2018年1月6日土曜日

周術期の輸血

初期研修医勉強会 担当:Y先生

「周術期の輸血」

・もともと貧血がある
・出血した
・術後、貧血が進行
  →周術期に輸血を考慮することは少なくない。
・同種輸血の合併症
  ・ABO型あるいは不規則抗体の不適合輸血
  ・遅発性溶血性副作用
  ・発熱
  ・蕁麻疹
  ・GVHD
  ・感染症
  ・TRALI
  ・TACO
・輸血合併症は減少傾向にある。
  ・種々のスクリーニング検査の導入と精度向上
  ・赤血球保存期間の短縮
  ・放射線照射を含む白血球除去等
 ・とりわけFNHTRやPT-GVHDは大きく減少している。
・輸血に関わる有名なStudy
  ・TRICC trial
    ・ICU入室後、72時間以内にHb<9g/dLとなったPt
    ・制限輸血(Hb<7g/dL, 7-9g/dLを目標)
       vs 非制限輸血(Hb<10g/dL, 10-12g/dLを目標)
    ・アウトカム(死亡率、臓器障害、病院滞在日数)に差はなかった。
    ・心血管イベント、心筋梗塞、肺水種の発生率は
     非制限輸血群で有意に高かった。
  ・FUCUS trial
    ・心血管疾患のリスクあるいは既往のあるPtでTHA
    ・術後3日目までの段階で
     制限輸血(Hb<8g/dL)vs非制限輸血(Hb<10g/dL) 
    ・死亡率に有意差なし。
  ・制限輸血群 vs 非制限輸血群を比較したmeta-analysis
    ・RCT21study8,735例
    ・重篤な感染症発生率は11.8%vs16.9%(RR 0.82,95%CI:0.72-0.95)
  ・制限輸血群は非制限輸血群に対し非劣勢という理解のもとに、
  ・NICE:Hb<7g/dLで輸血を考慮するよう提唱(目標はHb 7-9g/dL)
  ・TITRe2 study
    ・心外術後における制限輸血(Hb<7.5g/dL)vs非制限輸血(Hb<9g/dL)
    ・3か月以内の重症感染症、虚血性イベントで比較
    ・死亡率は制限輸血群のほうが多かった。
・ASAのガイドラインでは?
 術前に…
 ①patient blood management protocolに則る
   ・Society for the Advancement of Blood Managementが提唱
   ・EBMや手術方針とすり合わせ
   ・輸血を減らしながら患者のアウトカムを改善しようという考え。
     ・術前に貧血を是正しておく。
        ・貧血の原因は?
        ・鉄材内服、rEPO使用など
  ・貧血で妨げられる酸素化を克服する。
    ・心機能評価
    ・COを調節する
    ・酸素化や呼吸器設定を調節
    ・酸素需要を下げる・・・
  ・PBM自体が非劣性であることが示された研究もある。
    ・独4大学病院でPBM導入
    ・RBC投与量/1人が減少し有害事象全体の発生率が不変。
    ・AKIについてはPBMで減少。
 ②抗凝固薬の拮抗を用意する
 ③失血を防ぐため止血剤を考慮する
 ④希釈性自己血輸血を考慮する
  ・A&Aに論文があったので紹介。