初期研修医勉強会 担当:S先生
「筋弛緩薬」
・筋弛緩薬の歴史
・1516年 南アメリカの矢毒クラーレの文献的報告
・1821年 Sir Benjaminによるクラーレの動物実験
「人工呼吸していれば動物は死なない」
・1906年 サクシニルコリンの合成
・1932年 ネオスチグミンの合成
・1935年 クラーレから有効成分d-ツボクラリンを生成
・1942年 BeecherとToddが虫垂切除術に
d-ツボクラリンを初めて使用
・1952年 Scurrによるサクシニルコリンの臨床応用
・1973年 ベクロニウムの開発
・1994年 ロクロニウムの臨床応用
・2008年 スガマデクスの発売
・非脱分極性筋弛緩薬
・主にステロイド型
・ベンジルイソキノリニン型
・作用機序について
・TOFウォッチについて
・fade現象
非脱分極性筋(+)、脱分極性(-)
・fasciculation
非脱分極性(-)、脱分極性(+)
・筋弛緩薬の分布モデル
・中心コンパートメント:血液
・末梢コンパートメント:各臓器、脂肪
・効果部位:筋肉
・薬物排泄:肝臓、腎臓
→筋弛緩薬は中心コンパートメントに投与され、
迅速に分布し平衡状態となる。
・筋弛緩を打ち消すには??
①Ach放出を増加させる
②Ach分解を抑制する
③筋弛緩薬の分解促進
④筋弛緩薬の神経筋接合部の除去
・ネオスチグミン
→Achエステラーゼを阻害
→神経間隙中のAchが増加
→相対的に接合部のAchが増加
→筋弛緩状態から回復。
・ネオスチグミンの問題点
・作用発現に時間が必要
・深い筋弛緩では拮抗作用は不確実
・天井効果(ceiling effect)
・ムスカリン作用
・高用量投与による逆説的筋弛緩
・スガマデクス
・1999年、Anton Bom博士が側鎖が修飾。
・ロクロニウムに高い親和性を持つ物質が合成
・ロクロニウムを1:1で抱合、失活させる。
・抱合体は腎排泄。
・スガマデクスの利点
・迅速な拮抗作用
・天井効果なし
・ムスカリン作用なし
・逆説的筋弛緩なし
・スガマデクスの欠点
・薬剤相互作用あり。
・ベンジルイソキノリン型筋弛緩薬や脱分極型筋弛緩薬
→拮抗できない
・過小投与によるリバウンド現象
・トレミファン, flucloxacillin(日本未発売の抗菌薬)
フシジン酸(抗生剤)との併用により抱合離解の可能性
・経口避妊薬との併用により、血中濃度が減弱。
・リバウンド現象
→中心コンパートメント(血液)で筋弛緩薬が除去、
濃度勾配に従い末梢コンパートメントから
筋弛緩薬が移動し効果を発現
・スガマデクスの腎機能障害患者への投与
・腎機能障害ある方が拮抗に時間がかかる。
・重傷腎機能患者にも速やかに拮抗は可能。
・スガマデクスは透析膜を通過せず長く血中に留まる。
・結合離解などの可能性指摘されている。
・スガマデクスの肥満患者への投与
・BMI>40以上の患者群
→実体重換算よりIBW+40%程度の投与が望ましい。
・スガマデクス投与後再挿管
①ベンジルイソキノリン系筋弛緩薬の使用
②スキサメトニウムの使用
③ロクロニウムの大量投与
・理論的には・・・
分子量(スガマデクス2178、ロクロニウム610)より、
スガマデクス4mg/kgのリバースは
1.2mg/kgのロクロニウムで可能。