2018年12月28日金曜日

12月第4週の朝勉強会

12月第4週の朝勉強会

火:麻酔科定例カンファレンス
水:麻酔科勉強会「ビタミンC」(担当:K先生)
 ・補酵素としてのビタミンC
 ・敗血症性ショックとビタミンC
   ・チアミン+ヒドロコルチゾン+ビタミンC
 ・心臓血管手術におけるビタミンC
   ・POAFを減らす?
   ・Vasoplegic shockに効果がある?
木:麻酔科勉強会「カフ圧」(担当:H先生)
 ・カフ圧系の意義
 ・カフの役割
 ・指摘カフ圧
 ・カフの材質
   ・PVCとPU
   ・高容量低圧カフと低容量高圧カフ
 ・Folding現象
 ・テーパー型カフ
 ・カフ圧系がない時にカフ圧は予測できるか?
  ・手の感触に頼ると入れすぎる傾向
金:初期研修医勉強会「未破裂脳動脈瘤と麻酔」(担当:A先生)
 ・未破裂動脈瘤の破裂リスク因子
 ・麻酔時の異常高血圧は破裂リスクになるのか


CHD持続下での緊急手術

2018年12月21日金曜日

12月第3週の朝勉強会

12月第3週の朝勉強会

月:ICU勉強会「CDトキシンup to date」(担当:M先生)
 ・クロストリジウム→クロストリディオイデスに名前が変わった
 ・入院患者の下痢まとめ
   ・頻度、原因、リスク因子
 ・抗菌剤関連下痢症
   ・リスク因子
   ・診断
   ・検査
     →CDトキシン2回目検査を出す意義はあるのか?
 ・メトロニダゾールと中枢神経障害
 ・フィダキソマイシン(ダフクリア)
 ・手術適応
 ・手術前投薬とCD感染
火:麻酔科定例カンファレンス
水:麻酔科勉強会「ASA@San Francisco参加報告」(担当:O先生)
 ・発表カテゴリー
 ・登録方法
 ・ePosterの作り方
 ・投稿準備、参加費
 ・当日Registration方法
   ・Scientific Abstract
  ・Medically Challenging Cases
 ・リフレッシャーコース
  ・面白かったトピック紹介
 ・ドレスコード
 ・Japan Night
木:麻酔科勉強会「バソプレッシン」(担当:先生)
 ・V1a、V2b、V2受容体
 ・適応
 ・shockとバソプレッシン
  ・ノルエピネフリンvsバソプレッシン
  ・使用上限は?
 ・心臓手術とバソプレッシン
  ・POAFとの関連
金:初期研修医勉強会「迅速導入とセリック法」(担当:S先生)
 ・誤嚥は麻酔関連死亡の50%以上
 ・迅速導入とBURP法
 ・Sellick法の有効性について



  

2018年12月14日金曜日

12月第2週の朝勉強会

12月第2週の朝勉強会

月:ICU勉強会「臨床工学技士の活動」(担当:ME:Y氏、I氏)
 ・当院の臨床工学技士体制
   ・現在29名、4部門体制、当直あり
   ・手術部門では常勤8名、非常勤1名
 ・手術部門での活動
  ・心筋保護液組成の変遷
  ・ACT vs へプコン
  ・HITプロトコルの作成
  ・人工肺へのシャント回路接続
  ・NO療法
 ・ICU、血液浄化部門での活動
  ・人工呼吸器ラウンド
  ・PCPSラウンド
  ・IABPラウンド
  ・HD、CRRT→ICUでは麻酔科管理に
  ・PS膜 vs CTA膜
  ・人工肝補助療法としてのOnline-HDF
火:麻酔科定例カンファレンス
水:麻酔科勉強会「挿管刺激をどう抑えるか」(担当:S先生)
 ・ロクロニウムを早く効かせたい
   ・ロクロニウムは高齢者では効果発現が遅れる
   ・レミフェンタニルでCO↓によりさらに効果発現が遅れる
      →挿管時に体動をきたすことがよくある。
   →Priming Principleが有効?
   ・生食20mlでフラッシュすると15秒ほど早く効果発現
 ・挿管刺激を抑制したい
   ・レミフェンタニルの指摘血中濃度は?
   ・レミフェンタニルが指摘血中濃度に達するまでの時間は?
     →0.5γでは5-10分かかる可能性。
     ・CABGでは挿管前1γを推奨する論文もある。
 ・頻脈を防ぎたい
   ・ランジオロールivは4分前、少なくとも90秒前がよいとの報告。
木:麻酔科勉強会「傍脊椎ブロック(PVB)」(担当:K先生)
 ・適応、利点などまとめ
 ・交差法 vs 平行法
 ・硬膜外麻酔 vs PVB
金:初期研修医勉強会「鼻手術後の覚醒時興奮」(担当:先生)
 ・なぜ鼻手術後にagitationが多い?
 ・覚醒時興奮のリスク
   ・疼痛
   ・不安
   ・男性
   ・性格
   ・小児など
 ・RASSとSASによる評価
 ・デクスメデトミジン併用でagitation頻度低下
 ・TIVA vs 吸入


2018年12月7日金曜日

12月第1週の朝勉強会

12月第1週の朝勉強会

月:ICU勉強会「企業説明会~プレセデックス」
火:麻酔科定例カンファレンス
水:麻酔科勉強会「PACU」(担当:Y先生)
  ・PACUをトピックスにした英語講演を聞く
   →各自聞き取ったことを合わせて内容を再現
   →全員で内容についてディスカッション
木:11月症例振り返りその1(担当:M先生)
  ・帝王切開で娩出後の低血圧と徐脈
  ・挿管困難症例の開頭術中に挿管チューブのカフ破れが発覚
  ・小児症例、挿管チューブの痰閉塞
  ・予期せぬ声門下狭窄
  ・DaVinci手術でCO2塞栓
  ・セファゾリンでアナフィラキシー、手術中止に
金:初期研修医勉強会「周術期口腔機能管理」(担当:W先生)
  ・唾液の働き
  ・周術期の口腔衛生状態
  ・安静時の誤嚥
  ・手術と口腔ケア
  ・内因性VAPと外因性VAP
  ・カフと垂れ込み
  ・気管挿管の合併症~歯科トラブル編
  ・周術期口腔機能管理の対象
    ・人工股関節手術、脳卒中患者も対象に
  ・頭頸部外科手術と術前口腔ケア
  ・食道手術と術前口腔ケア
  ・フロアからの質問
    ・術前口腔ケアの最適タイミングは?
    ・かかりつけ医で行ってもらうのはどんなケース?
    ・抜歯により菌血症になるのでは?  


TAVI麻酔中。Rapid Pacingモードの確認。

2018年12月6日木曜日

経皮的気管切開ハンズオン

「経皮的気管切開ハンズオン」
 



豚の気管&肺を用いた経皮的気管切開ハンズオンが当院麻酔科で開催されました。
日勤時間帯の開催ではありましたが、スタッフで交代を駆使して専攻医の先生および麻酔科ローテーション中の初期研修医の先生はほぼ全員、経皮的気管切開を経験することができました。
今後も当科では麻酔科各種フェロー、麻酔科専攻医、初期研修医を対象として定期的に各種ハンズオンを開催する予定です。若手の先生方の手技習得の一助になればよいと思います。

2018年12月3日月曜日

11月第5週の朝勉強会と初期研修医プレゼンアワード

11月第5週の朝勉強会と初期研修医プレゼンアワード

月:ICU勉強会「脳障害患者の抜管」(担当:T先生)
  ・SBTプロトコルの復習
  ・自発覚醒トライアル
  ・咳嗽力、喀痰排出力の評価法
  ・脳障害患者とGCSスコア
  ・脳障害患者の抜管失敗率
  ・FOUR Score
火:麻酔科定例カンファレンス
水:初期研修医プレゼンテーションアワード
木:専攻医勉強会「血圧モニタリング」(担当:H先生)
  ・血圧測定の歴史
  ・共振の問題~アンダーダンピング
  ・オシロメトリック法
  ・NIBPに影響する各種因子
  ・これからはMAPを指標にするべき?
金:麻酔科勉強会→担当者緊急手術中につき中止


当科では朝の勉強会における初期研修医の先生の発表をスタッフ、専攻医全員で評価しています。11月最終週、2カ月の麻酔科ローテーションの中で特に優れた発表を行ったY先生に対して表彰が行われました。


 
     部長より表彰を受けるY先生

当科では初期研修医の先生に対する麻酔科教育を大変に重要だと考えています。今後も初期研修医の先生が麻酔科ローテーションを通じて多くの知識と経験を身に付けてもらえるよう工夫を重ねていこうと考えています。

2018年11月22日木曜日

11月第4週の朝勉強会

11月第4週の朝勉強会

月:ICU勉強会「輸液反応性」(担当:K先生)
  ・輸液の目的
  ・volumeが足りないから輸液するのではない
  ・循環不全の兆候とは?
  ・輸液は循環蘇生に必要か?
  ・輸液反応性
    ・静的指標、動的指標、機能試験
  ・Heart-Lung interactionの限界
  ・IJVの呼吸性変動
火:麻酔科定例カンファレンス
水:企業説明会
木:初期研修医勉強会「挿管後咽頭痛について」(担当:Y先生)
  ・1930年台は指だけで挿管することが推奨されていた
  ・挿管器具の進化
  ・POST(Postoperative Sore Throat)
  ・ステロイドが有効?
  ・キシロカインゼリーvsKYゼリー
  ・カフ内注入物を工夫する?
  ・ロピバカイン散布が有効?


