ICU勉強会 担当:I先生
「POAF」
・POAF:post operative atrial fibrillation
・術後に起こる心房細動
・開心術で圧倒的に多い
・CABGで30%、弁置換術で40%、CABG+弁膜症手術で60%
・入院期間の延長と関連も予後とは相関しないという過去の報告
→最近は、積極的に予防と治療をする方針となっている
・POAFはCABG後の院内死亡率、長期予後と関連し、
長期死亡率上昇の独立した予測因子である
J Am Coll Cardiol. 2004;43 :742-8
・POAFは長期・短期予後、ICU滞在期間、合併症と相関する
Ann Surg. 1997;226:501-11
・AF自体がAFを誘発する(AF begets AF)
・電気的、構造的リモデリング
・ヤギに連日心房高頻度刺激を加え、
AFを持続させると心房細動の持続時間が長くなる
Circulation 1995;92:1954-68
・POAFの予防
・第1選択肢はβブロッカー
・適応があれば推奨(ACCP2005)
・術前から内服しているものは
術後も内服することを推奨(CCS2010)
・禁忌がない限り推奨(ACCF/AHA/HRS2011)
・第2選択肢はアミオダロン
・β遮断薬が禁忌の患者に考慮 (ACCP2005)
・β遮断薬が禁忌の場合推奨(CCS2010)
・POAF高リスク症例で適切な予防法(ACCF/AHA/HRS2011)
・βブロッカーは絶対必要か
・根拠となっているRCT
→低心機能患者・術前からPAFの既往がある患者は除外。
→他の抗不整脈薬の同時投与がある
・BLOS trial
→術前にβ遮断薬を投与していない群
→術後投与してもPOAFの発症には有意差なし
Heart 2004;90:941-2
・アミオダロンの有用性
・2つのメタ解析は有意にAFを減少させると結論
Eur Heart J 2006;27:2846-57.
Ann Thorac Surg 2006;82:1927-37.
・予防効果に有意差なしとの報告もある
Am Heart J 2001;141:E8
Am Heart J 1999;138:144-50
・抗炎症によるPOAF予防
・心膜の炎症
→心房の伝導障害
→POAFを起こすと言われている
・ステロイドはPOAFを減少させる
Circulation. 2009;119:1853–1866.
・最近の知見では、コルヒチンがPOAFを減少させる
Circulation.2011; 124: 2290-2295.
→COPPS POAF trial
・Study design:イタリアの前向き多施設RCT
・Patients:開心術を受けた360人
・Intervention:
・3日目にコルヒチンを2mg分2で開始、
1ヶ月間は1mg分2で継続
・Comparison:プラセボ
・Outcome:コルヒチンはPOAFを減らした
(12.0% vs 22.0%,p=0.021,RRR=45%)
・POAFの治療
・原則レートコントロール(STS2011,CCS2010)
・AFFIRM trial
→リズムvsレートコントロールで予後に差はなし
Engl J Med 2002;347:1825-33.
・AFが持続すれば抗凝固療法
・リスク2個以上かつ48時間以上持続で適応(STS2011)
・72時間以上持続で考慮(CCS2010)
・Mgを代表とする電解質補正
Ann Thorac Surg 2005;80:2402-6.
Am J Med 2004;117:325-33.
・Volumeを評価し、足りていなければ負荷