2013年8月8日木曜日

感染性心内膜炎

ICU勉強会  担当:N先生

「感染性心内膜炎」

・感染性心内膜炎(IE)とは
 ・弁膜、心内膜に細菌集蔟を含む疣腫(vegetation)を形成
   →菌血症、血管塞栓、心障害など
    多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患
・IE発症の流れ
 ・異常血流の影響:弁膜症、先天性心疾患など
 ・異物の影響:人工弁など
   →NBTE(nonbacterial thrombogenic endocarditis)
   →菌血症
   →vegetationの形成
・症状・身体所見
  ・発熱:80~85%で認める
  ・心雑音:80~85%で聴取
  ・末梢血管病変:点状出血、Osler結節、Janeway発疹、Roth班
  ・関節痛、筋肉痛:全体の15~50%
  ・全身性塞栓症:脳・腎・脾・心筋梗塞、腸管虚血など
  ・神経学的症状:脳塞栓・頭蓋内出血
  ・うっ血性心不全 
  ・腎不全:糸球体腎炎・血行動態の障害・抗菌薬の腎毒性
・DUKE基準について
・治療方針
  ・心内膜、弁に形成された疣腫から
    原因となった病原微生物を死滅させる
  ・原因菌が判明しているかが重要。
  ・菌が分離されたらMICを測定する
・streptococci:ペニシリンG感受性連鎖球菌
  ・静脈炎を合併する場合ABPCに変更
  ・ペニシリンアレルギーでは即時型でなければCEZやCTRXの投与も可
  ・病状の進行は数週間~数か月
  ・PVEでは腸球菌(後述)と同様4~6週の治療期間
・streptococci:ペニシリンG低感受性連鎖球菌
  ・基本的にPCGとGMの併用療法
  ・VCMを使用する場合GMの併用はなくてもよい
  ・PVEでは腸球菌(後述)に準じた治療
・Enterococci:腸球菌
  ・60歳以上の高齢者に多い
  ・脳合併症を除けば臨床的には亜急性の経過をとる
  ・併用療法が原則
  ・ペニシリンアレルギーではVCMかTEICを使用
  ・GMの併用を4週間。PVEでは4~6週間併用
・Staphylococci:メチシリン感受性ブドウ球菌
  ・急性の経過をとる
  ・PCGやABPCは多くの場合無効
  ・PVEの場合、治療期間は6~8週でGM併用期間を2週間。
  ・RFP併用することもある
・Staphylococci:メチシリン耐性ブドウ球菌
  ・代表的菌種はMRSA
  ・MRSEもMRSAに準じて治療する
  ・PVEの場合、VCMの投与は6~8週、
   アミノグリコシド系を2週間併用。
   さらにRFPを2~6週間併用することもある
・グラム陰性菌(HACEK群を含む)
  ・頻度は数%~10%程度
  ・CTRXまたはCTMを4~6週間投与
    (その他の第3・4世代セフェム系も可)
  ・腸内細菌や緑膿菌では感受性のある第3・4世代セフェム系と
   アミノグリコシド系の併用
・Fungi:真菌
  ・カンジダ属が大部分を占める  
  ・抗真菌活性の高いリポソームアムホテリシンBが選択される
  ・フルシトシン(5-FC)を併用することもある
  ・ミカファンギンも今後の検討が待たれる
  ・真菌性IE
    →まず外科的治療を考慮したうえで抗真菌薬投与を行うべき
・外科的治療の適応
  ・うっ血性心不全
   ・NYHA分類Ⅲ~Ⅳ度の心不全、Ⅱ度でも心不全・肺高血圧がある
  ・抵抗性感染
   ・適切な抗生剤の投与後も感染所見が持続する
   ・薬物治療が奏功しがたい真菌・グラム陰性菌・MRSAなど
   ・弁輪膿瘍・房室ブロックなど感染巣の弁輪への波及
  ・感染性塞栓症
   ・可動性のある10㎜以上の疣腫が増大傾向にある
   ・重篤な心不全を認める脳合併症患者
・外科手技
  ・僧帽弁置換術
  ・僧帽弁形成術
  ・弁輪部再建
  ・基部置換術(ホモグラフトが推奨される)
・合併症
  ・うっ血性心不全
    ・IEの最大の予後規定因子
    ・炎症による弁破壊による弁閉鎖不全の増悪が原因
       →弁尖の穿孔、腱索断裂、
        弁周囲感染からの裂開・シャントなど
  ・自己弁IEの場合の発症率
    ・大動脈弁29% 僧帽弁20% 三尖弁8%
  ・頻度の高い起因菌
    ・Staphylococcus aureus が最多
    ・Enterococci, S,pneumoniae, なども合併率高い
  ・基本的には外科手術が必要
    ・活動性IE時の置換弁再発率は2~3%
・弁周囲感染
  ・感染が弁輪部を超えて周囲組織に広がり、膿瘍を形成
    ・瘻孔、心内シャント
    →血行動態の突然の悪化もの可能性
  ・自己弁IEの10~14% 
  ・大動脈弁IEに多い →  AVblock・LBBBが続発
  ・人工弁IEの45~60%に合併
    ・僧帽弁IEにも高率に生じる
    ・機械弁では初期感染巣は弁輪部が多い(56~100%)
  ・診断にはTEEが有用(感度87% 特異度95%)
  ・うっ血性心不全の合併に関わらず、基本的に外科手術の適応
・塞栓症
  ・IEに全身性塞栓症を発症する頻度は27~45%
  ・中枢神経系が60~70%の頻度 
     その他、脾臓・腎臓・肺・冠動脈・
     肝臓・腸管膜動脈・末梢動脈など
  ・疣腫>10mm(odds比 2.80)、可動性が大きい と頻度が高くなる
  ・塞栓発症の予測にTEEが有用
・脳合併症
  ・頻度は20~40%
  ・64.6% 脳梗塞
  ・31.5% 脳出血(出血性梗塞・感染瘤破裂によるクモ膜下出血)
  ・2.8%  脳膿瘍
  ・1.1%  髄膜炎
  ・神経系合併症の原因菌はStaphylococcus aureusが多い