2018年11月16日金曜日

11月第3週の朝勉強会

11月第3週の朝勉強会

月:ICU勉強会「Vasoplegia」(担当:S先生)
  ・vasoplegiaの定義
  ・心臓血管外科術後のvasoplegia
  ・CBPとvasoplegia
  ・vasoplegiaのメカニズム~青斑核と室傍核
  ・関連する薬剤について
   ・バソプレッシン
   ・テルリプレッシン
   ・セレブレッシン
   ・メチレンブルー
火:麻酔科定例カンファレンス
水:麻酔科勉強会「スープレン総復習」(担当:Y先生)
  ・デスフルランの特徴
  ・デスフルラン気化器の内部構造
  ・デスフルランは喘息患者に使用できるのか
  ・デスフルランとPONV
  ・デスフルランの効果的な使用法
木:麻酔科勉強会「ストレス潰瘍の予防」(担当:Y先生)
  ・ストレスの種類
  ・薬物とストレス
  ・SSCGにおけるストレス潰瘍予防の変遷
  ・制酸薬と感染症
  ・特に制酸薬とCD感染症について
  ・制酸薬と薬物総合作用
  ・collagenous colitis
  ・ENとストレス潰瘍予防
  ・ICUにおけるPPIの使用について
金:研修医勉強会「血栓溶解療法と麻酔科医」(担当:F先生)
  ・脳梗塞のガイドラインの復習
  ・血栓回収療法、全麻か局麻か
  ・GOLIATH trial
  ・MR CLEAN Trial
  ・血栓溶解療法チームと麻酔科医



2018年11月9日金曜日

11月第2週の朝勉強会

11月第2週の朝勉強会

月:ICU勉強会「夜眠れていますか」(担当:H先生)
  ・PADIS 2018の紹介
  ・不眠症の定義
  ・ICU患者と睡眠
  ・睡眠サイクルと脳波
  ・せん妄と睡眠
  ・機械換気中の睡眠
  ・非典型的睡眠
  ・睡眠の質と予後
  ・ICUにおける睡眠薬の適正使用
  ・メラトニン
火:麻酔科定例カンファレンス
水:10月症例振り返り(担当:M先生)
  ・小児のtubeトラブル
  ・CHDF回しながら手術
  ・扁桃摘出術中の事故抜管
  ・AFL停止時に割と長い洞停止
木:麻酔科勉強会「抹消ラインに詳しくなろう」(担当:U先生)
  ・ゲージとは?
  ・ポアズイユの法則は正しいのか?
  ・層流と乱流
  ・化学性静脈炎
  ・薬剤が漏出したらどう対応するか
    ・saline flash-out technique
  ・抹消ラインからのカテコラミン投与は安全なのか?
金:研修医勉強会「麻酔とマグネシウム」(担当:M先生)
  ・生体におけるMgの作用
  ・全身麻酔とMg
  ・プロポフォールとMg
  ・筋弛緩作用とMg
   ・Mg入り輸液製剤はどの程度有用なのか。


2018年11月2日金曜日

10月第5週の朝勉強会

10月第5週の朝勉強会

月:ICU勉強会「抗凝固薬と出血イベント」(担当:Y先生)
  ・DOACの種類もう一度まとめ
  ・PCCとは?
  ・中和薬について
    ・イダルシヅマブ
    ・アンデキサネット
火:麻酔科定例カンファレンス
水:専攻医勉強会「今さら吸入麻酔 vs TIVA」(担当:O先生)
  ・吸入麻酔と臓器保護作用
  ・心不全と吸入麻酔
  ・吸入麻酔とTIVA、POCDが少ないのは?
  ・臨床上意味があるのか?再考察
    ・HPV
    ・頭蓋内圧に与える影響
  ・せん妄、覚醒時興奮と麻酔薬の関係
木:麻酔科勉強会「実は怖い胃管挿入」(担当:H先生)
  ・胃管挿入には合併症が多い
  ・1ヶ月以上留置する場合は胃ろうを考慮
  ・胃管先端の性状いろいろ
  ・胃内にあるかどうかの確認は?
    ・胃泡音は意外と当てにならない
    ・CO2を検出?
    ・透視で確認?
    ・吸引物のpHで確認?
      →H2BやPPIを内服していると当てにならない。     
金:研修医勉強会「開頭手術と気道狭窄」(担当:W先生)



2018年10月26日金曜日

10月第4週の朝勉強会

10月第4週の朝勉強会

月:ICU勉強会「早期経腸栄養」(担当:S先生)
  ・学部教育、初期研修において栄養療法を取り上げる機会は少ない。
  ・ERAS
  ・食道癌手術における早期経腸栄養
火:麻酔科定例カンファレンス
水:専攻医勉強会「輸血療法番外編」(担当:M先生)
  ・輸血すると検査値はどれだけ上がる?(Hb, Plt, Fib)
  ・留置針の太さと溶血の関係
  ・加圧による赤血球の形態変化
  ・ポンピングでどれだけ加圧されるのか?
    →実際にやってみた。
  ・輸血フィルターが必須な理由
  ・FFPを電子レンジで解凍してはいけない理由
  ・PCを振盪保存する理由
木:麻酔科勉強会「麻酔と脳波」(担当:Y先生)
  ・オレキシン受容体と麻酔覚醒
  ・脂質二重層説、特異的受容体説
  ・上行網様体賦活系
  ・MACを規定しているのは脊髄
  ・脳波発生のメカニズム
  ・BISモニターの波形の読み方
金:研修医勉強会「デスフルランと電気生理学的モニタリング」(担当:M先生)
  ・MEPとは?SEPとは?
  ・D waveとI wave
  ・DESはMEP施行手術で使用できるのか。



2018年10月21日日曜日

ASA@San Francisco

ASA annual meeting@San Francisco

10月13~17日、アメリカ、サンフランシスコにてASA annual meetingが開催され、当院からは3名の先生が演題発表を行いました。




会期中は、日米で活躍する日本人麻酔科医師の会にご招待頂き、国内外で活躍される著名な麻酔科医の先生方と交流を深めました。

 当院からの参加者と当院OBの先生方

日米で活躍される偉大な先生方と交流を深めることができました。



当科ではASA annual meetingでの発表を基幹学会での発表と位置付けており、毎年複数の若手の先生が英語での発表に臨んでいます。また海外学会の発表においては病院から補助も出ており、病院としても国際学会での発表を後押しする体制ができています。
当科では今後も国際学会での発表や英語論文の執筆など、若手医師の英語による学術活動を指導し、応援していこうと考えています。

2018年10月19日金曜日

10月第3週の朝勉強会

10月第3週の朝勉強会

月:企業説明会
火:麻酔科定例カンファレンス
水:専攻医勉強会「グリコカリックス」(担当:H先生)
  ・晶質液輸液vs膠質液輸液
  ・持続投与とボーラス投与どちらが有効か
木:麻酔科勉強会「JB-POT対策・先天性心疾患編」(担当:K先生)
  ・VSD
  ・ASD
  ・TOF
  ・DORV
  ・単心室
  ・Fontan手術の麻酔管理と術後合併症
金:研修医勉強会「筋弛緩薬と拮抗薬」(担当:F先生)


2018年10月12日金曜日

10月第2週の朝勉強会

10月第2週の朝勉強会

火:麻酔科定例カンファレンス
水:専攻医勉強会「hANPについて」(担当:K先生)
  ・hANPの記述があるガイドラインの紹介
  ・hANPの作用機序
  ・hANPに腎保護作用はあるのか
  ・AKIにおけるhANPの使用について
木:麻酔科勉強会「術後鎮痛を考慮したオピオイドの使い方」(担当:H先生)
  ・TIVA trainer
  ・フェンタニルの血中濃度シミュレーションモデル
  ・コンパートメントモデルを理解する
金:研修医勉強会「RALPと術後腎機能」(担当:M先生)
  ・RALPの輸液管理
  ・頭低位が腎機能に与える影響
  ・術中ニカルジピン投与の有効性について



2018年10月5日金曜日

10月第1週の朝勉強会

10月第1週の朝勉強会

月:麻酔科勉強会「術中死と向き合う」(担当:Y先生)
 ・術中死イベントと麻酔科医のストレス反応
 ・科として担当麻酔科医をどのようにフォローするか
 ・担当麻酔科医はどのように対応するか
 ・AAGBI recommendation
 ・APSF adverse event protocol
 ・ストレスとdrug abuse
火:麻酔科定例カンファレンス
水:9月症例振り返り(担当:O先生)
  ・DD twinの超緊急C/S
  ・DLTをLMAに入れ替え抜管しようとしたら喉頭痙攣
  ・扁桃後再出血で再挿管
  ・Davinci泌尿器科手術中に気胸、緊急脱気
  ・麻酔困難症例(髄内釘)
    ・気管内腫瘍による気管狭窄
    ・moderate AS
    ・認知症で安静保てず
    ・菌血症
  ・バイポーラーからの漏れ電流で火傷
木:ASA予演会(担当:T先生)
金:麻酔科勉強会「脊髄損傷と気道確保」(担当:I先生)
  ・マッキントッシュvsビデオ喉頭鏡
  ・Airtraqが実は優れている?
  ・頚部固定患者ではAWS>McGRATH?



