初期研修医勉強会 担当:O先生
「周術期の体温調節とシバリング」
・末梢温
・皮膚温、約31~36℃に設定、外気温に大きく影響
・中枢温
・37±0.2℃に設定
・食道、肺動脈、鼻咽頭、鼓膜、直腸、膀胱
・食道温:大血管に近く、変化に敏感
→開胸、上腹部開腹では外気温の影響
・直腸温
→簡便で最も利用されるモニター
→他のモニターより高温、消化管の熱孤立、
→下腹部、骨盤内臓器手術では不向き
・閾値間域(interthreshold range)
・自律性体温調節の作動しない中枢温(セットポイント)
・37℃付近
・体温上昇
→発汗、血管拡張→熱放散
・体温低下
・血管収縮→熱放散抑制
・非ふるえ熱産生
→褐色脂肪細胞・骨格筋での熱産生
・シバリング→熱産生
・麻酔中の中枢温の低下
・第1相
・再分布性低体温
・血管拡張による熱容量の中枢から末梢への移動
・導入から1時間以内に0.5~1℃低下
・第2相
・熱放散>熱産生
・1~4時間、直線的に低下
・第3相
・血管収縮閾値温度より低くなる
→血管収縮、
→熱産生=熱放散
・麻酔中
・麻酔薬の作用
①発汗、血管拡張閾値温度の上昇
②血管収縮、シバリング閾値温度の低下
→閾値間域の拡大
→体温調節反応の抑制
→体温の低下
・術後
・麻酔薬の投与終了
→閾値間域の狭小化
・炎症性サイトカイン(IL-6,IFN)の血中濃度上昇
→閾値間域の上昇
→シバリング閾値の上昇
ブレイク
「アメコミのヒーロー」
・低体温による影響
・患者の不快感、寒気
・シバリング
・酸素消費量3~6倍に増加、心肺合併症患者ではリスク
・覚醒遅延
・筋弛緩薬の作用延長
・創感染、創離開
・創部組織への酸素供給低下
・凝固障害、術中出血量、輸血量の増加
・術後心合併症の頻度増加
・心筋虚血の発生頻度の増加
・代謝の亢進によりアシドーシス
・周術期シバリングのリスク
・低体温
→シバリングの閾値温度以下の体温
・疼痛刺激をはじめとするストレス
→シバリング閾値温度の上昇
・侵襲の強い手術
→開胸、開腹、長時間手術
・レミフェンタニルの使用
・他のオピオイドの2倍のリスク
・μオピオイドの抗シバリング効果の消失
・シバリングの予防
・体温保持
→温風式加温装置、タオルケット、輸液の加温
・transitional opioidの投与
・NSAIDs
→鎮痛、セットポイント上昇の抑制
・アミノ酸製剤
→代謝に影響を与え、熱産生効果を高める
・シバリングの治療
・酸素投与
→冠虚血や末梢酸素供給低下を避ける
・温風式加温装置による加熱
・ペチジン(0.5-1.0mg/kg程度)
・Κ親和性のある弱オピオイド
→抗シバリング効果強い
・マグネシウム投与
・デクスメデトミジン(α2作動薬)
・降圧薬とβ遮断薬を投与
N病院から研修に来てくれたS先生。大変助かりました。