2013年1月20日日曜日

冠血流と各種凝固検査とヘパリン

麻酔の問題集  担当:T先生


問題1:心筋虚血を起こしやすい部位についての問題
問題2:心内膜下虚血に関する問題

・coronary flowについて
・冠血流の決定因子
  1.灌流圧
  2.血管張度
  3.灌流時間(心拍依存)
  4.内腔の狭窄度合
  5.コラテの発達度合い
1.灌流圧:
  ・オートレギュレーションあり。
  ・体血圧50-150mmHgの範囲内で冠血流量は一定。
  ・その範囲を超えると冠血流量は灌流圧に比例する
4. 冠動脈狭窄
  ・冠動脈の自動能が破綻、冠血流量は灌流圧に依存
・正常な冠血流:75~80ml/100g/分、COの4-5%
・酸素消費量は全身の10%
・冠静脈血の酸素飽和度は30%:摂取率高い
・左冠動脈では血流の85%が拡張期に供給される。

問題3:CPB中の凝固検査に関する問題

・組織因子(tissue factor)による方法
   →外因系凝固活性化機序:PT
・異物による方法(陰性荷電による方法)
   →内因系凝固活性化機序:APPT
・PT
 ・血漿にカルシウムと組織トロンボプラスチンを添加。
   →このときの凝固時間を測定する。
 ・正常では11-13秒(PT-INRで0.80-1.20)
 ・PTが延長する(=INRが上昇する)病態
 ・ワーファリン内服中(ビタミンK欠乏症)
 ・肝不全(肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎など)
 ・第VII、X、V、Ⅱ、Ⅰ因子の欠損症・凝固因子に対するインヒビター。
・APTT
 ・内因系
   →血管内皮細胞が壊されてコラーゲンが露出
   →凝固へ
 ・血漿に部分トロンボプラスチン試薬とCaCl混合液を加える。
   →血液が固まるまでの時間を測定
 ・正常値は30~40秒位(用いる試薬機器により異なる)
・ACT
 ・要は「血の固まりやすさ」を調べる検査
 ・セライト、カオリン、ガラス粒、シリカなどの活性化剤
   +全血試料を混合して凝固を活性化させる検査法。
 ・活性化剤と全血試料が接触
   →内因系凝固因子である第XII因子が活性化。
   →第XI因子,第IX因子,第X因子,第II因子などが活性化。
   →クロット形成するまでの時間を表示。
 ・Hemochron使用、2mlの採血で計測。
 ・正常値は120~130秒。
 ・人工心肺を使う手術では400秒以上(480秒)
 ・ヘパリンの感受性には12倍もの個人差あり。
   →コントロール値を測定してから投与後の値を測定する。
 ・ヘパリンの半減期を見越して30分毎に測定するのが望ましい。
・ACTが延長しない
  ・アンチトロンビンIIIの減少
  ・不十分な活性化剤との混合
  ・プロタミンの誤投与
・ACTが過度に延長する
  ・プライミング液による血液希釈
  ・低体温体外循環による凝固因子の不活性化
  ・低血小板数(5 万以下)
  ・ワルファリン服用者
  ・抗リン脂質抗体症候群
  ・接触因子(XII因子など)低下症
  ・磁場の影響

問題4,5:ヘパリンの薬理学的性質に関する問題

・ヘパリン
  ・1916年ジョンズ・ホプキンス大学の医学生マクリーンが発見。
  ・イヌの肝臓から。
  ・アンチトロンビン(ATⅢ)を活性化
    →抗凝血作用能の賦活を通して凝固系を抑制する。
  ・多イオン性ムコ多糖
  ・5分以内で効果発現する
  ・ATⅢの活性増強で効果を発現する
  ・半減期は90分、低温で半減期が伸びる


         G-ICU朝のラウンド