麻酔科勉強会 担当:K先生
「呼吸モニタリング」
・JSAガイドライン
「安全のためのモニター指針」
1.基本Ⅰ
・全身麻酔、局所麻酔を行う際は絶えず麻酔科医がいて
モニタを監視する。
2.基本Ⅱ
・患者の酸素化、換気、循環、体温を全体を通し評価する。
2.1酸素化
目的:吸入酸素濃度と血中酸素濃度を適切に保つ。
2.2方法
2.2.1 吸入ガス:麻酔器を使用する場合、
酸素濃度計を用いて低濃度酸素に対するアラームを設定。
2.2.2 血中酸素化:麻酔中パルスオキシメトリーのような
酸素量を測る器機を利用する。
音の高さや低酸素に対するアラームを設定する。
患者の皮膚の色を評価できるよう室内の明るさを調節する。
3.換気
3.1目的:麻酔中適切な換気がなされているか。
3.2 方法
3.2.1 胸郭の動き、リザーバーバッグの観察、呼吸音の聴診。
無効でなければ絶え間ない呼気中二酸化炭素モニタリング。
呼気ガスの定量的モニタリングも推奨される。
3.2.2 挿管もしくはLMA挿入する場合も呼気中CO2を計測し、
抜管もしくは術後移動まで計測する。
アラームも聞こえるようにする。
3.2.3 機械換気をする場合は呼吸回路が外れた時に
アラームが鳴る様に設定する。
3.2.4 鎮静無しの局所麻酔では持続的な臨床徴候を観察する。
鎮静下では無効でなければ呼気中二酸化炭素を計測する。
・パルスオキシメーター
・オキシメトリーとプレシスモグラフィーを組み合わせて
非侵襲的に酸素飽和度を計測する。
・発光器と受光器があり、灌流があり光の透過する部位に装着する。
・額で計測する場合は反射光を受光する。
・オキシメトリー
・酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの
赤色光、赤外光の吸光度の違いによりfunctional SaO2を計測する。
・プレシスモグラフィー
・循環による容積変化を記録する。
・これにより拍動する動脈だけを計測できる
・成人においては
・酸化ヘモグロビン(O2Hb)
・還元ヘモグロビン(deO2Hb)
・一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)→1~3%
・メトヘモグロビン(MetHb)→1%
・パルスオキシメトリーの限界
・SaO2の予測値であり正確な組織酸素化を示すわけではない。
・SpO2はfunctional SaO2の測定であり
fractional SaO2を示すわけではない
→一酸化炭素中毒やメトヘモグロビン血症では不正確。
多波長ならば計測可能。
・色素の影響
・低灌流では検出できない。
・センサーの劣化、受光器の位置
・CO2計測
・カプノメーター:吸気、呼気中の二酸化炭素濃度
・カプノグラフィ:二酸化炭素計測だけでなく、時間と容量の関数も含む。
・カプノグラフ:時間の関数として二酸化炭素濃度を表示する装置
・カプノグラム:カプノグラフをによって描かれた図形
・カプノグラフィの原理
・質量分析、ラマン分光測定、ガスクロマトグラフィーなど。
・もっとも多く用いられている方法は非分散赤外線吸収。
・二酸化炭素は4.26μm付近の赤外線を吸収するため、
減衰量から二酸化炭素濃度を計算する。
・カプノメーターの種類
・メインストリーム
・呼吸回路に直接装着
・リアルタイムで計測
・死腔が増える
・サイドストリーム
・30~500ml/min採取される。
→低流量や体重の軽い新生児等で不正確
・波形の上昇に時間がかかる。