ICU勉強会 担当:K先生
「腹部大動脈瘤の術後腸管合併症」
・部位
・胸腹部大動脈瘤として
・上行:16% 下行:10% 弓部:7% 胸腹部:2%
腎上部:5% 腎下部:60%
・腹部大動脈瘤として 腎下部:95%
・原因
・動脈硬化性(90%以上)
・特発性嚢状中膜壊死
・Marfan 症候群、Ehlers-Danlos 症候群
・特異的炎症
・梅毒性、結核性
・非特異的炎症
・大動脈炎症候群、Bechet病
・細菌感染
・外傷
・腹部大動脈瘤
→最大短径が55mmを超えると破裂する可能性が増大する
→5mm/6ヶ月以上の拡張速度で手術を検討される
・治療
・外科的治療:人工血管置換術
・腹膜経路
・後腹膜経路
・血管内治療:ステントグラフト挿入術
・適応
・中枢側のネックが長く(15mm以上)
比較的真っすぐ(60度以下)かつ直径が28mm以下
・アクセスルートとして腸骨動脈が長く(6-7mm以上)、
極端な屈曲蛇行・石灰化がみられない
・末梢側ネックが10mm以上
・手術死亡率は2-3%
・早期合併症
→心合併症、呼吸器合併症、
腎機能低下、創感染、出血
腸管麻痺、腸管虚血、臀筋跛行、性機能障害(陰萎)
・晩期合併症
→吻合部動脈瘤、グラフト閉塞、
グラフト感染、グラフト腸管瘻
・腸管虚血
→待機的腹部大動脈瘤手術の約1.6%に発生する
・下腸間膜動脈(IMA)領域、特にS状結腸に好発
・腸管切除が必要な腸管虚血
→死亡率は50%を上回る
・危険因子
・年齢
・腎障害
・腸切除の既往
・緊急手術
・術者の経験不足
・大動脈遮断時間の延長など
・腸管虚血の評価、予測
・肉眼的観察
・腸管の色調
・腸管ドプラ音・直腸ドプラ音
・ドプラエコーの使用
・IMA断端圧
・血液pH、PaO2も腸管虚血と関連がある
・下部消化管内視鏡検査
→最も信頼性が高い
・手間がかかりルーチンでは行われない
・臨床症状
→腹部所見、腹痛、粘血便
・IMA再建によって虚血性腸炎は有意に減少しない
・後腹膜アプローチは術後腸管麻痺を軽減できる
・本日の論文
A cohort study of nutrition practices in the intensive care unit following abdominal aortic aneurysm repair
JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2013 Mar;37(2):261-7