麻酔科勉強会 担当:I先生
「Brugada症候群患者の麻酔」
・Brugada症候群
・VT/VF
・Sudden cardiac death (SCD)
・アジア人男性
・ICD
・Brugadaらが1992年に報告
・明らかな器質的心疾患なし
・右側胸部誘導(V1-3)における特徴的なST⬆
→そこから誘発されるVF
・日本を含め、東・東南アジア地域に多い
・男>>女 (72-76%)
・遺伝性AD(NaやCaチャネル遺伝子変異など)
・浸透率は低い.16%とも
・45歳の突然死 FHは22-50% (特に無症候群では50-70%)
・VFの過半数は安静時・夜間睡眠中
・PAF、冠攣縮性狭心症、神経調節性失神
・重篤な心事故の発生率
・VF・蘇生群 17.4% /year
・失神群 6.2% /year
・無症候群 0.6-3.7% /year
・心電図
・coved 型(Type1)
→J点からドーム上にST上昇
→VF生じ易い
・saddlebach型(Type2,3)
→J点からSTがいったん下方に向かった後に再び上に向かう
・特徴的な心電図+以下の1つ
a)Documented VF
b)Self-terminating polymorphic VT
c)FH of sudden cardiac death at <45yrs
d)Type 1 ST elevation in family members
e)Electrophysiologic inducibility of VT
f)Unexplained syncope suggestive of a tachy
g)Nocturnal agonal respiration
・type2,3は右前胸部誘導で1誘導以上、
NaCB負荷でtype1ST上昇認めればBS
・BSにおいて重篤な不整脈を生じる因子
・Brugada型ST上昇の誘発因子は??
・Induced Brugada-Type Electrocardiogram,
a Sign for Imminent Malignant Arrhythmias.
Circulation. 2008; 117:1890-1893
・ERにてBrugada型ECGを示した47人
・male 69%、mean age 48 ± 16.2 yrs
・可能なら遺伝子SCN5A検査もした
・47人のうち
・16人は発熱時にBrugada型ECG変化
・26人は投薬を契機に
(コカイン、麻酔薬、抗不整脈薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬)
・5人は電解質異常
・24人(51%)で致死性不整脈
・そのうち18人で突然死
(6人が発熱時、8人が麻酔薬で)
・3人がVT
・3人が失神
・Brugada型ST上昇の機序
・心筋の内向きNa電流・Ca電流の低下
→NaCB、コカイン、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬
・外向きK電流の増加
→高K、副交感神経刺激、ATP感受性Kチャネル活性化剤
・プロポフォール
→L型Ca電流抑制?まだ不明
・発熱
→温度依存性に開口率が変化するNaチャネルの変異を持つため、
発熱によりECG変化が生じる可能性
→長時間の入浴もリスク
・PRISとの関連
・PRIS(propofol-related infusion syndrome)
・高濃度(>5mg/kg/hr)、長期間(>48hr)
・横紋筋融解、腎不全、高K、代謝性アシドーシス、高TG
・ミトコンドリア脂質代謝障害?遺伝子欠損?
・PRISで死亡した人の死亡前のECG再解析
→多くはBrugada型ST上昇に伴うVFだったという報告