2018年10月3日水曜日

心臓血管麻酔フェロー募集

心臓血管麻酔フェロー募集
 

 平成31年度採用の心臓血管麻酔フェローを募集します。心臓血管麻酔フェローの採用を希望する方は、11月2日(金)までに応募書類を担当者まで提出して下さい。
心臓麻酔を中心に経験を積みたい若手麻酔科医師(医師免許取得後、概ね卒後5年以上10年未満(平成31年3月末日時点))が、心臓血管外科手術の麻酔およびその周術期管理に関する高度かつ専門的な知識や技能を取得し、ハートチームの一員として必要なプロとしてのコミュニケーション力を身に付け、かつ将来の心臓麻酔の指導者としての教育技能を身に付けることを目的とします。応募にあたっては、上記の趣旨を十分にご理解いただいた上で行っていただきますようお願いします。

研修内容
 「麻酔科」に所属し、手術室では主に心臓血管麻酔および循環器疾患患者の非心臓手術麻酔に従事しますが、麻酔科医としてそれ以外の一般手術麻酔や研修医、専攻医の麻酔指導も行っていただく場合があります。G-ICUでは主に心臓血管外科患者の術後集中治療管理に従事します。小児心臓血管麻酔については協力施設での研修を行います。また、「麻酔科(G-ICU含む)」での当直があります。

制度の特色
 勤務先は手術室及びG-ICUを基本とし、心臓麻酔に関わる十分な麻酔経験を積むことができます。また、希望によりE-ICU、SCUやCCUなどにローテーションすることもできます。
 JB-POTおよび心臓血管麻酔専門医未取得の医師に対しては、まずJB-POT取得および専門医取得を目指してローテーションを構築しますが、既に専門医を取得している医師に対しても各人の希望に合わせてローテーションを提示することが可能です。
 また、学術活動も重視しており、心臓麻酔に関する症例報告や臨床研究を行い、国内外での学会発表や論文作成する支援を行います。



 

2018年9月29日土曜日

9月第5週の朝勉強会と初期研修医プレゼンアワード

9月第5週の朝勉強会

火:麻酔科定例カンファレンス
水:ASA予演会(O先生、Y先生)
木:電子カルテシステム切り替えに伴う練習
金:ICU勉強会「心肺停止後低体温症候群」(担当:K先生)
  ・低体温療法vs常体温療法
  ・TTM studyについて
  ・適応、合併症、冷却方法、復温方法など
  ・当院における適応とプロトコルの紹介


当科では朝の勉強会における初期研修医の先生の発表をスタッフ、専攻医全員で評価しています。本日、2カ月の麻酔科ローテーションの中で特に優れた発表を行ったH先生に対して表彰が行われました。

表彰を受けるH先生

当科では初期研修医の先生に対する麻酔科教育を大変に重要だと考えています。今後も初期研修医の先生が麻酔科ローテーションを通じて多くの知識と経験を身に付けてもらえるよう工夫を重ねていこうと考えています。

2018年9月22日土曜日

9月第4週の朝勉強会

9月第4週の朝勉強会

火:麻酔科定例カンファレンス
水:JB-POT対策(担当:M先生)
  ・昨年の合格率
  ・講習会の内容と出題はリンクしているのか?
  ・3D TEEに慣れる。
木:退任前最終講演(担当:A先生)
  ・印象に残った症例
金:初期研修医勉強会「筋弛緩薬とリバース」(担当:N先生)
  ・スキサメトニウムを使う機会がありました。
  ・スキサメトニウムvsロクロニウム文献紹介
  ・スガマデクスvsアトワゴリバース文献紹介


研修医Dr.に対する指導風景

2018年9月18日火曜日

日本心臓血管麻酔学会第23回学術大会

日本心臓血管麻酔学会第23回学術大会

9月14~16日、京王プラザホテル@新宿にて日本心臓血管麻酔学会第23回学術大会が開催されました。当院からは7人の先生が発表を行いました。







当科では同学会での発表は2年目専攻医のほぼDutyとして位置付けており、今年も全員が発表することができました。 今後もスタッフ一同、若手の先生方の学術活動を支援していきます。

2018年9月14日金曜日

9月第3週の朝勉強会

9月第3週の朝勉強会

月:ICU勉強会「臨床研究への誘い」(担当:U先生)
火:麻酔科定例カンファレンス
水:企業説明会
木:専攻医勉強会「左心耳」(担当:Y先生)
  ・左心耳の形態と血栓リスク
  ・外科的左心耳切除の有効性について
  ・左心耳の機能
  ・PROTECT AF trial
  ・PREVAIL trial
金:初期研修医勉強会「眠れぬ夜の予兆」(担当:H先生)
  ・SASは手術を契機に悪化するのか
  ・術後睡眠障害に関わる因子


2018年9月8日土曜日

9月第2週の朝勉強会

9月第2週の朝勉強会

月:ICU勉強会「外傷に対するFFPの病院前投与」(担当:S先生)
火:麻酔科定例カンファレンス
水:8月症例振り返り(担当:K先生)
  ・予想されないCICVから緊急外科的気道確保へ
  ・術野で挿管チューブが損傷、入れ替えへ(挿管困難症例)
  ・骨セメント注入後PEA→側臥位CPR
  ・術中胸部大動脈損傷、Cアーム透視下緊急TEVARで止血
  ・重症頭部外傷、硬膜切開後に出血からPEAに
  ・IVC損傷による短時間大量出血
  ・AAA rupture、出血によりPEAに
  ・胸腔ドレーンの脱気不良から緊張性気胸に、緊急脱気に。
  ・Fontan循環患者の緊急開頭術
  ・抜管前に予期せぬ気道出血
  ・
  ・
木:専攻医勉強会「体温測定法」(担当:U先生)
金:初期研修医勉強会「CICVへの対応」(担当:F先生)




2018年9月3日月曜日

第64回関西支部学術集会

第64回関西支部学術集会

9月1日(土)に大阪にて日本麻酔科学会第64回関西支部学術集会が開催されました。
当院からは7人の先生が発表を行いました。






当科では専攻医の学術発表を重視しており、今年も専攻医1年目の先生方には全員発表してもらうこととなりました。
今後もスタッフ一同、若手の先生方の学術活動を支援していきます。

2018年9月2日日曜日

8月第5週の朝勉強会

8月第5週の朝勉強会

月:ICU勉強会「SSIのガイドラインを比較する」(担当:E先生)
   ・CDC、WHO、ACS、日本の4ガイドラインの比較
   ・結局術中FiO2はどうしたらいいのか?
火:麻酔科定例カンファレンス
水:学会予演会(関西支部学術集会)(担当:E先生、K先生、M先生)
木:学会予演会(関西支部学術集会)(担当:A先生、K先生)
金:初期研修医勉強会「麻酔患者は術中の夢を見るのか」(担当:H先生)
   ・Dreamfilm療法
   ・ノンレム睡眠と夢の関連について
   ・Tetris効果

2018年8月27日月曜日

8月第4週朝の勉強会

8月第4週の朝勉強会

月:ICU勉強会「アシドーシスはメイロンで補正すべき?」(担当:N先生)
火:麻酔科定例カンファレンス
水:学会予演会(関西支部学術集会)(担当:H1先生、H2先生)
木:学会予演会(関西支部学術集会)(担当:K先生、O先生)
金:初期研修医勉強会「BISモニターとPOD、POCD」(担当:F先生)


2018年8月17日金曜日

8月第3週の朝勉強会

8月第3週の朝勉強会

月:ICU勉強会「肺動脈カテーテルを詳しく知ろう」(担当:S先生)
火:麻酔科定例カンファレンス
水:学会予演会(関西支部学術集会)(担当:K先生、U先生)
木:学会予演会(関西支部学術集会)(担当:O先生、Y先生)
金:初期研修医勉強会「初心者こそビデオ喉頭鏡を使うべき?」(担当:N先生)


