初期研修医勉強会 担当:N先生
「ヘスパンダー」
・ヘスパンダーの構造式
・歴史
・特徴を決める因子
・6% HES ( 70 / 0.5 / 3 ) ならば
・[濃度]HES(分子量/置換度/[C2/C6 Ratio])
・濃度:浸透圧に影響
・分子量:大きいほど長く血管内に留まる
・置換度:高いほど分解が遅く、体内に留まる
・C2/C6:高いほど粘度が高く、血管内に留まる
・各国で使用されている製剤。
・SepsisにおけるHESの使用は?
Intensive Insulin Therapy and Pentastarch Resuscitation in Severe Sepsis
N Engl J Med 2008;358:125-39.
・Design / Setting: 多施設, RCT, Open-label
・Patients: Severe sepsis 患者 537人 (18 施設)
・乳酸リンゲル: 275人 HES: 262人
・Primary endpoint: 28日間の死亡とSOFA score
・Secondary endpoint: ARFの発生
・結果
・使えば使うだけ生存率は下がる。
・使えば使うだけAKIは増える。
→Sepsisでの輸液療法で、HESの出番は無い
・術中の大量出血では?
Fluid therapy with hydroxyethyl starch for massive blood loss during surgery
J Anesth 2010; 24:418–425
・Design: single center, uncontrolled retrospective
・Patient: 術中出血>5,000mlの31人
・AKI 13人 non-AKI 18人
・Outcome
・輸液バランス
・術前-直後のCr変化
・1か月後のCr変化
・AKI/non-AKIに分け比較検討
・AKI群をロジスティック回帰分析
・結果
・6%HES70/0.55
→大量(平均3,065ml)に用いても腎機能障害は起こらない。
・nが少ない
・20,875例の手術症例から31例
・単一施設
・後ろ向き研究
・出血と共にヘスパンダーも血管外へ
→何かを言うのは難しそうな印象
・ブレイク
・自己紹介。富山県について。
・術中HES使用とAKI
Intraoperative Hydroxyethyl Starch 70/0.5 Is Not Related to Acute Kidney Injury in Surgical Patients: Retrospective Cohort Study
Anesth Analg 2012;115:1309–14
・Design: single center, uncontrolled retrospective
・Patient: 術中出血>1,000mlの846 人
・HES使用: 635人 HES非使用:211人
・Primary endpoint: AKIの発生
・Secondary endpoint: 腎代替療法、ICU入室、入院期間、入院中死亡
・propensity score matchingを使用して解析
・生データ結果、HES使用群の方が、
・高血圧の既往が多い
・Alb、RCCを多く要した
・Pltは少なく済んだ
・出血量が多かった
・入院期間が長くなった
・腎代替療法を要することは少なかった
→AKI発生率や死亡率に差はない
・matchedデータ結果、HES使用群の方が
・高血圧の既往が多い
・Alb、RCCを多く要した
・Pltは少なく済んだ
・出血量が多かった
・入院期間が長くなった
・腎代替療法を要することは少なかった
→AKI発生率や死亡率に差はない
・常用量であれば、AKIのリスクは他の輸液製剤と変わらない
・Alb使用量、出血量、入院期間の増加
→原因なのか結果なのかは不明
・単一施設、後ろ向き、観察研究
・propensity scoreを用い、選択バイアスを避けた
・そもそもAKIリスクが低い患者群かもしれない
・70%以上はASA PS1
・情報不足
・術後尿量情報が無く、CreのみでAKIを評価している
・まとめ
・HES製剤は組成により特徴が異なる
・Sepsisではもはや誰も使う気が起きない
・術中使用において常用量であればAKIの可能性は少ない。