2013年1月29日火曜日

心臓血管麻酔専門医試験より

麻酔科勉強会  担当:M先生

「心臓血管麻酔専門医試験より」

・試験概要
 ・80問120分
 ・知識問題55〜60問
 ・臨床問題20〜25問
 ・CBTによる
 ・試験範囲
   →知っておくべき各種ガイドラインやkaplanといった教科書
・印象
 ・奇をてらった問題ではない。
 ・細かい所まで正確な知識が必要。
 ・うろ覚えな所が試験問題をとくキーポイントとなっている。

・こんな問題があった。
  ・圧容量曲線
    →EDV:前負荷、ESP:後負荷、ESPVRの傾き:収縮性など
  ・刺激伝導系と解剖
    ・洞結節
      →上大静脈と右房の境界領域
    ・房室結節
      →冠状静脈洞付近
    ・His束
      →心室中隔
    ・左脚、右脚
・心臓手術と刺激伝導路
  ・三尖弁
    ・Kochの三角
       →冠状脈洞を底辺としてTodaro束、
        三尖弁中隔側に囲まれた部位
       →房室伝導系の心房部分は全てこの部位を通る
       →三尖弁手術時、中隔尖運針時に注意
  ・大動脈弁
    ・右冠尖と無冠尖の交連部下にHis束
   ・Maze手術
  ・房室中隔欠損症
・抗凝固について
  ・ヘパリンの作用機序
  ・血液凝固のモニター
  ・ACT、ソノクロット、トロンボエラストグラムの利点と欠点
  ・PT-INRについて
    ・計算方法
    ・患者血漿のPT/正常血漿のPT*試薬の国際感度指数
  ・ACT
    ・簡便
    ・セライト、カオリン
    ・凝固活性添加剤からフィブリン形成までで
     血小板や線溶系関与は不明
  ・ソノクロット
    ・血液凝固から線溶系まで
  ・トロンボエラスとグラム
    ・血液凝固から線溶系まで、特に線溶系
    ・時間がかかる
・輸血について
  ・ガイドラインで推奨されている事。
  ・例:小児の開心術で修正限外濾過(MUF)を行う事は
     術後出血に対し有効である
   →誤り
・心筋保護液のカリウム濃度は通常60から80mEq/Lである
   →誤り
   →心停止に必要なカリウムは15から30mEq/L
・送血感から空気混入、さあどうする?
  →体循環停止、送血管抜去
  →Trendelenburg体位
  →人工心肺を補液してみたし送血回路の空気抜き
  →サクションから脱血
  →冷却しながら脱血回路から順行の5分の1程度で
   逆行送血( CVP<25mmHgを維持)
  →送血管抜去部位から気泡を排出、サクションで血液を心肺へ
  →患者をゆらして気泡排出(特に頭部)
  →気泡がなくなったら大動脈に送血管再挿入
  →順行性体外循環
  →しばらく低体温体外循環を維持し気泡の吸収をまつ
・SSIについて
  ・CDCのガイドラインで勧告されている事
  ・SSIの予防として手術患者への必要な
   血液製剤の投与は差し控えるべきである。
  →誤り
・SSI予防
  ・感染は治療しておく
  ・除毛はできる限りしない
  ・する時はクリッパーで
  ・血糖コントロール
  ・禁煙
  ・手術前夜の入浴、シャワー
  ・皮膚消毒前に大きな汚れを除く
  ・皮膚消毒は基準にあった消毒薬
  ・中心から同心円を描いて外へ、範囲は広く
  ・術前の入院期間はできるだけ短く
  ・術前のステロイドの漸減や中止は勧告しない
  ・ただSSI予防のために、栄養量法は勧告しない
  ・SSI予防のためにムピロシンを使うことは勧告しない
  ・SSI予防のために創部腔の酸素化を強化しない
・EOAとPPM
  ・EOA-effective regurigitant orfice area(有効弁口面積)
  ・PPM-patient prosthesis mismatch
  ・EOAI-EOA/BSA
    ・EOAI > 0.85cm2/m2 推奨されるEOAが確保
    ・EOAI≦0.85cm2/m2  中等度PPM
    ・EOAI≦0.65cm2/m2  高度PPM
・手術適応について
  ・大動脈二尖弁では上行大動脈最大径5cm以上で
   上行大動脈拡張術を考える。
  →誤り
  ・上行大動脈最大径が5cm以上(クラスI)
  ・上行大動脈最大径が4.5cm以上の
   二尖弁に伴う大動脈疾患(クラスI)
  ・ARが上行大動脈近位部の拡大に起因する場合
  ・上行大動脈最大径が4.0cm以上のマルファン症候群
・LVADの適応
  ・INTERMACS
    ・NYHA分類III及びIV、特にIVを細分化したもの
    ・最も重症で数時間のうちにVADを装着しなければならない
     profile1から最も軽症でadvanced NYHAIIIに相当する
     profile 7まで
・その他臨床問題
  ・弓部置換でF-Fバイパス開始後に左手の血圧がでなくなった
  ・小柄な女性の MVR後ICUで血圧が下がった
  ・過去にPCIをした人が外科手術を受ける
  ・アンギオ所見からつなぐべき冠動脈を選択