2018年8月12日日曜日

8月第2週の朝勉強会

8月第2週の朝勉強会

月:ICU勉強会「早期経腸栄養」(担当:O先生)
火:麻酔科定例カンファレンス
水:専攻医勉強会「POCD、PODについて」(担当:H先生)
木:専攻医勉強会「腎不全患者に対する輸液はリンゲル?生食?」(担当:H先生)
金:学会予演会(担当:K先生)



2018年8月3日金曜日

7月第5週の朝勉強会

7月第5週の朝勉強会

月:ICU勉強会「高乳酸血症のメカニズムと鑑別」(担当:N先生)
火:麻酔科定例カンファレンス
水:症例振り返り(担当:H先生)
  ・CV挿入に合併した右気胸が陽圧換気で顕在化
  ・挿管困難症例の扁桃摘出術術後出血
  ・DIC型羊水塞栓
  ・薬剤の血管外漏出
  ・アナフィラキシー
木:専攻医勉強会「無痛分娩について」(担当:O先生)
金:麻酔科勉強会「米国における麻酔看護師の役割」(担当:Y先生)

8月になり、また新たな臨床研修医の先生が、
麻酔科ローテーションに加わってくれました。
麻酔科ローテーションを通じて、
各種手技と全身管理についての知識と経験を十分に身につけてもらいます。





2018年6月22日金曜日

麻酔薬は小児の神経発達に影響を及ぼすか

初期研修医勉強会 担当:N先生

「麻酔薬は小児の神経発達に影響を及ぼすか」

・小児の神経発達
 ・胎児期から児童期にかけて神経細胞発達やシナプスが増加
 ・特に胎生6週〜3歳では発達が著しい。
・PANDA study
 P:鼠径ヘルニアの3歳未満 小児105人,出生時に在胎36週以上
 I:鼠径ヘルニア待機手術、全身麻酔時間 平均84分(20-240分)
 C:麻酔薬暴露ない
 O:認知機能G(IQ)低下 リスク上昇に関連するか。
   また8~15歳時点で領域特異的な神経認知機能・行動異常に関連するか。
  →平均IQに有意差なし
   ただし麻酔曝露群では行動調査で
   「internalizing(内面化)」 に関する異常が有意に多かった。
・GAS trial(現在進行中)
 ・5歳未満の小児の鼠径部ヘルニア修復術
 ・覚醒下局所麻酔238人 VS セボフルランベース全身麻酔294人
 ・セボフルラン曝露時間は54分(中央値)
  →最初 2年間の追跡による中間発表では
   両群間で発達に関するBayley III スコアに差がなかった。
  →5歳時点で WPPSI-III IQ 測定値の評価待ち。
・2015年のシステマティックレビュー
 ・3歳未満の全身麻酔は神経発達障害リスクあり。
 ・3歳と4歳では有意に差がなく、
  3歳以上では単回の全身麻酔は比較的安全である。
・2012のFDA, SmartTots, the American Academy of Pediatricsの共同声明
  →3歳未満での待機手術をできる限り避けるべき。

・長時間の全身麻酔は学童期の知能に影響するか?
 →論文読んできました。

2018年6月20日水曜日

肺高血圧症患者の麻酔

麻酔科勉強会 担当:K先生

「肺高血圧症患者の麻酔」

・肺高血圧症の定義と分類
 ・定義:安静時のmPAP ≧ 25mmHg
 ・分類:
   第1群:肺動脈性肺高血圧症(PAH)
   第2群:左心性心疾患に伴う肺高血圧症
   第3群:肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症
   第4群:慢性肺血栓塞栓症に伴う肺高血圧症(CTEPH)
   第5群:詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症
・ちなみに
 ・薬物誘発性PAH
   ・食欲抑制薬
   ・フランスではPAHの約10%が食欲抑制薬によるもの
 ・CTD-PAH
   ・全身性強皮症や混合性結合組織病、SLEで合併率が高い。
 ・HIV
   ・HIV感染症の約0.5%にPAHを発症
 ・PoPH
   ・肝移植対象例の5%にPAHを合併
 ・住血吸虫
   ・肺に到達した虫卵により肺動脈に炎症が生じPAHを発症
・心エコーによるスクリーニング
 ・PHが疑われる患者、PHを合併しうる疾患の患者
  →積極的に心エコーを行う。
 ・推定肺動脈収縮期圧=推定右房圧+三尖弁逆流圧較差
 ・推定肺動脈収縮期圧=推定右房圧+ 4 ×(三尖弁逆流ピーク速度)2
 ・IVC径 < 21mm かつ 呼吸性変動+→RAP 3 mmHg
 ・IVC径 > 21mm かつ 呼吸性変動-→RAP 15 mmHg
 ・それ以外→RAP 8 mmHg
 ・右房圧はあくまで推定でしかない。
   →三尖弁逆流ピーク速度自体を
    スクリーニングに使用することも推奨されている。
・PHを示唆する他の心エコー所見
 ・右室・右房の拡大
 ・右室による心室中隔の圧排
 ・肺動脈血流速波形の変化など
・肺高血圧症の治療
 ・一般的対応
  ・避妊
   →妊娠・出産による死亡率は25%
  ・肺炎の予防
  ・全身麻酔を避ける。
  ・監視下での運動療法
    ・適切な運動の様式や頻度,強度,持続時間は確立されていない。
    ・有害事象として失神や不整脈がある。
 ・支持療法
  ・利尿薬
  ・HOT
  ・経口抗凝固療法
  ・鉄の補正
  ・ACEi/ARB
  ・β-blocker
 ・特異的薬物治療
  ・PGI2誘導体
  ・PED5阻害薬
  ・エンドセリン受容体拮抗薬
・肺高血圧症患者の麻酔管理
 ・PH患者の周術期死亡率は1~9%と報告されている。
 ・麻酔法による死亡率や合併症発生率の違いは明らかでない。
 ・全身麻酔or硬膜外麻酔
   ・全身麻酔
     ・呼吸管理が確実だが、肺血管抵抗上昇、循環抑制のリスク。
   ・硬膜外麻酔
     ・陽圧換気を避けられるが、交感神経緊張などのリスクも。
   ・実際には抗凝固薬内服などで選択の余地がない場合も多い。
・循環動態が悪化する原因としては次の2パターン。
  ・肺血管抵抗の急激な上昇により肺高血圧緊急症(PHC)を来たす。
  ・PHCは発生していないが体血圧が低下して
   冠血流が低下し右心不全を来たす。
 →麻酔管理の目標は肺血管抵抗の上昇や体血圧の低下を避けること。
・肺高血圧緊急症(PHC)
 ・PVR上昇因子
   ・低酸素血症
   ・高二酸化炭素血症
   ・低体温
   ・アシドーシス
   ・交感神経緊張
   ・亜酸化窒素
・以上より・・・
 ・適切な換気、保温、鎮痛、適切な麻酔深度を保つことが重要。
 ・低血圧は肥大した右室の虚血をもたらす。
   →PheやNAD、VPで積極的に治療する。
 ・VPは肺血管抵抗を上昇させずに体血圧を上昇させる。
 ・右室機能が低下している場合
   →DOBやMilなどの強心薬を使用(体血圧低下に注意)
 ・肺高血圧の増悪に対してはPGI2やニトログリセリンなどを投与する。
   →体血管抵抗も低下させるため慎重に使用
 ・NOの吸入は体血管抵抗を変化させず肺血管抵抗のみ低下させる。
   →重症例では準備しておくべき。

