2013年5月28日火曜日

Abdominal Compartment Syndrome

ICU勉強会 担当:K先生

「Abdominal Compartment Syndrome」

・Intraavdominal pressure(IAP)
  ・Normal:5〜7mmHg
  ・BMIと相関し、病的肥満患者や妊娠中で
  ・10〜15mmHg程度
・Abdominal perfusion pressure(AAP)
  ・APP=MAP-IAP
  ・APPは腹腔内臓器灌流の最も良い指標(pHや乳酸値、尿量より)
  ・APPを60mmHg以上に保つことがIAH、ACSの予後と相関
・primary:
  →腹部骨盤の疾患による(腹部外傷や膵炎、術後など)
・secondary:
  →腹部以外の原因(大量輸液)
   ・外傷:ショックで大量輸液をするとリスク高い
   ・熱傷
   ・腹腔内の疾患
     →大量腹水、腸管拡張、腹部手術、腹腔内出血
   ・後腹膜の疾患
     →AAA破裂、骨盤骨折、膵炎
   ・大量輸液が必要なsepsisや3rdスペースに漏れる疾患
     →術後患者など
・腹腔内圧と症状
  ・10mmHgでも横隔膜の上昇が起こる。
  ・15mmHg〜乏尿、30mmHg〜無尿
  ・肝でのLactateクリアランス低下は10mmHgでも起こる。
  ・20mmHgで腸管粘膜灌流の低下(J trauma 1994;37:488)
  ・40mmHgでceliac、SMAの血流低下を起こし、
   Lactate上昇やbacterial translocationを起こす。
  ・腹部症状からの>15mmHgの予測:感度56%、特異度87%
・治療
  ・支持療法が基本(輸液は入れざるを得ない)
  ・熱傷瘢痕の場合は切開、腹水があれば抜く
  ・外科的減圧術について明確な手術適応は定まっていない
     →IAP>25mmHgで手術すべき
       (Surg Clin North Am 1996; 76:833)
     →臓器灌流を改善し、ACSを防ぐために
      <25mmHgでも手術すべきという意見も多い
     →APP<50mmHgでは死亡率が上昇する(J Trauma 2000;69:78)
      ため、APPを指標にすべきという意見もある
  ・一時的な減圧開腹術では改善しないと判断した場合
     →応急的な閉腹法を行う