初期研修医勉強会 担当:N先生
「術前肝機能評価」
・肝機能障害を持つ患者
→手術・麻酔関連の合併症のリスクが高い。
・非肝臓手術の1カ月後の死亡率
→肝硬変患者:非肝硬変患者=16.3%:3.5%
・リスクの高さ
→肝疾患の種類や重症度・術式・麻酔方法によって異なる。
・スクリーニングは必要?
・健康な成人に対するルーチンの肝酵素測定は薦められていない。
・予期しない肝酵素異常が指摘されるのは0.3%
・術前の肝酵素測定の0.1%しか術前のマネジメントを変化させない。
・臨床症状のない肝障害で周術期死亡率は増加しない。
→病歴聴取や身体診察の方が重要!
・病歴聴取、身体診察
・病歴聴取
輸血歴・違法薬物・不特定多数との性交渉
家族歴・飲酒歴・内服薬
・身体診察
黄疸・掻痒感・腹水・クモ状血管拡張・脾腫などなど
・手術を延期すべきなのは?
・急性or劇症肝炎(アルコール性・ウイルス性)
・重症慢性肝炎
・重症凝固能異常
・そのほか急性腎障害や心不全や低酸素血症など
・肝臓外の合併症がある場合は待機的手術を延期すべき。
・Child-Turcotte-Pugh score
・Child-Pugh scoreは門脈系の手術だけでなく、
その他の非肝臓手術の予後予測にも有用という報告が多数ある。
・腹部手術を受けたアルコール性肝硬変患者の周術期死亡率
→A:B:C=10%:31%:76%
・腹部手術(ほとんど腹腔鏡手術)を受けた肝硬変患者の死亡率
→A:B:C=2%:12%:12%
・MELD(the Model for End-stage Liver Disease) score
・Child-Pughスコアには腹水や脳症など主観の入り込む余地が残る。
・MELD scoreはより客観的な指標となっている。
・MELD scoreの構成要素は、Bil,PT-INR,Creの3項目のみ。
・MELD scoreとChild-Pugh scoreの相関は高い。
・MELD scoreはどんな風に使われている?
・欧米では、客観性を活かして脳死肝移植の優先権として。
・本邦では、肝移植前の肝障害度評価としてChild-Pughと併用で。
・今の所は肝移植以外の場面ではあまり使われていない。
・移植以外の手術の予後予測にも有用と判明している。
→今後Child-Pughに代わる客観的な指標となり得る。