2018年5月11日金曜日

妊娠と麻酔薬

麻酔科勉強会 担当:O先生

「妊娠と麻酔薬」

・ミダゾラム
 ・添付文章では・・・
   ・妊娠またはその可能性のある婦人には投与しないことが望ましい(慎重投与)
 ・日本麻酔科学会
   ・口唇口蓋裂や鼠経ヘルニアを持った児が生まれるとの報告があるが、
    明らかな因果関係は示されていない。
 ・胎盤移行性は低いが、胎児抑制は強い
・チオペンタール、チアミラール
 ・添付文章
  ・妊娠またはその可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
  ・帝王切開の分娩時にはできるだけ最小限に使用
 ・日本麻酔科学会
  ・動物実験レベルでの催奇形性があり使用は最小限にとどめる。
  ・胎盤移行性が高い。
  ・鎮静や循環・呼吸抑制からの回復はプロポフォールより不利
  ・喘息に注意
 ・産科領域で最も古くから使用されてきた薬であり、推奨される。
・プロポフォール
  ・添付文章
   ・妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,
    治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
    ※2018年3月より禁忌から外れた!
  ・日本麻酔科学会
   ・全身麻酔に導入・維持ともに非妊娠時と同様に使用する。
   ・臨床使用量では子宮収縮を抑制しない。
・ケタラール
  ・添付文章
   ・妊娠またはその可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
  ・日本麻酔科学会
   ・1.0mg/kgでは臨床上問題なく使用できる。
   ・1.5mg/kg以上で児の抑制(Apgar scoreの低下)、
    子宮血流の低下、子宮収縮の増大
・セボフルラン
  ・添付文章
   ・妊娠またはその可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
  ・日本麻酔科学会
   ・安全性は確立していない。
   ・ただし臨床使用上明らかな催奇形性などの有害報告もない
   ・動物レベルで学習異常、行動異常の可能性
   ・子宮弛緩作用(0.5MAC以上の使用)に考慮する。
・デスフルラン
  ・添付文書
   ・妊娠またはその可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
  ・日本麻酔科学会
   ・安全性は確立していない
   ・子宮弛緩作用がある。
     →セボフルランよりも弱い0.5MACでは同等、1.0MACで差が出始める。
   ・非喫煙者、非喘息患者では
    分娩後の麻酔にはセボフルランよりも適しているかもしれない。
・筋弛緩薬
 ・催奇形性などは報告されず。
 ・臨床利用量での胎盤移行はほぼ認めない。
   ・ロクロニウム
    ・スガマデクスの登場により第一選択の座に?
   ・スキサメトニウム
    ・素早い消失
    ・Kの上昇が腎機能障害の妊婦では問題になることがある。
    ・ごくまれに線維束性攣縮による胃内圧が上昇が誤嚥を引き起こす。
・モルヒネ
 ・長らく使用されてきた実績のある麻薬
 ・ハムスターで催奇形性あり。ラットでは報告なし。
 ・フェンタニルの登場や、効果出現の遅さ、
  遅発性呼吸抑制などのため使用される機会は減少してきている
 ・妊婦は脳内麻薬による痛みへの閾値の上昇、
  モルヒネの半減期の短縮が起こっていることに留意
・フェンタニル
 ・現時点で明らかな催奇形性などの有害性なし
 ・母乳移行性は強い。
   ・経口による吸収率の低さから授乳にも影響しにくい。
 ・モルヒネ同様に半減期が短くなっている。
   →痛み閾値の上昇から必要量が増えている。
・レミフェンタニル
 ・他の薬剤と比較し安全性が確立しているとはいいがたい。
 ・明らかな催奇形性などの有害性も報告なし
 ・胎盤移行性あり。
   →ただしその消失半減期から胎児への影響はほぼ無視できるとされる。
 ・現在、無痛分娩時のIVやIV-PCAでの使用も行われている。
・フルルビプロフェンアキセチル
 ・妊娠後期で動脈管閉鎖や収縮のリスクあり。
 ・妊娠後期での使用は避けるよう添付文章記載。
・アセトアミノフェン
 ・妊娠後期で動脈管収縮のリスクあり
 ・妊娠後期での使用は注意するよう添付文章記載
 ・フロロビプロフェンと一緒??
 ・実はFDAのリスク分類ではアスピリン以外のNSAIDsと同等のBランク
リドトリン
 ・βブロッカー
 ・5mgIVし、以降20分ごとに5-10mgIV
 ・肺水腫が5%に発生する。
   →輸液量に注意
・ニカルジピン
 ・Caブロッカー
 ・0.5mg-2mgIV
 ・乳汁移行性あり注意
・抗生剤
 ・安全と考えられる抗菌薬
   ・ペニシリン系,セフェム系,マクロライド系,クリンダマイシン
 ・注意しながら使用可能な抗菌薬
   ・アミノグリコシド系,メトロニダゾール,
    ST合剤,グリコペプチド系
 ・禁忌とされる抗菌薬
   ・テトラサイクリン系,ニューキノロン系

2018年5月10日木曜日

妊娠時における生理的変化

麻酔科勉強会 担当:O先生

「妊娠時における生理的変化」

・妊娠週数について
 ・妊婦の正期産は37-41週
 ・周産期の非産科手術については3半期に分けて考える
  ・第1三半期(妊娠0週0日~妊娠13週6日)
  ・第2三半期(妊娠14週0日~妊娠27週6日)
  ・第3三半期(妊娠28週0日~)
・気道について
 ・妊娠早期より毛細血管は拡張
   →上気道粘膜が浮腫状になる。
 ・機械操作による易出血性(喉頭鏡操作や経鼻挿管は注意)
 ・Mallampati分類は非妊娠時より悪化する。
  (12wに対して38wでMaallamapatiⅣは34%増加)
 ・Mallamapati分類は40%の妊婦で分娩進行時も悪化
   →妊婦の気道系は導入前に再評価。
 ・仮声帯部分の浮腫で声門開口部が狭くなる。
   →挿管時、非妊娠時より細いチューブも考慮
   →difficult airway management
・呼吸器系について
 ・換気量&血液ガス
  ・プロゲステロン作用によりCO2に対する呼吸中枢の感受性上昇。
  ・CO2の産生増加に対して、呼吸回数、1回換気量は上昇する。
    →正期妊婦の呼吸回数は15%up、1回換気量は40%up
  ・分時換気量は50%上昇する
  ・PaCO2は10mmHgほど低下、呼吸性アルカローシスに傾く。
  ・それに対してHCO3-は代償性に20mEq/lまで低下
  ・アルカローシスの進行
    →母体の意識消失、低換気・低酸素血症
   ・子宮血管の収縮による子宮胎盤血流の低下
   ・母体の酸素解離曲線の左方移動による胎児の酸素供給量の低下
     →術後の鎮痛不十分による疼痛には特に気をつける。
   ・分娩中には分時換気量が3倍にまで増加する。
 ・肺気量
  ・肥大した子宮が横隔膜を頭位に挙上
    →機能的残気量(FRC)は立位で20%、仰臥位で30%減少
     ・FRCがclosing capacity以下になると
      安静呼気時でも換気血流比が低下し低酸素に
  ・妊婦は妊娠正期で酸素消費量が60%上昇
  ・FRCの低下によって無呼吸時、急速に低酸素血症に
・循環器系
 ・心拍出量
   ・心拍出量(CO)=1回拍出量(SV)×心拍数(HR)
   ・妊娠5-32wにかけてCOは増大していく。
   ・妊娠5-8週までは主にHRが増大による(13wで15%↑)。
   ・以降はSVが増大していく(24wで30%↑)
   ・正期でCOは40~50%up (分娩時はさらにup)
     ※非妊娠時まで戻るには分娩後12-24wかかる。
 ・血圧
   ・プロゲステロンやプロスタサイクリン作用による体血管拡張作用
   ・低圧系血管床(胎盤絨毛管腔)の発達
     →体血管抵抗が20%下がる。
     →この結果、CO↑にも関わらず平均血圧は15mmHg低下する。
     →収縮期血圧より拡張期血圧の低下が大きいため脈圧は増大
 ・大動脈下大静脈圧迫症候群(仰臥位低血圧症候群)
   ・仰臥位で肥大した子宮が下大静脈を圧排
     →心臓への静脈還流が低下
     →心拍出量が低下
   ・妊娠20w以降は注意
   ・子宮胎盤血流も20%低下
   ・母体の交感神経の緊張の抑制、子宮静脈圧の上昇で血流低下
   ・腹部大動脈の圧迫も原因になることも(上肢血圧は正常)
   ・妊婦の右腰下に枕、手術台を左に傾ける、子宮を左方に押して対応
   ・妊婦のCPA時、胎児心拍の低下時、最も簡便にできる蘇生法の1つ
・血液・凝固系
 ・血液量
  ・血液量(8-16wは↓)、血漿量共にup→循環血液量up
  ・エストロゲン、プロゲステロンがRA系を活性化
        →Na貯留、水分貯留で循環血液量up
  ・正期で血液量は20%up、血漿量は35-45%up
    →このギャップのため、正期妊婦は相対的貧血になる。
  ・心拍出量増加、酸素解離曲線の右方移動で酸素運搬能維持
    →このギャップで血液粘性が20%↓
    →子宮胎盤循環の血管床開通性の維持
 ・凝固系
  ・出産時の出血の備えるため、凝固系はⅪ、XⅢ以外すべて亢進
  ・生理的抗凝固因子であるATⅢ、抗Xa因子は活性低下
  ・血小板は寿命のが短縮して軽度減少
   →結果としてDVT、PEのリスクが上昇する。
・消化器系
  ・肥大した子宮が胃や腸を圧迫する。
    →胃内圧が上昇
  ・下部食道が胸腔内に移動(LES圧の低下)
  ・プロゲステロンもLES圧を低下させる。
  ・LES圧は妊娠第2三半期から低下
  ・胃内容物の排泄時間は陣痛開始までは延長しない。
  ・原則として第2三半期以降はフルストマックとして対応
  ・術前投薬としてH2ブロッカーを推奨する参考書も
・腎臓
  ・妊娠早期より腎血流、糸球体濾過率は上昇する。
  ・第1三半期より50%上昇
  ・BUN,Creは低下するのが正常
    →「正常値」を示す場合は腎機能障害が疑われる。
  ・右の尿管が子宮に圧迫されて通過障害が起きやすい。
    →尿路感染症に注意が必要
  ・Naは再吸収されやすい一方、糖は再吸収されにくい。
・神経系
 ・中枢神経系
  ・MAC(吸入麻酔薬の最小肺胞濃度)は低下する。
    →プロゲステロンの鎮静作用?
    ・ただしMACの低下が鎮静作用の亢進を意味していないかもしれない。
    ・BISは必要と考えられる。
  ・導入時のチオペンタールの必要量は18%~35%減少
  ・導入時のプロポフォールの必要量は非妊娠時と変わらない。
  ・揮発麻酔薬は子宮筋弛緩作用がある。
  ・静脈麻酔薬は上記の作用がない。
 ・末梢神経
  ・脊髄クモ膜下麻酔、硬膜外麻酔において局所麻酔薬の必要量が減少
  ・子宮の下大静脈の圧排
    →側副路として硬膜外腔の静脈叢の拡張
    →硬膜外腔の狭小化&脊髄クモ膜下腔の脊髄液量の減少
  ・プロゲステロンまたはその代謝物による感受性の亢進?
・筋骨格系
 ・リラキシンによって恥骨結合や靭帯が軟化・弛緩
   →硬膜外麻酔や脊髄麻酔時に注意
 ・脊髄の前彎が増大し、後方に反り返る。
   →脊髄の棘突起管腔が狭くなる
 ・骨盤が広がり、また脊柱彎曲がTh6~7で最低部になる。
   →側臥位で頭低位になりやすい。
 ・乳房の肥大、胸壁の前突
   →喉頭鏡の操作を困難に

