2012年7月6日金曜日

類洞閉塞症候群

ICU勉強会  担当:U先生

「類洞閉塞症候群(SOS)」

・類洞閉塞症候群(sinusoidal obstruction syndrome:SOS)
  ・veno-occlusive disease;VOD肝中心静脈閉塞症ともいう
  ・移植後3大合併症の1つ(感染・急性GVHD・VOD)
・臨床的診断
  ・移植後30日以内
  ・放射線照射、化学療法後
  ・他に原因となる疾患がない。
  ・疼痛を伴う肝腫大、腹水貯留、体重増加、ビリルビン上昇
  ・肝中心静脈閉塞を伴う循環障害性肝障害。
・診断
  ・腹部エコー
  ・腹水
  ・門脈波形変化
  ・胆嚢壁肥厚
  ・肝動脈抵抗指数0.75以上
  ・門脈逆flow
  ・Serum procollagen type III
  ・Antithrombin and protein C
  ・Plasminogen activator inhibitor type 1
・病理学的には・・・
  →肝中心静脈の閉塞と中心静脈域の肝細胞の壊死および鬱血。
・移植後にVODの危険因子
  ・前処置中からの感染症
  ・ウイルス性肝炎
  ・移植前の長い化学療法歴
  ・肝障害例
  ・ブスルファンを中心とした前処置
  ・前処置中の肝障害
  ・同種移植(特に非血縁者やHLA不一致donorからの移植)など。
・予後
  ・軽症例での多くは自然に回復。
  ・重症例(肝不全・多臓器障害)では90%以上の致死率。
  ・発症後、重症度がどこまで進むかについて予知困難
  ・severeになると治療抵抗性
・治療
  ・tPA治療しか有効な治療法がない。
  ・tPA治療の副作用(出血)を考慮すると判断に難渋するケースも。
  ・デフィブロタイド、トロンボモジュリンなども。