麻酔科勉強会 担当:M先生
「再開胸止血術」
・開心術後再開胸の問題点
・手術室は大抵忙しい時が多い。
・外科医は待てないと急かす。
・ICUからの移動、沢山のラインや輸血・輸液がぶら下がって大変
・手術室でライン整理にイライラ
・輸血・輸液について
→再開胸術前には大量輸血・輸液を要求される。
→開胸後に輸血・輸液しすぎて閉じにくいと言われる。
・再開胸となる場合
・ICU 滞在がながくなる
・大量出血、大量輸血は合併症を増やす
・人工呼吸期間延長
・低心機能
・周術期のMI, CI, 感染、腎機能低下
・再開胸の費用
・Cost analysis of re-exploration for bleeding
after coronary artery baypass graft surgery
BJA 108(2): 216-22(2012)
・2005-8 CABG後の4232
・出血による再開胸127症例とコントロール254例を比較
・スウェーデンの3大学の心臓センターで単独CABGを受けた患者
・年齢、 性別、DMの有無、吻合数、BMI、センターを一致
→結果
・プラビック内服者に多い(出血例の1/3)。
・ICU滞在が長い。
・人工呼吸期間が長い。
・輸血量が多い。
・MIは多いが胸骨感染は差がない。
・全費用:19642 vs 13350ユーロ。
→再開胸患者 6290ユーロ多い (約47%増)
・対策
→抗凝固療法は術前5日前に中止。
→rFVIIaの予防投与。
・予防投与で得られる高価 VS 予防投与にかかる費用。
・高価だが強力に術後出血を止める。
・再開胸 のrelative riskを50%減らすという報告もある
・4人に一人は再開胸を免れる。
・輸血による合併症を防ぐ。
・血栓症を引き起こす可能性。
・再開胸止血術をした場合
・麻酔料はとれる?。
→薬剤料、胸骨ワイアや縫合糸はとれる。
→手術料はとれない。
・術者の影響は?
・確実な手技は心臓手術の予後に影響。
・術者の質の定量化は困難。
・患者間のばらつき。
・施設間のばらつき。
・患者の死亡率の決定の評価に術者のperformanceは 必須ではない。
・グラフト血栓や胸骨創し開、大量出血は術者の技量に負うのでは。
・Individual surgen’s impact on the risk of re-exploration
for excessive bleeding after bypass surgery
J Cardiothoracic vascular anesthesia vol 26 (4), 2012
・2006-2011の CABG単独の2001症例
・113(5.3%)が再開胸
・対象術者
・12名
・2名はpostresidency 2年、他は9年以上
・患者の割当はリスクや経験によらない
・術者はこの時点でstudy については知らない
・麻酔科医も評価対象
・再開胸に関する因子
・術者
・BMI
・GFR < 30ml/min/1.73m
・麻酔科医間では差はない
・出血部位がわかったのは73%
・再開胸率は術者間で1.4 - 11.7%
・再開胸症例
→LOSやカテコラミン使用期間延長
→ICU在室期間の延長をもたらす
→縦隔炎による再開胸やstrokeには関係しない
・予定、緊急手術でも差がある
・OPCABでも従来の術式でも差がある
・12名 中6名に再開胸率が高い
・再開胸を行うと、人的、施設的損失、コストもかかる
・術前のプラビックスは再開胸因子として認められている
・クロピドグエル非内服患者、緊急手術患者で差がある
→術者の技量が関係
・患者要因は20%,
→IMAや静脈グラフトの枝、吻合部出血が原因となるのは50%
・今回も75%が出血源同定
→術者の技量の問題
・術後出血は中央値600-800ml
・再開胸率が高い術者ほど出血量が多い
・1600ml以上の出血に関して
→術者間に差がある
→麻酔科医では差がない
・リスクは?
・男性
・BMI<25 kg/m2
・末梢血管手術の既往
・緊急手術
・GFR<30ml/min/1.73m2
大血管手術。ROTEM使用中。