2018年5月9日水曜日

肺動脈カテーテル(PAC)

麻酔科勉強会 担当:O先生

「肺動脈カテーテル(PAC)」

・PACから得られる情報
 ・中心静脈圧
 ・(右房圧)
 ・(右室圧)
 ・肺動脈圧
 ・肺動脈楔入圧(PAOP, PAWP, PCWP)
 ・心拍出量(心係数)
 ・混合静脈血酸素飽和度(SvO2)
・測定エラーの確認
 ・ゼロ点:仰臥位(または半坐位30度)
 ・‘fast flush’test(Underdamping, Overdamping)
  →圧ラインをflushしたあとの反応性をみることで信頼性を評価
   ・正常では、四角形の波形を描き、垂直方向に落ちたあと、
    1回上昇してからベースラインに戻る。
   ・上下せずにそのままベースラインにもどる波形:Overdamping波形
     →カテーテル内の気泡、カテーテルのキンク、カテーテル内の血餅、
      フラッシュバッグ(へパ生)の量が少ない、
      フラッシュバッグにかかる圧が不十分、など。
     →equipmentを確認する必要あり。脈圧が低く表示される。
   ・何度も上下してからベースラインに戻っていく波形:Underdamping波形
     →カテーテルが長すぎる、三活がはさまっている、
      頻脈、心拍出量が大きいなど。
     →この場合収縮期血圧が高く見積もられて表示される。
・肺動脈圧波形
 ・右心拍出にひきつづく立ち上がりの成分(percussion wave)
   →Percussion waveの立ち上がり角度は右室の収縮性を反映。
 ・tidal wave
 ・肺動脈弁閉鎖と同時にみられるdicrotic notch(重複切痕)
 ・dicrotic waveは肺動脈弁閉鎖後の肺動脈収縮に伴って形成されるとも。
   →Dicrotic waveは1回右室駆出量に対する肺血管抵抗を反映する。
・肺動脈楔入圧波形
 ・LA圧を反映
 ・A波とv波からなる。
 ・A波はLAの収縮に伴って生じる(拡張期)。
 ・V波はM弁が閉鎖している状態で、PVからLAへ血液が充満し、
  LA内圧が上昇することで形成される(収縮期)。
 ・Afではa波は消失。
・肺動脈楔入圧波形の異常
 ・MRの場合
  ・MRではPAWPでV波増高。
  ・肺動脈圧波形は通常の順行性の波形に、
   逆行性のPAWP(LAP)波形を重ねたような波形になる。
  ・PAWPとPAPの区別がつきにくいので要注意。
    ①PAPの方が立ちあがりが速く急峻。
    ②PAPは正常なnotchではないものの谷ができる。
  ・Wedgeしていることに気づかずバルーンを膨らませると血管損傷。
 ・MSの場合
  ・MSではLA収縮に伴うa波増高(Afなのでa波はない)。
  ・拡張期にLAからLVに流れにくいのでV波の下降はゆるやか。
 ・左室コンプライアンスの低下
  ・a波は増高する。
  ・拡張期のLAからLVへの血液の流れは悪くないので、
   V波の下降が急峻であるのがMSとの違い。
 ・Overwedging
  ・過剰楔入:カテーテル先端が血管壁に当たる。
  ・拍動性の消失、圧の上昇
  ・カテーテルが遠位に移動したりバルーンが偏って拡張すると起こる。
  ・血管損傷や肺梗塞の原因となるので、
   速やかにカテーテルを後退させる必要がある。
 ・カテーテルの動揺
  ・RVから駆出される血液によってカテーテルが動揺することがある。
  ・この場合、R波に一致してアーチファクトとしてスパイクが生じる。
  ・拡張期圧が異常に低く出る。
  ・数cm抜き差しすると改善。
・左心系の前負荷について
  ・前負荷
   →細胞レベルでは心筋細胞の静止長を長くする力
   →静脈灌流により心室に加わる力
   ・Frank-Starlingの法則に従い、
    静脈灌流が増えると心筋が伸長されて収縮力が増強する。
  ・前負荷は拡張末期容量に相当
  ・容量の代わりに圧を測定することで前負荷の指標とする。
  ・ただし容量変化に対する圧の変化はコンプライアンスの影響を強く受ける。
    →心臓の病態次第では必ずしもこのルールに則らない。
・左室拡張末期圧
  ・PAC留置下では肺動脈楔入圧がEDLVPに相当する。
    →M弁に異常がない場合、拡張終期において
     肺動脈から左室にかけて障害物がないためこの関係は成り立つ。
  ・PAP-LAP=肺血流量×肺血管抵抗 
  ・Wedgeしているときは肺血流量=0 PAP=LAP
  ・ただし・・・
    ・Wedge pressure =LVEDPとなるのは肺毛細管圧>肺胞圧の時。
    ・そうでないときはPAWP=肺胞圧となる。
    ・この肺毛細管圧>肺胞圧となる領域を第3ゾーンと呼ぶ。
  ・第3ゾーンにカテーテルを置くには・・・
    →PAC先端がLAの高さより重力方向に入れることになる。
  ・ほとんどの場合PACは自然に下側の肺野領域に入る。
  ・楔入圧が呼吸性変動している場合
    →肺胞圧が毛細管圧より高い部位にPAC先端があることを示す。
    →肺胞圧が陽圧のときに楔入圧を測定すると肺胞圧を示してしまうため、
     肺胞圧が大気圧と最も近くなる呼気終末で楔入圧を測定することにより、
     LVEDPを推定することができる。
  ・BA、肺うっ血などで呼気相の気道内圧が上昇する時
     =内因性PEEPがかかるとき
    →PAWPも上昇するので要注意。
・拡張期PAP=LVEDP
 ・拡張末期において左室は肺動脈とつながる。
 ・拡張期肺動脈圧はEDLVPに近似される。

2018年2月16日金曜日

ナトリウム異常

ICU勉強会  担当:C先生

「Na異常」

・ナトリウム基準値:135~150mEq/L 
 ・むしろ体液コンパートメント間の水分分布異常を指す。
 ・集中治療室におけるナトリウム異常の発症率
   →高・低ともに15~30%。
   ・電解質異常のなかでも最も遭遇しうる。
 ・ナトリウム異常はmortalityを上昇させる。
・高Na血症
 ・高Na血症の定義
   →血清Na濃度145mmol/L以上
  ・体内水分量が少ない状態
  ・体内総Na量が多い状態
 ・症状
  ・細胞内脱水、高浸透圧
  ・脳機能障害
  ・糖利用障害
  ・横紋筋融解
  ・左室機能低下
 ・急性:48時間未満、慢性:48時間以上
  ・慢性高Naを急激に補正すると・・・
    →脳浮腫:Na細胞内外を自由に移動できず、
         急激な低Naになると浸透圧の差で細胞内へ水が移動し、
         細胞浮腫がおこり症状がおこる。
 ・リスク因子
  ・医原性(Na過剰投与)
  ・利尿薬(マンニトール)
  ・中枢性尿崩症(中枢神経障害・術後)
  ・腎性尿崩症(低Ketc)
  ・薬剤(リチウムetc)
 ・治療
  ・発症時期が重要
  ・急性症候性の場合は、2~3mmol/L/時で補正する。
  ・慢性の場合は、0.5mmol/L/時で補正する。
  ・いずれの場合も体液ボリューム評価が大切である。

