2018年1月26日金曜日

呼吸モニタリング

麻酔科勉強会 担当:K先生

「呼吸モニタリング」

・JSAガイドライン
 「安全のためのモニター指針」
 1.基本Ⅰ
  ・全身麻酔、局所麻酔を行う際は絶えず麻酔科医がいて
   モニタを監視する。
 2.基本Ⅱ
  ・患者の酸素化、換気、循環、体温を全体を通し評価する。
  2.1酸素化
    目的:吸入酸素濃度と血中酸素濃度を適切に保つ。
  2.2方法
    2.2.1 吸入ガス:麻酔器を使用する場合、
       酸素濃度計を用いて低濃度酸素に対するアラームを設定。
    2.2.2 血中酸素化:麻酔中パルスオキシメトリーのような
       酸素量を測る器機を利用する。
       音の高さや低酸素に対するアラームを設定する。
       患者の皮膚の色を評価できるよう室内の明るさを調節する。
 3.換気
  3.1目的:麻酔中適切な換気がなされているか。
  3.2 方法
    3.2.1 胸郭の動き、リザーバーバッグの観察、呼吸音の聴診。
       無効でなければ絶え間ない呼気中二酸化炭素モニタリング。
       呼気ガスの定量的モニタリングも推奨される。
    3.2.2 挿管もしくはLMA挿入する場合も呼気中CO2を計測し、
       抜管もしくは術後移動まで計測する。
       アラームも聞こえるようにする。
    3.2.3 機械換気をする場合は呼吸回路が外れた時に
       アラームが鳴る様に設定する。
    3.2.4 鎮静無しの局所麻酔では持続的な臨床徴候を観察する。
       鎮静下では無効でなければ呼気中二酸化炭素を計測する。
・パルスオキシメーター
 ・オキシメトリーとプレシスモグラフィーを組み合わせて
  非侵襲的に酸素飽和度を計測する。
 ・発光器と受光器があり、灌流があり光の透過する部位に装着する。
   ・額で計測する場合は反射光を受光する。
 ・オキシメトリー
   ・酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの
    赤色光、赤外光の吸光度の違いによりfunctional SaO2を計測する。
 ・プレシスモグラフィー
   ・循環による容積変化を記録する。
   ・これにより拍動する動脈だけを計測できる
・成人においては
   ・酸化ヘモグロビン(O2Hb)
   ・還元ヘモグロビン(deO2Hb)
   ・一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)→1~3%
   ・メトヘモグロビン(MetHb)→1%
・パルスオキシメトリーの限界
  ・SaO2の予測値であり正確な組織酸素化を示すわけではない。
  ・SpO2はfunctional SaO2の測定であり
   fractional SaO2を示すわけではない
    →一酸化炭素中毒やメトヘモグロビン血症では不正確。
     多波長ならば計測可能。
  ・色素の影響
  ・低灌流では検出できない。
  ・センサーの劣化、受光器の位置
・CO2計測
 ・カプノメーター:吸気、呼気中の二酸化炭素濃度
 ・カプノグラフィ:二酸化炭素計測だけでなく、時間と容量の関数も含む。
 ・カプノグラフ:時間の関数として二酸化炭素濃度を表示する装置
 ・カプノグラム:カプノグラフをによって描かれた図形
・カプノグラフィの原理
 ・質量分析、ラマン分光測定、ガスクロマトグラフィーなど。
 ・もっとも多く用いられている方法は非分散赤外線吸収。
 ・二酸化炭素は4.26μm付近の赤外線を吸収するため、
  減衰量から二酸化炭素濃度を計算する。
・カプノメーターの種類
 ・メインストリーム
   ・呼吸回路に直接装着
   ・リアルタイムで計測
   ・死腔が増える
 ・サイドストリーム
   ・30~500ml/min採取される。
     →低流量や体重の軽い新生児等で不正確
   ・波形の上昇に時間がかかる。