2012年6月26日火曜日

深在性真菌感染症の治療

ICU勉強会   担当:S先生

「深在性真菌感染症の治療」

・抗真菌薬の種類
  ・ポリエン系
    →アムホテリシンB
      ・細胞膜に作用
      ・細胞膜の透過性亢進+フリーラジカル産生
      ・殺菌的作用
  ・アゾール系
    →フルコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール
      ・細胞膜に作用
      ・細胞膜成分合成酵素阻害
      ・静菌的作用
  ・エキノキャンディン系
    →ミカファンギン、カスポファンギン
      ・細胞壁に作用
      ・βDグルカン合成酵素阻害
      ・殺菌的作用
・抗真菌薬各論
  ・ポリエン系
    ・アムホテリシンB(ファンギゾン、アムビゾーム)
      ・効かない真菌を覚える。
       →C.lusitaniae, A.terreus, Scedosporium spp., Fusarium spp.
      ・腎毒性、発熱、ふるえ、頻脈
      ・リポソーム製剤登場で腎毒性は半減した。
  ・アゾール系
    ①フルコナゾール(ジフルカン、プロジフ)
      ・非重症のカンジダ血症に
      ・Aspergillus spp.に無効
      ・P450系と干渉:相互作用注意
       →ワーファリン、シクロスポリン、タクロリムス、フェニトイン
    ②ボリコナゾール(ブイフェンド)
      ・侵襲性アスペルギルスの第一選択薬
      →アムホテリシンBとの成績比較に勝利。      ・
      ・Scedosporium spp., Fusarium spp.,Trichosporon spp.などにも。
    ③ポサコナゾール(日本未発売)
      ・Zygomycetesのサルベージ治療で生存率良好
      ・免疫不全患者などへの予防薬として定着
  ・エキノキャンディン系
    ①ミカファンギン(ファンギゾン)
      ・Candida疑い例に。
      ・glabrata, kruseiに感受性
      ・Trichosporonのブレークスルーに注意
      ・肝排泄。腎毒性なし。

ブレイク
「西市民病院周辺エリア情報」

・真菌感染症の診断
  ・β-Dグルカンと各真菌
     ・Aspergillus, Candida, Fusarium, Trichosporonで陽性
     ・Cryptococcus, Zygomycetesでは陰性
     ・βDグルカン試薬はカブトガニの血清から作られる。
  ・β-Dグルカンの偽陽性
     ・透析でのセルロース膜使用者
     ・アルブミン製剤やグロブリン製剤使用者
     ・多発性骨髄腫・サルファ剤・ピシバニール・溶血
     ・レンチナン、シゾフィランなどのグルカン抗悪性腫瘍薬
     ・アガリクスなどのキノコ類大量摂取
  ・カンジダ症のリスクと治療。
     ・リスク
       →広域抗菌薬、長期入院(平均22日)、ICU滞在、
        免疫抑制、悪性腫瘍、DM、HIV、栄養不良、
        (腸管・心臓)術後、熱傷、カテーテル使用、
        TPN、Candida定着状態など。
     ・内科領域での治療法
     ・血液内科領域(好中球減少患者)での治療法。
  ・アスペルギルス症のリスクと治療
     ・リスク
       →長期の重篤な顆粒球減少症、臓器移植(特に肺)、
        骨髄移植患者、ステロイド、その他免疫抑制剤など。
     ・治療
  ・ムコール症のリスクと治療
     ・リスク
       →DM、代謝性アシドーシス、ステロイド剤、血液悪性腫瘍、
        固形癌移植、AIDS、外傷・熱傷、栄養障害など。
     ・臨床型
       →鼻腔~脳、肺、皮膚、腸管、中枢神経系、その他
     ・治療
       →AMPHが標準。PSCZが有効との報告あり。