・低Na血症
 ・低Na血症の定義
    →血清Na濃度<135mmol/L
  ・体内総Na量と比較して相対的に水の量が過剰にある状態
 ・症状
  ・軽度(130~135)、中度(125~129)、重症(125以下)
   ・中程度:頭痛、悪心嘔吐、混乱
   ・重度:昏睡、痙攣、傾眠、無呼吸
 ・リスク因子
  ・頭部外傷
  ・脳出血
  ・急性髄膜炎
  ・Hardy手術
  ・一般外科手術
  ・薬剤(カルバマゼピンetc)
  ・加齢(腎血流低下)
 ・高張性・等張性
   →高脂血症・コレステロールなどの偽性低Na血症とよばれているもの
    高血糖など有効浸透圧物質による細胞内から外への水の引きこみなど。
 ・低張性
   ・細胞外液量hypo
     →嘔吐下痢などの腎外Na喪失
      中枢性のsalt wastingや利尿薬に伴う腎性のNa喪失
     もしくは炎症反応にともなうサードスペースへの喪失
   ・細胞外液量normalで最も代表的なのはSIADH
   ・細胞外液量hyrerの代表は心不全
 ・SIADH(SIDH) 
  ・ADHが異常に分泌される病態。
  ・現在は用語としてSIDH(syndrome of inappropriate antidiuresis)を使用
  ・VV2受容体の変異や薬剤などによる何らかの作用過剰が原因
・治療
 ・ECFの量によっても治療は様々
   ・例えば脳出血後CSWはhypoであり0.9%NaCl補正
 ・SIADHではeuvolumeであり3%NaCl補正
  ・慢性か急性かわからないとき
   →浸透圧性脱髄症候群を考慮して慢性として治療
・浸透圧性脱髄症候群
 ・メカニズム
   血清低Na⇒細胞内浮腫⇒脳細胞膨化⇒
   有機浸透圧物質排出⇒順応⇒急速Na補正⇒脱髄
 ・charactor
  ・重症低Na血症かつNa補正濃度が速い患者
    →アルコール多飲・肝硬変・腎不全・栄養障害etc
 ・症状
  ・意識変容、四肢麻痺、痙攣、嚥下障害、構音障害、眼球運動障害
 ・検査
  ・MRI(T2/Flair high)
 ・治療
  ・Naを再度低下させる? 、ステロイドパルス、血漿交感

2018年2月2日金曜日

術前肝機能評価

初期研修医勉強会 担当:N先生

「術前肝機能評価」

・肝機能障害を持つ患者
  →手術・麻酔関連の合併症のリスクが高い。
  ・非肝臓手術の1カ月後の死亡率
    →肝硬変患者:非肝硬変患者=16.3%:3.5%
・リスクの高さ
  →肝疾患の種類や重症度・術式・麻酔方法によって異なる。
・スクリーニングは必要?
  ・健康な成人に対するルーチンの肝酵素測定は薦められていない。
  ・予期しない肝酵素異常が指摘されるのは0.3%
  ・術前の肝酵素測定の0.1%しか術前のマネジメントを変化させない。
  ・臨床症状のない肝障害で周術期死亡率は増加しない。
 →病歴聴取や身体診察の方が重要!
・病歴聴取、身体診察
 ・病歴聴取
   輸血歴・違法薬物・不特定多数との性交渉
   家族歴・飲酒歴・内服薬
 ・身体診察
   黄疸・掻痒感・腹水・クモ状血管拡張・脾腫などなど
・手術を延期すべきなのは?
 ・急性or劇症肝炎(アルコール性・ウイルス性)
 ・重症慢性肝炎
 ・重症凝固能異常
 ・そのほか急性腎障害や心不全や低酸素血症など
 ・肝臓外の合併症がある場合は待機的手術を延期すべき。
・Child-Turcotte-Pugh score
 ・Child-Pugh scoreは門脈系の手術だけでなく、
  その他の非肝臓手術の予後予測にも有用という報告が多数ある。
   ・腹部手術を受けたアルコール性肝硬変患者の周術期死亡率
    →A:B:C=10%:31%:76%
   ・腹部手術(ほとんど腹腔鏡手術)を受けた肝硬変患者の死亡率
    →A:B:C=2%:12%:12%
・MELD(the Model for End-stage Liver Disease) score
 ・Child-Pughスコアには腹水や脳症など主観の入り込む余地が残る。
 ・MELD scoreはより客観的な指標となっている。
 ・MELD scoreの構成要素は、Bil,PT-INR,Creの3項目のみ。 
 ・MELD scoreとChild-Pugh scoreの相関は高い。
・MELD scoreはどんな風に使われている?
 ・欧米では、客観性を活かして脳死肝移植の優先権として。
 ・本邦では、肝移植前の肝障害度評価としてChild-Pughと併用で。
 ・今の所は肝移植以外の場面ではあまり使われていない。
 ・移植以外の手術の予後予測にも有用と判明している。
   →今後Child-Pughに代わる客観的な指標となり得る。

2018年1月27日土曜日

神経ブロックとデキサメタゾン投与

麻酔科勉強会 担当:O先生

「神経ブロックとデキサメタゾン投与」

・デキサメタゾンとは?
 ・副腎ステロイド製剤の1種
 ・デキサメタゾンリン酸エステル
 ・当院ope室に置いてあるステロイド剤の1つ
 ・1アンプル(3.3mg)96円
・手術室内におけるステロイド製剤の使用目的
 ・ステロイドカバー
 ・アナフィラキシー・ショックのセカンドアタック予防
 ・敗血症時
 ・嘔気予防
 ・咽頭浮腫予防
 ・鎮痛および局所麻酔の効果助長
・ステロイドの力価を知っておこう。
・デキサメタゾンの鎮痛補助効果
 ・デキサメタゾンは局所麻酔薬と併用されることがある。
 ・鎮痛作用も有するが、痛覚神経遮断時間だけでなく、
  運動神経遮断時間も延長する。
 ・その機序は完全には解明されていない。
 ・経静脈投与でも鎮痛時間が延長する。
・デキサメタゾンの作用機序
 ・サイトカインを抑制し、異所性発火を抑制
 ・侵害受容性C線維のポリモーダル受容器のカリウム依存性発火を抑制
 ・侵害受容性C線維のポリモーダル受容器の
  グルココルチコイド受容体に作用しC線維の活動低下
 ・血管収縮作用
 ・全身の抗炎症作用
 ・その他の機序もあるかもしれない。
・鎮痛目的でのデキサメタゾンの使用
 ・神経ブロックとの併用(神経周囲投与)と全身投与
 ・これまでその違いについてはあまり語られてこなかった。
 ・DesmetらのRCTではその鎮痛時間延長効果に違いはないと結論。
・BJAのReview読みました。

・神経ブロック施行時にはデキサメタゾンIVを考慮しても良い。
・脊椎麻酔時には運動神経遮断時間も延長するため要注意。
・神経ブロック時ロピバカインに
 デキサメタゾンを混ぜることの意義は現時点では乏しい。

2018年1月26日金曜日

呼吸モニタリング

麻酔科勉強会 担当:K先生

「呼吸モニタリング」

・JSAガイドライン
 「安全のためのモニター指針」
 1.基本Ⅰ
  ・全身麻酔、局所麻酔を行う際は絶えず麻酔科医がいて
   モニタを監視する。
 2.基本Ⅱ
  ・患者の酸素化、換気、循環、体温を全体を通し評価する。
  2.1酸素化
    目的:吸入酸素濃度と血中酸素濃度を適切に保つ。
  2.2方法
    2.2.1 吸入ガス:麻酔器を使用する場合、
       酸素濃度計を用いて低濃度酸素に対するアラームを設定。
    2.2.2 血中酸素化:麻酔中パルスオキシメトリーのような
       酸素量を測る器機を利用する。
       音の高さや低酸素に対するアラームを設定する。
       患者の皮膚の色を評価できるよう室内の明るさを調節する。
 3.換気
  3.1目的:麻酔中適切な換気がなされているか。
  3.2 方法
    3.2.1 胸郭の動き、リザーバーバッグの観察、呼吸音の聴診。
       無効でなければ絶え間ない呼気中二酸化炭素モニタリング。
       呼気ガスの定量的モニタリングも推奨される。
    3.2.2 挿管もしくはLMA挿入する場合も呼気中CO2を計測し、
       抜管もしくは術後移動まで計測する。
       アラームも聞こえるようにする。
    3.2.3 機械換気をする場合は呼吸回路が外れた時に
       アラームが鳴る様に設定する。
    3.2.4 鎮静無しの局所麻酔では持続的な臨床徴候を観察する。
       鎮静下では無効でなければ呼気中二酸化炭素を計測する。
・パルスオキシメーター
 ・オキシメトリーとプレシスモグラフィーを組み合わせて
  非侵襲的に酸素飽和度を計測する。
 ・発光器と受光器があり、灌流があり光の透過する部位に装着する。
   ・額で計測する場合は反射光を受光する。
 ・オキシメトリー
   ・酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの
    赤色光、赤外光の吸光度の違いによりfunctional SaO2を計測する。
 ・プレシスモグラフィー
   ・循環による容積変化を記録する。
   ・これにより拍動する動脈だけを計測できる
・成人においては
   ・酸化ヘモグロビン(O2Hb)
   ・還元ヘモグロビン(deO2Hb)
   ・一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)→1~3%
   ・メトヘモグロビン(MetHb)→1%
・パルスオキシメトリーの限界
  ・SaO2の予測値であり正確な組織酸素化を示すわけではない。
  ・SpO2はfunctional SaO2の測定であり
   fractional SaO2を示すわけではない
    →一酸化炭素中毒やメトヘモグロビン血症では不正確。
     多波長ならば計測可能。
  ・色素の影響
  ・低灌流では検出できない。
  ・センサーの劣化、受光器の位置
・CO2計測
 ・カプノメーター:吸気、呼気中の二酸化炭素濃度
 ・カプノグラフィ:二酸化炭素計測だけでなく、時間と容量の関数も含む。
 ・カプノグラフ:時間の関数として二酸化炭素濃度を表示する装置
 ・カプノグラム:カプノグラフをによって描かれた図形
・カプノグラフィの原理
 ・質量分析、ラマン分光測定、ガスクロマトグラフィーなど。
 ・もっとも多く用いられている方法は非分散赤外線吸収。
 ・二酸化炭素は4.26μm付近の赤外線を吸収するため、
  減衰量から二酸化炭素濃度を計算する。
・カプノメーターの種類
 ・メインストリーム
   ・呼吸回路に直接装着
   ・リアルタイムで計測
   ・死腔が増える
 ・サイドストリーム
   ・30~500ml/min採取される。
     →低流量や体重の軽い新生児等で不正確
   ・波形の上昇に時間がかかる。

