2018年6月22日金曜日

麻酔薬は小児の神経発達に影響を及ぼすか

初期研修医勉強会 担当:N先生

「麻酔薬は小児の神経発達に影響を及ぼすか」

・小児の神経発達
 ・胎児期から児童期にかけて神経細胞発達やシナプスが増加
 ・特に胎生6週〜3歳では発達が著しい。
・PANDA study
 P:鼠径ヘルニアの3歳未満 小児105人,出生時に在胎36週以上
 I:鼠径ヘルニア待機手術、全身麻酔時間 平均84分(20-240分)
 C:麻酔薬暴露ない
 O:認知機能G(IQ)低下 リスク上昇に関連するか。
   また8~15歳時点で領域特異的な神経認知機能・行動異常に関連するか。
  →平均IQに有意差なし
   ただし麻酔曝露群では行動調査で
   「internalizing(内面化)」 に関する異常が有意に多かった。
・GAS trial(現在進行中)
 ・5歳未満の小児の鼠径部ヘルニア修復術
 ・覚醒下局所麻酔238人 VS セボフルランベース全身麻酔294人
 ・セボフルラン曝露時間は54分(中央値)
  →最初 2年間の追跡による中間発表では
   両群間で発達に関するBayley III スコアに差がなかった。
  →5歳時点で WPPSI-III IQ 測定値の評価待ち。
・2015年のシステマティックレビュー
 ・3歳未満の全身麻酔は神経発達障害リスクあり。
 ・3歳と4歳では有意に差がなく、
  3歳以上では単回の全身麻酔は比較的安全である。
・2012のFDA, SmartTots, the American Academy of Pediatricsの共同声明
  →3歳未満での待機手術をできる限り避けるべき。

・長時間の全身麻酔は学童期の知能に影響するか?
 →論文読んできました。