2012年2月2日木曜日

麻酔と歯牙損傷


初期研修医勉強会 担当:M先生

「麻酔と歯牙損傷」

・歯牙損傷の疫学
   →全身麻酔3000例に1例
   →挿管時、マスク換気時
   →脱落歯牙が食道壁を損傷し、開胸手術になった例もある。
・歯牙損傷のリスク
   →動揺歯、挿管困難、緊急手術、未熟な挿管技術、など。
・歯牙損傷の分類
  ①脱臼:不全脱臼、完全脱臼
  ②破折:歯冠破折、歯冠歯根破折、歯根破折
・術前診察のポイント
   →動揺の程度、義歯、補填物、孤立歯、欠落歯の有無、など。
   →義歯は外して診察診察しましょう。
・動揺度の分類としてMiller分類というのがある。
   →0~3度に分類。3度は歯軸方向にも動揺するタイプ。抜歯適応。
・世代別ポイント
  ・小児は乳歯から永久歯へ生え変わることに注意。
     →生え変わりは前から始まり奥へと進む。
     →小学校1年で前歯から、6年で第2乳臼歯へ。
     →小学校の学年でだいたい推定できる。
  ・40歳以上は歯周病、義歯に注意。
     →歯周病、35~40歳で27%、45~54歳で43%。65歳以上は過半数。
     →歯周病のリスク、DMと喫煙。
・動揺歯を自覚しているのか?
  ・50歳以上になると動揺歯の自覚が増えてくる(20%くらい)。
  ・70歳を超えると自覚がなくなってくる。(そもそも歯がなくなる?)
・麻酔中、歯を守るための注意点
  ・挿管のみならず下顎挙上時にも注意。
  ・義歯装着したままマスク換気をすると圧が逃げて歯を守れるかも。
  ・マッキントッシュよりもマッコイの方がいいかも。
  ・経鼻ファイバー挿管は歯にやさしい。
  ・バッキングに注意。
  ・体位変換に注意。
  ・エアウェイ、バイトブロックは臼歯にかませるとよい。
  ・動揺歯がある場合は3-0絹糸などで隣在歯と固定し落ち込み防止。
  ・モデリングコンパウンド、カスタムマウスガード、歯守くん、・・・

ブレイク
・徳島県について。うずしおと阿波踊りと大塚製薬。
・トルコの魅力

・歯牙損傷してしまったときはどうするか。
  →すぐ取り除く!
  →見つからなければXpで確認。
  →気管内に落ち込んだらファイバーで取り除く。
  →消化管内に落ちたら2~3日で排泄されるまでXpチェック。
・歯根膜の温存がポイント。うまくいけば再接着する。
・再接着の予後因子は歯根膜の温存状態と、脱落から再接着までの時間。
・歯が抜けた、折れた場合はどうすればいい?
  →歯根に触れず、生食に漬ける。
  →できれば生食よりも牛乳の方がいい。
  →さらにできればよく冷えた低脂肪乳がいい。そして歯科へLet's Go!
・乳歯を無理やり接着すると、後継永久歯胚に影響する恐れが。
・抜けそうな人にはマウスピースを実費で作ってもらうという手も。
  →ちなみに実費で4000円くらい。
  →職人が作る。下手な人が作るとすぐ外れるらしい。