2018年1月12日金曜日

ダブルルーメン?それともブロッカー?

麻酔科勉強会 担当:Q先生

「ダブルルーメン(DLT)?それともブロッカー(BB)?」

・DLTとBBを比較したメタアナリシス 
  ・39RCT DLTとBB比較
  ・DLT:留置時間短い、位置異常起こりにくい。 
  ・BB: 術後の咽頭痛、嗄声、気道損傷リスク低い。
・分離肺換気の適応
 ・大きくわけて二つ
   ・絶対的適応
    1. 他肺からの感染性分泌物・血液の流入阻止
       A. 肺膿瘍・膿胸などの感染症
              B. 大量出血(喀血)
    2. 開放気道が存在する場合
        A. 気管支瘻・気管支皮膚瘻
              B. 手術が主要気道に及ぶ場合
              C. 気管・気管支の損傷
    3. 一側の肺胞洗浄
              A. 肺胞蛋白症
  ・相対的適応
    1. 術野の視野確保
       A. 胸部大動脈瘤
       B. 肺全摘術
       C. 胸腔鏡手術
       D. 肺葉切除術
       E. 食道切除術
       F. 胸椎手術
・DLT、右用と左用
  ・左用DLT
    ・原則としては左用(90-95%)
  ・右用DLT
    ・左用DLTが適応でない場合
     ・気管偏位に伴い先端挿入困難な場合
      ・胸部大動脈瘤
      ・結核後遺症
      ・縦隔腫瘍などによる圧排
     ・左気管支に病変
      ・腫瘍などにより左気管支狭窄
      ・左気管支に腫瘍・潰瘍・瘻孔
      ・左肺全摘出手術
    ・主気管支長:右<左⇒安全域が狭い
    ・右主気管支が10mm未満の症例は使用できない(Benumofら)
・DLT挿入方法
 ・気管に留置してからファイバーで誘導する方法
 ・盲目的に左主気管支に進めてファイバーで確認する方法
   →出血のリスク、2ndカリーナに入ってしまうリスク
・DLTとBBの利点、欠点
 ・DLT: 留置に時間がかからない
     肺の虚脱が早い
          位置異常が少ない
          非換気肺にCPAP可能
 ・BB: 肺葉ブロック可能
     挿管困難時有利
     チューブ入れ替え不必要
・肺の虚脱についてRCTがある。
 ・randomized-controlled trial
 ・対象:VATSのために片肺換気を受ける40人の患者
 ・比較:2群比較。一方はBBを用い他方は左用DLT。
   ・結果:開胸から肺の完全な虚脱が得られるまでの時間はBB群で短く、
     各段階での肺の虚脱の程度もBBで高かった。
・重症肥満患者では?
 ・randomized-controlled trial
   ・対象:一側肺換気を必要とする重症肥満患者50人
 ・比較:DLT群 vs SLT+BB群
   ・結果:最初の試行で挿管が成功しなかったのは DLT群で3例
     BB 群で2例と同程度だった。
     肺分離後の肺の虚脱の程度にも群間で差がなかった。
・HPVのお話
・OLV麻酔開始時の通常の呼吸管理
 ・できるだけ長く両肺換気を維持
 ・FiO2=1.0を使用
 ・8~10ml/kgの一回換気量で片肺換気を開始(PCV>VCV)
    →肺保護戦略のため6ml/kg程度+PEEPの方が優れているという報告も。
 ・PaCO2=40mmHgとなるよう呼吸数を設定
 ・酸素化および換気の連続モニタリングの使用
・PEEPをどうするか。
 ・換気肺PEEP
   ・5cmH₂O以下にて開始
   (肺血管抵抗の過剰な上昇を防ぐため)
 ・非換気肺PEEP
   ・5~10cmH₂OはPaO₂を有意に上昇させる。
   ・5~10cmH₂Oは手術操作の妨げにならない。
   ・上側肺のCPAPによる下側肺への血流シフトは、
    PaO2の改善に有効である。

2018年1月6日土曜日

周術期の輸血

初期研修医勉強会 担当:Y先生

「周術期の輸血」

・もともと貧血がある
・出血した
・術後、貧血が進行
  →周術期に輸血を考慮することは少なくない。
・同種輸血の合併症
  ・ABO型あるいは不規則抗体の不適合輸血
  ・遅発性溶血性副作用
  ・発熱
  ・蕁麻疹
  ・GVHD
  ・感染症
  ・TRALI
  ・TACO
・輸血合併症は減少傾向にある。
  ・種々のスクリーニング検査の導入と精度向上
  ・赤血球保存期間の短縮
  ・放射線照射を含む白血球除去等
 ・とりわけFNHTRやPT-GVHDは大きく減少している。
・輸血に関わる有名なStudy
  ・TRICC trial
    ・ICU入室後、72時間以内にHb<9g/dLとなったPt
    ・制限輸血(Hb<7g/dL, 7-9g/dLを目標)
       vs 非制限輸血(Hb<10g/dL, 10-12g/dLを目標)
    ・アウトカム(死亡率、臓器障害、病院滞在日数)に差はなかった。
    ・心血管イベント、心筋梗塞、肺水種の発生率は
     非制限輸血群で有意に高かった。
  ・FUCUS trial
    ・心血管疾患のリスクあるいは既往のあるPtでTHA
    ・術後3日目までの段階で
     制限輸血(Hb<8g/dL)vs非制限輸血(Hb<10g/dL) 
    ・死亡率に有意差なし。
  ・制限輸血群 vs 非制限輸血群を比較したmeta-analysis
    ・RCT21study8,735例
    ・重篤な感染症発生率は11.8%vs16.9%(RR 0.82,95%CI:0.72-0.95)
  ・制限輸血群は非制限輸血群に対し非劣勢という理解のもとに、
  ・NICE:Hb<7g/dLで輸血を考慮するよう提唱(目標はHb 7-9g/dL)
  ・TITRe2 study
    ・心外術後における制限輸血(Hb<7.5g/dL)vs非制限輸血(Hb<9g/dL)
    ・3か月以内の重症感染症、虚血性イベントで比較
    ・死亡率は制限輸血群のほうが多かった。
・ASAのガイドラインでは?
 術前に…
 ①patient blood management protocolに則る
   ・Society for the Advancement of Blood Managementが提唱
   ・EBMや手術方針とすり合わせ
   ・輸血を減らしながら患者のアウトカムを改善しようという考え。
     ・術前に貧血を是正しておく。
        ・貧血の原因は?
        ・鉄材内服、rEPO使用など
  ・貧血で妨げられる酸素化を克服する。
    ・心機能評価
    ・COを調節する
    ・酸素化や呼吸器設定を調節
    ・酸素需要を下げる・・・
  ・PBM自体が非劣性であることが示された研究もある。
    ・独4大学病院でPBM導入
    ・RBC投与量/1人が減少し有害事象全体の発生率が不変。
    ・AKIについてはPBMで減少。
 ②抗凝固薬の拮抗を用意する
 ③失血を防ぐため止血剤を考慮する
 ④希釈性自己血輸血を考慮する
  ・A&Aに論文があったので紹介。