
・ソフロロジー法
・水中出産、アロマテラピー
・鍼などの薬物を使用しない和痛分娩
・ガス麻酔、静脈麻酔での分娩
・硬膜外鎮痛/CSEA を用いた分娩
→欧米では一般的な医療行為として普及60〜70%
→日本ではイマイチ浸透せず5%程度
・普及しない理由
→物理的・資源的な制約
→Labor analgesiaへの患者の誤解と国民性
→Labor analgesiaへの医師・助産師の誤解
・無痛分娩の実際
・穿刺:L2/3、3/4から硬膜外に留置
・局所麻酔薬と少量の麻薬で行う
・Single catheter が一般的
・CSEAも考慮しても良い
・十分なモニター下で行う
・Partogram
・VAS score
・Dermatome
・運動麻痺の程度
・胎児心拍数
・子宮収縮計
・触診・内診
・理想的な麻酔薬は?
・確実な鎮痛効果
・運動神経遮断の程度が軽い
・効果持続時間が長い
・母体への副作用が少ない
・児への移行・影響が少ない(UV/M ratio小)
・乳汁移行が少ない
・成育医療センターメニュー
・予定日前日入院、エピ留置
・翌日分娩誘発、鎮痛開始は産婦の要求で
・初期投与
→0.2% Ropivacaine or 0.125% Bupivacaine
→18ml+フェンタニル100μg少量ずつ
・追加投与
→1時間に1回ほど医者が評価して投与
・PCEA、CEIも行われる
・硬膜外麻酔時の注意
・妊婦は血管内・くも膜下腔への迷入のリスクが元々高い
・側臥位で、頻繁に体位交換をするため硬膜外カテの位置が変わりやすい
・高位脊麻・局麻中毒の発現に注意
・胎児一過性所脈の頻度が高い
・挿入後、すぐに硬膜外カテの先端の位置を判断できない
・硬膜外鎮痛が無効の可能性
→胎児ジストレスで緊急CS時に、エピが効いていないとピンチ!
・常に観察、緊急帝王切開の用意を!
・胎児一過性徐脈
・原因は明らかではない
・硬膜外鎮痛(特に、脊髄くも膜下麻酔による急激な鎮痛)
→母体カテコラミン濃度低下
→β2受容体刺激の低下
→子宮収縮増強
・分娩経過に及ぼす影響
・第一期は延長しない
・第二期は延長し、器械分娩率は上昇する可能性が示唆
・怒責のタイミングがとれないため
→介助者の指導が重要
・母体や胎児に悪影響を及ぼさなければ問題ない
・帝王切開率は上昇させない
・胎盤血流上昇
→痛みによる過換気と、その反動による間歇期の低換気
→痛みによる母体血中カテコラミン濃度の上昇で、子宮血流減少
→これを無痛分娩でブロック
→PIHなどでは特に有効
・無痛分娩の今後
・今後増加してくるといわれる無痛分娩
・無痛分娩に携わるには
・産科的基礎知識
・麻酔技術
・スタッフ教育
・妊産婦緊急時の対応
・新生児蘇生・・・に精通しなければならない