2013年8月14日水曜日

頭蓋内圧亢進患者の管理

「麻酔科EBM勉強会」  担当:O先生


「頭蓋内圧亢進患者の管理」


・ICP:頭蓋内圧 CCP:脳灌流圧
・ICPとCCPに影響を与える因子
  ・麻酔
  ・過換気
  ・人工呼吸管理
  ・高浸透圧製剤の使用
  ・体位
  ・減圧術
・CCP=MAPーICP
・ICPとCCPはどの程度に管理すべきか。
  ・ICPは20mmHg以下にすべき。
  ・CCPは70mmHg以上にすべきではない。
・麻酔の影響
  ・吸入麻酔薬
    ・CMRO2(cerebral metablolic rate of oxygen)下げる。
    ・脳血管を直接拡張させる 
      →脳血流量は増やし、ICPは上昇
    ・CMRO2減少による脳血管収縮作用 vs 血管拡張作用
      →CBFは変化しないかむしろ減少との報告も
    ・steal phenomenon
      ・吸入麻酔薬による血管拡張と血流増加
        →正常脳血管のみで生じる
        →虚血脳組織への血流がさらに低下してしまう
      ・2MACまでのsevflurane
        →脳血流速度には変化がないという報告も。
  ・静脈麻酔薬(propofolとかetomidateとか)
        ・脳血管を収縮させる
      →CBF↓、CBV↓、ICP↓
      →CMRO2↓
    ・ただし正常脳組織ならoutoregulationは保たれる。
    ・プロポフォール麻酔+過換気の併用
      →SjO2値が脳虚血レベルの50%を切る頻度が増加する。
  ・オピオイド
    ・オピオイドガICPに与える影響はcontroversial
    ・remifentanylはICP、CBF共に変化させないという報告
・過換気の影響
  ・動脈血低CO2血症は脳血管を収縮させる
    →脳血管抵抗↑
    →CBF↓、CBV↓、ICP↓
  ・病変部位では酸素とグルコースの運搬に影響をあたえる可能性。
  ・一時的効果はあるが長期間では悪影響
・人工呼吸(+PEEP)の影響
  ・胸腔内圧の上昇
    →静脈灌流の阻害によりICP↑
    →血圧低下によりCPP↓
・高浸透圧療法
  ・マンニトール
    ・マンニトール(0.25-1.0g/kg)がICP上昇の治療薬の基本
    ・マンニトールの予防投与はすべきでない。
  ・高張食塩水
        ・有効である可能性。
      →大きな合併症なくICPを下げる。
    ・副作用に注意。
       ・血小板凝集障害による出血
       ・PT、APTT延長
       ・高クロール性アシドーシス
       ・橋中心髄鞘崩壊症
         →頭部外傷では極めて稀だが。。。
・体位
  ・MAPが維持されている限り・・・
    →30-40度のヘッドアップはICPを下げる。
・開頭減圧術
  ・内科的治療と比較したstudy
    →人工呼吸器装着、ICU滞在は開頭術のほうが短かったとの報告。